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ep34
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ぴったりと一葉の首にColorが巻かれていく。
「これでもう、離れないな。」
紅司が告げた、どこまでも優しい響きを持ったその言葉に、どっと堪えていた涙が溢れ出した。
後ろで、かちゃり、小さな鍵音がする。
このブランドのColorには、小さな鍵がついている。ColorをSubが自ら外すときは、革を刃物で断ち切るしかない。
「一葉、次はお前の番だ。こっちを向いて。」
「…?」
一葉の番、とはどういうことだろうか。これで一般的な儀式は終わりのはずだ。
それに、今紅司の方を向いたら、泣いていることがバレてしまう。
「早く。」
急かされて、仕方なくシャツの袖で涙をぬぐい、前を向いた。
「これは、特注で作ってもらった。その首輪とセットだ。この鍵は、一葉が持っていて欲しい。
俺は、お前のものになる。」
渡されたのは、一葉の首輪と同じ色、同じデザインの革製の腕輪だった。同じように鍵で止める仕組みになっており、Kの文字が刻まれている。
「えっと… 」
一葉は驚きを隠せなかった。
これはDomがつけるColor。
首輪と比べてかなりマイナーだが、犬の手綱を飼い主が腕に巻きつけて持つことを模して、パートナーの首輪と揃いの腕輪をつけるDomがごく稀にいると聞く。
かなりレアケースで、どこかで聞いたことがある、程度の話だ。
というのも、犬の手綱とは違い、この腕輪にSubをつなぐ強制力はない。
ただ、‘自分が誰かの主人である’という主張となるだけなのだ。
利き手につけるのは、腕時計との区別を図り見やすくするためであり、Domにとってなんの得にもならない。
「俺も一葉のパートナーである証が欲しい。それだけだ。
…一葉のものにして欲しい。」
優しく幼子に語りかけるように、紅司は一葉にそう伝えた。
もう、嫌だ。彼の言動に、好きすぎて、幸せすぎてどうにかなってしまいそうで。
「…あなたは俺に甘すぎます。」
照れ隠しに毒づきながら、細身ではあるが筋肉質な、がっしりとした右腕に腕輪を巻きつけていき、持ち手にダイヤがはめ込まれた小さな鍵をかける。
「惚れた弱みだ。」
紅司は嬉しそうにそういって、一葉の唇に淡雪のような軽くて優しいキスを落とした。
「これでもう、離れないな。」
紅司が告げた、どこまでも優しい響きを持ったその言葉に、どっと堪えていた涙が溢れ出した。
後ろで、かちゃり、小さな鍵音がする。
このブランドのColorには、小さな鍵がついている。ColorをSubが自ら外すときは、革を刃物で断ち切るしかない。
「一葉、次はお前の番だ。こっちを向いて。」
「…?」
一葉の番、とはどういうことだろうか。これで一般的な儀式は終わりのはずだ。
それに、今紅司の方を向いたら、泣いていることがバレてしまう。
「早く。」
急かされて、仕方なくシャツの袖で涙をぬぐい、前を向いた。
「これは、特注で作ってもらった。その首輪とセットだ。この鍵は、一葉が持っていて欲しい。
俺は、お前のものになる。」
渡されたのは、一葉の首輪と同じ色、同じデザインの革製の腕輪だった。同じように鍵で止める仕組みになっており、Kの文字が刻まれている。
「えっと… 」
一葉は驚きを隠せなかった。
これはDomがつけるColor。
首輪と比べてかなりマイナーだが、犬の手綱を飼い主が腕に巻きつけて持つことを模して、パートナーの首輪と揃いの腕輪をつけるDomがごく稀にいると聞く。
かなりレアケースで、どこかで聞いたことがある、程度の話だ。
というのも、犬の手綱とは違い、この腕輪にSubをつなぐ強制力はない。
ただ、‘自分が誰かの主人である’という主張となるだけなのだ。
利き手につけるのは、腕時計との区別を図り見やすくするためであり、Domにとってなんの得にもならない。
「俺も一葉のパートナーである証が欲しい。それだけだ。
…一葉のものにして欲しい。」
優しく幼子に語りかけるように、紅司は一葉にそう伝えた。
もう、嫌だ。彼の言動に、好きすぎて、幸せすぎてどうにかなってしまいそうで。
「…あなたは俺に甘すぎます。」
照れ隠しに毒づきながら、細身ではあるが筋肉質な、がっしりとした右腕に腕輪を巻きつけていき、持ち手にダイヤがはめ込まれた小さな鍵をかける。
「惚れた弱みだ。」
紅司は嬉しそうにそういって、一葉の唇に淡雪のような軽くて優しいキスを落とした。
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