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第1章過去と前世と贖罪と
1・プロローグ
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「異界より現れし魂よ!」
暗闇の中で誰かの声が響いた。
「お前は死にました!」
目を開けると、真っ暗闇の空間の中に、一人の少年が王座らしき椅子に腰掛けていた。
首筋までの銀色の髪に、金色の瞳、そして顔立ちは恐ろしい程の美少年だった。
頭には装飾が施された王冠を被っており、手には先端に銀色の宝石が付いた杖を持っている。
服はまるで貴族か、王族が着るような、装飾が施された黒い服を着ていた。
不思議なことに真っ暗闇の空間の中で、少年の姿だけが私の目にはっきりと見えた。
「何が何だかわからないって顔してるね」
少年はニヤリと笑う。その笑みを見て、私は得体の知れない恐怖を覚えた。
この少年は一体何者だ?
見れば見るほど彼は恐ろしい程の美少年だった。
普通のイケメンや美女ならテレビでは見慣れている。
だが少年は明らかに人間という範疇を超えた美しさを持っていた。
美しすぎて、最早畏怖や崇拝の対象になりそうなぐらいだ。
さらにそれに悪魔的な魅力とカリスマを備えている。
たぶん彼が一言命令するだけで多くの人間がかしずき、喜んで魂を捧げるだろう。
だからこそ私は得体の知れない恐怖を覚えていても、彼から目をそらすことが出来ない。
…この状況は一体どういうことだ。
私は確かさっきまで家に帰るために通学路を歩いていたはずだよな…。
なのにどうしてこんな所に居るのだろう。
私の名前は海道刹那。どこにでもいるような普通の女子高生だ。
特別、運動神経が良いわけでも、頭が良いわけでもない。
容姿も平凡。
童顔で身長が低いことを除けば、至って普通のどこにでもいるような女子高生だ。
それなのにどうしてこんな所に居て、こんな場所に立っているんだろう。
私は確かにさっきまで1人で通学路を歩いていた。それは間違いない。
そうだ。確か今日はお母さんの誕生日だったから、
家に帰って、ケーキでも作ろうと思っていたんだ。
でも歩いている途中で、何だか突然意識が遠くなって…。
それで…それで…どうしたんだっけ。
「それ以上思い出すのは止めておいた方がいい。
君が死んだ時の事を思い出す必要はない」
死――?
そう言われて何気なく自分の手を見ると、私は仰天した。
手が…透けてる。身体を見ると同じように透けていて、輪郭がなんだかぼやけていた。
「な、なななな何これっ!?」
「何って、死んだからそうなったんだよ」
その時、私の目の前にいる少年がそう言った。
「死んだ…?」
ちょっと待て、私はまだ17才だぞ…まだ高校生なのに。
「17才でも、死ぬ時は死ぬんだよ。常識だよ」
え、何でそれが分かって…。
「そりゃボクが心が読めるからだよ。海道刹那。君のことは何でも知っている」
ちょっと待て、名前…まだ名乗っていないよな…。
「名前以外にもわかるよ。日本の××県××市出身で、××高等学校に通っていて、
年は17才。家は母親と2人暮らし。父は5才の時に膵臓癌で死亡。
母は仕事で出かけていることが多いが、関係は良好。
学校での素行は至って真面目。
何らかの犯罪に手を染めたりする事もなく、至って普通に学校生活を送っている。
趣味はゲームとお菓子作りで、ゲームはRPGでもアクションゲームでも得意。
お菓子作りはケーキが得意で、最近はマカロン作りにハマっている。
また幽霊の類が大の苦手で、
ホラーと名の付く類のものは一切触れないようにしている。
身長が低いのと童顔が悩みで、大人っぽい女性に憧れている…だいたいこんなもんかな」
少年は履歴書でも読むかのように、私の情報をスラスラと言った。
「な…なななな何で、そんなことが分かるんですか…?」
「神だから」
「か…神様?」
突然の少年の宣言に私は驚いたと同時に納得した。
人間離れした美しさも、心が読めるのも、少年が神なら納得だ。
神様って髭生えたおじいさんだと思ってたよ…。
でも何でごく普通の女子高生の前に神様が現れるんだ…?
