上 下
163 / 292
第3章謎の少女とダンジョン革命

134・マヨヒガ島の探索

しおりを挟む
「そういえばこの島って探索したことないですよね。
これを機会に探索してもいいかもしれませんね」
「ああ、それならオラの方が詳しいので案内するダス」

そういうとタイレルは地図を取り出した。
地図には果物がよく取れる場所に、
魚釣りに適した場所などが載っていた。

「あれ、ここはどういう場所なんですか?」

地図の中で洞窟と書かれている場所が気になった。

「ああ、ここは洞窟ダス。
恐ろしく長い洞窟ダス。
先が見えないので、途中で引き返したダス」
「へぇ洞窟ですか、そこに金銀財宝がありそうですね」

このマヨヒガ島には金銀財宝があるという伝説がある。
そういうお宝を隠すのに洞窟は適している。

「あれ、財宝には興味ないんじゃなかったの?」
「貰えるお宝があるなら貰いましょうよ。
正直言うと最近家を借りたり、出費が多いんですよね」

エドナの言葉に私はそう返す。
だって神殿に寄付しないといけないし、
家賃も払わないといけないし、お金がかかる。
それにトレジャーハンターって一度してみたかったんだよな。
わくわくしてきたぜ。

「じゃあ、洞窟にレッツゴーです!」
「はぁ、本当にあなたのやることは突然ね」

やれやれといった感じでエドナが言った。

「面白そうですね。わたくしも行きます」
「私も行くのだ」

フォルトゥーナとイオがそう言った。
そうして私達は洞窟に行くことにした。





その洞窟は島の端っこにあった。

「ここがその洞窟ですか。
魔物がいるかもしれません、気を付けましょう」
「ああ、それならこの島には魔物は居ないから、
大丈夫だと思うダス」
「え、魔物が居ない?」
「そうダス。一度も出会ったことはないダス」

町の中みたいに結界がはってあるなら別だが、
こんな辺境の無人島にそれがある可能性は低いだろう。
普通なら魔物であふれかえってもよさそうなのに、
それがないとなると不思議だ。

「じゃあ中に入りましょう」

中に入ると真っ暗だったので、魔法で火の玉を作りそれを宙に浮かす。

「ジトジトしてますね」

何度も洞窟には入ったことがあるが、
ここの洞窟は普通の洞窟よりじっとりとしている。
壁に触れるとドロドロとした泥が絡まり、
地面もぬかるんでいる。

「転ばないように気を付けてください」

一応全員の足に魔法をかけて、滑らないようにする。
それから黙って進むが、
洞窟の中は1本道だったため迷うことはなかったが、
かなり長かった。

「いつになったら終わるんでしょうか?」
「引き返す?」
「ここまで来たら進むしかないでしょう」

そうして進むこと数時間。
ようやく長かった洞窟が終わり、開けた場所に出た。
そこには一つの湖があった。
湖全体が青白く光り輝き、幻想的な雰囲気を出していた。

「うわぁ綺麗…」
「幻想的ね。お宝は無いみたいだけど、これだけでも見る価値はあったわ」
「ん? 待ってください、あれは…」

フォルトゥーナが指さした場所から、ミミズのようなうねった生き物が現れる。
体長は約2メートル程か、やっぱり魔物がいたんだな。

「タイレルさんは下がっていてください」

魔物退治なら私達は専門だ。
みんな戦闘モードに入る。

「行くわよ!」

エドナは持っていた大剣で魔物をぶった切る。
魔物はのたうちながら絶命した。

「まだまだ来ます!」

湖の中から続々とミミズのような魔物が現れる。

「うらぁ!」

イオが魔物を掴むとその体を引きちぎる。

「《聖槍(ホーリーランス)》」

フォルトゥーナが魔法を使い、その場に居た魔物を殲滅する。
その時、ボトボトと天井から魔物が落ちてきた。

「ぎゃーー!!」

うぇえ、ヌメヌメしてて気持ち悪い。
私は魔物から離れると魔法で燃やした。
すると天井からまた魔物が落ちてきた。

「っく、この《ファイヤー・ボール乱れ打ち!!》」

私は天井にいる魔物に向かって魔法を何発も放つ。
しかし何発かは魔物に当たらず、天井の壁に激突する。

「アアァァアアアァァァーーー!!!」

すると地響きのような音が響いた。

「バカ! そんなことしたら天井が崩落するに決まっているでしょ!!」
「す、すみません。《転移》」

私はその場にいた全員をマヨヒガ島の外の温泉がある場所に転移した。

「はぁはぁ、何とか助かりましたね」
「待って!! あれを見て!!」
「はい? って、なんじゃこりゃあぁぁーーー!!!」

エドナが指さした先には驚きの存在が居たのだった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

自称ヒロインに「あなたはモブよ!」と言われましたが、私はモブで構いません!!

