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魔女と少年は魔女狩りの夢を見る
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「困ったな」
静かな森の一角で彼女はため息を付いた。
「子供…しかも男の子とは…」
彼女の目の前には子供の死骸が転がっていた。
つい先日までは生きていただろうに、少年はピクリとも動かなかった。
おそらく口減らしか何かで森の中で捨てられたのだろう。
このまま放っておけば狼に食べられてしまうかもしれない。
それを哀れに思い、埋葬しようと彼女は少年の体に触れる。
するとわずかに体温が残っていた。
心臓に触れると元気に動いていた。
「はぁ…」
ぼろ雑巾のようになっているとはいえ、生きているなら話は別だ。
見捨てる事は出来ない。
「これなら死んでくれた方が良かったな」
そう彼女はため息を付いた。
◆
「おい、小僧」
少年が目を覚ますと目の前に一人の女が立っていた。
背の高いその女は人目で魔女だと分かる格好をしていた。
容姿は美しくも無ければ醜くもない普通の顔立ちだった。
「気分はどうだ?」
そう聞かれても少年は答えられなかった。
「これ喰え」
そう言って魔女が差し出したのはお椀に入った粥だった。
意味が分からず困惑したように少年は魔女を見る。
「何か入っているとでも?
何かするつもりならお前が寝ているうちにしていたさ」
そう言われても安心は出来ない。
少年は両親から魔女は邪悪な存在だと聞いていた。
疫病が流行るのも、災害が起きるのも、人が死ぬのも、
全て魔女が魔法を使って呪いをばらまくせいなのだと。
ぐぅ。
その時、少年のお腹が鳴った。
信じられないぐらい腹が減っていた。
しばらく迷っていたが、空腹には耐えられず粥を口に運ぶ。
「…!」
信じられないぐらい美味しかった。
ただの粥だというのに美味しくて仕方が無かった。
スプーンで粥をすくい、全て食べ終えると魔女が満足そうな顔をしていた。
「全部食べたな。それとこれも飲むんだ」
魔女が差し出したのはコップに入った緑色の液体だった。
「毒じゃないぞ。ただの薬だ」
そう言うと毒でない事を確かめるためなのか、魔女はコップに入った液体を一口飲む。
毒でない事に安心した少年はコップに入った液体を飲んだ。
信じられないぐらいまずかった。
だが飲み干さないと何をされるか分からない。
薬を飲み干すと、先ほど満腹になった影響か、それとも薬のせいか、
眠気がやってきた。
「さぁ眠るんだ」
自分を気遣うような声に安心したのか、少年は眠りについた。
それから起きる度に魔女は食事を用意し、献身的に世話をしてくれた。
そのおかげか少年はみりみる回復して、歩けるようにもなった。
そこまでいくと完全にではないが少年は魔女に心を許すようになった。
魔女はぶっきらぼうな人だが優しい人であることは理解していた。
「そろそろ家に帰れるな」
そう魔女が言った。その言葉に少年はハッとした。
魔女と暮らしていた時に思い出さなかった自分の状況を思い出したからだ。
「帰れないよ…」
「どうしてだ?」
「捨てられたから」
少年の住んでいた家は貧しかった。
兄弟姉妹は少年の他に四人いて、
少年は兄のように力持ちという事もなく、
姉のように手先が器用という事もなく、
弟のように頭が良いという事もなく
妹のように器量よしという事も無かった。
つまり何の取り柄もないのだ。
むしろ何をするのも人より遅くて、覚えるのも時間がかかった。
良かれと思ってやった事が怒声と共に殴られる事が多かった。
だからこそ捨てられたのだ。
口減らしのために、わざわざ魔女がいる森に置き去りにされた。
そして不幸な事に少年は自分の置かれている状況を幼いながらに理解していた。
身の置かれた状況を理解出来ない程子供ではなかったし、
一人で生きていくには幼すぎた。
こういう時に頼れる人を知っているわけではなかった。
このまま魔女の家を出てもどこへ行ったらいいのか分からない。
「そうか」
魔女は少年にそれ以上聞く事は無かった。
「ならお前がもういいと言うまでここに居たらいい」
「え?」