「それは君が死んでしまったからからだよ。いや、ただ死ぬだけなら良かったけど、
ちょっと…いやかなり面倒くさいことになっているんだ。
だから神であるボクが直々に君の前に現れている」
神様が直々に出てくるなんて、余程の異常事態が発生したに違いない。
こういうのって漫画では、
本当は死ぬ予定じゃなかったのに、早く死んでしまったとかが、定番だよな…。
「いや、そうじゃない。
死ぬこと自体は別に良かったんだけど、その前に受けたことが問題なんだ」
さっきから少年が遠慮なく、心を読むので私が言葉に出すより、
早く質問が返ってくることが多い…。
いやそれはこの際置いておいて、この異常な状況を何とかしないといけない。
「あの、私は本当に死んでしまったんですか?」
いきなり死にましたと言われても、私にはそんな心辺りが無かった。
通学路を歩いていたら、急に意識が遠くなった事は覚えている。
でもそれから先はぼんやりとしていて思い出せない。
思い出そうとすると、嫌な感じがするだけで、具体的なことは何も思い出せなかった。
「おや、どうやら死んだ時のショックが強すぎて、
記憶が吹き飛んでしまったようだね。
まぁでも、そっちの方が幸せかな。
特にこれから地獄に落ちるかもしれないのに、辛い事は思い出さない方がいい」
「は? 今なんて…」
そう言うと王座に腰掛けていた少年がクスリと笑った。
「ああ、自己紹介が遅れたね。ボクは地獄神アビス。地獄を統べる神だよ。
そして君を地獄に落とすかもしれない神だよ」
そう少年は何てことの無い顔で言った。
この少年が地獄の神様?
そういえば最初見た時、得体の知れない恐怖を覚えたが、
それが彼が地獄の神様だから?
そして私を地獄に落とす? 意味がわからない。
私は別に逮捕歴もないし、警察に職質を受けたことすらない。
本当にどこにでもいるような普通の女子高生なのだ。
「まぁ地獄に落ちるとしても、それは君の罪じゃないけどね」
「私の罪じゃない?」
「まず順を追って説明していこうか、
君は不慮の事故で、元居た世界とは、遥か離れた世界に来てしまった。
まぁわかりやすくいうと、君は異世界に来てしまったんだ」
「い、異世界?」
「そう異世界。異なる世界に来てしまったんだよ。そしてそこで死んだ。
ボクも君の世界の地獄の神様じゃなくて、
この世界――名前はイデアと言うのだけど、イデアの地獄の神様だよ」
えっと、ダメだ。話が飛躍しすぎてついていけない。
いきなり死んだと言われて、さらに目の前にいた少年が実は地獄の神様で、
私を地獄に落とすとか言って、さらには死んだ原因が異世界に来てしまったから?
訳がわからない。何だ、これは…。
異世界トリップなんてありがちだけど、絶対にありえないと思っていた。
だって別の世界なんて、普通は行きたくても行けないものじゃないか。
その時、私の思考を読み取った少年が答えた。
「残念ながら充分あり得ることなんだよ。
現にこの世界では異世界人が来ることは珍しいことじゃない。
大抵はすぐ死んでしまうことが多いんだけど、
君の場合は運悪くある男に捕まり、
あるおぞましい秘術の実験台になって死んでしまった」
「実験台?」
しかし少年はその質問には答えず、全く別のことを言った。
「この世界にはね。カルマってシステムがあるんだ」
「カルマ?」
「カルマっていうのは、分かりやすく言うと業だね。
直接目に見えるわけじゃないけど、悪いことをすればそれが貯まっていくんだ。
例えば人を騙したり、殺したりすればカルマは増えていくことになる。
逆に善いことをすればカルマは消えていくんだ。
そして生前のカルマの度合いを見て、
魂が地獄か、それとも再転生行きか、死後に決めることになるんだけど。
君のカルマは今とてつもないことになっている」
その時、突然真っ暗闇の空間にステータス画面のようなものが現れた。
【セツナ・カイドウ】
【レベル】1
【体力】0/100
【魔力】0/0
【状態】死亡
【カルマ値】9999(判定不可)
「これが君のステータス。一部は省略しているけど、
ご覧の通り今君のカルマは、
この魔法では正確な数値が表示されない程、蓄積されている。
これははっきり言って、異常だよ。
カルマがこれほど蓄積されてしまうなんて、普通に考えたらありえない。
あるとしたら、多くの人を傷つけ、多くの人を殺した時にしか起こりえない。
君は今そのカルマを背負っている状態なんだよ」
私はそんな事はしていないと否定しかけて、言葉を飲み込んだ。
私には異世界での記憶がない。
少年が言うには私は死んだときのショックで、記憶を無くしてしまったらしい。
という事は、その間にそれだけ大変なことをしてしまったということか…。
そんなバカな…ありえない…ありえない。しかし少年はきっぱりと否定した。
「いや、君はしてないよ」
「え、でも…これは私のカルマですよね?」
「君のカルマじゃないよ…これは他人のカルマだよ」
「どういうことです?」
「君はすっかり記憶を無くしているみたいだから、1から説明するけど、
君はこの世界に来た時、最北にあるヒョウム国と呼ばれる国に辿り着いた。
そこで君はある男に捕まり、おぞましい秘術の実験台にされてしまった」
「だ、誰がそんなことをしたんですか?」
「ヒョウム国の皇帝、シン7世だよ。
彼は自分のカルマを、全くの他人に転移させる秘術を見つけ出した。
そうすることで、地獄行きを回避しようと思った。そして実際に行動に移してしまった。
だから君のカルマは、君が犯した罪じゃない。
そもそもこれだけの悪行を普通の17才の少女が出来るはずがない。
これは全部、皇帝シン七世が犯した罪をスケープゴートされたせいなんだ」
少年は一瞬哀れむような目で私を見た。
「そ、そんなことが本当にあったんですか?