ゆずこしょう
恋愛
ティアナ・ノヴァ(15)には1人の変わった友人がいる。 ニーナ・ルルー同じ年で小さい頃からわたしの後ろばかり追ってくる、少しめんどくさい赤毛の少女だ。 そしていつも去り際に一言。 「私はヒロインなの!あなたはモブよ!」 ティアナは思う。 別に物語じゃないのだし、モブでいいのではないだろうか… そんな一言を言われるのにも飽きてきたので私は学院生活の3年間ニーナから隠れ切ることに決めた。

私は私で勝手に生きていきますから、どうぞご自由にお捨てになってください。

木山楽斗
恋愛
伯爵令嬢であるアルティリアは、婚約者からある日突然婚約破棄を告げられた。 彼はアルティリアが上から目線だと批判して、自らの妻として相応しくないと判断したのだ。 それに対して不満を述べたアルティリアだったが、婚約者の意思は固かった。こうして彼女は、理不尽に婚約を破棄されてしまったのである。 そのことに関して、アルティリアは実の父親から責められることになった。 公にはなっていないが、彼女は妾の子であり、家での扱いも悪かったのだ。 そのような環境で父親から責められたアルティリアの我慢は限界であった。伯爵家に必要ない。そう言われたアルティリアは父親に告げた。 「私は私で勝手に生きていきますから、どうぞご自由にお捨てになってください。私はそれで構いません」 こうしてアルティリアは、新たなる人生を送ることになった。 彼女は伯爵家のしがらみから解放されて、自由な人生を送ることになったのである。 同時に彼女を虐げていた者達は、その報いを受けることになった。彼らはアルティリアだけではなく様々な人から恨みを買っており、その立場というものは盤石なものではなかったのだ。

運命の番?棄てたのは貴方です

ひよこ1号
恋愛
竜人族の侯爵令嬢エデュラには愛する番が居た。二人は幼い頃に出会い、婚約していたが、番である第一王子エリンギルは、新たに番と名乗り出たリリアーデと婚約する。邪魔になったエデュラとの婚約を解消し、番を引き裂いた大罪人として追放するが……。一方で幼い頃に出会った侯爵令嬢を忘れられない帝国の皇子は、男爵令息と身分を偽り竜人国へと留学していた。 番との運命の出会いと別離の物語。番でない人々の貫く愛。 ※自己設定満載ですので気を付けてください。 ※性描写はないですが、一線を越える個所もあります ※多少の残酷表現あります。 以上2点からセルフレイティング

かわいいひと

押野桜
恋愛
メドジェ族の幼い族長キヤイルと、メーユ国一番の踊り子だったネリーは1年後につがいの儀式を控えて同じ部屋ですごしている。 なぜだか不機嫌なキヤイルの為にネリーが踊りを披露したことから、トラブルが持ち上がって… 「魔石交換手はひそかに忙しい」のスピンオフですが、これだけでもサクッと読めます。 どうぞよろしくおねがいします。

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

【R18】ひとりで異世界は寂しかったのでペット(男)を飼い始めました

桜 ちひろ
恋愛
最近流行りの異世界転生。まさか自分がそうなるなんて… 小説やアニメで見ていた転生後はある小説の世界に飛び込んで主人公を凌駕するほどのチート級の力があったり、特殊能力が!と思っていたが、小説やアニメでもみたことがない世界。そして仮に覚えていないだけでそういう世界だったとしても「モブ中のモブ」で間違いないだろう。 この世界ではさほど珍しくない「治癒魔法」が使えるだけで、特別な魔法や魔力はなかった。 そして小さな治療院で働く普通の女性だ。 ただ普通ではなかったのは「性欲」 前世もなかなか強すぎる性欲のせいで苦労したのに転生してまで同じことに悩まされることになるとは… その強すぎる性欲のせいでこちらの世界でも25歳という年齢にもかかわらず独身。彼氏なし。 こちらの世界では16歳〜20歳で結婚するのが普通なので婚活はかなり難航している。 もう諦めてペットに癒されながら独身でいることを決意した私はペットショップで小動物を飼うはずが、自分より大きな動物…「人間のオス」を飼うことになってしまった。 特に躾はせずに番犬代わりになればいいと思っていたが、この「人間のオス」が私の全てを満たしてくれる最高のペットだったのだ。

茶番には付き合っていられません

わらびもち
恋愛
私の婚約者の隣には何故かいつも同じ女性がいる。 婚約者の交流茶会にも彼女を同席させ仲睦まじく過ごす。 これではまるで私の方が邪魔者だ。 苦言を呈しようものなら彼は目を吊り上げて罵倒する。 どうして婚約者同士の交流にわざわざ部外者を連れてくるのか。 彼が何をしたいのかさっぱり分からない。 もうこんな茶番に付き合っていられない。 そんなにその女性を傍に置きたいのなら好きにすればいいわ。

悪役令嬢の選んだ末路〜嫌われ妻は愛する夫に復讐を果たします〜

ノルジャン
恋愛
モアーナは夫のオセローに嫌われていた。夫には白い結婚を続け、お互いに愛人をつくろうと言われたのだった。それでも彼女はオセローを愛していた。だが自尊心の強いモアーナはやはり結婚生活に耐えられず、愛してくれない夫に復讐を果たす。その復讐とは……? ※残酷な描写あり ⭐︎6話からマリー、9話目からオセロー視点で完結。 ムーンライトノベルズ からの転載です。

処理中です...