「私の持てる知識をお前に伝えよう。
そうすれば外の世界でもやっていけるだろう」
そう言われ否定する材料を少年は持たなかった。
どうせ他に行くあてはないのだ。
「分かった」
そして少年と魔女の奇妙な共同生活が始まった。
◆
「お前文字書くの下手くそだなぁ」
土の上に書かれた文字を見て魔女は苦笑する。
「だってこんなの覚えられないよ」
少しすねたように少年は言う。
「まぁ何回かやっていれば覚えられるだろう」
魔女は少年がなかなか覚えられなくても怒る事は無かった。
むしろ根気強く付き合ってくれた。
これが両親ならば何度も殴られている事だろう。
「魔女はどうして僕に付き合ってくれるの」
「ただの暇つぶしだな。まぁ時間だけはあるんだ。付き合ってやるさ」
そう魔女は笑った。
◆
「あそこにあるのが北斗七星だ」
ある時、夜空の一角を指差して魔女は言った。
「全部同じにしか見えないよ…」
星空の一角を指差されたがどこが北斗七星なにかさっぱり分からない。
「星の位置を覚える事は大事な事だぞ」
「そうなの?」
「人間の運命も世の中がどうなるのかも、星の動きを見れば分かる事だ」
「どうしてそんな事が分かるの?」
「どうして分かるかと言われてもな。私の家は代々星読みの家系だからな」
そう少し誇らしげに魔女は言った。
「星読み?」
「星を読んで、未来を予測しそれを人に伝える事を代々やってきたんだ」
「え? じゃあ魔女には未来が分かるの?」
「完璧ではないがだいたい分かるぞ」
「それって凄いよ!」
「凄くは無いぞ。私の家系では当たり前の事だ」
「それでも凄いよ。未来が分かるなんて…」
「まぁ未来が分かるのはあまり良い事ばかりではないぞ。
人や自分の死ぬ時期まで分かるんだからな」
「え?」
「あ、いや何でもない。それよりお前は星読みは向いてないな。
この知識を継承させるのは止めた方がいいな」
そう魔女はため息をついた。
◆
「今日はちょっと出かけてくる。すぐに戻ってくるからな」
そう言って魔女は家を出て行った。
すぐに戻ってくると言ったのに夜になっても帰って来なかった。
少し心配しているとドアが開いた。
「おかえ…え?」
帰ってきた魔女は傷だらけだった。
頬に殴られたような痕があった。
「どうしたの…?」
「ふふふ、私とした事がドジってしまってな」
くくっと自嘲するように魔女は笑う。
「今年は飢饉が起きる。だから蓄えを残しておけと言ったらこのざまだ」
「どうしてそんな事を…」
「いいか、私は星読みだ。未来を予測し人に伝える事が役割だ。
知識は持っているだけではダメなんだ。
人に伝えて生かさないとダメなんだ」
「だからってこんな目に遭ってまで伝えなくていいじゃないか!」
「それでもこれが私の運命だからだ」
「運命?」
「人の一生は生まれてから死ぬまでに決められたシナリオで進むんだ。
それから逃れる事は出来ないし、全部決まっている事だから避けようもない。
だが知る事で役に立つ事もある」
「分からないよ。魔女が何考えているか全然分かんない!」
気がつけば少年の目から涙があふれていた。
魔女は小さく笑うと少年の頭を撫でた。
「泣くな、小僧。いつかお前にも分かる時が来る」
◆
「魔女はどうしてやり返さないの?」
「ん?」
少年の言葉に魔女は顔を上げる。
「やりかえす? どうしてだ?」
「だって魔法を使えば、みんな魔女の言うことを聞くし、誰も魔女の事を傷付けないよ」
少年の言葉に魔女は爆笑した。
「ハハハッ、面白い冗談だな!」
「だっだってそうなんじゃないの?!」
「言っておくが小僧。私にそんな力は無いぞ」
「へ? でも未来が分かるんでしょ」
「それはただの技術だ。魔法ではないぞ」
「でも村のみんなは魔女が疫病を流行らしたり、災害を起こすって」
「迷信だ。だいたいそんな実態の無いものをどうやって操るというのだ?」
「それは…呪いとか?」
「おい、私はただの星読みだ。呪いは専門外だ。
まぁ出来る奴もこの世界にはいると思うが、私には無理だ」
「なんか、ちょっとショックかも…」
何でも出来るだろうと思っていただけに、少年は少しショックだった。
「おい勝手に落胆するな。呪いは使えないが未来は分かるんだぞ」
そう言うと魔女は少年の頭をはたく。