私はそんなことなんて、まるで覚えてないんですけど…」
「記憶がなくても、これは真実だよ。魔法は決して嘘をつかない。
もっとも君はかなり酷い扱いを受け、最後には凄惨な死を遂げたから、
そのショックで記憶が吹き飛んでしまったんだろうね」
凄惨な死だって…まるで覚えがない。
でも神である少年がそう言うという事は、本当のことだろう。
だとしたら、地獄に落ちないといけないという理由は…まさか。
「そう。君は他人の罪で、地獄に行かないといけない」
少年は真っ直ぐに私の事を見た。
「要は知人の大借金を背負わされてしまったような状況だと思えばいい。
例え異世界人であっても、死後はこの世界のルールに則って裁かれる。
だからボクは君を地獄に落とさないといけない。
これから逃れる方法はまず無いと思ってくれたらいい」
「そんな…そんなことって」
そんな理不尽なことがあってもいいのか。
自分が犯した罪で地獄に行くなら分かるが、他人の罪を償うために、
何で私が地獄へ行かないといけないんだ。
しかも故郷から遥か離れた異世界で。
いきなりそんな事を言われても、受け入れられるはずがなかった。
「う、嘘ですよね。こんなのって何かの冗談ですね…?」
「冗談でこんなことを言うほど、僕は悪趣味じゃないよ」
少年の目は真剣そのもの。
確かに神様である少年が私にこんな嘘ついても意味は無いかもしれない。
「じゃあ私のカルマを何とか出来ないんですか? だって神様なんでしょう…!」
「神だからといって何でも出来るわけじゃないんだ。
一度積んだカルマは、地獄の神であるボクでも消すことは出来ない。
カルマは善行を積むか、地獄の炎で焼かれることでしか浄化されない。
その理を覆す事は絶対に出来ないんだ」
「そ、そんなことって…」
私は膝から崩れ落ちた。透けてしまった自分の体を見て、現実を再確認する。
私は本当に死んでしまったんだ。そして行く先は地獄――――。
地獄――――見たことも行ったこともないが、
楽しそうな場所でない事は容易に想像はつく。
嫌だ、何で地獄に落ちないといけないんだ。私は、何もしていないのに――――。
私は途方もない絶望感と、理不尽に対する怒りと、
家に帰りたいというも郷愁の念で、感情がごちゃごちゃになった。
しかし怒ろうにもヒョウム国の皇帝はここには居ない。
帰ろうにも、もう私は死んでいる。
そもそもここは異世界、たかだか17才の女子高校生がどうにかできる問題では無い。
あまりに絶望的な状況に私は途方に暮れていた。すると黙っていた少年が口を開いた。
「助ける方法ならあるよ」
その言葉に私は顔を上げた。
「で、でも、さっきカルマは消すことが出来ないって…」
「普通の方法では無理だけど、やり方次第では出来ないこともない。
君が生き返ればいいんだよ」
「は?」
少年の突然の告白に私は目を丸くする。
「君にもさっき言ったけど、
カルマというのは地獄の炎で焼かれるか、善行を積むことでしか浄化されない。
だから君が生き返り、
善行を積んでカルマを全て消せば、地獄行きを免れることができる」
「善行って…善いことをするってことですよね。本当にそれしか無いんですか」
「無いよ。ただしそれをするには、諦めて欲しいことがある」
「な、なんですか?」
「元の世界に帰る事だよ。元の世界で家族や友人と再会することは諦めて欲しい」
「なっ…」
「なんでそんな酷い事を言うんですか、だって?
別にボクも君を苦しませるために、こんなことを言っているわけじゃない。
ただこれほどのカルマは消すのは、容易なことじゃない。
君がもしこの世界で生き返って、カルマを消そうとしても、10年…いや、20年以上はかかるかもしれない。
その間、元の世界でも同じように時間が流れているかもしれないから、帰ったとしても、君の居場所は無くなっている可能性がある」
…つまり浦島太郎みたいになるってことか…?
