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アールランドリー大陸編
トールキールランド攻略戦ーその⑤
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トールキールランドはエルフとダークエルフにより構成される国であり、最高統治者は国王ではあるが、これは世襲制ではなく、王が死ねば次の選挙を前に統治していた国王とは異なる種族から選ばなければならない。
言うなれば、終身制の大統領とでも言うべき地位であると言っても良いだろう。
この制度を苦々しく思う国王は過去に何人も居たに違いない。
だが、誰もそれを口には出さない。それが暗黙のルールだと国王に就任した人間の誰もが知っていたからだ。
加えて、この制度を作ったのは建国の英雄にして通常のエルフとダークエルフのハーフ、カイロー・ホースであった。
カイロー・ホースは即位式を終わらせるのと同時に、バルコニーの前に集まる大衆達に向かってこう演説したという。
「ここに集いし、エルフ族に、ダークエルフ族の諸君!私はこの度、王に就任したカイロー・ホースである!まずは礼を言わせてもらいたい!私の統一を手伝ってくれてありがとう!諸君らの協力もあり、今日、私はここに悪逆非道なダークエルフ族の国王にして大陸の皇帝を自称するザルタンより、王位を簒奪する事に成功した!」
記録によれば、その日、王宮のバルコニーの下に集った大衆のみならず、その知らせを後に知った地方の民や山々に住むエルフ、ダークエルフ、それに海の近くに居を構えるエルフ、ダークエルフといった辺境の民の耳にも王の感謝の言葉は届けられたという。
後年にも伝えられており、これは当時のカイロー・ホース人気がどれほど高かったのかを示す重要なエピソードだと知られており、現在でも国王の帝王学の教授がよくこのエピソードを引用すると言われている。
だが、それ以上に強烈な印象を当時の人々にもそして、後世の人々にも与えたのはカイロー・ホースの次の台詞であった。
彼はバルコニーの下に集まった大衆達のざわめきが落ち着くのを待ってから、大きく声を張り上げて、
「だが、私は自分の子供を王位に継がせる気は無いという事を主張しようではないか!私の次の王はエルフか、ダークエルフから選び、それを次の王にするという事をここに宣言しようではないかッ!」
このカイロー・ホースの演説により、トールキルランドを統治せし、国王は終身制ではあっても、世襲制ではない事、次の王は異なる種族の人間から有能な人間を選出し、国王として選出する事が決定付けられた。
実際に、英雄にして建国の王カイローは崩御した際に、子孫には何も残さないと記された紙を残していたという。
この建国王の犠牲精神により、国王制度は世襲ではなく、選挙、一種族による独裁ではなく、二種族による選挙が引き継がれていったのであった。
アラトスは英雄にして建国の王カイロー・ホースの回顧録を閉じ、大きな溜息を吐く。
そして、褐色の肌の尖った耳の現国王、アラトスは窓の近くに存在する王のために用意された広くて大きな寝台の上に大の字になって横たわる。
寝台の横には小物を詰めるためのサイドテーブル、足元にはクローゼット。
地面には動物の毛で覆われた絨毯。
間違いなく、ここは王の寝室であった。
窓の側の寝台の上で寝転ぶアラトスはその褐色肌から分かる様に、ダークエルフであり、この年195歳になる老齢の王である。
エルフ並びにダークエルフの寿命は平均、200歳と言われており、彼にもその平均寿命とされる年齢が近付いて来ている事を知っていた。
その証拠として、若い頃ならば掛からなかったであろう喘息やら突如、発作的に胸が痛む病等を罹っていた。
自分が死ぬのは良い。死ねば今まで通りに内政を上手く行い、北部とも中部とも揉め事を起こさなかった良き統治者として名を残すだろう。
だが、気掛かりなのは一人息子のパールとその家族であった。
パールは幼少期から貧乏な家庭であり、尚且つ母親を幼い頃に事故で亡くし、家庭の面倒を押し付けていたという負い目とずっと寂しい思いをさせていたという負い目が一人息子にはある。
それだけに、楽をさせたくて彼は勤労の傍に眠る暇さえも惜しみ、勉学に勤しんでから、政界に入り、頭角を現し、とうとう国王にまで就任したのだった。
自分一人だけならば満ち足りた人生であったと言えるだろう。
だが、あの子はまだ96歳。自分が死ぬのと同時に王子ではなく、平民として放り出されるのには不憫すぎる年だ。加えて、彼には94歳になる妻と48歳となる息子がいた。