「しかし呪いか…知らない奴からすれば星読みも似たようなものに見えるかもな」
◆
「しかしお前狩りは上手だな」
その日、少年と魔女は狩りに出かけていた。
そこで兎を数匹、少年は捕まえた。
「うん、こういうのは得意みたい」
「しかし村に居る時も狩りのやり方を知っていたら捨てられる事も無かったろうにな」
それ程までに少年は狩りが上手だった。
魔女に教わらずとも、自作の罠を作り、それを設置すれば面白いぐらいに得物がかかった。
「まぁ人間何か取り柄はあるものだな」
「それ魔女に言われたくないよ」
「まぁ確かにな。ハハハッ」
魔女はよく笑った。魔女とは思えないぐらいによく笑っていた。
それが後になっても少年の記憶には残っている。
◆
「お前だいぶ字が上手になったな」
ある時魔女がそう言った。
「これならもう一人でやっていけるかもな」
「そんな事はないよ」
そう少年は言うが、魔女の家に来てもう何ヶ月か経っていた。
魔女はもう少年に教える事は無かった。
最初こそ覚えるのには時間がかかったが、
今では魔女の家にある書庫の全ての本が読めるようになっていた。
「まだまだ教わる事はあるよ」
そう言うが魔女はもう少年に教える事は全て教えた。
星読みだけは、どんなに頼まれても教える事は無かったが。
「お前のような優秀な弟子を持てて、私は幸せ者だよ」
「どうしたの急に……?」
「未来が見えるのはあまり良い事ばかりではないからな……」
出来れば、もう少し、少しだけ長く少年と一緒に居られますように。
魔女はそう祈らずには居られなかった。
◆
「魔女はどうして人里で暮らさないの?」
「何だ、いきなり?」
「未来が分かる事とか、隠していけば、普通に生きられると思うんだ」
「そうして人と違う事を隠し、いつ正体がばれるかビクビクして生きろというわけだな」
「そういうわけじゃないけど」
「お前の言って居ることは最もだが、簡単に生き方は変えられんさ」
「どうして?」
「私の母も祖母もこういう生き方しか出来なかった。
まぁ昔は良かったんだがな」
そう言うと魔女はため息をはいた。
「私の先祖はなこう見えても王族に仕えていたんだ」
「え?」
思ってもみなかった言葉に少年は驚く。
「星読みで未来を予測して、それを政治に反映していたんだ。
結構偉い立場に居たんだぞ」
「ならどうしてこんな暮らししてるの」
「未来が予測出来る事は良い事ばかりじゃないからな。
それも絶対に変えられない未来ばかり予言するものだから、
不気味がられて、追放されたらしい」
「そんな事って…」
少年が同情を含めた目で魔女を見た。
「だから私の代でこの星読みの技術が失われても、それはそれで良いんだ。
変えられない未来ばかり見て辛い思いをするのは、もうたくさんだからな」
「辛い…? 何が辛いの?」
そう少年は聞いたが魔女が答える事は無かった。
◆
「おい、小僧」
魔女は少年の肩を掴み言った。
「もうすぐ村人がここにやってくる」
そう言うと窓の外に揺らめく炎の群れが見えた。
それはおそらく松明を持った人々の群れだろう。
「いいか。お前は奴隷として魔女に虐められていたんだ。
そして村人に助けを求めろ」
「い、嫌だ…」
少年は魔女の服を握りしめる。
「お前のような小さな子供なら村人も見逃してくれるだろう。
運が良ければあの中に本当の両親がいるかもしれない」
「嫌だ…! 僕は魔女と一緒にいる!」
「お前には悪いと思っている。
だがこれは私が生まれる前から決まっていた事だ…」
その冷静な態度はこうなる事が予測出来た事を物語っていた。
「これも星読みの宿命なんだ。
自分の死ぬ時期を知ってしまう事は…。
私はすでにお前の年の頃から自分がいつ死ぬのか知っていた。
そしてそれが避けられない事である事も………」
「そんな事ってないよ!」
「いいか、よく聞くんだ。
私の死は避けられない事なんだ!
もしここで逃げたとしても必ず他の理由で死んでしまう。
だから、誰も恨むな。これは避けられない事なんだ!
彼らはあまりに知らなさ過ぎただけなんだ。
魔女が本気で疫病や飢饉を起こすものだと頭から信じている!
そして魔女を殺す事で、その災いが鎮められ、
自分の家族や友人を守る事になると信じているんだ!