「まぁそれに近いものだと思ってくれたらいいよ」
「でも母は、私が別の世界に来ていることを知りません。
あの、元の世界に帰ることは出来ないんですか?
別に善行はこの世界で、なくても大丈夫ですよね…?」
「残念ながらそれはダメだ。
魂にそれだけのカルマを背負った状態で帰れば、
どういうことになるのか、ボクにも分からない。
カルマはこの世界のルールだけど、
君の世界にもおそらく地獄があると思うから、そこに落ちてしまうかもしれない」
じゃあもう完全に八方塞がりじゃないか…。
お母さん…。今すぐ…会いたい。
たった1人の娘が居なくなって、どれだけ心配しているだろう。
それなのに――――もう二度と会えないなんて…っ。
「まぁこれはあくまで地獄行きを回避するため提案だから、
地獄に落ちれば、もっと早くカルマを消せるよ。
そうだね。だいたい3年ぐらいで全部消せるかな。
それなら、まだ元の世界でも居場所はあるかもしれないね」
「本当ですか!?」
それなら地獄に落ちた方が良いかもしれない。
どれだけ苦しいのかわからないけど、3年我慢すればカルマを全て消すことが出来る。
それなら早く家に帰れるんじゃないだろうか…。
しかし私のそんな甘い考えは、次に少年が言った言葉で泡のように霧散した。
「ただその代わり、体感時間が1日8000年の灼熱地獄の中で苦しむことになるけどね」
「は?」
唐突に少年が言った言葉に、私は絶句した。
そうだ。苦しい時間は長いと言うじゃないか。
地獄の時間が同じような時間速度とは限らない。
体感時間が1日8000年という事は、それを3年間だなんて…耐えられるわけがない。
でも…でも…帰ることを諦めろだなんて…。
「一応言っておくけど、ボクは君に何も無理強いはしない。
例え全部のカルマを消しても、君が元の世界に帰りたいなら、帰してもいい。
それにボクの提案をはねのけて、地獄に落ちるのも自由だ。
ボクは君が選んだ選択肢を尊重する。考える時間をあげるから、ゆっくり考えなよ」
唐突に突きつけられた選択に私は大いに困惑した。
ゲームだったら、選択肢が出ている場面だ。
生き返るか、地獄に落ちるか。
この場合、地獄に落ちる選択肢を選んだら、ゲームオーバー確定だろう。
体感時間が1日8000年の灼熱地獄なんて、絶対に無理だ。
でもだからといって生き返ることを選択したら、
果てしない善行を積む旅に出ないといけない。
それはいつまでかかるか分からない、下手したら何十年と経っているかもしれない。
そうなると確実に元の世界では居場所が無くなっている可能性がある。
お母さんだって生きてるかどうかわからない。
友達だって、私のことなんて忘れているかもしれない。
どちらを選択しても、多くのものを失うのは確実だった。
でも私は地獄になんて落ちたくない―――。
地獄に落ちたら、自分が犯していない罪で地獄に行くことになる。
それこそヒョウム国の皇帝を喜ばせることに他ならない。
2つに1つ。どちらか片方しか選択することが許されない。
生き返るか、地獄に落ちるか、
そんなのは―――選択肢なんて有って無いようなものだ。
私は断腸の思いで、その言葉を出した。
「生き返ります…」
「わかった。それじゃあ、君はこの世界で善行を積み、カルマを消していくんだ。
ただしこの選択をするということは、二度と元の世界に帰れないと思った方がいい。
その覚悟はあるかい?」
「どちらにしても…このままでは選択の余地はありません。
この世界で第二の人生を生きることにします」
少し投げやりな気持ちで私はそう答えた。
「そうか、わかった。じゃあ君をこの世界で生き返らせるよ。
でもこのままだと、君はすぐ死ぬだろうから、ボクの魔力を与えておく。
これで魔法が使えるようになるから、
可能な限り君がイメージする魔法は使えるようになると思う。
あ、ただし魔法が使えるって言っても、
それはボクが力を貸しているからであって君の力では無いから。
もし調子乗って大量虐殺したり、悪用すれば、すぐにでも地獄に叩き落とすから注意してね」
少年はさらりと恐ろしいことを言って私に念押しした。
心配しなくてもそんなヘマしないと思うが、一応頷いておいた。
「わかりました。魔法は決して悪用しません」
「じゃあ、これから君を生き返らせるから、目をつぶるんだ」
そう言われたので目をつむると、私の意識は遠くなって、目が覚めた時は地上だった。
そうして一度死んだ私は、異世界で生き返ることになった。
カルマ値9999という大きな業を背負って。
暗闇の中で誰かの声が響いた。
「お前は死にました!」
目を開けると、真っ暗闇の空間の中に、一人の少年が王座らしき椅子に腰掛けていた。
首筋までの銀色の髪に、金色の瞳、そして顔立ちは恐ろしい程の美少年だった。
頭には装飾が施された王冠を被っており、手には先端に銀色の宝石が付いた杖を持っている。
服はまるで貴族か、王族が着るような、装飾が施された黒い服を着ていた。
不思議なことに真っ暗闇の空間の中で、少年の姿だけが私の目にはっきりと見えた。
「何が何だかわからないって顔してるね」
少年はニヤリと笑う。その笑みを見て、私は得体の知れない恐怖を覚えた。
この少年は一体何者だ?
