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売り上げを伸ばしながらクエスト
テスト
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テストを忘れて私達は酒場で飲んで笑って、解散してログアウトしたのは0時。
ゲーム内の食事で満腹になっても、それは現実には引き継がれない。
ゲームをログアウトすれば、現実に帰ってきたときはお腹がまた空く。
さすがに、食事まではリンクできないよね。できたら現実での食費が楽なんだけど……。
ゲームからログアウトして、現実世界の自室に戻ってきた私と姉は夜中のカップラーメンを食べた。
「何か明日あったようなか気がするんだけど、お姉ちゃん覚えてる?」
「いや? 鼎とアキラ君の交際に驚いたあまり忘れたな」
そして当日になり、一発目の午前の授業が始まる8時30分。
私は取っていた科学の授業に出るため1階の講演室に入ると、なぜかみんな静かに座っていた。
私は空いていた席に座り、机に置かれたプリントに気づいた。
表紙には「科学テスト1」と書かれていた。
やばい……ゲームばっかりで忘れてた。テストがあるんだった。
何も勉強をしていない私は、テスト開始まで科学の参考書を読もうと鞄から取り出そうとすると──横に誰かが座った。
「朝からテストだったねー」
「なぜここにいるんですか……可憐さん」
「単位足りてなかったみたいなのー」
「……可憐さん科学できますか?」
単位不足で一年の科学テストに参加した可憐さんが私の横に座っている。
私は可憐さんに、科学をできるか聞いたところ──笑顔でスルーをされてしまった。
これは可憐さんお得意の逃げ方。
カチーシェさんとルルさんにはこれでいつも逃げている可憐さん。でも、私は逃さない。
ある噂で、可憐さんは大学内で一番の学力を持っていると聞いたことがある。
だったら、可憐さんに教えてもらえば多少の点数アップになる。
「可憐さんなら分かりますよねー?」
「んー。分からないですねー」
「……可憐さんって学内でトップの学力の持ち主ですよね?」
「それは双子の可憐ではなく、可鱗《かりん》のほうだよー?」
……。
可憐──可鱗。
まさかの双子の片割れが有名人だったんですか……可憐さん。
これは本人には言えない心の内の思いだけれど、可憐さんは見た目からして勉強はできなそう。自然と天然を極めた人のようにしか見えない。
ここで片割れの可鱗さんが来てくれれば──
「あなたが可憐のお友達の……リミアさんですか?」
「リミアではなく鼎です。……可憐さんいつの間に移動したんですか?」
「いえいえー、可鱗です♡」
私の右側の席に座っていた可憐さんが、いつの間にか左側に移動していると思ったら……まさかの左側に座っていたのは可鱗さんだった。
顔が瓜ふたつで、前髪の流してある方向が違うだけ。
可憐さんは右に流してあり、可鱗さんは左に流している。
私は左手の甲に、名前ペンで二人の名前を書き、その横に前髪の流してある方向を書いて判断できるようにした。
「あのう……それで可鱗さんは勉強は得意ですか?」
「なんとなくやってたら一番なんて言われちゃっただけですよ?」
「それでもいいので教えてもらっても!?」
なんとなくやっていてでも、一番を取れているなら是非教えてもらいたい。
と思い、参考書を見せようとすると──
「この紙一枚あれば、今日は満点いけると思いますよ?」
「本当ですか? それはそれで──次元が違って着いていけなさそうなんですけど……」
「今日は単語さえ覚えていればオッケなので、しっかり覚えてくださいね、フフフ」
手を口の前に持っていき、可憐さんそっくりの笑顔で上品に微笑んだ可鱗さんは、一枚の紙に単語を書いていきながら使い方を丁寧に教えてくれた。
問題文にこの単語があれば、この単語。と、言うように問題文との組み合わせまで教えてもらった私は、全欄埋めることができた。
「可鱗さんありがとうございました!」
「いえいえ、当たり前のことをしただけですよ? それより……私の片割れが役に立てず申し訳ありませんでした」
「いえいえ! いつも可憐さんにはお世話になっています!」
可鱗さんは可憐さんの頭を鷲掴みにし、無理矢理頭を押した。
ちなみに、テストが終了し、回収される前に私が可憐さんの答案用紙を見ると……とても素晴らしい仕上がりで、解答欄が真っ白だった。
可憐さんは何も解けなかったわけではなく、爆睡していた。
テスト開始から、テスト終了まで爆睡していた可憐さんは、多分この後呼び出しを受けるはず……。
最初から最後まで爆睡なんて……逆によくできたよね可憐さん。
講演室を出て、次の教室に移ろうとすると可鱗さんに肩を叩かれた。
ちょうど1階から2階へ上がろうと階段の1段目を踏んだところだった。
「可鱗さんどうしました?」