…それはもう仕方ないんだ。誰のせいでもない。
だから誰も恨むな。お前は生きろ」
それだけ言うと少年から離れ、魔女は一人で外に出た。
今になってどうして名前を聞いておかなかったのか悔やまれる。
どうして魔女の想いに気づく事が出来なかったのだと。
大切な人を失って気がつくなんて――――。
魔女はその日から二度と帰ってくる事は無かった。
◆
「でね。彼ったらおかしいたらないの」
いい加減解放してくれないだろうか。
そう彼女は思った。
ショッピングセンターの一角にあるこのカフェは女子校生の間で人気だった。
だからこそ自分も友達とここに来ているのだが。
さっきから彼氏ののろけ話ばかりで嫌になる。
退屈なので道行く人を眺める。
「それで、ねぇどうしたの?」
友人が聞いてくるが聞こえない。
あの後ろ姿はまさか…!
そう思い走り出す。
「ちょっとどこ行くのよ!」
友人の制止など振り切り、彼女は走る。
サラリーマンのようにスーツを着た男。
その後ろ姿を追いかける。
「おい。おい。待て、小僧!」
そう叫ぶと男が振り返った。
「君は…」
「おい、お前、小僧だよな?」
「まさか、君は魔女…?」
「そうだ。私だ。見たところお前も前世の記憶があるんだな?」
「そうですよ」
自分には前世の記憶がある――――。
そう気がついたのは、物心ついた時だった。
見たことのない場所や、知らないはずの知識をすでに知っていた。
しかしそれを人に言っても信じてもらう事はなかったため、
今まで秘密にしてきた。
それなのにまさか自分のように前世の記憶がある人間がいるなんて――――。
「どうしてお前がこんな所に居るんだ?」
「それはこっちの台詞ですよ」
「正直に言うとまだ信じられない」
「俺もそうですよ」
「また出会えるとは思わなかった」
「そうですね」
彼女の目に涙が浮かぶ。
「これもあんたが昔言ってた運命って奴かもしれませんね」
「そうかもな」
すると男は彼女の手を握った。
「今度こそずっと一緒にいてもらいますよ。
俺はあんたをずっと探していたんですから」
そして彼女を強く抱きしめた。
「あんたのことが好きです」
「なっ、いつから好きだったっ?」
「前世の時からですよ。あんたを亡くしてからしばらくして気がつきました」
「私はもう背も高くないし、胸だって大きくないぞ」
「構いません」
「年だって離れている」
「構いません」
「私のどこが良いんだ?
性格だってひねくれてるし、変わり者だし…」
「そんなの俺にとっては魅力の一つに過ぎません
それにこの二十一世紀に、この日本では、
多少変わってるぐらいでは殺されたりしないんです。
だからあまり気にする事はありません」
「そうか、ならずっとお前と居られるわけか」
「そうです。ずっと一緒に居ましょう」
「そっか、これからもよろしくな小僧」
(完)
【あとがき】
この作品の時代は中世ヨーロッパのどこかです。
当時の魔女狩りがどれだけ理不尽なものだったかというと、
飢饉や災害などが魔女のせいにされていました。
その犯人として捕まった人達は当然魔法など起こせるはずもなく、処刑されました。
自白には拷問がよく使われており、
一度魔女として疑いをかけられた人間は、
その疑いが晴れることは絶対にありませんでした。
前に読んだ魔女狩りの本で、魔女を処刑しても処刑しても、終わらないと、
当時の人が言っていたんですが、当たり前の事なんですよね。
だって自然災害や疫病なんかを起こす犯人なんていないんですから。
つくづく無知というのは怖いなと思います。
おまけのキャラクター設定
【魔女】
森の奥で一人で暮らしている。人々から恐れられているが、
実際は星読みが出来るというだけのただの人間である。
幼い頃に自分について占ったため、いつ死ぬのかも知っていた。
【少年】五人兄弟の真ん中だったが、口減らしのため親に捨てられた。
魔女処刑後は生まれ故郷の村で暮らした。それなりに長生きしたようだ。
【魔女(転生)】
前世の記憶があるという以外は普通の女子校生。
星占いが得意だが、前世の星読みは星の位置が変わっているため、使えない。
本人も星読みを会得するつもりはないようだ。
【少年(転生)】
前世の記憶があるという以外は普通のサラリーマン。
前世の記憶を持っているため、人生に関して達観している。
魔女にベタ惚れかつ、過保護。
静かな森の一角で彼女はため息を付いた。
「子供…しかも男の子とは…」
彼女の目の前には子供の死骸が転がっていた。
つい先日までは生きていただろうに、少年はピクリとも動かなかった。
おそらく口減らしか何かで森の中で捨てられたのだろう。
このまま放っておけば狼に食べられてしまうかもしれない。
それを哀れに思い、埋葬しようと彼女は少年の体に触れる。
するとわずかに体温が残っていた。
心臓に触れると元気に動いていた。
「はぁ…」
ぼろ雑巾のようになっているとはいえ、生きているなら話は別だ。
見捨てる事は出来ない。
「これなら死んでくれた方が良かったな」
そう彼女はため息を付いた。
◆
「おい、小僧」
少年が目を覚ますと目の前に一人の女が立っていた。
背の高いその女は人目で魔女だと分かる格好をしていた。
容姿は美しくも無ければ醜くもない普通の顔立ちだった。
「気分はどうだ?」
そう聞かれても少年は答えられなかった。
「これ喰え」
そう言って魔女が差し出したのはお椀に入った粥だった。
意味が分からず困惑したように少年は魔女を見る。
「何か入っているとでも?