見れば見るほど彼は恐ろしい程の美少年だった。
普通のイケメンや美女ならテレビでは見慣れている。
だが少年は明らかに人間という範疇を超えた美しさを持っていた。
美しすぎて、最早畏怖や崇拝の対象になりそうなぐらいだ。
さらにそれに悪魔的な魅力とカリスマを備えている。
たぶん彼が一言命令するだけで多くの人間がかしずき、喜んで魂を捧げるだろう。
だからこそ私は得体の知れない恐怖を覚えていても、彼から目をそらすことが出来ない。
…この状況は一体どういうことだ。
私は確かさっきまで家に帰るために通学路を歩いていたはずだよな…。
なのにどうしてこんな所に居るのだろう。
私の名前は海道刹那。どこにでもいるような普通の女子高生だ。
特別、運動神経が良いわけでも、頭が良いわけでもない。
容姿も平凡。
童顔で身長が低いことを除けば、至って普通のどこにでもいるような女子高生だ。
それなのにどうしてこんな所に居て、こんな場所に立っているんだろう。
私は確かにさっきまで1人で通学路を歩いていた。それは間違いない。
そうだ。確か今日はお母さんの誕生日だったから、
家に帰って、ケーキでも作ろうと思っていたんだ。
でも歩いている途中で、何だか突然意識が遠くなって…。
それで…それで…どうしたんだっけ。
「それ以上思い出すのは止めておいた方がいい。
君が死んだ時の事を思い出す必要はない」
死――?
そう言われて何気なく自分の手を見ると、私は仰天した。
手が…透けてる。身体を見ると同じように透けていて、輪郭がなんだかぼやけていた。
「な、なななな何これっ!?」
「何って、死んだからそうなったんだよ」
その時、私の目の前にいる少年がそう言った。
「死んだ…?」
ちょっと待て、私はまだ17才だぞ…まだ高校生なのに。
「17才でも、死ぬ時は死ぬんだよ。常識だよ」
え、何でそれが分かって…。
「そりゃボクが心が読めるからだよ。海道刹那。君のことは何でも知っている」
ちょっと待て、名前…まだ名乗っていないよな…。
「名前以外にもわかるよ。日本の××県××市出身で、××高等学校に通っていて、
年は17才。家は母親と2人暮らし。父は5才の時に膵臓癌で死亡。
母は仕事で出かけていることが多いが、関係は良好。
学校での素行は至って真面目。
何らかの犯罪に手を染めたりする事もなく、至って普通に学校生活を送っている。
趣味はゲームとお菓子作りで、ゲームはRPGでもアクションゲームでも得意。
お菓子作りはケーキが得意で、最近はマカロン作りにハマっている。
また幽霊の類が大の苦手で、
ホラーと名の付く類のものは一切触れないようにしている。
身長が低いのと童顔が悩みで、大人っぽい女性に憧れている…だいたいこんなもんかな」
少年は履歴書でも読むかのように、私の情報をスラスラと言った。
「な…なななな何で、そんなことが分かるんですか…?」
「神だから」
「か…神様?」
突然の少年の宣言に私は驚いたと同時に納得した。
人間離れした美しさも、心が読めるのも、少年が神なら納得だ。
神様って髭生えたおじいさんだと思ってたよ…。
でも何でごく普通の女子高生の前に神様が現れるんだ…?
