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第1章過去と前世と贖罪と

68・蘇る記憶④

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かなり胸くそ悪いです。朝見ると気分が悪くなるかもしれません。





それから私は前にも増して、言葉遣いにも、マナーにも気をつけた。
だって私がもし何か無礼な振る舞いをしてしまえば、人が殺される。
そして逃げることも出来ない。
もし私が逃げられたとしても、誰かがその責任を取って殺される。
そんなことは耐えられない。

それにあれから警備がかなり厳しくなった。
メイドは5人だったのが、
10人に増え、周囲の警備もあれから厳しくなったようだ。
時折、メイドの1人が憎しみのこもった目で私を見ることがあった
多分私が逃げたせいで処刑された使用人の中に、
家族か友人でも居たのだろうか。
私はいたたまれなくて、ずっと小さくなって暮らしていた。

そんなある日の出来事だった。
宴の席の帰りで、皇帝と共に歩いていた時だった。

「覚悟!!」

そう言って、 1人の女が刃物を持って皇帝に切りかかった。
だがすぐに護衛の兵士に取り押さえられた。
だがその女のライトグリーンの長い髪を見た時、私は驚いた。

「みどりちゃん!」

そこにいたのは、紛れもなくアーウィンのお姉さんで、
私の友達であるみどりちゃんその人だった。
あの惨劇で死んだと思っていた彼女がどうして――。

「陛下、無事ですか」

兵士の1人がそう言うと、皇帝は冷たい眼差しでみどりちゃんを見た。

「それよりこの女は…あの村の生き残りだな」
「はい、奴隷として、
兵士の宿舎で兵士の相手をさせていましたが、
いつの間にか脱走してしまったようで…」

私はその言葉に驚愕した。じゃあみどりちゃんは…住んでいた村を滅ぼされて、
子供も殺されて…さらにどういう経過か奴隷になってしまったということか?
私はそれを知らずにずっと、暖かな部屋できれいな服を着ていたということか?
それはとてつもない罪だ。
元はといえば私のせいでこんなことになったのに、
こんな苦しみを彼女に背負わせていただなんて――!

「よくも…!」

みどりちゃんは憎しみのこもった目で皇帝を睨み付けた。
美しい容姿をしている分、それは恐ろしく感じた。

「兵士が頼むから、見逃してやったものを…」
「何が見逃したよ!!
私の…私の故郷を滅ぼし、夫と子供を殺しておいて!!」

血を吐くようにみどりちゃんはそう言った。
だが皇帝は酷く冷めた目で答えた。

「この女の名前は何と言う」
「確かレイラと」

近くにいた兵士の1人がそう答える。

「ではレイラ。余を殺した後はどうするつもりだ?」
「そんなことはどうだっていい。
今はとにかくお前を殺したいッ!!」

憎悪のこもった目でみどりちゃん――レイラは皇帝を見た。

「今度ばかりは見逃すわけにはいかないな」
「待ってください! 殺すのはやめてください!!」

私がそう言った瞬間、皇帝は覇気のこもった目で私を見た。
それだけで私は何も言えなくなった。
拷問された時の恐怖を思い出し、
ただガタガタと震えることしか出来なかった。

「やれ」

その一言でたくさんの兵士がレイラに剣を向けた。

「私は絶対にお前を許さない…!!」

剣を向けられていても、なおもレイラは皇帝を睨み続けてきた。
その憎悪に満ちた顔はラーズ村に居た時とは、
まるで雰囲気が変わっていた。

「必ず苦しめて、必ず殺してやる!!」

そういった瞬間、兵士がレイラの首を切り落とした。

「片付けろ」

皇帝にそう言われて、死体処理を行う使用人が現れて死体を片付けていく。
遺体を布に包んで代車で運び、血を綺麗に拭いて、
たったそれだけでレイラが死んだ痕跡は消えてしまった。
私はどこかそれを他人事のように見ていた。
ここに来て、たくさんの人の死を見てきた。
そのせいで心のどこかが麻痺してしまったのかもしれない。

「ごめんなさい…」

ただ謝ることしか出来ずに、私はうつむいた。



それから何年か経った。
もう私はただの子供では無い。大人になってしまった。
髪だって腰ぐらいまで伸びていた。
身長だってずっと伸びていた。私はもう大人の女性になっていた。
日本では…もう死んだことになってるのかもしれない。
日本の事はもう遠い過去に感じられた。