彼らもどうするのだろう。主人、父親共々放逐されても行き場所は無いだろう。
政治家を目指すとしても、かつての王就任者への風当たりは強いだろうし、新たに何処かで雇ってくれる可能性は少ない。こんな中途半端な年齢の人間など、どこも雇ってはくれないだろう。
王子とその家族では職歴にはならない。
長い空白期間を指摘され、追い出される可能性がある。
そうなれば、後に待つのは露頭に迷っての死。
老齢の王はかつての英雄、カイローを激しく憎む。
彼は誰もが幸せになれるようにこの制度を整えたつもりだろうが、王位を退いた後の家族の事までは想定していなかったのだろう。
自然、歯が軋む。気が付けば、両手に広げていた回顧録がプルプルと震えている。そして、回顧録を寝室の地面の上に叩き付けた時だ。
背後から風の吹く音が聞こえた。扉はきちりと閉めた筈だ。
彼が背後を振り向くと、そこには大きく開いていた窓。そして、大きな音を立てて吹き付ける風の音。
そして、
「今晩わ、今日は月が綺麗ですね?」
と、言う思わず聞く者をうっとりさせる程の綺麗な女性の声。
王が背後を振り向くと、そこには長い金髪に奇妙な服を纏った女性が立っていた。
長い金髪の女性は丁寧に頭を下げてから、
「お初にお目に掛かります。国王陛下。私の名前はシャーロット・A・ペンドラゴン。魔界の摂政にして世界皇帝、シリウスの妹です」
その言葉にアラトスは思わず言葉を失ってしまう。
魔界の摂政、世界皇帝を名乗り大陸を蹂躙していく悪魔のような男。
その言葉を聞き、アラトスは何か言いたげに口を動かそうとするが、先程と同様に言葉は出ない。
やむを得ずに、その場から逃れようとするが、首元に何やら冷たいものが当てられている事に気が付く。
いや、これは冷たいものではない。再び目を凝らすと、彼の首元には黒い先端の尖ったナイフのような刃物が突き付けられていた。
アラトスが恐る恐る背後を振り向くと、そこには満面の笑みを浮かべた両頬に傷を付けた得体の知れない柿色の服を着た男が立っていた。
「お初にお目に掛かりまする。私の名前は降魔霊蔵。名前だけでも覚えておいてくれると嬉しいですなぁ~」
霊蔵なる男はニヤニヤとした様子で手に握った刃物でアラトスの首元を刺激していた。
いつ、切られてもおかしくはない。だが、アラトスは恐怖に打ち勝ち、なんとか言葉を絞り出す。
「お、お前達、要求は何だ?」
「なぁに、至極単純な話でござるよ」
「ええ、私達のお話を聞いてくれるだけでよろしいのですわ」
長い金髪の女は何処からか取り出した長剣を突き付けながら言った。
言うなれば、終身制の大統領とでも言うべき地位であると言っても良いだろう。
この制度を苦々しく思う国王は過去に何人も居たに違いない。
だが、誰もそれを口には出さない。それが暗黙のルールだと国王に就任した人間の誰もが知っていたからだ。
加えて、この制度を作ったのは建国の英雄にして通常のエルフとダークエルフのハーフ、カイロー・ホースであった。
カイロー・ホースは即位式を終わらせるのと同時に、バルコニーの前に集まる大衆達に向かってこう演説したという。
「ここに集いし、エルフ族に、ダークエルフ族の諸君!私はこの度、王に就任したカイロー・ホースである!まずは礼を言わせてもらいたい!私の統一を手伝ってくれてありがとう!諸君らの協力もあり、今日、私はここに悪逆非道なダークエルフ族の国王にして大陸の皇帝を自称するザルタンより、王位を簒奪する事に成功した!」
記録によれば、その日、王宮のバルコニーの下に集った大衆のみならず、その知らせを後に知った地方の民や山々に住むエルフ、ダークエルフ、それに海の近くに居を構えるエルフ、ダークエルフといった辺境の民の耳にも王の感謝の言葉は届けられたという。
後年にも伝えられており、これは当時のカイロー・ホース人気がどれほど高かったのかを示す重要なエピソードだと知られており、現在でも国王の帝王学の教授がよくこのエピソードを引用すると言われている。
だが、それ以上に強烈な印象を当時の人々にもそして、後世の人々にも与えたのはカイロー・ホースの次の台詞であった。
彼はバルコニーの下に集まった大衆達のざわめきが落ち着くのを待ってから、大きく声を張り上げて、
「だが、私は自分の子供を王位に継がせる気は無いという事を主張しようではないか!私の次の王はエルフか、ダークエルフから選び、それを次の王にするという事をここに宣言しようではないかッ!」
このカイロー・ホースの演説により、トールキルランドを統治せし、国王は終身制ではあっても、世襲制ではない事、次の王は異なる種族の人間から有能な人間を選出し、国王として選出する事が決定付けられた。
