よくある悪役令嬢ものの性悪ヒロインのポジにTS転生してしまったので、前世で培った知識を活用して、破滅フラグを回避しようと思います！

少し無謀な様な気がするんだが、本当にこんな展開でいいのか！？

馬車の中でこってりと絞られた俺はその出来事をロージーに愚痴ったものの、「お前が悪い」と意訳して返され、ますます落ち込んでしまう。
おまけに某競走馬の擬人化ゲームの一曲をもじって『こんなクズは初めて～』と返された時には、本当にお茶もお茶菓子も喉を通らなくなってしまっていた。
結局、ショックであったのだが、彼女はそんな事は意に変えさない様子で、次の話題を話し始めていた。
結局、その日はドイツ史の話題と啓蒙専制君主の話題、そして、第二次世界大戦時における世界各地の皇帝の動向という時代もテーマもバラバラの話題で、夕方まで二人で話し込んだ。
ロージーを見送った後に、夕食を取り、俺はベッドに戻ったのだが、改めて考えると、昨日があまりにも色々とあり過ぎたと考えるうちに、睡魔の世界へと引っ張られ、深い微睡の中へと落ちていく。
で、翌日。学校に行くために馬車に乗り込み、そこで『海賊ジャックとブラックキングの五つの誓い』という冒険小説を読んでいると、途中で御者が馬車を止めた。
その際に馬車の中に乗っていた俺も席の上から飛ばされてしまったのだから、ただ事ではないと判断し、慌てて外へと飛び出す。
すると、そこには御者の青年に刃物を突き付ける人相の悪い顔の男たち。
しかも、所々に男たちの衣服がボロボロであったり、持っている剣に刃こぼれがあったりする事に気が付く。
どうやら、彼らは盗賊か、山賊といったところだろう。
しかし、男爵家の屋敷から魔法学園までにある見通しの良い一本道で襲うというのは頭が悪いのだろうか。
このまま、盗賊か、山賊かを放っておいても良いのだが、その一人が御者の青年を襲い始めたのだから、もう辛抱ができない。
俺は声を振り上げ、山賊を呼び止める。
「お待ちなさい！あなた、これ以上、私の御者に手を出してご覧なさいな！」
「なぁにぃ？うるせぇ！テメェは馬車の中で座ってろ！」
「そういうわけにも参りませんわ！あなた方の横暴は目に余りますものッ！」
「このアマァァァ～もう許せねぇ！」
と、一人の男が俺に向かって剣を振り上げて向かっていく。
「待て！ジーン！」
仲間の制止を振り切って、俺に向かってきた男の名前は『ジーン』というらしい。
何処ぞの有名ロボットアニメの第一作目に登場し、主人公に噛ませとして葬られる男と同じ名前とは気の毒に。
俺はジーンがこっちに向かってくるのと同時に、華麗にその剣を交わし、ジーンの剣を持つ腕を掴むと、そのままその剣に平手打ちを喰らわせる。
ジーンは平手打ちの衝撃のために、剣を地面の上に落としてしまう。
俺はすかさずそれを拾い上げた。