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本編
20.
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気がつくと部屋に戻って来ていた。メリッサが連れて帰ってきてくれたのだう。
「モモ様、今日はもうお部屋でゆっくりしましょう。」
甘いミルクティーを淹れてくれたので1口くぴりと飲み、ソファーの上でクッションを抱えて丸まった。
メリッサが肩からブランケットもかけてくれたので体はぽかぽか、でも……
あのコツコツ、という音が、メアリーさんの放った言葉が、頭から離れない。
「今殿下を呼んできますからね。」
パタン、とドアが閉まり、1人になってしまった。
今思えば、前の世界で僕はずっと1人だった。
それでも孤独だど思ったことはなかった。それが僕の当たり前だったから。冬の寒い日にベランダに出された時も、夏に一晩中公園にいた時も、寂しくなんてなかった。
でも今は…優しさを知ってしまった。ルーが結婚しちゃってまた1人になるなんて、耐えられないよ……
「うぅ~、ひっく、ふっ…」
ぽろぽろと溢れる涙は全然止まってくれない。
ふと外を見ると空は真っ黒な雲に覆われていて、大雨が降っていた。
さっきまで晴れだったのに、でも……
激しい雨音は今の僕には少しだけ心地よかった。
「モモ、ごめんね1人にして」
すぐにルーが来てくれた。お仕事の邪魔しちゃったよね。
いつもは大好きな抱っこも、今日はいやだ。
だんだん息も苦しくなってきた。
「やぁ、やだ、おろしてぇ、ゲホッ、はっ、はぁ」
「よしよし、俺の目を見て。ほら、すー、はー。そう、上手だね」
しばらくすると、涙も呼吸も落ち着いてきた。
「お仕事の邪魔してごめんなさい、わがまま言ってごめんなさい…」
結局僕はどこにいてもいらない子なんだ……
メアリーさんはどこかお母さんに似ている。だからかな、こんなにもお母さんを思い出すのは。
『お母さん、見て!お母さんのためにご飯作ったんだよ。』
『……何このゴミみたいな飯。こんなの食べられるわけないでしょ?!あんたのせいで食費無駄になったじゃないの!』
このままじゃ捨てられる。お母さんが僕を殴っていたのは僕が迷惑ばかりかけるから。
全部僕のせいじゃないか…
「ごめん、なさい……」
「モモ様、今日はもうお部屋でゆっくりしましょう。」
甘いミルクティーを淹れてくれたので1口くぴりと飲み、ソファーの上でクッションを抱えて丸まった。
メリッサが肩からブランケットもかけてくれたので体はぽかぽか、でも……
あのコツコツ、という音が、メアリーさんの放った言葉が、頭から離れない。
「今殿下を呼んできますからね。」
パタン、とドアが閉まり、1人になってしまった。
今思えば、前の世界で僕はずっと1人だった。
それでも孤独だど思ったことはなかった。それが僕の当たり前だったから。冬の寒い日にベランダに出された時も、夏に一晩中公園にいた時も、寂しくなんてなかった。
でも今は…優しさを知ってしまった。ルーが結婚しちゃってまた1人になるなんて、耐えられないよ……
「うぅ~、ひっく、ふっ…」
ぽろぽろと溢れる涙は全然止まってくれない。
ふと外を見ると空は真っ黒な雲に覆われていて、大雨が降っていた。
さっきまで晴れだったのに、でも……
激しい雨音は今の僕には少しだけ心地よかった。
「モモ、ごめんね1人にして」
すぐにルーが来てくれた。お仕事の邪魔しちゃったよね。
いつもは大好きな抱っこも、今日はいやだ。
だんだん息も苦しくなってきた。
「やぁ、やだ、おろしてぇ、ゲホッ、はっ、はぁ」
「よしよし、俺の目を見て。ほら、すー、はー。そう、上手だね」
しばらくすると、涙も呼吸も落ち着いてきた。
「お仕事の邪魔してごめんなさい、わがまま言ってごめんなさい…」
結局僕はどこにいてもいらない子なんだ……
メアリーさんはどこかお母さんに似ている。だからかな、こんなにもお母さんを思い出すのは。
『お母さん、見て!お母さんのためにご飯作ったんだよ。』
『……何このゴミみたいな飯。こんなの食べられるわけないでしょ?!あんたのせいで食費無駄になったじゃないの!』
このままじゃ捨てられる。お母さんが僕を殴っていたのは僕が迷惑ばかりかけるから。
全部僕のせいじゃないか…
「ごめん、なさい……」
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