実際に、英雄にして建国の王カイローは崩御した際に、子孫には何も残さないと記された紙を残していたという。
この建国王の犠牲精神により、国王制度は世襲ではなく、選挙、一種族による独裁ではなく、二種族による選挙が引き継がれていったのであった。
アラトスは英雄にして建国の王カイロー・ホースの回顧録を閉じ、大きな溜息を吐く。
そして、褐色の肌の尖った耳の現国王、アラトスは窓の近くに存在する王のために用意された広くて大きな寝台の上に大の字になって横たわる。
寝台の横には小物を詰めるためのサイドテーブル、足元にはクローゼット。
地面には動物の毛で覆われた絨毯。
間違いなく、ここは王の寝室であった。
窓の側の寝台の上で寝転ぶアラトスはその褐色肌から分かる様に、ダークエルフであり、この年195歳になる老齢の王である。
エルフ並びにダークエルフの寿命は平均、200歳と言われており、彼にもその平均寿命とされる年齢が近付いて来ている事を知っていた。
その証拠として、若い頃ならば掛からなかったであろう喘息やら突如、発作的に胸が痛む病等を罹っていた。
自分が死ぬのは良い。死ねば今まで通りに内政を上手く行い、北部とも中部とも揉め事を起こさなかった良き統治者として名を残すだろう。
だが、気掛かりなのは一人息子のパールとその家族であった。
パールは幼少期から貧乏な家庭であり、尚且つ母親を幼い頃に事故で亡くし、家庭の面倒を押し付けていたという負い目とずっと寂しい思いをさせていたという負い目が一人息子にはある。
それだけに、楽をさせたくて彼は勤労の傍に眠る暇さえも惜しみ、勉学に勤しんでから、政界に入り、頭角を現し、とうとう国王にまで就任したのだった。
自分一人だけならば満ち足りた人生であったと言えるだろう。
だが、あの子はまだ96歳。自分が死ぬのと同時に王子ではなく、平民として放り出されるのには不憫すぎる年だ。加えて、彼には94歳になる妻と48歳となる息子がいた。
彼らもどうするのだろう。主人、父親共々放逐されても行き場所は無いだろう。
政治家を目指すとしても、かつての王就任者への風当たりは強いだろうし、新たに何処かで雇ってくれる可能性は少ない。こんな中途半端な年齢の人間など、どこも雇ってはくれないだろう。
王子とその家族では職歴にはならない。
長い空白期間を指摘され、追い出される可能性がある。
そうなれば、後に待つのは露頭に迷っての死。
老齢の王はかつての英雄、カイローを激しく憎む。
彼は誰もが幸せになれるようにこの制度を整えたつもりだろうが、王位を退いた後の家族の事までは想定していなかったのだろう。
自然、歯が軋む。気が付けば、両手に広げていた回顧録がプルプルと震えている。そして、回顧録を寝室の地面の上に叩き付けた時だ。
背後から風の吹く音が聞こえた。扉はきちりと閉めた筈だ。
彼が背後を振り向くと、そこには大きく開いていた窓。そして、大きな音を立てて吹き付ける風の音。
そして、
「今晩わ、今日は月が綺麗ですね?」
と、言う思わず聞く者をうっとりさせる程の綺麗な女性の声。
王が背後を振り向くと、そこには長い金髪に奇妙な服を纏った女性が立っていた。
長い金髪の女性は丁寧に頭を下げてから、
「お初にお目に掛かります。国王陛下。私の名前はシャーロット・A・ペンドラゴン。魔界の摂政にして世界皇帝、シリウスの妹です」
その言葉にアラトスは思わず言葉を失ってしまう。
魔界の摂政、世界皇帝を名乗り大陸を蹂躙していく悪魔のような男。
その言葉を聞き、アラトスは何か言いたげに口を動かそうとするが、先程と同様に言葉は出ない。
やむを得ずに、その場から逃れようとするが、首元に何やら冷たいものが当てられている事に気が付く。
いや、これは冷たいものではない。再び目を凝らすと、彼の首元には黒い先端の尖ったナイフのような刃物が突き付けられていた。
アラトスが恐る恐る背後を振り向くと、そこには満面の笑みを浮かべた両頬に傷を付けた得体の知れない柿色の服を着た男が立っていた。
「お初にお目に掛かりまする。私の名前は降魔霊蔵。名前だけでも覚えておいてくれると嬉しいですなぁ~」
霊蔵なる男はニヤニヤとした様子で手に握った刃物でアラトスの首元を刺激していた。
いつ、切られてもおかしくはない。だが、アラトスは恐怖に打ち勝ち、なんとか言葉を絞り出す。
「お、お前達、要求は何だ?」
「なぁに、至極単純な話でござるよ」
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