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第2部
秘め事①
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「いらっしゃい。」
ドアを開けると、東弥と谷津がそれぞれ片手に紙袋を持って立っていた。
「幹斗ひさしぶりー!ノンアルビールと、ノンアルのカクテル作れるシロップとかジュースとか持ってきた!!」
相変わらずのハイテンションでそう告げた谷津は、この2月の寒い時期なのに東弥と比べて随分と薄着をしている。
さすが馬鹿は風邪を引か…と、なんでもない。
「俺はデパートでお惣菜買ってきた。…って言っても、幹斗の料理には敵わないけど。」
東弥の方はそう言うと外気に晒された両手にほうっと白い息を吹きかけた。
ブランドもののカシミヤのマフラーにタートルのセーター、すらりとしたロングコートという雑誌のような着こなしをしてそんなことをするものだから、思わずモデルかよと突っ込みたくなる。
噂によると時々スカウトされるらしい。
「…料理のこと褒めすぎだよ。2人とも寒い中ありがとう、入って。」
「「お邪魔します。」」
ひとまず2人を中に入れ、ソファーに座るよう促す。
今日3人で会おうとしていたらたまたま由良さんが出張になったから、俺の家で会うことになったのだ。
居酒屋と比べて積もる話もしやすいし、何より食費が安く済む。
東弥が惣菜を買ってくると言うので俺はメインの手巻き寿司と簡単なおつまみを用意した。
2人の口に合えばいいな。
「はい、グラス。」
「ありがとう。俺と谷津はノンアルのビールにするね。幹斗は?」
グラスを渡せば東弥が自分と谷津のグラスにビールを注いだ後、俺にも気を遣って何がいいか聞いてくれる。優しい。
「…そこにあるカルピスで…。」
「やだカルピスなんて幹斗変態!!」
普通に答えたのに谷津が意味不明なツッコミを入れてきた。
何が変態だ。そもそも谷津が買ってきたレパートリーの中に入っているものなのに。
「カルピスと変態で等号が成り立つ理由がわからないんだけど…。東弥はわかる?」
「いや、特に関連はないと思う。」
一応東弥に意見を求めるが彼にもわからないみたいだ。
すると谷津が、人差し指を立てふふんと得意げな笑みを浮かべる。
「白くて粘性が…って、痛い痛い!!ほっぺたとれる!!」
なんだか嫌な予感がしたのでつい強くほっぺたを引っ張ってしまった。
「とりあえず淹れたから乾杯しよう。」
そう言って東弥がグラスを渡してくれる。
「うん。ありがとう、東弥。」
「じゃあ気を取り直して!!かんぱーい!!」
掛け声と共に“カン”、とグラスを打ち付ける音が部屋中に軽快に響いた。
ドアを開けると、東弥と谷津がそれぞれ片手に紙袋を持って立っていた。
「幹斗ひさしぶりー!ノンアルビールと、ノンアルのカクテル作れるシロップとかジュースとか持ってきた!!」
相変わらずのハイテンションでそう告げた谷津は、この2月の寒い時期なのに東弥と比べて随分と薄着をしている。
さすが馬鹿は風邪を引か…と、なんでもない。
「俺はデパートでお惣菜買ってきた。…って言っても、幹斗の料理には敵わないけど。」
東弥の方はそう言うと外気に晒された両手にほうっと白い息を吹きかけた。
ブランドもののカシミヤのマフラーにタートルのセーター、すらりとしたロングコートという雑誌のような着こなしをしてそんなことをするものだから、思わずモデルかよと突っ込みたくなる。
噂によると時々スカウトされるらしい。
「…料理のこと褒めすぎだよ。2人とも寒い中ありがとう、入って。」
「「お邪魔します。」」
ひとまず2人を中に入れ、ソファーに座るよう促す。
今日3人で会おうとしていたらたまたま由良さんが出張になったから、俺の家で会うことになったのだ。
居酒屋と比べて積もる話もしやすいし、何より食費が安く済む。
東弥が惣菜を買ってくると言うので俺はメインの手巻き寿司と簡単なおつまみを用意した。
2人の口に合えばいいな。
「はい、グラス。」
「ありがとう。俺と谷津はノンアルのビールにするね。幹斗は?」
グラスを渡せば東弥が自分と谷津のグラスにビールを注いだ後、俺にも気を遣って何がいいか聞いてくれる。優しい。
「…そこにあるカルピスで…。」
「やだカルピスなんて幹斗変態!!」
普通に答えたのに谷津が意味不明なツッコミを入れてきた。
何が変態だ。そもそも谷津が買ってきたレパートリーの中に入っているものなのに。
「カルピスと変態で等号が成り立つ理由がわからないんだけど…。東弥はわかる?」
「いや、特に関連はないと思う。」
一応東弥に意見を求めるが彼にもわからないみたいだ。
すると谷津が、人差し指を立てふふんと得意げな笑みを浮かべる。
「白くて粘性が…って、痛い痛い!!ほっぺたとれる!!」
なんだか嫌な予感がしたのでつい強くほっぺたを引っ張ってしまった。
「とりあえず淹れたから乾杯しよう。」
そう言って東弥がグラスを渡してくれる。
「うん。ありがとう、東弥。」
「じゃあ気を取り直して!!かんぱーい!!」
掛け声と共に“カン”、とグラスを打ち付ける音が部屋中に軽快に響いた。
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