あれ以来皇帝はよその国に攻め、国土を拡大していた。
皇帝はその戦の席でも、私を同行させていた。
その最大の理由は私が戦に詳しいからだ。

私は兵器の作り方を知らなかったが、
シュミレーションゲームはやったことは何度もあるので、戦には詳しい。
それに昔やったゲームに孫子の兵法というのが度々出てきたので、
兵法にも詳しかった。それを私は皇帝に教えた。
いや知っている知識があれば教えるように強要されていたからだ。
逆らえば拷問が待っている。

その徹底した調教のせいで、
私はもうその頃になると、皇帝に全く逆らえなっていた。
皇帝は人を支配する能力に長けていた。
そしてアメと鞭の使い方が非常に上手かった。
逆らえば恐ろしいお仕置きを受けるが、
素直に従えば褒めてもらえた。
私は次第に皇帝に強く依存するようになり、
いや、依存するように仕向けられたんだろう。

だって私は――この世界に全く身寄りがいない。
皇帝はよくそのことを口にした。

お前は異世界人だから、誰もお前を助けない――。
お前はこの世界では、誰にも愛されない――。
お前はこの城以外には、他に行く場所がない――。

そんな風に何度も何度も、言われた。
そして最終的に私を助けられる存在は自分だけだと、
皇帝は言うのだ。
閉鎖環境で、誰とも会話することもなかった私は、
皇帝の言葉を信じるようになっていった。
それはある意味、洗脳だった。

それに皇帝は私が元の世界に帰りたいと思っていることを知っていた。
皇帝は多分そのことを利用していたのかもしれない。

だって彼は時折、
私が元の世界に帰れる方法を知っているかのような素振りを見せた。
いやそんな方法は本当はないのだが――私はそれを信じてしまった。
私はどうしてもお母さんに会いたかった。
だからその感情が利用されてしまったんだろう。

戦についての兵法を教える時だって、私は嫌だった。
だが知っていることさえ教えれば、
元の世界に帰すことを考えてもいいと、皇帝は言った。
私は体がこんな風になっても、お母さんに会いたかった。
その日本恋しさに負けてしまって、その知識を伝えてしまったのだ――。
そして後になって皇帝にどうして帰してくれないのかと問い詰めると、
帰すことを考えた“だけ”だと一蹴されてしまった。

「見ろ。お前の世界のソンシの兵法とやらで、敵軍を圧倒したぞ」
「はい…」

私は戦でたくさんの人が亡くなるところを見た。
その死体が積み重なった雪原を見て、私は何度も謝った。

「ごめんなさい…」
「そうだ。全てはお前のせいだ。お前が殺したようなものだ」

皇帝は死体を指差しながら、そう言った。
彼はこの戦争を起こしたのは自分なのに、
その全ての原因が私にあるような言い方をした。
現にその通りだったからだ。私が騙されて異世界の知識を伝えなければ、
この戦争でヒョウム国が勝つ事はなかった。

「ごめんなさい…」

私の頬に涙が伝った。

私がこの世界に来なければ、あなた達は生きていたのに――。

全ては私がこの世界に来なければ――みんな幸せだった。

まるで疫病神だ。
この世界にとって、
癌のように災厄をもたらしつづける存在が私なのかもしれない。

いつしか――そんな事を考えるようになっていた。



それから何度も私はカルマ転移の術を受けた。
…いやその時は他人に自分のカルマを移す術だということは、
聞いていなかったので、
それが一体何の儀式なのか分からなかった。
だが変調は確かに起きていた。

私の身の回りでおかしな事ばかり起きるようになった。
地震もないのに、家具がいきなり私の方に倒れて、怪我を負った。
メイドがいきなり倒れて、熱湯を私の体にかけた。
それは身の回りにいる人も同じで、
私の不幸な出来事が周囲の人々に伝染するようになった。
やがて私は祟り姫と呼ばれるようになった。

その極めつけが病気になったことだろう。
私は今まで大病をしたことがなかったが、
その病気は恐ろしい伝染病だった。
それに運悪く感染してしまった私は、すぐに部屋を移され、
城の外壁にある、ほとんど人も立ち寄らない塔の中に移された。
感染しないための隔離だったんだろう。

そのベットの上で私はずっと高熱にうなされ、腹痛に苦しんだ。
ここに来るのは医者と身の回りの世話をするメイドだけ、
だが彼らも用が済んだら、そそくさと立ち去ってしまう。
私は熱にうなされながら、
どうしてこんな辛い思いばかりするのだろうかと考えた。

その時に――ひょっとしたら、皇帝の言うことが正しいんだろうかと思った。

私が全ての原因で、全ての災厄の元で、全ての不幸の元凶。

それはどうしてか。

考えればすぐに答えが出た。

私が――別の世界の住人だからだ。
別の世界からやってきた私はこの世界にとって異分子でしかない。
その異分子を、この世界はとても憎んでいる
私に関わる人間もそうだ。

