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第4章起業しましょう。そうしましょう

249・リーダーの自覚

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「ここは一体どこ?」

その頃、勢いに任せて飛び出したはいいものの、
エドナは屋敷の中で道に迷っていた。
どうもかつてエドナが暮らしていた時よりも、
増築でもされているのか、
屋敷内は複雑な構造をしていた。
屋敷で迷っていると少しずつ冷静になってきた。

「えっと、あ、外に出る道があったわ」

やっと外に出る道を見つけて出てみると、
そこは庭園になっていた。

「これは覚えているわね。
屋根裏部屋からよく見えていたから…」
「うぅ…」
「…!?」

その庭園に不釣り合いなものがあった。
長い赤い髪の女性が地面を這って動いていた。
エドナはそれを一目で幽霊だと見破った。
エドナには霊感、つまり幽霊を見る力がある。
しかもセツナと出会ってからというもの、
幽霊に2回も憑依されたりした。
その影響か前より霊感が強まったのだ。
そして至る所で幽霊を目撃するようになった。
とにかく幽霊というのはどこにでも居る。
そして幽霊と出会った時に、
絶対にやってはいけないのが目を合わせることだ。
目を合わせると幽霊が見えるということが相手に伝わってしまう。
そうすると助けを求めて幽霊がやってくるのだ。
エドナは幽霊を見る力はあるが成仏させる力はない。
だから寄ってこられても困るのだ。

(すみやかにこの場を離れましょう)

そう思うとエドナは幽霊から背を向けて歩き出す。
幽霊を見た時、一番良いのがすみやかにその場を離れることだ。
そうすれば幽霊もこちらには寄ってこない。

「エドナ…」
「え?」

その言葉を聞き、エドナは一瞬立ち止まる。

「お前、私が見えているな…!」

振り返ると女幽霊の顔が目の前にあった。
その緑色の目と目が合う。
女幽霊のその顔を見てエドナは戦慄した。
その女幽霊の顔は自分とそっくりだったからだ。

「エドナをどこにやった!」
「エドナ…?」

それは私だと言いかけてエドナは止めた。
下手に刺激しない方がいいと思ったからだ。
以前のエドナなら幽霊が何を言っているのか分からなかったが、
霊感が強まったせいかその女幽霊の言葉がはっきりと伝わってきた。

「やはりお前なのか!
私のエドナを娘をどこにやったの!!」

(もしかしてこの女は私の産みの母親…?
そうだ。確かに私は母にそっくりだったと聞いたわ)

その事実に気がついた時、
エドナの心の中に海よりも深い怒りが生まれた。
この女は夫というものがありながら使用人と浮気し、
浮気相手との子であるエドナを産んだ。
そして自分は勝手に自殺して死んでしまった。
そのことを未だにエドナは深く恨んでいた。

「今更何の用なの!?
自分から勝手に自殺したくせに!!」
「自殺…? それは何のことだ…?」
「だってあなたは自殺したんでしょう?」
「違う!!!」

空気が震える言葉だった。

「私は殺された!
あの男の手によって殺されたのだ!!」
「え?」

それはエドナの人生の前提条件を、
根幹からひっくり返す言葉だった。

「忌々しいあの男のせいで私は殺された…!
ああ、エドナ、私のエドナはどこに居るの…?」

そう女幽霊は言った。

(母は自殺じゃなくて殺されていた?
じゃあ母を殺したあの男って誰なの?
まさかお父様なの…?)