「次って──現代社会ですか?」
「あ、はい! 可鱗さんもですか?」
「はい、一緒に行きませんか? お話でもしながら」
ゲーム内の食事で満腹になっても、それは現実には引き継がれない。
ゲームをログアウトすれば、現実に帰ってきたときはお腹がまた空く。
さすがに、食事まではリンクできないよね。できたら現実での食費が楽なんだけど……。
ゲームからログアウトして、現実世界の自室に戻ってきた私と姉は夜中のカップラーメンを食べた。
「何か明日あったようなか気がするんだけど、お姉ちゃん覚えてる?」
「いや? 鼎とアキラ君の交際に驚いたあまり忘れたな」
そして当日になり、一発目の午前の授業が始まる8時30分。
私は取っていた科学の授業に出るため1階の講演室に入ると、なぜかみんな静かに座っていた。
私は空いていた席に座り、机に置かれたプリントに気づいた。
表紙には「科学テスト1」と書かれていた。
やばい……ゲームばっかりで忘れてた。テストがあるんだった。
何も勉強をしていない私は、テスト開始まで科学の参考書を読もうと鞄から取り出そうとすると──横に誰かが座った。
「朝からテストだったねー」
「なぜここにいるんですか……可憐さん」
「単位足りてなかったみたいなのー」
「……可憐さん科学できますか?」
単位不足で一年の科学テストに参加した可憐さんが私の横に座っている。
私は可憐さんに、科学をできるか聞いたところ──笑顔でスルーをされてしまった。
これは可憐さんお得意の逃げ方。
カチーシェさんとルルさんにはこれでいつも逃げている可憐さん。でも、私は逃さない。
ある噂で、可憐さんは大学内で一番の学力を持っていると聞いたことがある。
だったら、可憐さんに教えてもらえば多少の点数アップになる。
「可憐さんなら分かりますよねー?」
「んー。分からないですねー」
「……可憐さんって学内でトップの学力の持ち主ですよね?」
「それは双子の可憐ではなく、可鱗《かりん》のほうだよー?」
……。
可憐──可鱗。
まさかの双子の片割れが有名人だったんですか……可憐さん。
これは本人には言えない心の内の思いだけれど、可憐さんは見た目からして勉強はできなそう。自然と天然を極めた人のようにしか見えない。
ここで片割れの可鱗さんが来てくれれば──
「あなたが可憐のお友達の……リミアさんですか?」
「リミアではなく鼎です。……可憐さんいつの間に移動したんですか?」
「いえいえー、可鱗です♡」
私の右側の席に座っていた可憐さんが、いつの間にか左側に移動していると思ったら……まさかの左側に座っていたのは可鱗さんだった。
顔が瓜ふたつで、前髪の流してある方向が違うだけ。
可憐さんは右に流してあり、可鱗さんは左に流している。
私は左手の甲に、名前ペンで二人の名前を書き、その横に前髪の流してある方向を書いて判断できるようにした。
「あのう……それで可鱗さんは勉強は得意ですか?」
「なんとなくやってたら一番なんて言われちゃっただけですよ?」
「それでもいいので教えてもらっても!?」
なんとなくやっていてでも、一番を取れているなら是非教えてもらいたい。
と思い、参考書を見せようとすると──
「この紙一枚あれば、今日は満点いけると思いますよ?」
「本当ですか? それはそれで──次元が違って着いていけなさそうなんですけど……」
「今日は単語さえ覚えていればオッケなので、しっかり覚えてくださいね、フフフ」
手を口の前に持っていき、可憐さんそっくりの笑顔で上品に微笑んだ可鱗さんは、一枚の紙に単語を書いていきながら使い方を丁寧に教えてくれた。
問題文にこの単語があれば、この単語。と、言うように問題文との組み合わせまで教えてもらった私は、全欄埋めることができた。
「可鱗さんありがとうございました!」
「いえいえ、当たり前のことをしただけですよ? それより……私の片割れが役に立てず申し訳ありませんでした」
「いえいえ! いつも可憐さんにはお世話になっています!」
可鱗さんは可憐さんの頭を鷲掴みにし、無理矢理頭を押した。
ちなみに、テストが終了し、回収される前に私が可憐さんの答案用紙を見ると……とても素晴らしい仕上がりで、解答欄が真っ白だった。
可憐さんは何も解けなかったわけではなく、爆睡していた。
テスト開始から、テスト終了まで爆睡していた可憐さんは、多分この後呼び出しを受けるはず……。
最初から最後まで爆睡なんて……逆によくできたよね可憐さん。
講演室を出て、次の教室に移ろうとすると可鱗さんに肩を叩かれた。
ちょうど1階から2階へ上がろうと階段の1段目を踏んだところだった。
「可鱗さんどうしました?」
「次って──現代社会ですか?」
「あ、はい! 可鱗さんもですか?」
「はい、一緒に行きませんか? お話でもしながら」
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