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第4章起業しましょう。そうしましょう

256・赤竜島

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「しかし我が家も大所帯になってきましたね」

朝みんなで集まって朝食を食べていると、
フォルトゥーナがそう言った。

「確かにそうね」
「しかしまさかプロムが我が家の居候になるとは、
人生とは分からないものですね」

私とエドナとガイとフォルトゥーナとイオとリンとタツキと、
クライド君とノーマとマロリーとメグとヒナタとプロム。
かなりの大所帯だ。

「それなんだけどセツナ。
研究するための部屋って作れるかな?」
「え?」
「ボクは研究が生きがいだからさ。
研究するための部屋が欲しいんだ」
「うーん、残念ですがこの家の部屋はみんな使ってますね。
研究するための部屋を作る余裕はありません」
「でもボクが研究出来るようになれば、
君にとっても良いことずくめだけど」
「例えばどんなことが出来るの?」
「ダンジョンで取れる薬なんかを量産したり、
暗号を解読したりも出来るよ」
「え、そんなことが出来るんですか?」

ダンジョンで取れる回復薬は、
どんな傷や病気も癒やしてしまう。
だって基本的に回復薬はダンジョンでしか取れないので、
あまり数は少なく、希少価値は高い。
それがもし量産出来るようになったら、すごいことになる。

「ところで暗号が解読出来るなら、
例の暗号も解読出来るようになるのではないか?」
「例の暗号ってアレのことですか」

それってマヨヒガ島で手に入れた、
USBメモリに入っていた暗号のことか?
確かに解読出来るならしてもらった方が良いだろう。

「これ解読出来ますか?」

私はUSBメモリに入っていた暗号を見せる。
暗号に書かれている内容はこうだ。

『空き缶、カフェ、気球、リコーダー、
ゅうえんち、牛、ノート、折り紙。
日記、子供、体育、映写機、歯医者、
あじさい、ルームシェア。

ヒント・脳こそは人体を統一する王なり』

「これは…」
「分かりますか」
「うん解けたよ」
「え、もう解けたの?」

え、私があれだけ頭を悩ませていたのにもう解けたのか?

「これはかなり単純な暗号なんだけど、
ヒントがヒントじゃなくてややこしくさせているようだね。
いわゆるひっかけ問題って奴だよ」
「私はてっきり異世界人じゃないと解けないと思ってましたが、
違うんですか?」
「そうじゃなくて答えはシンプルなんだよ。
そもそも脳ってどこにあると思う?」
「そりゃ頭にって…あ!」

私っは問題を見た。
問題をひらがなにしてそこの頭文字を読んでいく。

『あ』きかん、『か』ふぇ、『き』きゅう、『リ』こーだー、
『ゅ』うえんち、『う』し、『の』ーと、『お』りがみ、
『に』っき、『こ』ども、『た』いいく、『え』いしゃき、
『は』いしゃ、『あ』じさい、『る』ーむしぇあ。

「赤き竜の尾に答えはある…?
でも赤き竜の尾って何です」
「それはもしかしたら赤竜島のことやもしれぬ」

そうタツキが言った。

「赤竜島…?
聞いたことが無いわね」
「当然じゃ、魔法で存在を隠されておるからな。
赤竜島は竜の形をした島で、
翼族と呼ばれる翼の生えた人間が住んでおる。
ちょうどクロノ聖王国とバーン王国の間にあるな」
「翼が生えているってそれってヒナタみたいですね」
「じゃが赤竜島に住む翼族は、
過去に人に奴隷やら見世物やらにされてきた過去がある。
それを哀れんだタロウが翼族を集めて、
島に結界を張り、人間には島の存在を見えぬようにした。
じゃから島に居る翼族は人間のことを良く思っていないのじゃ」
「そうですか、そこってタツキさん行けます?」
「行くつもりなのか?」
「ええ、気になりますし、翼族には会ってみたいんです」
「うーむ、分かったそれでいつ行くのじゃ」
「明日にしましょう」

そうして色々と準備を整え、
次の日に赤竜島に行くことになったのだった。





そして私とガイとエドナとフォルトゥーナとイオとリンは、
ドラゴンの姿になったタツキの背に乗り、赤竜島に向かった。
ちなみにコンビニは私達が居ないので休むことにした。
そして夕方になる頃には赤竜島にたどり着いた。

「ここが赤竜島ですか」

確かに赤竜という名だけあってか、
紅葉の季節でもないのに木の葉っぱが色づいていた。

「ここは元々古代竜と呼ばれる大きな竜の亡骸なのじゃ。
じゃから、ここは一年中紅葉が見られるぞ」
「え、こんな大きな島が亡骸なんですか?」
「そうじゃ、古代に生息していた竜はかなり巨大じゃったのじゃ。
しかし代を重ねるにつれ今の形に進化したのじゃ」
「そうなんですか」
「待て、そこの人間よ!」

その時槍を持った翼が生えた男が現れる。

「あれが翼族?」

確かに天使みたいな翼が生えている。
肩にはリスのような生き物が居た。

「お前達は何者だ!
返答次第では殺す!」

そう言うと男が私達に槍を向ける。

「まぁ待て、妾の顔を見忘れたのか?」
「誰だ。お前は?」
「そうか久しく来ていなかったせいで、
若い者は妾を覚えていないのか、
妾はタツキじゃ」
「た、タツキ様だと!?」
「ほれ、これが証拠じゃ」

そう言うとタツキはドラゴンの姿に変化する。

「ドラゴンが人の姿になった!?
まさか本当にタツキ様なのか!?」

そう言うと男が土下座した。

「すみませんでした!
知らなかったとはいえ、
大恩があるタツキ様に槍を向けるとは、
お許しください!」
「いや気にしなくてよい」

そう言うとタツキが人の姿に戻った。

「それよりお主らの村に入っても良いか?
少し休みたいのじゃ」
「分かりました。ではついてきてください」

そうして男の後をついていくと村が見えた。

「ここが翼族の村です。
おーい、みんなタツキ様が来てくれたぞー!!」
「え、タツキ様が?」
「本当だ。こんなに大きくなって」

すると翼族が集まってきた。
何故かみんな動物を肩に乗せたりしていた。

「あれ、タロウ様は一緒ではないのですか?」
「…タロウはもう死んだ。
あれから何百年と経っておるからのぅ」
「そうですか…。それでそこに居る人間は?」
「妾の仲間じゃ。危害は加えぬから安心せい」
「そうですか、じゃあ皆の者。
宴の準備を始めるのです」

そうして宴が始まった。

「さぁどうぞお食べください」

そう言って渡されたのは果物や木の実などといった物ばかりで、
料理は無かった。

「それよりお前達に聞きたいことがある。
何故最初にあれだけ警戒しておったのじゃ?」
「実は…我らの大切な子供が人間に奪われたのです」
「子供?」

それってもしかしてと思いつつも、
彼らの話を聞くことにしたのだった。

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