エドナは思考が混乱してしまう。
今まで勝手に自殺したものだと思っていたのに、
実は殺されていたのだ。
混乱するのも無理はない。

「エドナ」
「え?」

急に声をかけられ振り返るとフォルトゥーナがそこに居た。

「ふぉ、フォルトゥーナ…」

見知った顔を見てエドナは少し安心する。

「セツナが心配していましたよ」
「って、あれ居ない」

フォルトゥーナに気を取られている間に女幽霊は姿を消していた。

「何も居ませんよ」
「そ、そうね。気が動転していて変な物でも見たのね。きっと」

そうエドナはごまかすが、
心が読めるフォルトゥーナにはさっきのことは全部伝わっていたが、
フォルトゥーナはそのことを追及しなかった。

「それよりセツナのことをどうしますか?」
「ああ、それはもうどうしようもないわね」

セツナのことを考えるだけでエドナの心に怒りが満ちていく。
当分の間は許せそうになかった。

「セツナが許せませんか?」
「ええ、というかまだ心の整理が全然ついていないの。
セツナのことはまだ許せないわ…」
「セツナはきっと、
あなたのことを思って今回の行動をとったんですよ」
「それぐらい私にも想像はつくわ。
でも今回のことは出来れば事前に相談が欲しかった。
私は今更家族になんて会いたくなかった。
それだけは確かに言えるわ」
「ですが、
後妻のジーンさんはあなたに直接謝りたいと言っていました」
「謝る? 何をどうして?」

むしろ自分の方が謝るべきではないだろうか、
そうエドナは思った。

「ジーンさんはあなたをもっと愛せばよかったと後悔していました。
そして愛せなくて辛かったと言っていました」
「そんな…馬鹿な。責められるべきは私の方なのに…」
「あなたが思っていた以上に、
あの人はあなたのことを愛していたんですよ。
だからセツナはその橋渡しをしたかったんですよ」
「そう…でも私は当分はセツナを許せそうにないわ」
「まぁその気持ちは分かりますが、
セツナは善意100%で今回の行動をとりました。
それだけは疑いようもない事実です」
「それぐらい私にも予想はつくわよ。
でもそれとこれとはまた別問題よ」
「そうですか、まぁわたくしも無理に許せとは言いません。
ただこのままセツナと絶交するつもりなら止めた方がいいかと」
「何でよ。別に私が居なくなっても問題ないでしょう?」
「エドナ、あなたの最大の欠点は自分を過小評価するところです。
あなたは『金色の黎明』にとって、
自分がどんな存在か真に理解していますか?」
「え? えーと分からないわ。
でもあんなに強いんだから、
セツナは私が居なくてもやっていけるでしょう?」
「いいえ、『金色の黎明』はあなたが居なくてはやってけません」

フォルトゥーナはそう断言した。

「これは冒険者ならよくある話ですが、
例えばAという冒険者チームがあったとします。
Aチームには腕利きの剣士、凄腕の魔法使い、優れた回復術士、
そしてただの雑用係がいました。
チームのみんなは雑用係以外はみんな優れた冒険者です。
しかしある時腕利きの剣士が言いました。
俺はこれだけ強い魔物を倒せる。
だが雑用係はチームに何の貢献もしていない。
だから雑用係をチームから追放するべきだと言いました。
何でかというと雑用係がいると、
チームに入った報酬を4人で分けなくてはいけなくなるからです。
雑用係が抜ければ報酬は3人で分けることが出来ますからね。
腕利きの剣士以外の他の仲間達も雑用係を追放することに同意しました。
しかしその後が良くなかった。
雑用係を追放したAチームは何をやっても上手くいかなくなりました。
さて問題です。何故Aチームは上手くいかなくなったのでしょう?」
「それは雑用係を追放したからじゃないの?」
「その通りです。実はAチームの雑用、料理や洗濯や、
宿の手配といった雑用を全部雑用係がやってくれていたので、
快適に冒険出来ていたのですよ。
それにAチームは確かに優れた冒険者のチームでしたが、
チームのメンバーの個性は少し飛び抜けていました。
その個性的なメンバーをまとめていたのが雑用係です。
そんな雑用係が居なくなったら、
そりゃあ、上手くいかなくなりますよ。
エドナ、あなたはこの雑用係と全く同じです。
あなたが居なくなったら『金色の黎明』は終わりです」
「でも私は家事や料理なんて全く出来ないわよ」
「エドナ、あなたは『金色の黎明』のリーダーです」
「でもそれは形だけのものでしょう?
実際にはセツナがリーダーなんだし、
別に私が居なくても問題ないじゃない」
「いいえ、あなたが居なくては『金色の黎明』はダメなんです。
確かに『金色の黎明』の表のリーダーはセツナです。
でもセツナにリーダーとしての素質があるかと言われれば、
正直疑問です」
「確かにしょっちゅうトラブルに巻き込まれるし、
お人好しだしね…」
「そうです。セツナは確かに最強ではあります。
ですが精神面でいったら最弱です。
そんなセツナが冒険者としてやってこれたのは、
エドナ、あなたが居たからですよ」
「私が?」

