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第3章謎の少女とダンジョン革命
145・白のダンジョン②
しおりを挟む「……ここが白のダンジョンの中?」
目の前に現れたのはまさに迷宮のように入り組んだ場所だった。
壁は白く、床も白い。しかも雪まで降っている。
まさに白のダンジョンといえるだろう。
「《エリアマップ》」
エリアマップを使うと周辺の地図が表示された。
仲間の名前をエリアマップで検索すると、
どうやらみんなダンジョンの中で散り散りになっていた。
あの冒険者の場所は…あ、名前聞くの忘れた。
まぁサーチを使えば、人間は青いマーカー、
魔物は赤いマーカーでエリアマップに表示されるからいいか。
「えーと、ん、待てよ。ガイが居ない!?
しまった。ガイは戦えないのに…」
いつも一緒にいるからつい連れてきてしまった。
まぁ隠密魔法がガイにはかかっているので大丈夫か。
「って思ってたら魔物か、《分析(ステータス)》」
私の目の前に白い鎧をまとい剣を持った魔物が現れた。
【ホワイトナイト】
【体力】700/700
【魔力】120/120
白のダンジョンに生息する魔物。
人に似てるがれっきとした魔物である。
武器を扱い、剣で攻撃する。
闇属性が弱点。
ぱっと見、冒険者かと思ったが魔術か、
白のダンジョンだけあって、魔物も白いのか。
「ま、関係ないけど、《暗黒弾(ダーク・ボール)》」
あっという間に魔物は即死した。
そして魔物が居た場所には折れた剣が残った。
「あれ魔石じゃないの?」
魔物は魔石を落とすのが常識だが、ダンジョンは違うのか?
「うーん、謎だ。まぁ今ははぐれた仲間を探そう。
一番近くに居るのは…あれ、これ何だ?」
エリアマップにどう見ても宝箱のマークが映っている。
そういえばダンジョンにはお宝があるってエドナが言っていたような…。
「開けてみよう」
宝箱の所に行き、開けると、ネックレスが入っていた。
白い宝石に紐が通されている。
「うーん、ダンジョンの中にあるから普通のネックレスじゃないだろうな…。
《鑑定》」
【白のネックレス】
魔物が落とす魔石、素材が2倍になる。
何ですと?
それは普通に嬉しいが、本当に2倍になるのか。
って、思ってたら魔物が来たよ。
よし、ネックレスを付けて倒すぞ。
「《暗黒弾(ダーク・ボール)》」
うわっ、倒したら本当に折れた剣が二つ落ちてる。
え、これって、かなりレアアイテムじゃない?
だって2倍ってことはその分労力も減るんだよ。すごいよ。
「って、浮かれるより仲間を見つけないと、
一番近くにいるのはエドナか」
エドナの近くに行こうと思ったが壁が邪魔だった。
壁さえなければ、エドナの元に行けるのに。
「あ、そうだ。壊せばいいじゃん」
壁あるなら、壊してしまえ、ホトトギス。なんてな。
「《壁破壊(ウォール・クラッシュ!)》」
ドーンと音がして壁が破壊された。
その向こうには驚いた顔のエドナがいた。
「うわ、びっくりした。なんで壁が壊れているのよ?」
「壊したんですよ。ん?」
その時、壁が徐々に復元して元通りになった。
「壊れても勝手に修復されるみたいですね」
「それはいいけどその首飾りは何? 拾ったの?」
「あ、宝箱から出ました」
「あのね。言い忘れていたけど、
宝箱にはミミックっていう魔物が擬態していることがあるの」
「ああ、ゲームでよくある奴ですね」
「それとダンジョンの中で拾った物はうかつに装備しない方がいいわ。
一度装備したら外せなくなるのもあるから」
ああ、呪いの装備みたいなのこの世界にもあるんだ。
拾ったらすぐに鑑定した方が良さそうだ。
「じゃあ、他の仲間の元に行きましょう。
あ、面倒な壁は全部壊しますから」
このダンジョンの中って本当に迷宮のように入り組んでいるからな。
壁を壊して進む方が楽だ。
そうして壁を壊しながら仲間の元に行くと、
1時間後には全員と再会出来た。
「しっかし、壁を壊して進むって、
このダンジョンを作った奴が泣くんじゃないか」
ガイがそう呆れたように言った。
「だって普通に行くのも面倒なんですよ」
普通に探索するならともかく、今は人命がかかっているからな。
急いだ方がいい。
「…さない」
「え、何か言いましたか?」
「何も言ってないわよ」
だがその時私の耳に確かに聞こえた。
「私のダンジョンを壊す者は許さない…」
「うっ」
「セツナ!!?」
エドナ達の姿がぼやけ、何も分からなくなった。
◆
「ん?」
目が覚めると真っ白な空間の中、一人の少女が立っていた。
紫の髪に青い目をしている。年は15才ぐらいに見える。
頭にネコ耳みたいな形の機械がある。
服は白いスク水みたいな服を着ていた。
「何故、私のダンジョンを壊すの?」
悲しそうなでも怒ってもいるような目で少女は言った。
「ここってあなたの遺跡なんですか」
「私はこのダンジョンを管理するアンドロイド。
あなたがダンジョンを壊せば、復元するために魔力がかかる。
魔力が尽きればこのダンジョンを管理運営出来なくなるわ」
アンドロイド?
つまり人造人間ってこと?
「えっと壁を壊したのが悪かったんですか?」
「そうよ。人間が一体何の用?
金銀財宝? それとも名誉が欲しいの?」
「実は私の前にこのダンジョンに、
迷い込んだ冒険者がいたと思うんですが、知りませんか?」
「あなたの前に?
データを検索してみるわ」
そう言うと少女の顔がどこかぼーっとした顔になった。
話しかけても反応がないので、待っていると、少女が口を開いた。
「彼ならあなたがここに入って、
12分54秒後に亡くなったわ」
「え? 亡くなった?」
そんな。ここまできたのに。
あまりのことに私は言葉を失った。
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