「それは君が死んでしまったからからだよ。いや、ただ死ぬだけなら良かったけど、
ちょっと…いやかなり面倒くさいことになっているんだ。
だから神であるボクが直々に君の前に現れている」
神様が直々に出てくるなんて、余程の異常事態が発生したに違いない。
こういうのって漫画では、
本当は死ぬ予定じゃなかったのに、早く死んでしまったとかが、定番だよな…。
「いや、そうじゃない。
死ぬこと自体は別に良かったんだけど、その前に受けたことが問題なんだ」
さっきから少年が遠慮なく、心を読むので私が言葉に出すより、
早く質問が返ってくることが多い…。
いやそれはこの際置いておいて、この異常な状況を何とかしないといけない。
「あの、私は本当に死んでしまったんですか?」
いきなり死にましたと言われても、私にはそんな心辺りが無かった。
通学路を歩いていたら、急に意識が遠くなった事は覚えている。
でもそれから先はぼんやりとしていて思い出せない。
思い出そうとすると、嫌な感じがするだけで、具体的なことは何も思い出せなかった。
「おや、どうやら死んだ時のショックが強すぎて、
記憶が吹き飛んでしまったようだね。
まぁでも、そっちの方が幸せかな。
特にこれから地獄に落ちるかもしれないのに、辛い事は思い出さない方がいい」
「は? 今なんて…」
そう言うと王座に腰掛けていた少年がクスリと笑った。
「ああ、自己紹介が遅れたね。ボクは地獄神アビス。地獄を統べる神だよ。
そして君を地獄に落とすかもしれない神だよ」
そう少年は何てことの無い顔で言った。
この少年が地獄の神様?
そういえば最初見た時、得体の知れない恐怖を覚えたが、
それが彼が地獄の神様だから?
そして私を地獄に落とす? 意味がわからない。
私は別に逮捕歴もないし、警察に職質を受けたことすらない。
本当にどこにでもいるような普通の女子高生なのだ。
「まぁ地獄に落ちるとしても、それは君の罪じゃないけどね」
「私の罪じゃない?」
「まず順を追って説明していこうか、
君は不慮の事故で、元居た世界とは、遥か離れた世界に来てしまった。
まぁわかりやすくいうと、君は異世界に来てしまったんだ」
「い、異世界?」
「そう異世界。異なる世界に来てしまったんだよ。そしてそこで死んだ。
ボクも君の世界の地獄の神様じゃなくて、
この世界――名前はイデアと言うのだけど、イデアの地獄の神様だよ」
えっと、ダメだ。話が飛躍しすぎてついていけない。
いきなり死んだと言われて、さらに目の前にいた少年が実は地獄の神様で、
私を地獄に落とすとか言って、さらには死んだ原因が異世界に来てしまったから?
訳がわからない。何だ、これは…。
異世界トリップなんてありがちだけど、絶対にありえないと思っていた。
だって別の世界なんて、普通は行きたくても行けないものじゃないか。
その時、私の思考を読み取った少年が答えた。
「残念ながら充分あり得ることなんだよ。
現にこの世界では異世界人が来ることは珍しいことじゃない。
大抵はすぐ死んでしまうことが多いんだけど、
君の場合は運悪くある男に捕まり、
あるおぞましい秘術の実験台になって死んでしまった」
「実験台?」
しかし少年はその質問には答えず、全く別のことを言った。
「この世界にはね。カルマってシステムがあるんだ」
「カルマ?」
「カルマっていうのは、分かりやすく言うと業だね。
直接目に見えるわけじゃないけど、悪いことをすればそれが貯まっていくんだ。
例えば人を騙したり、殺したりすればカルマは増えていくことになる。
逆に善いことをすればカルマは消えていくんだ。
そして生前のカルマの度合いを見て、
魂が地獄か、それとも再転生行きか、死後に決めることになるんだけど。
君のカルマは今とてつもないことになっている」
その時、突然真っ暗闇の空間にステータス画面のようなものが現れた。
【セツナ・カイドウ】
【レベル】1
【体力】0/100
【魔力】0/0
【状態】死亡
【カルマ値】9999(判定不可)
「これが君のステータス。一部は省略しているけど、
ご覧の通り今君のカルマは、
この魔法では正確な数値が表示されない程、蓄積されている。
これははっきり言って、異常だよ。
カルマがこれほど蓄積されてしまうなんて、普通に考えたらありえない。
あるとしたら、多くの人を傷つけ、多くの人を殺した時にしか起こりえない。
君は今そのカルマを背負っている状態なんだよ」
私はそんな事はしていないと否定しかけて、言葉を飲み込んだ。
私には異世界での記憶がない。
少年が言うには私は死んだときのショックで、記憶を無くしてしまったらしい。
という事は、その間にそれだけ大変なことをしてしまったということか…。
そんなバカな…ありえない…ありえない。しかし少年はきっぱりと否定した。
「いや、君はしてないよ」
「え、でも…これは私のカルマですよね?」
「君のカルマじゃないよ…これは他人のカルマだよ」
「どういうことです?」
「君はすっかり記憶を無くしているみたいだから、1から説明するけど、
君はこの世界に来た時、最北にあるヒョウム国と呼ばれる国に辿り着いた。
そこで君はある男に捕まり、おぞましい秘術の実験台にされてしまった」
「だ、誰がそんなことをしたんですか?」
「ヒョウム国の皇帝、シン7世だよ。
彼は自分のカルマを、全くの他人に転移させる秘術を見つけ出した。
そうすることで、地獄行きを回避しようと思った。そして実際に行動に移してしまった。
だから君のカルマは、君が犯した罪じゃない。
そもそもこれだけの悪行を普通の17才の少女が出来るはずがない。
これは全部、皇帝シン七世が犯した罪をスケープゴートされたせいなんだ」
少年は一瞬哀れむような目で私を見た。
「そ、そんなことが本当にあったんですか?
