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鬼2
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聖女セレン。10年前のあの日、彼女は勇者のパーティーから抜け、シルドの街の教会で祈りを捧げ続けていた。新たに勇者となったジークの活躍により街の周りに居る魔物は一掃されたが、魔王軍七将のディオルギスを討つに至らず、大結界を発動し教会で発動の維持をしている。
「ッツ!?」
「セレン!!」
教会中央部護身の間。セレンは再び結界を張り直す為、尽力していた。だが、街の周囲を囲む魔方陣に対しての魔力の通りがあまりにも悪い。
「これは・・・魔族からの妨害!」
「まさか七将か!?」
「いえ、ですが幹部クラスだと思われます。」
「魔族・・・。」
レーナは握っている母親から譲り受けた斧をカチャカチャと震わせながら俯いた。かつて聖騎士と唄われた父親は10年前に魔族に討たれた。シルドの街は勇者の逃亡により炎にのまれ大多数の者が生涯消え無い傷を負ったか死んだ。その記憶が甦る。死にたくない、そう言いかけた時、セレンの斧を握っている手を包み込んだ。
「大丈夫ですよ。この街も貴方も私が守ります。だから、大丈夫。」
レーナは俯いた顔を挙げるとセレンの微笑んだ顔を見て、ハッとする。今しなければならないことそれは、
「ギルドに行って冒険者と兵士を集め戦うこと。セレンは・・・」
「私は街の西の病院で怪我人の治療に当たります。」
「わかった!お互い頑張ろう。」
そう言って、レーナは兵士と冒険者の集まるギルドに走った。セレンは教会を出て少し立ち止まり呟いた。
「レオン君・・・あの日みたいに私達を助けてよ・・・」
出立の日に孤児院から出て行く時に、シスターから渡されたペンダントを握りしめ、聖女は祈った。魔物の襲撃は恐らく魔族の作戦なのだろう。結界が破られればもはや風前の灯火のごとく光は消える。もう届かないと知りつつも聖女は叶わぬ願いを神に祈った。
「ッツ!?」
「セレン!!」
教会中央部護身の間。セレンは再び結界を張り直す為、尽力していた。だが、街の周囲を囲む魔方陣に対しての魔力の通りがあまりにも悪い。
「これは・・・魔族からの妨害!」
「まさか七将か!?」
「いえ、ですが幹部クラスだと思われます。」
「魔族・・・。」
レーナは握っている母親から譲り受けた斧をカチャカチャと震わせながら俯いた。かつて聖騎士と唄われた父親は10年前に魔族に討たれた。シルドの街は勇者の逃亡により炎にのまれ大多数の者が生涯消え無い傷を負ったか死んだ。その記憶が甦る。死にたくない、そう言いかけた時、セレンの斧を握っている手を包み込んだ。
「大丈夫ですよ。この街も貴方も私が守ります。だから、大丈夫。」
レーナは俯いた顔を挙げるとセレンの微笑んだ顔を見て、ハッとする。今しなければならないことそれは、
「ギルドに行って冒険者と兵士を集め戦うこと。セレンは・・・」
「私は街の西の病院で怪我人の治療に当たります。」
「わかった!お互い頑張ろう。」
そう言って、レーナは兵士と冒険者の集まるギルドに走った。セレンは教会を出て少し立ち止まり呟いた。
「レオン君・・・あの日みたいに私達を助けてよ・・・」
出立の日に孤児院から出て行く時に、シスターから渡されたペンダントを握りしめ、聖女は祈った。魔物の襲撃は恐らく魔族の作戦なのだろう。結界が破られればもはや風前の灯火のごとく光は消える。もう届かないと知りつつも聖女は叶わぬ願いを神に祈った。
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