だから私を苦しめる。
それも真綿で首を絞めるようにじわじわと――。
その苦しんでいる私を見て、世界は喜んでいるんだ。
だって私が憎いから、私を苦しめたいんだ。

その証拠に私さえこの世界にやってこなければ、皆が幸せだった――。

それを私が不幸にしてしまった――もうどうすることも出来ない。
償う方法もない。
あるとすればそれはすぐに自殺することだけだろう。
だけど私はそれだけはやってはいけないと、
お母さんに言われて育ってきた。
自殺は良くないこと――そう思っていても、
こんなに苦しくて辛いのに、まだ生きないといけないのか。

自殺も出来ない。
ともなると元の世界に帰ることが――私に出来る最善の方法。
だが皇帝は何度頼んでも、私を元の世界に帰してくれない――。
だから私はもうどうすることも出来ない。

最初来た時のように、あの黒い穴が現れてくれるのを待つしかないのだ。
でもそれまでどれだけかかるのだろう――。

涙がこぼれた。



その日、医者の薬のおかげか、熱はだいぶ下がっていた。
だがその部屋はとてつもなく寒く、冷たい。
暖炉はあるが、そこに火をつける体力も最早なかった。
窓は一つあるが、鉄格子で、そこから冷たい風が吹き付けていた。

ふと私は目が覚めた。真夜中に目が覚めてしまったらしい。
再び、寝ようとした時、耳元で声が聞こえた。

「セツナ…」

その声のした方向を見ると、鉄格子の窓に人影があった。

「誰…?」
「俺だ…! アーウィンだ!」

その言葉に私は驚いて、ベットから滑り落ちるように出ると、
這うようにして、その鉄格子の窓に向かう。

「幻なら消えないで…!」
「幻のものか…ずっとお前を探していたんだ」

私は鉄格子の窓の前に来ると、その鉄格子を掴んだ。
そこにあるのは間違いなく、間違いなくアーウィンの顔だった。

「暖かい…幻じゃないんだ」

私は手を伸ばしてアーウィンの顔に触れる。
その暖かさに涙が出た。

「お前…この手どうしたんだ?」

その手に描かれている入れ墨を見て、
アーウィンは驚いたようにそう言った。

「実は…」

それから私は自分の身に起こった事を全て話した。
皇帝に拷問を受けたこと、ずっと自由のない環境で暮らしていた事、
そしてアーウィンのお姉さんが殺されてしまったこと。

「そんなことが…」
「ごめんなさい…私のせいで」
「どうしてお前が謝る…悪いのは全て皇帝じゃないか…!」
「え?」
「俺の村を滅ぼし、お前を苦しめ、姉さんまで殺して…!
悪いのは全てあいつだろう…!
あいつこそ全ての元凶じゃないか…!」
「でもそれはひょっとしたら私が…異世界人だから…。
だから私が不幸にさせているかもしれないから…」

私はその時は完全に洗脳されていたため、
アーウィンが皇帝のせいと言う理由がわからなかった。

「そんな事は無い…!
どうしてただ別の世界から来たというだけで、
お前がこんな目に会う必要があるんだッ。
そんな理不尽なことはおかしいッ!」

その時――皇帝の支配下で、
完全な洗脳を受けていた私は初めて皇帝に疑問を抱いた。
確かに…私が望んでやってきたならともかく、
望んでもないのにこの世界にやってきて、
不幸になるのは理不尽ではないのかと――。
でもだとしたら私の身の回りの人が不幸になる原因は何だ?
どうして私の身に怒涛のように不幸が押し寄せるんだろうか。

それは皇帝に移されたカルマのせいなのだが、
その時の私は原因が分からずに困惑していた。

「だから俺と一緒に外に出よう」
「え?」

アーウィンの言葉に私は困惑した。

「今は様子見のためにここに訪れただけだから、
今脱出したとしても捕まってしまうだろうから、
必ず力を付けてお前を助け出す。
それまで待っていてくれないか」

それは夢のような提案だった。
この牢獄のような城からアーウィンと共に逃げ出すことが出来たら、
それはどれだけ幸せなんだろうか。
だがそんなことが果たして上手くいくのだろうかと思う気持ちも大きかった。

「そんな夢みたいな事…本当に出来るんでしょうか」
「出来るに決まっている。
必ず力をつけてお前を助け出す」

そう言うとアーウィンは私の手を握り締めた。
その手が離れてしまうことが怖くて、私はアーウィンの手を握り締めた。

「待って、ここから出る前にあなたが本当にここを訪れたという証拠が欲しいの。
時間が経ってしまったら、今日のことも夢か何かと思ってしまいそうで…」
「…わかった。これをお前に渡しておく」