何かするつもりならお前が寝ているうちにしていたさ」
そう言われても安心は出来ない。
少年は両親から魔女は邪悪な存在だと聞いていた。
疫病が流行るのも、災害が起きるのも、人が死ぬのも、
全て魔女が魔法を使って呪いをばらまくせいなのだと。
ぐぅ。
その時、少年のお腹が鳴った。
信じられないぐらい腹が減っていた。
しばらく迷っていたが、空腹には耐えられず粥を口に運ぶ。
「…!」
信じられないぐらい美味しかった。
ただの粥だというのに美味しくて仕方が無かった。
スプーンで粥をすくい、全て食べ終えると魔女が満足そうな顔をしていた。
「全部食べたな。それとこれも飲むんだ」
魔女が差し出したのはコップに入った緑色の液体だった。
「毒じゃないぞ。ただの薬だ」
そう言うと毒でない事を確かめるためなのか、魔女はコップに入った液体を一口飲む。
毒でない事に安心した少年はコップに入った液体を飲んだ。
信じられないぐらいまずかった。
だが飲み干さないと何をされるか分からない。
薬を飲み干すと、先ほど満腹になった影響か、それとも薬のせいか、
眠気がやってきた。
「さぁ眠るんだ」
自分を気遣うような声に安心したのか、少年は眠りについた。
それから起きる度に魔女は食事を用意し、献身的に世話をしてくれた。
そのおかげか少年はみりみる回復して、歩けるようにもなった。
そこまでいくと完全にではないが少年は魔女に心を許すようになった。
魔女はぶっきらぼうな人だが優しい人であることは理解していた。
「そろそろ家に帰れるな」
そう魔女が言った。その言葉に少年はハッとした。
魔女と暮らしていた時に思い出さなかった自分の状況を思い出したからだ。
「帰れないよ…」
「どうしてだ?」
「捨てられたから」
少年の住んでいた家は貧しかった。
兄弟姉妹は少年の他に四人いて、
少年は兄のように力持ちという事もなく、
姉のように手先が器用という事もなく、
弟のように頭が良いという事もなく
妹のように器量よしという事も無かった。
つまり何の取り柄もないのだ。
むしろ何をするのも人より遅くて、覚えるのも時間がかかった。
良かれと思ってやった事が怒声と共に殴られる事が多かった。
だからこそ捨てられたのだ。
口減らしのために、わざわざ魔女がいる森に置き去りにされた。
そして不幸な事に少年は自分の置かれている状況を幼いながらに理解していた。
身の置かれた状況を理解出来ない程子供ではなかったし、
一人で生きていくには幼すぎた。
こういう時に頼れる人を知っているわけではなかった。
このまま魔女の家を出てもどこへ行ったらいいのか分からない。
「そうか」
魔女は少年にそれ以上聞く事は無かった。
「ならお前がもういいと言うまでここに居たらいい」
「え?」
「私の持てる知識をお前に伝えよう。
そうすれば外の世界でもやっていけるだろう」
そう言われ否定する材料を少年は持たなかった。
どうせ他に行くあてはないのだ。
「分かった」
そして少年と魔女の奇妙な共同生活が始まった。
◆
「お前文字書くの下手くそだなぁ」
土の上に書かれた文字を見て魔女は苦笑する。
「だってこんなの覚えられないよ」
少しすねたように少年は言う。
「まぁ何回かやっていれば覚えられるだろう」
魔女は少年がなかなか覚えられなくても怒る事は無かった。
むしろ根気強く付き合ってくれた。
これが両親ならば何度も殴られている事だろう。
「魔女はどうして僕に付き合ってくれるの」
「ただの暇つぶしだな。まぁ時間だけはあるんだ。付き合ってやるさ」
そう魔女は笑った。
◆
「あそこにあるのが北斗七星だ」
ある時、夜空の一角を指差して魔女は言った。
「全部同じにしか見えないよ…」
星空の一角を指差されたがどこが北斗七星なにかさっぱり分からない。
