幸介による短編集

ラブレター

【あなたはラブレターを書きました】






いつも素直になれなくて


ごめんなさい。


君が死にたいって


そう言った時


私は君なんて


嫌いだと言いました。



死のうとするなんて


弱くて嫌いだと泣きました。



もっと、もっと


君は強いはずだと


手を握り締めました。



どれほど苦しかったでしょう。




本当は


本当はね


死にたいと言う君を


認められなかっただけなんです。



一緒に生きていたかった


強く在りたかった


ただ、それだけなんです。



君の事が、大好きだから。





【あなたは涙を拭うと、ラブレターの続きを書きました】





君は頑張り屋なんです。


誰よりも優しいんです。


色々な事に我慢してきた


その事はきっと強さに繋がる。


愛なんて知らない


そう言うけれど


本当はどんな人より愛情深いんです。


人一倍、痛みに敏感。


それは人の痛みに


寄り添えるということでしょう。



心の真ん中の寂しさを


人に話せないのは


自分のせいで人に


負担を掛けたくないから。


ね、


そうでしょう？


それも君の良さです。




私は、君の良いところ、


沢山知っているよ。



今まで見ないふりしていてごめんね。


独りぼっちにしてごめんね。




本当は認めて欲しいだけなんだ。


だったら私が認めてあげる。





ほら、おいで。



君が大好きだよ。






【あなたはラブレターを書きました。あなたは｢君｣という｢あなた｣に、ラブレターを出しました。ラブレターはきっと、あなたの心に優しく
溶けゆくことでしょう】




生きることは


自分を愛する事から


はじまるのです。