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その日は何故か、パーティーになりまして……。なんやかんやで、盛り上がっている始末です

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『あのな、私は貴族の様な、リアル金持ちないです。余計な心配はしないでくれますか?』と、SNSがあったのなら、豪華な屋外の立食パーティーの様子を写真と一緒に添付して投稿したのかもしれない。
だが、待て、うちは貴族の『様な』と比喩するまでもなく、貴族ではないか。
爵位で数えたなら、一番下の男爵家ではあるが。
そんな事を考えながら、俺は用意された細かく刻まれた肉を齧る。
意外と濃厚な味わいとなっており、口に合う。
なんでも、近くの森で取れた鹿だが、猪だかの肉を買って、慌てて料理させたのだという。
親父にしては中々、気が付くではないか。うちは背後に山があるためか、山の幸が豊富に取れるのだとか。
俺が肉を齧っていると、ロージーが俺の元にやってきて、俺の耳元で囁く。
俺は慌てて、肉を飲み込むと、王子の元へと向かう。
王子はちょうど、親父が楽しみに取っていた三十年もののブランデーの入ったワイングラスを手に、オリビア嬢と談笑していた。
だが、俺の姿を見ると、すぐに俺の方を向いて、
「探しましたよ、グレース」
「ありがとうございますわ、殿下……本日は急遽、お招きしたのにも関わらずに参列いただき本当にありがとうございますわ」
「いえいえ、むしろ、こんな短時間でこれ程の量の食事を仕上げるなんて、ベンフォール家の使用人は中々、有益な様ですね」
「ええ、本当に優秀な方々でーー」
そう告げた俺であったが、その実、親父も使用人の皆さま方も、めちゃくちゃ切羽詰まった状況で、その手伝いで俺自身も料理に駆り出されたのを覚えている。
実際、ここに並んでいる料理の幾つかは俺や親父の手作りだ。
やはり、貴族の方々にはそれが分かっているらしく、何人かが眉を顰めていたり、違和感を覚えた様な顔をしていた。
だが、料理自体は食えない事もない筈だ。俺は自分の料理を口にする。
うん、悪くはない。恐る恐るであったが、食えない事はない。
俺が自分の食った料理をちょびちょび食べていると、背後から可愛らしい声が聞こえた。
振り返ると、そこにはクロエの姿。
クロエは両頬と両耳を赤く染め、俺を上目遣いで見て、
「グレース様、本当に今日は私の様な平民までもお招きいただきありがとうございます。貴族の方々のパーティーに招かれたのは、初めてなので、本当に嬉しいです!」
「そ、そうなの。急ごしらえのパーティーで悪いけど、楽しんでね」
「そうなんですか!?とてもそんな風には思えません!!特に、この料理、貴族様の食事とは思えないほど、とても家庭的で美味しくて」
目を輝かせながら、告げる彼女が手に持っているのは俺が作った料理。
どうやら、貴族が食う味ではなく、家庭的な味だという事らしい。
先程から、集まった面々が眉を顰めたり、違和感を感じていたりしたのはこのためらしい。
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