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あまりにも濃い一日でした……

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サミュエルの時といい、ガブリエルの時といい、そして、今のデビッドの時といい、どうしてこう胸が高鳴るのだろう。心臓の慟哭が止まらない。
90年代に、大人気となった歌手がそんな曲を歌っていた様な気がする。
しかし、妙なのは、前世は男だったというのに、どうして、こんな風にドキドキしてしまうのだろう。まるで、マンガでよく見る恋する女の子ではないだろうか。
俺は重い溜息を吐きながら、教科書を開いていく。
いつもと変わり映えのない中身であるが、今の俺にとっては何も考えずに捲れるという点では良いのかもしれない。
俺は午後の授業の間はこの奇妙な気分の事を考えながら過ごしていく。
午後の授業の終了を告げるチャイムが聞こえると、そのまま稽古に出掛けた。
木剣での稽古をしながら、またしても今日の出来事を振り返っていく。
刃物の先端を突き付けられては、やはり、俺は腰が抜けてしまう。
やはり、自らが剣で戦うのは無理かもしれない。
そう考えていた時だ。手に強い衝撃が生じる。
木剣が地面の上に転がっていく。と、同時に俺の首元に木剣が突き付けられた。
「どうなされましたかな?今日はずっと上の空ですが……もしや、やる気がなくなったとかそういうのではありませんかな?」
「い、いえ、とんでもありません!ただ、今日はちょっと、色々とありましてーー」
「色々?何があったのですかな?よければ、私に教えていただけませんかな?」
俺は正直、言っていいのか分からなかったのだが、意を決して話してみる事にした。
すると、団長はうんうんと唸り、次に剣を抜いて、俺に向かって、剣先を突き付けた。
俺は思わず、足を後ろに下がらせてしまう。
たじろいだ俺に対し、団長は口元の右端を吊り上げて、剣を鞘へと戻す。
「どうでしょう?これが、剣です。恐ろしいでしょう?これを実際に突き付けられた気分はどうですか?」
どうですかも、クソもない。めちゃくちゃ怖い。俺が前世で好きだった漫画の主人公が『刃物を突き付けられて、迫るのは怖い』と言っていたが、その通りだ。
めちゃくちゃ怖い。明治元年に、小御所会議に慶喜公の姿が見えない事に抗議の声を上げた土佐の守容堂に対し、西郷さんが『短刀一本あれば片付く』と言った台詞を聞いた容堂さんがビビって、意見を引っ込めた事を思い出す。
俺は完全に、戦意を失った。この場合についての事を団長に相談すると、
「では、実際に剣を使って稽古するのはどうでしょう?慣れれば、怖さも引っ込むかもしれませんよ」
やれやれ、どうやら、それに従うしかあるまい。俺は団長に協力をお願いした。
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