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友人と遊園地②
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三澤がチャイムを押したのはあのLINEからぴったり15分後だった。
遊園地までは三澤の車で行く予定で、礼人は三澤の隣の助手席に座らせてもらう。
ちなみに後部座席に座っている翔は、同じ学部で三澤と同じサークルの同期だ。
三澤と翔の仲が良く、礼人も三澤と仲が良いことから、テスト期間などはよく一緒に勉強している。
一緒に遠出するのも今日で3回目で、夏休みには水族館に、秋には動物園と博物館に行った。
「礼人は朝ごはん食べた?」
「うん。」
「…にしては顔色悪いな。これやるよ。今日は忙しいからな。」
運転しながら何やらあやしげな笑みを浮かべた三澤にカ◯リーメイトを差し出され、礼人は礼を言いながらそれを受け取ると、一口含んだ。
「あっ、チョコ味。おいしい…。」
「それは良かった。帰省すると親がくれるんだけど、俺はチーズ味が好きだからチョコとかメープルは余ってて。礼人は何が一番好き?」
「えっと、メープルかな?」
「メープル味?葵と同じだ。ところで最近先輩とはどう?うまくやってるか?」
「えっ…と… 」
唐突に北瀬の話題が出て、礼人はどう答えようかと視線を泳がせる。
まず、後ろに座っている翔は北瀬と礼人のことについて知らない。それに、三澤にもまだ別れたことは言えないでいる。でも、取り繕うにも礼人は嘘をつくことがとても苦手だ。
気まずい沈黙が流れ、三澤の口元に何とも言えない戸惑いが浮かぶ。
__…どうしよう、何か言わなくちゃ…。
「えっと…「そ、そう言えばさ、北瀬先輩って知ってる?」
何か言おうと礼人が重たい口を開こうとした時、先ほどから黙っていた翔が突然切り出した。
タイミング的に気まずい雰囲気をどうにかしようと話題を変えてくれたのだろうが、なんの因果か北瀬の話題から抜け出せていない。
「き、北瀬先輩って、北瀬莉杜、先輩…?」
せめて変な方向に話題が逸れないように、礼人は翔の話に合わせることにした。
「そうそう。まあ有名人だし礼人も知ってるか。オレ4年生からあの人と同じ研究室行きたくて、あの人の実験に時々同行させてもらってるんだけどさ、2週間前からめちゃくちゃ様子変なの。
何も喋らないから氷王子って言われてたのにいきなり喋るようになるし、でも抜け殻みたいにずーっとぼうっとしてるんだよね。」
「えっ、話っ……そうなんだ。話せるようになって良かったね。でも、抜け殻って…?」
「実験中はため息ついたり空見てばっかだし、一昨日なんてエラー出しすぎて教授に“4月になるまで来るな”って怒られてた。言葉で意思疎通できないのにそんなこと構わずあんなに研究に熱中していた人が、180度別人になった感じ。
お世話になってるからなんか元気付けたいんだけど、礼人はなんかいい案ない?」
「なんでだろう…?」
答えが見つからず、礼人は眉を顰める。
考えることがたくさんあって、整理しきれない。
2週間前から話せるようになったというけれど、それは礼人と別れたことが関係しているのだろうか。
でも、北瀬は礼人と出会う前から話せなかったはずだし、流石に考えすぎだろうか。
もうひとつ、抜け殻みたい、というのも気になる。
だって、それが本当なら今の北瀬は礼人と同じだ。
北瀬に笑っていて欲しくて彼から離れたのに、どうして抜け殻みたいになってしまったのだろう。
何か原因があるのならそばに行って聞いて支えてあげたいけれど、今の礼人にはそれすら叶わないから、苦しくてたまらない。
「理由がわかったらオレも苦労しないんだけどね。」
翔が苦笑いして、礼人もそうだねと頷いた。
遊園地までは三澤の車で行く予定で、礼人は三澤の隣の助手席に座らせてもらう。
ちなみに後部座席に座っている翔は、同じ学部で三澤と同じサークルの同期だ。
三澤と翔の仲が良く、礼人も三澤と仲が良いことから、テスト期間などはよく一緒に勉強している。
一緒に遠出するのも今日で3回目で、夏休みには水族館に、秋には動物園と博物館に行った。
「礼人は朝ごはん食べた?」
「うん。」
「…にしては顔色悪いな。これやるよ。今日は忙しいからな。」
運転しながら何やらあやしげな笑みを浮かべた三澤にカ◯リーメイトを差し出され、礼人は礼を言いながらそれを受け取ると、一口含んだ。
「あっ、チョコ味。おいしい…。」
「それは良かった。帰省すると親がくれるんだけど、俺はチーズ味が好きだからチョコとかメープルは余ってて。礼人は何が一番好き?」
「えっと、メープルかな?」
「メープル味?葵と同じだ。ところで最近先輩とはどう?うまくやってるか?」
「えっ…と… 」
唐突に北瀬の話題が出て、礼人はどう答えようかと視線を泳がせる。
まず、後ろに座っている翔は北瀬と礼人のことについて知らない。それに、三澤にもまだ別れたことは言えないでいる。でも、取り繕うにも礼人は嘘をつくことがとても苦手だ。
気まずい沈黙が流れ、三澤の口元に何とも言えない戸惑いが浮かぶ。
__…どうしよう、何か言わなくちゃ…。
「えっと…「そ、そう言えばさ、北瀬先輩って知ってる?」
何か言おうと礼人が重たい口を開こうとした時、先ほどから黙っていた翔が突然切り出した。
タイミング的に気まずい雰囲気をどうにかしようと話題を変えてくれたのだろうが、なんの因果か北瀬の話題から抜け出せていない。
「き、北瀬先輩って、北瀬莉杜、先輩…?」
せめて変な方向に話題が逸れないように、礼人は翔の話に合わせることにした。
「そうそう。まあ有名人だし礼人も知ってるか。オレ4年生からあの人と同じ研究室行きたくて、あの人の実験に時々同行させてもらってるんだけどさ、2週間前からめちゃくちゃ様子変なの。
何も喋らないから氷王子って言われてたのにいきなり喋るようになるし、でも抜け殻みたいにずーっとぼうっとしてるんだよね。」
「えっ、話っ……そうなんだ。話せるようになって良かったね。でも、抜け殻って…?」
「実験中はため息ついたり空見てばっかだし、一昨日なんてエラー出しすぎて教授に“4月になるまで来るな”って怒られてた。言葉で意思疎通できないのにそんなこと構わずあんなに研究に熱中していた人が、180度別人になった感じ。
お世話になってるからなんか元気付けたいんだけど、礼人はなんかいい案ない?」
「なんでだろう…?」
答えが見つからず、礼人は眉を顰める。
考えることがたくさんあって、整理しきれない。
2週間前から話せるようになったというけれど、それは礼人と別れたことが関係しているのだろうか。
でも、北瀬は礼人と出会う前から話せなかったはずだし、流石に考えすぎだろうか。
もうひとつ、抜け殻みたい、というのも気になる。
だって、それが本当なら今の北瀬は礼人と同じだ。
北瀬に笑っていて欲しくて彼から離れたのに、どうして抜け殻みたいになってしまったのだろう。
何か原因があるのならそばに行って聞いて支えてあげたいけれど、今の礼人にはそれすら叶わないから、苦しくてたまらない。
「理由がわかったらオレも苦労しないんだけどね。」
翔が苦笑いして、礼人もそうだねと頷いた。
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