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ss2「サンタさんの正体は」
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しおりを挟むお昼の時間、テオはいつも自分が(たまにアシュリーが)作ったお弁当を、会社から徒歩3分の公園で一人で食べる。
一つ目の理由は、一人だけ個室を与えられ、なおかつ社長にかなり甘やかされているため、妬まれることも多く、仲のいい同僚がいないから。
二つ目の理由は、アシュリーやノア、カルロさんやアメリアさんなどの知り合いであれば大丈夫だが、まだ人と打ち解け合うことに慣れていないからだ。
だいたいいつもサンドイッチで、時々デザートにアメリアさんからの焼き菓子を持っていく。
ちなみに今日は久しぶりの行為のせいか朝がだるくて起きれずに、アシュリーが生ハムとレタスをバケットに挟んだサンドイッチを作ってくれた。硬くて少し塩気のあるバケットはテオが大好きなものの一つだ。
「いただきます。」
誰にも聞こえないように静かにいうと、後ろから笑い声が聞こえてきた。
振り返るとそこには、ロナルドがこちらを見て口を押さえて笑っている。
何か面白いものでもあったのだろうか。
…まあ僕には関係ないな。
そう思いサンドイッチを食べ始める。塩気がちょうどよく効いていてとても美味しい。しかも作ってくれたのがアシュリーだと思うとさらに美味しく感じる。
「テオ、無視なんてひどいじゃないか。」
ぽん、と肩に手が置かれる。無視した覚えは全くない。ただ後ろで何かを見て笑っていたから、声をかける必要はないと思っただけだ。
「なんのこと…?」
「冷たい!!」
「寒いよね?」
「… 」
なんとも言えない表情でロナルドはテオの方を見つめている。静かだな、と思う。こんなに彼が静かなのは珍しい。
「テオ、クリスマスの予定、空いてないかな?」
唐突に聞かれ、驚く。なぜ2ヶ月先のクリスマスのことについて今…?いや、でもアシュリーと過ごすことになるだろう。もしかしたらノアとカルロさんもいるかも、、、?アメリアさんとか…
「空いてないけど、どうして?」
「嘘だ!!」
目の前で頭を抱えて悲痛な声を上げられた。
…嘘を言う必要がどこに。家族と過ごして何が悪いのか。
そのままロナルドは去っていき、会社に戻る直前偶然会った隣の会社の副社長さんにも全く同じことを言われた。ちなみに返した返事も帰ってきた反応も全く同じ。
不吉なことが起こったわけではないが、面倒臭い1日だと、そのくらいに思っていた。
しかし退社の直後、その不吉な予想は見事に当たってしまうことになる。
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