そう言うとアーウィンは髪を結んでいる紐をほどいて私に渡す。

「絶対にお前を助け出す。長い時間はかかるかもしれないが待っていてくれ」

そう言うとアーウィンは塔の下を降りていった。

「アーウィン…」

渡された紐は…白と赤の紐が交互に織られていた。
これは間違いなく、私が作ってアーウィンに渡したものだ。
紅白は日本では縁起が良い色だからと。
まさかあれから何年も経っているのに、まだ身に付けていてくれたとは知らなかった。

「ありがとう…」

アーウィンの優しさに涙が出た。



それからしばらく経って病気が完治すると、
またあのカルマ転移の術を受けた。
そこからだろう。私の体にさらなる異変が起きたのは。

ある日、体を起こすと私は猛烈な吐き気に襲われて、血を吐いた。
それは医者でもどうしようも出来ないぐらいの病気だった。
前以上の熱に、今度は頭痛までプラスされて、私は再び隔離された。
しかし今度はあの塔などではなく、地下の最奥に閉じ込められた。
その理由は私がアーウィンと喋っていたことがばれてしまったからだ。
皇帝は私の事を知り尽くしていた。だから小さな変化でもすぐに気がついた。
そして拷問されてしまえば、もう本当のことを喋るしかない。
皇帝は…すぐに指名手配して、アーウィンを追った。
当然のごとく紐も奪われた。

「ごめんなさい…」

病による高熱で、全身の痛みと闘いながら、私はずっと謝っていた。
私さえこの世界に来なければよかったのに――。

――そうだよ。その通りだよ。

頭の中で同意する声があった。
その声ははっきりとした声を持っていた。

――お前のせいで、みんな死んだんだよ。

幻聴だ。わかっていても、耳を傾けて聞いてしまう。

――お前こそが、災厄の元凶なんだよ。

「ごめんなさい…」

私のせいで、私さえ世界に来なければ――みんな生きていたのに。
私が関わるせいで不幸になってしまう。

だから早く元の世界に帰りたいのに、皇帝はその方法を教えてくれない。
きっと私が死ぬまで教えてくれないだろう。

熱にうなされながら、私は何度も日本の夢を見た。
そこにはお母さんが居た。友達もいた。
幼い時に死に別れたお父さんも居た気がする。
でも私はそこには戻れない。帰ることがどうしても出来ないのだ。
手を伸ばしても、絶対に届かない先に元の世界はある。

「お母さん…ごめんなさい」

やがて私は――ずっと狭くて暗い地下牢で過ごしていた。
病気はどんな治療を行っても治らず、むしろ悪化させるだけだった。
皇帝はあれ以来私に会いにきていない。例の儀式もしばらく行っていなかった。
そこは警備が手薄だったが、さすがに病気になってしまえば、
もう皇帝は私が逃げ出すことはないと思っていたのか、安心していたらしい。

実際私は逃げる意欲も失われていた。
病気による全身の痛みで、立つことすらままならなかった。
次第に髪もストレスによるせいか白くなってしまった。
窓もない地下牢では、時間の感覚も失ってしまった。
介護老人のように、使用人に世話をされて、食事を食べるだけの毎日。
何の面白みも、何の幸せも、そこには存在しなかった。

やがて私はアーウィンのことや、日本でのことが、
全部夢だったんじゃないのだろうかと、思えてきた。
あの時、アーウィンと出会ったのは、
私の脳が都合よく作り出した幻覚だったんじゃないだろうか。
日本でのことも、最初から全て嘘だったんじゃないのだろうかと思えてきた。
私は生まれた時からここに閉じ込められていて、
日本での事は、私の脳が勝手に作り出した虚像の記憶なんじゃないのかと。
現に――お母さんの顔も、友達の顔も、よく思い出せない。

淡々とした日々がずっと続いていた。
私はその寒く、薄暗い地下牢にずっと閉じ込められていた。

何日も何日も――。

何日も何日も何日も何日も何日も何日も何日も何日も何日も何日も何日も何日も何日も何日も何日も何日も何日も何日も何日も何日も何日も何日も何日も何日も何日も何日も何日も何日も何日も何日も何日も何日も何日も何日も何日も何日も何日も何日も何日も何日も何日も何日も何日も何日も何日も何日も何日も何日も何日も何日も何日も何日も何日も何日も何日も何日も何日も何日も何日も何日も何日も何日も何日も何日も何日も何日も何日も何日も何日も何日も何日も何日も何日も何日も何日も何日も何日も何日も何日も何日も何日も何日も何日も何日も――。

だがそんな日々は、唐突に、突然終わった。
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