確かにエドナには思い当たる心辺りなどいくらでもある。
セツナは本当にアホだからだ。
歯に衣着せない言い方をすると本当にそうなる。
エドナが居なければ危うかったことなどいくらでもある。

「今までセツナが打ちのめされた時、
心が弱くなった時、いつもあなたが側にいて支えました。
時には母のように優しく包み込み、
時には父のように叱咤激励しました。
そんなセツナはあなたがいることを、
いつしか当たり前だと思っていたほど、
体の一部のようなそんな存在になっていました」
「確かにそれはそうかもしれないけど、
それなら他の仲間だって同じじゃない」
「いいえ、そもそも忘れているんですか、
『金色の黎明』のメンバーはみんなくせ者揃いですよ。
脳天気でお人好しなセツナに、
同じく脳天気なガイ。
常に冷静で冒険者としての知識も潤沢なエドナ、
天使のような顔をした邪神であるわたくしに、
強いけどどこか天然のイオ、
比較的常識人だけどツッコミ役のリン
おそらくセツナ以上の実力を持つ最強のタツキ。
このメンバー全員が特に共通点もなければ、
ただセツナが居るという理由で、
仲間になっただけの集まりです。
それは逆に言えばセツナが居なくなれば、
まとまりが無くなるということでもあります。
ですがセツナはさっきも言ったように、
精神面では最弱です。
そのセツナを支えているのがあなたなんですよ。エドナ」

天使のような顔をした邪神って自分で言うのかと、
エドナは思ったが口には出さなかった。

「つまり私は縁の下の力持ちってこと?」
「そうです。こんなくせ者揃いな仲間と冒険出来るのは、
エドナ、あなたしか居ないんですよ。
だからあなたは間違いなく『金色の黎明』のリーダーです。
セツナという暴れ牛を制御出来るのはあなたしかいません」
「暴れ牛ってまぁ確かに色々なトラブルに遭遇するし、
言っていることは分かるけど…」

暴れ牛という表現があまりにも的確にセツナを言っているので、
思わずエドナは笑ってしまった。
セツナははっきり言えばアホだ。
まぁそういうところも可愛くはあるが、
かなりのアホだ。
Aランクの魔物に何の策も無く正面から挑むようなアホだ。
まぁセツナなりには考えて行動はしているが、
自分を殺そうとした子を家政婦にしたり、
何の得もないのに獣人達を救ったり、
とにかくハチャメチャな行動が多い。
そしてかなりのお人好しでもある。
エドナが居なければセツナはとうの昔に死んでいるだろう。

「セツナを制御する。
そんなことはわたくしにも出来ません。
そしてセツナは真性のアホです。
だからそんなセツナを支えるなんて芸当が出来るのは、
あなただけなんですよ。エドナ」
「でも…こう思うのよ。
セツナは大分常識も身についてきたし、
もう私は必要ないんじゃないかって」
「今居る仲間だって、
いつか愛想を尽かして去っていくかもしれません。
実際わたくしも思いとどまりましたが、
3回ぐらい本気でセツナの元から去ろうとしたことがあります」
「え? そうだったの?」
「ええ、あんな天然脳天気アホモンスターを制御出来るのは、
エドナ、あなただけなんですよ」
「て、天然脳天気アホモンスター…」

あまりにセツナを表すにはぴったりな言葉なので、
エドナは笑ってしまった、

「とにかくあなたという存在を失えば『金色の黎明』は終わりでしょう。
エドナ、あなたは自分のことを形だけのリーダーだと言いましたが、
あんなくせ者揃いのメンバーの中でついていけるだけでもすごいことです」
「まぁ確かにリンを見ていると、
セツナの行動に大分振り回されているなって思うけど…」
「だからあなたはリーダーである自覚を持ってください。
あなたは確かに形だけのリーダーかもしれない。
でも確かに『金色の黎明』のリーダーなのです。
そのリーダーが抜けたら、もうおしまいです」

そうフォルトゥーナは断言したが、
何と返していいのか分からないエドナだった。
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