「星の位置を覚える事は大事な事だぞ」
「そうなの?」
「人間の運命も世の中がどうなるのかも、星の動きを見れば分かる事だ」
「どうしてそんな事が分かるの?」
「どうして分かるかと言われてもな。私の家は代々星読みの家系だからな」
そう少し誇らしげに魔女は言った。
「星読み?」
「星を読んで、未来を予測しそれを人に伝える事を代々やってきたんだ」
「え? じゃあ魔女には未来が分かるの?」
「完璧ではないがだいたい分かるぞ」
「それって凄いよ!」
「凄くは無いぞ。私の家系では当たり前の事だ」
「それでも凄いよ。未来が分かるなんて…」
「まぁ未来が分かるのはあまり良い事ばかりではないぞ。
人や自分の死ぬ時期まで分かるんだからな」
「え?」
「あ、いや何でもない。それよりお前は星読みは向いてないな。
この知識を継承させるのは止めた方がいいな」
そう魔女はため息をついた。
◆
「今日はちょっと出かけてくる。すぐに戻ってくるからな」
そう言って魔女は家を出て行った。
すぐに戻ってくると言ったのに夜になっても帰って来なかった。
少し心配しているとドアが開いた。
「おかえ…え?」
帰ってきた魔女は傷だらけだった。
頬に殴られたような痕があった。
「どうしたの…?」
「ふふふ、私とした事がドジってしまってな」
くくっと自嘲するように魔女は笑う。
「今年は飢饉が起きる。だから蓄えを残しておけと言ったらこのざまだ」
「どうしてそんな事を…」
「いいか、私は星読みだ。未来を予測し人に伝える事が役割だ。
知識は持っているだけではダメなんだ。
人に伝えて生かさないとダメなんだ」
「だからってこんな目に遭ってまで伝えなくていいじゃないか!」
「それでもこれが私の運命だからだ」
「運命?」
「人の一生は生まれてから死ぬまでに決められたシナリオで進むんだ。
それから逃れる事は出来ないし、全部決まっている事だから避けようもない。
だが知る事で役に立つ事もある」
「分からないよ。魔女が何考えているか全然分かんない!」
気がつけば少年の目から涙があふれていた。
魔女は小さく笑うと少年の頭を撫でた。
「泣くな、小僧。いつかお前にも分かる時が来る」
◆
「魔女はどうしてやり返さないの?」
「ん?」
少年の言葉に魔女は顔を上げる。
「やりかえす? どうしてだ?」
「だって魔法を使えば、みんな魔女の言うことを聞くし、誰も魔女の事を傷付けないよ」
少年の言葉に魔女は爆笑した。
「ハハハッ、面白い冗談だな!」
「だっだってそうなんじゃないの?!」
「言っておくが小僧。私にそんな力は無いぞ」
「へ? でも未来が分かるんでしょ」
「それはただの技術だ。魔法ではないぞ」
「でも村のみんなは魔女が疫病を流行らしたり、災害を起こすって」
「迷信だ。だいたいそんな実態の無いものをどうやって操るというのだ?」
「それは…呪いとか?」
「おい、私はただの星読みだ。呪いは専門外だ。
まぁ出来る奴もこの世界にはいると思うが、私には無理だ」
「なんか、ちょっとショックかも…」
何でも出来るだろうと思っていただけに、少年は少しショックだった。
「おい勝手に落胆するな。呪いは使えないが未来は分かるんだぞ」
そう言うと魔女は少年の頭をはたく。
「しかし呪いか…知らない奴からすれば星読みも似たようなものに見えるかもな」
◆
「しかしお前狩りは上手だな」
その日、少年と魔女は狩りに出かけていた。
そこで兎を数匹、少年は捕まえた。
「うん、こういうのは得意みたい」
「しかし村に居る時も狩りのやり方を知っていたら捨てられる事も無かったろうにな」
それ程までに少年は狩りが上手だった。
魔女に教わらずとも、自作の罠を作り、それを設置すれば面白いぐらいに得物がかかった。