私はそんなことなんて、まるで覚えてないんですけど…」
「記憶がなくても、これは真実だよ。魔法は決して嘘をつかない。
もっとも君はかなり酷い扱いを受け、最後には凄惨な死を遂げたから、
そのショックで記憶が吹き飛んでしまったんだろうね」
凄惨な死だって…まるで覚えがない。
でも神である少年がそう言うという事は、本当のことだろう。
だとしたら、地獄に落ちないといけないという理由は…まさか。
「そう。君は他人の罪で、地獄に行かないといけない」
少年は真っ直ぐに私の事を見た。
「要は知人の大借金を背負わされてしまったような状況だと思えばいい。
例え異世界人であっても、死後はこの世界のルールに則って裁かれる。
だからボクは君を地獄に落とさないといけない。
これから逃れる方法はまず無いと思ってくれたらいい」
「そんな…そんなことって」
そんな理不尽なことがあってもいいのか。
自分が犯した罪で地獄に行くなら分かるが、他人の罪を償うために、
何で私が地獄へ行かないといけないんだ。
しかも故郷から遥か離れた異世界で。
いきなりそんな事を言われても、受け入れられるはずがなかった。
「う、嘘ですよね。こんなのって何かの冗談ですね…?」
「冗談でこんなことを言うほど、僕は悪趣味じゃないよ」
少年の目は真剣そのもの。
確かに神様である少年が私にこんな嘘ついても意味は無いかもしれない。
「じゃあ私のカルマを何とか出来ないんですか? だって神様なんでしょう…!」
「神だからといって何でも出来るわけじゃないんだ。
一度積んだカルマは、地獄の神であるボクでも消すことは出来ない。
カルマは善行を積むか、地獄の炎で焼かれることでしか浄化されない。
その理を覆す事は絶対に出来ないんだ」
「そ、そんなことって…」
私は膝から崩れ落ちた。透けてしまった自分の体を見て、現実を再確認する。
私は本当に死んでしまったんだ。そして行く先は地獄――――。
地獄――――見たことも行ったこともないが、
楽しそうな場所でない事は容易に想像はつく。
嫌だ、何で地獄に落ちないといけないんだ。私は、何もしていないのに――――。
私は途方もない絶望感と、理不尽に対する怒りと、
家に帰りたいというも郷愁の念で、感情がごちゃごちゃになった。
しかし怒ろうにもヒョウム国の皇帝はここには居ない。
帰ろうにも、もう私は死んでいる。
そもそもここは異世界、たかだか17才の女子高校生がどうにかできる問題では無い。
あまりに絶望的な状況に私は途方に暮れていた。すると黙っていた少年が口を開いた。
「助ける方法ならあるよ」
その言葉に私は顔を上げた。
「で、でも、さっきカルマは消すことが出来ないって…」
「普通の方法では無理だけど、やり方次第では出来ないこともない。
君が生き返ればいいんだよ」
「は?」
少年の突然の告白に私は目を丸くする。
「君にもさっき言ったけど、
カルマというのは地獄の炎で焼かれるか、善行を積むことでしか浄化されない。
だから君が生き返り、
善行を積んでカルマを全て消せば、地獄行きを免れることができる」
「善行って…善いことをするってことですよね。本当にそれしか無いんですか」
「無いよ。ただしそれをするには、諦めて欲しいことがある」
「な、なんですか?」
「元の世界に帰る事だよ。元の世界で家族や友人と再会することは諦めて欲しい」
「なっ…」
「なんでそんな酷い事を言うんですか、だって?
別にボクも君を苦しませるために、こんなことを言っているわけじゃない。
ただこれほどのカルマは消すのは、容易なことじゃない。
君がもしこの世界で生き返って、カルマを消そうとしても、10年…いや、20年以上はかかるかもしれない。
その間、元の世界でも同じように時間が流れているかもしれないから、帰ったとしても、君の居場所は無くなっている可能性がある」
…つまり浦島太郎みたいになるってことか…?
