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「それは確かに、その仮説で間違い無いだろうね。」

「…なんたる低確率事象…。びっくりして寝れなくなっちゃうやつだ…。」

昨夜のことについて全てを話しても、案外2人の反応は普通だった。

「どうしたの幹斗、驚いた顔して。」

首を傾げながら東弥が尋ねてくる。

「…二人が全然驚かないから….。」

「「だって幹斗はまだ好きなんでしょ?(だろ?)」」

2人がぴったりハモって答えてくれたことでさらに驚きながらも、胸がじんわりと温かくなった。友達ってすごい。

…俺、こんなに優しくしてもらっていいのかな。

「…うん。」

頷くと、2人は顔を見合わせて、仕方ないなあ、というように笑ってくれた。


由良さんが自分の父親だろうとわかったあとは、倫理的な問題とかも考えてすごく動揺したけれど、結局彼のことを好きだと思う気持ちが変わることはなかった。

それ以前にまず、正直祖父母に育てられた俺は、父親という存在の概念があまり形成されていないらしく、通常であれば持ち得る抵抗感が全くといっていいほどに無くて。

「それで幹斗は、これからどうするつもりなの?」

「えっ…?」

東弥の質問の意図がわからず戸惑う。

「新しい相手、見つけに行くの?」

…ああ、そういうことか。

「行かない。由良さんと会う前みたいに、クラブでたまにプレイ相手を探そうかなって。

…きっとずっと好きだから。」

ごめんね、東弥。東弥に迷惑はかけないから、このまま由良さんを好きでいる俺を許して。

「じゃあその人ともう一回話に行きなよ。」

呆れ口調で東弥が言う。

「…え、いや、だって俺、もう要らないって言われて… 」

「由良さんってさ、幹斗以外にパートナーがいたことなかったらしいよ。まあ、SランクのDomによくあることだけどね。

誰でもいいわけじゃ無いんだ。妥協して誰かとパートナーを組むこともできるけど、あの人は幹斗のこと、本当に大切に思ってる風だった。

SランクのDomが、自分から支配したいと望んだ相手を簡単に手放すことなんて絶対ない。…もしするとすればそれは…。

…まあとにかく、もう一回話し合いなよ。あの人時々あそこのBARに行ってるらしいし。幹斗だってあんな別れ方のままじゃ嫌でしょう?せめて気持ちの整理がつくように、一回冷静に話し合っておいでよ。」

どうして東弥がここまで由良さんのことについて詳しいのかは置いておいて、凄まじい暴論だ、と思った。
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