「まぁ人間何か取り柄はあるものだな」
「それ魔女に言われたくないよ」
「まぁ確かにな。ハハハッ」
魔女はよく笑った。魔女とは思えないぐらいによく笑っていた。
それが後になっても少年の記憶には残っている。
◆
「お前だいぶ字が上手になったな」
ある時魔女がそう言った。
「これならもう一人でやっていけるかもな」
「そんな事はないよ」
そう少年は言うが、魔女の家に来てもう何ヶ月か経っていた。
魔女はもう少年に教える事は無かった。
最初こそ覚えるのには時間がかかったが、
今では魔女の家にある書庫の全ての本が読めるようになっていた。
「まだまだ教わる事はあるよ」
そう言うが魔女はもう少年に教える事は全て教えた。
星読みだけは、どんなに頼まれても教える事は無かったが。
「お前のような優秀な弟子を持てて、私は幸せ者だよ」
「どうしたの急に……?」
「未来が見えるのはあまり良い事ばかりではないからな……」
出来れば、もう少し、少しだけ長く少年と一緒に居られますように。
魔女はそう祈らずには居られなかった。
◆
「魔女はどうして人里で暮らさないの?」
「何だ、いきなり?」
「未来が分かる事とか、隠していけば、普通に生きられると思うんだ」
「そうして人と違う事を隠し、いつ正体がばれるかビクビクして生きろというわけだな」
「そういうわけじゃないけど」
「お前の言って居ることは最もだが、簡単に生き方は変えられんさ」
「どうして?」
「私の母も祖母もこういう生き方しか出来なかった。
まぁ昔は良かったんだがな」
そう言うと魔女はため息をはいた。
「私の先祖はなこう見えても王族に仕えていたんだ」
「え?」
思ってもみなかった言葉に少年は驚く。
「星読みで未来を予測して、それを政治に反映していたんだ。
結構偉い立場に居たんだぞ」
「ならどうしてこんな暮らししてるの」
「未来が予測出来る事は良い事ばかりじゃないからな。
それも絶対に変えられない未来ばかり予言するものだから、
不気味がられて、追放されたらしい」
「そんな事って…」
少年が同情を含めた目で魔女を見た。
「だから私の代でこの星読みの技術が失われても、それはそれで良いんだ。
変えられない未来ばかり見て辛い思いをするのは、もうたくさんだからな」
「辛い…? 何が辛いの?」
そう少年は聞いたが魔女が答える事は無かった。
◆
「おい、小僧」
魔女は少年の肩を掴み言った。
「もうすぐ村人がここにやってくる」
そう言うと窓の外に揺らめく炎の群れが見えた。
それはおそらく松明を持った人々の群れだろう。
「いいか。お前は奴隷として魔女に虐められていたんだ。
そして村人に助けを求めろ」
「い、嫌だ…」
少年は魔女の服を握りしめる。
「お前のような小さな子供なら村人も見逃してくれるだろう。
運が良ければあの中に本当の両親がいるかもしれない」
「嫌だ…! 僕は魔女と一緒にいる!」
「お前には悪いと思っている。
だがこれは私が生まれる前から決まっていた事だ…」
その冷静な態度はこうなる事が予測出来た事を物語っていた。
「これも星読みの宿命なんだ。
自分の死ぬ時期を知ってしまう事は…。
私はすでにお前の年の頃から自分がいつ死ぬのか知っていた。
そしてそれが避けられない事である事も………」
「そんな事ってないよ!」
「いいか、よく聞くんだ。
私の死は避けられない事なんだ!
もしここで逃げたとしても必ず他の理由で死んでしまう。
だから、誰も恨むな。これは避けられない事なんだ!
彼らはあまりに知らなさ過ぎただけなんだ。
魔女が本気で疫病や飢饉を起こすものだと頭から信じている!
そして魔女を殺す事で、その災いが鎮められ、
自分の家族や友人を守る事になると信じているんだ!