「まぁそれに近いものだと思ってくれたらいいよ」
「でも母は、私が別の世界に来ていることを知りません。
あの、元の世界に帰ることは出来ないんですか?
別に善行はこの世界で、なくても大丈夫ですよね…?」
「残念ながらそれはダメだ。
魂にそれだけのカルマを背負った状態で帰れば、
どういうことになるのか、ボクにも分からない。
カルマはこの世界のルールだけど、
君の世界にもおそらく地獄があると思うから、そこに落ちてしまうかもしれない」
じゃあもう完全に八方塞がりじゃないか…。
お母さん…。今すぐ…会いたい。
たった1人の娘が居なくなって、どれだけ心配しているだろう。
それなのに――――もう二度と会えないなんて…っ。
「まぁこれはあくまで地獄行きを回避するため提案だから、
地獄に落ちれば、もっと早くカルマを消せるよ。
そうだね。だいたい3年ぐらいで全部消せるかな。
それなら、まだ元の世界でも居場所はあるかもしれないね」
「本当ですか!?」
それなら地獄に落ちた方が良いかもしれない。
どれだけ苦しいのかわからないけど、3年我慢すればカルマを全て消すことが出来る。
それなら早く家に帰れるんじゃないだろうか…。
しかし私のそんな甘い考えは、次に少年が言った言葉で泡のように霧散した。
「ただその代わり、体感時間が1日8000年の灼熱地獄の中で苦しむことになるけどね」
「は?」
唐突に少年が言った言葉に、私は絶句した。
そうだ。苦しい時間は長いと言うじゃないか。
地獄の時間が同じような時間速度とは限らない。
体感時間が1日8000年という事は、それを3年間だなんて…耐えられるわけがない。
でも…でも…帰ることを諦めろだなんて…。
「一応言っておくけど、ボクは君に何も無理強いはしない。
例え全部のカルマを消しても、君が元の世界に帰りたいなら、帰してもいい。
それにボクの提案をはねのけて、地獄に落ちるのも自由だ。
ボクは君が選んだ選択肢を尊重する。考える時間をあげるから、ゆっくり考えなよ」
唐突に突きつけられた選択に私は大いに困惑した。
ゲームだったら、選択肢が出ている場面だ。
生き返るか、地獄に落ちるか。
この場合、地獄に落ちる選択肢を選んだら、ゲームオーバー確定だろう。
体感時間が1日8000年の灼熱地獄なんて、絶対に無理だ。
でもだからといって生き返ることを選択したら、
果てしない善行を積む旅に出ないといけない。
それはいつまでかかるか分からない、下手したら何十年と経っているかもしれない。
そうなると確実に元の世界では居場所が無くなっている可能性がある。
お母さんだって生きてるかどうかわからない。
友達だって、私のことなんて忘れているかもしれない。
どちらを選択しても、多くのものを失うのは確実だった。
でも私は地獄になんて落ちたくない―――。
地獄に落ちたら、自分が犯していない罪で地獄に行くことになる。
それこそヒョウム国の皇帝を喜ばせることに他ならない。
2つに1つ。どちらか片方しか選択することが許されない。
生き返るか、地獄に落ちるか、
そんなのは―――選択肢なんて有って無いようなものだ。
私は断腸の思いで、その言葉を出した。
「生き返ります…」
「わかった。それじゃあ、君はこの世界で善行を積み、カルマを消していくんだ。
ただしこの選択をするということは、二度と元の世界に帰れないと思った方がいい。
その覚悟はあるかい?」
「どちらにしても…このままでは選択の余地はありません。
この世界で第二の人生を生きることにします」
少し投げやりな気持ちで私はそう答えた。
「そうか、わかった。じゃあ君をこの世界で生き返らせるよ。
でもこのままだと、君はすぐ死ぬだろうから、ボクの魔力を与えておく。
これで魔法が使えるようになるから、
可能な限り君がイメージする魔法は使えるようになると思う。
あ、ただし魔法が使えるって言っても、
それはボクが力を貸しているからであって君の力では無いから。
もし調子乗って大量虐殺したり、悪用すれば、すぐにでも地獄に叩き落とすから注意してね」
少年はさらりと恐ろしいことを言って私に念押しした。
心配しなくてもそんなヘマしないと思うが、一応頷いておいた。
「わかりました。魔法は決して悪用しません」
「じゃあ、これから君を生き返らせるから、目をつぶるんだ」
そう言われたので目をつむると、私の意識は遠くなって、目が覚めた時は地上だった。
そうして一度死んだ私は、異世界で生き返ることになった。
カルマ値9999という大きな業を背負って。
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