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第3章謎の少女とダンジョン革命

124・そして帰宅

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アアルに戻ると私は早速キャシーさんの所に向かった。

「こんにちわー」
「ああ、あんたかい。よく来たね」
「それで木王樹はどうなりました?」

武器屋の中に入ると、キャシーさんが出迎えてくれた。

「ああ、木王樹ですね。
ちゃんとゲットしましたよ」
「でも見たところ見当たらないみたいだけど…」
「ああ、出しますね」

そこでアイテムボックスから木王樹が全て出すと、
キャシーさんは固まった。

「は…?」
「王樹の森に居たサイクロプスは私達が倒したので、
木王樹は普通に流通すると思います」
「おいおいおいおいッ、
これ全部あんたが取ってきたのかい!?」
「はい、そうです」
「こんな最高品質の木王樹をどこから持ってきたんだよ!!
こんなの…こんなの…、
これさえあれば工房が潰されなくてすむじゃないか!!」

驚いたようにキャシーさんがそう言った。
でいうかこれ最高品質だったんだ。
知らなかったとはいえ、そんな物をホイホイ出した私って一体…。

「あんたに依頼して良かったよ。…グス。
本当にありがとう…」

キャシーさんは涙ぐみながらそう言った。
喜んでくれてこちらも嬉しい。

「セツナあんたはすごいよ。
でもこれだけの木王樹…。
いくらするんだい?」
「ああ、それでしたら全部タダでいいですよ」
「ええ!? いいのかい?」
「これだけの木王樹を持っていても仕方ありませんし、
それに私は正式にギルドの依頼を受けて、これを得たわけではありません。
換金することも出来ませんし、
役立てる人のところにあった方がいいのです」
「……分かった。あんたがそう言うならありがたく貰うよ。
まずこの木王樹で貴族に依頼された女神像を作るよ。
その後であんたに依頼された墓を作るよ」
「はい、期待しています」

ぐふふふ、鍛冶&彫刻職人ゲット。
これだけ恩を売っておけば、
私のためならどんなものでも作ってくれるだろう。
私の採取用のはさみとか最近切れ味が悪くなっているし、
エドナの持って居る大剣も刃こぼれしてきているから鍛え直してもらおう。
創造スキルがあるとはいえ、作れる物には限界がある。
職人の手を借りた方がいいだろう。

「ぐふふ、ぐふ、ぐふ、ぐふふふふ」
「その笑い方…」

ガイがドン引きしたような目で見てきたが、気にしない。





それから数日後、
アアルでは品薄だった木王樹が普通に流通するようになった。
キャシーさんも依頼された女神像を作ることが出来たようで
依頼主である貴族を満足させることが出来たらしい。

「あんたのおかげで助かったよ。ありがとう」

その日イオと共に武器屋に行くとキャシーさんが出迎えてくれた。

「そんな、私と出会えたのもキャシーさんの実力ですよ」
「そうかい。それとあんたにこれをやるよ」

そう言ってキャシーさんが見せたのは、銀色の剣だった

「あんたのために作ったんだ」
「いいんですか?」
「ああ、作った時からこれはあんたにやるって決めていたんだ。
あたしが持っていても仕方ないし、やるよ」
「ありがとうございます」

これだけ見事な剣なのだ。高値で売れそうな気がする。
こんな高価な物をくれるなんて人徳かもな。
しかし剣か、エドナの持っていた大剣は狭い所では使えないし、
これがあれば戦略の幅は広がるだろう。

「それとたまにはお父さんに手紙でも書いた方がいいですよ」
「は? あの頑固親父と出会ったのかい?」
「はい、キャシーさんのことを心配してましたよ」
「はぁ、どういう風の吹き回しだか、
二度と会わないつもりだったけど、
恩人のあんたが言うなら手紙の一つでも書こうかね」
「そうですか。それでお墓ですが」
「ふっふっふ、ちゃんと作るから安心しな。
友人の供養になるように気持ちを込めて作れだろ。
職人として挑戦しがいがあるってもんさ」

私がテキトーに言った言葉なのに、
キャシーさんは燃え上がっているらしい。

「それとお墓に入れる名前とメッセージは何がいい?」
「墓の持ち主はレイラです。
メッセージはそうですねぇ。
家族を愛し、慈しんだ彼女に安寧の眠りをとかどうです」
「分かった。そのメッセージを彫るよ」

しかしサイクロプスと戦う羽目になったが、
レイラが犯した罪が少しでも軽くなるなら安いものだ。

【カルマ値が100減りました。善行・王樹の森の解放】
【カルマ値が10ポイント減りました。善行・木王樹の寄付】

おかげで善行も積めたし
墓が出来たらレイラもきっと喜んでくれるだろう。
そう思う私だった。
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