…それはもう仕方ないんだ。誰のせいでもない。
だから誰も恨むな。お前は生きろ」
それだけ言うと少年から離れ、魔女は一人で外に出た。
今になってどうして名前を聞いておかなかったのか悔やまれる。
どうして魔女の想いに気づく事が出来なかったのだと。
大切な人を失って気がつくなんて――――。
魔女はその日から二度と帰ってくる事は無かった。
◆
「でね。彼ったらおかしいたらないの」
いい加減解放してくれないだろうか。
そう彼女は思った。
ショッピングセンターの一角にあるこのカフェは女子校生の間で人気だった。
だからこそ自分も友達とここに来ているのだが。
さっきから彼氏ののろけ話ばかりで嫌になる。
退屈なので道行く人を眺める。
「それで、ねぇどうしたの?」
友人が聞いてくるが聞こえない。
あの後ろ姿はまさか…!
そう思い走り出す。
「ちょっとどこ行くのよ!」
友人の制止など振り切り、彼女は走る。
サラリーマンのようにスーツを着た男。
その後ろ姿を追いかける。
「おい。おい。待て、小僧!」
そう叫ぶと男が振り返った。
「君は…」
「おい、お前、小僧だよな?」
「まさか、君は魔女…?」
「そうだ。私だ。見たところお前も前世の記憶があるんだな?」
「そうですよ」
自分には前世の記憶がある――――。
そう気がついたのは、物心ついた時だった。
見たことのない場所や、知らないはずの知識をすでに知っていた。
しかしそれを人に言っても信じてもらう事はなかったため、
今まで秘密にしてきた。
それなのにまさか自分のように前世の記憶がある人間がいるなんて――――。
「どうしてお前がこんな所に居るんだ?」
「それはこっちの台詞ですよ」
「正直に言うとまだ信じられない」
「俺もそうですよ」
「また出会えるとは思わなかった」
「そうですね」
彼女の目に涙が浮かぶ。
「これもあんたが昔言ってた運命って奴かもしれませんね」
「そうかもな」
すると男は彼女の手を握った。
「今度こそずっと一緒にいてもらいますよ。
俺はあんたをずっと探していたんですから」
そして彼女を強く抱きしめた。
「あんたのことが好きです」
「なっ、いつから好きだったっ?」
「前世の時からですよ。あんたを亡くしてからしばらくして気がつきました」
「私はもう背も高くないし、胸だって大きくないぞ」
「構いません」
「年だって離れている」
「構いません」
「私のどこが良いんだ?
性格だってひねくれてるし、変わり者だし…」
「そんなの俺にとっては魅力の一つに過ぎません
それにこの二十一世紀に、この日本では、
多少変わってるぐらいでは殺されたりしないんです。
だからあまり気にする事はありません」
「そうか、ならずっとお前と居られるわけか」
「そうです。ずっと一緒に居ましょう」
「そっか、これからもよろしくな小僧」
(完)
【あとがき】
この作品の時代は中世ヨーロッパのどこかです。
当時の魔女狩りがどれだけ理不尽なものだったかというと、
飢饉や災害などが魔女のせいにされていました。
その犯人として捕まった人達は当然魔法など起こせるはずもなく、処刑されました。
自白には拷問がよく使われており、
一度魔女として疑いをかけられた人間は、
その疑いが晴れることは絶対にありませんでした。
前に読んだ魔女狩りの本で、魔女を処刑しても処刑しても、終わらないと、
当時の人が言っていたんですが、当たり前の事なんですよね。
だって自然災害や疫病なんかを起こす犯人なんていないんですから。
つくづく無知というのは怖いなと思います。
おまけのキャラクター設定
【魔女】
森の奥で一人で暮らしている。人々から恐れられているが、
実際は星読みが出来るというだけのただの人間である。
幼い頃に自分について占ったため、いつ死ぬのかも知っていた。
【少年】五人兄弟の真ん中だったが、口減らしのため親に捨てられた。
魔女処刑後は生まれ故郷の村で暮らした。それなりに長生きしたようだ。
【魔女(転生)】
前世の記憶があるという以外は普通の女子校生。
星占いが得意だが、前世の星読みは星の位置が変わっているため、使えない。
本人も星読みを会得するつもりはないようだ。
【少年(転生)】
前世の記憶があるという以外は普通のサラリーマン。
前世の記憶を持っているため、人生に関して達観している。
魔女にベタ惚れかつ、過保護。
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