42 / 52
Special Episode:私とアリサさん
第43話 デジャヴ?
しおりを挟む――これは少し前、エドと喧嘩して少し経った2月の初めのお話。
「温泉、ですか?」
「ああ。旅人から聞いたのだが、セント・ジョーズ・ワートの北にあるらしいんだ」
「旅人ってドスさんとこに宿に滞在している男のことですか」
「なんだエドは知ってたのか。そうだ。アタシもここに来る前は旅をしていたからな。少し興味があって話を聞きに行ったんだ」
アリサさんの話だとその旅人は先ほど村を後にしたそうだけど、温泉には病気や怪我を癒す効果もあるみたい。ちょっと気になるかな。
「その温泉ってなにか効能とかあるんですか」
「皮膚病や肩こり、あとは美肌に効果があるらしいな」
「皮膚病と肩こりですか。それはちょっと気になりますね」
「美肌はどうでも良いんだな」
「エドはお給金減額ね。女の子に失礼だよ」
まったく。エドったら一言多いんだから。私だってそれなりには興味はあるんだからね。まぁ、皮膚病や肩こりに効くって方が気になるのはほんとだけどね。
「湯治って言う歴とした治療法があるのは知ってるけど、どんな作用で効果が出るのかは分かってないの。薬師としては気になって仕方ないよ」
「まさか行くとか言わないよな」
「留守番お願いね」
「留守番決定なのかよ。アリサさんはどうするんですか?」
「ぜひ行きたいな。美肌効果があるって言うのは気になるからな」
「アリサさん見せる相手いましたっけ?」
「ソフィー殿、エドの給金ゼロにしてくれ」
「もちろんです」
ニコッと満面の笑みで応える私。まさかエドが私以外に悪口言うとは思わなかったけど、アリサさんもなかなかだよね。私だってお給金ゼロなんて言った事ないのに。でもこれじゃさすがにエドが可哀そうかな。
「エドも行く?」
「誰が店番するんだよ」
「う~ん。エド?」
「だろ? 俺は留守番で良いよ。それに……」
「なに?」
「聞いた話だとちゃんと男女別になってるそうだぞ」
「え、そうなんですか」
「さすがに混浴はアタシも無理だぞ。まぁ、年頃だし気持ちはわからんでもないが」
「エド~」
「違う! 俺は別にっ!」
あ、エドが慌ててる。顔を赤くして慌てふためく姿はなんだか新鮮だな。それにしても、エドもそういうことを想像しちゃうんだね。
「なに笑ってんだよ」
「ちゃんとお土産買ってくるから留守番お願いね」
「わかってるよ。アリサさん、コイツがハメ外し過ぎないように監視お願いしますね」
「ちょっと! 私が子供みたいじゃない!」
「子供だろ。全体的に」
「う、うるさい! いつかアリサさんみたいになるんだから!」
「だそうですよ。アリサさん、楽しみですね」
「ああ。楽しみだな」
「もう二人ともバカにして~」
期待なんてしていないという顔のエド。それに何処か余裕の表情を見せるアリサさんを前にいつか絶対見返してやると心に誓う私でした。そういえば、こんなやり取りオイスターモドキの時にしたような……
10
お気に入りに追加
13
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します
潮ノ海月@書籍発売中
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる!
トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。
領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。
アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。
だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう
完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。
果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!?
これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。
一人だけ竜が宿っていた説。~異世界召喚されてすぐに逃げました~
十本スイ
ファンタジー
ある日、異世界に召喚された主人公――大森星馬は、自身の中に何かが宿っていることに気づく。驚くことにその正体は神とも呼ばれた竜だった。そのせいか絶大な力を持つことになった星馬は、召喚した者たちに好き勝手に使われるのが嫌で、自由を求めて一人その場から逃げたのである。そうして異世界を満喫しようと、自分に憑依した竜と楽しく会話しつつ旅をする。しかし世の中は乱世を迎えており、星馬も徐々に巻き込まれていくが……。
異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた
りゅう
ファンタジー
異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。
いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。
その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。
家ごと異世界ライフ
ねむたん
ファンタジー
突然、自宅ごと異世界の森へと転移してしまった高校生・紬。電気や水道が使える不思議な家を拠点に、自給自足の生活を始める彼女は、個性豊かな住人たちや妖精たちと出会い、少しずつ村を発展させていく。温泉の発見や宿屋の建築、そして寡黙なドワーフとのほのかな絆――未知の世界で織りなす、笑いと癒しのスローライフファンタジー!
旦那様が多すぎて困っています!? 〜逆ハー異世界ラブコメ〜
ことりとりとん
恋愛
男女比8:1の逆ハーレム異世界に転移してしまった女子大生・大森泉
転移早々旦那さんが6人もできて、しかも魔力無限チートがあると教えられて!?
のんびりまったり暮らしたいのにいつの間にか国を救うハメになりました……
イケメン山盛りの逆ハーです
前半はラブラブまったりの予定。後半で主人公が頑張ります
小説家になろう、カクヨムに転載しています
神様のミスで女に転生したようです
結城はる
ファンタジー
34歳独身の秋本修弥はごく普通の中小企業に勤めるサラリーマンであった。
いつも通り起床し朝食を食べ、会社へ通勤中だったがマンションの上から人が落下してきて下敷きとなってしまった……。
目が覚めると、目の前には絶世の美女が立っていた。
美女の話を聞くと、どうやら目の前にいる美女は神様であり私は死んでしまったということらしい
死んだことにより私の魂は地球とは別の世界に迷い込んだみたいなので、こっちの世界に転生させてくれるそうだ。
気がついたら、洞窟の中にいて転生されたことを確認する。
ん……、なんか違和感がある。股を触ってみるとあるべきものがない。
え……。
神様、私女になってるんですけどーーーー!!!
小説家になろうでも掲載しています。
URLはこちら→「https://ncode.syosetu.com/n7001ht/」
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる