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大魔術師編
魔女は冷たく笑う
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私が三人に魅力的な提案を囁きかけるのと、タンプルがセイウチの姿をした怪物を仕留めるのはほぼ同じタイミングであった。
タンプルはセイウチの姿をした怪物の首元を強く噛み締め、その体を爪で大きく切り裂く。
これは致命傷であろう。怪物は自身の喰らった傷から自身がもう助からないと実感したのか、怪物は首元から血を流しながらその場を去っていく。
黄色の液体が溢れて落ちていく。恐らく目の前の怪物の血液であろう。
私たちが血液をたどって怪物の後を追いかけていくと、怪物は路地裏で横たわっていた。私にこの計画を伝えた婦人の腕に抱かれて。
私たちの姿が見えると、婦人は起き上がり、いつもの口調で答えた。
「彼はたった今息を引き取って、天に帰ったわ。今後はしばらく地上に降りられないでしょうね」
「……あなたの正体はなんなの?どうして私にこの計画を伝えたの?」
「……私の正体?あなたに答える必要なんてあるの?」
彼女は怪物の体を優しく地面の上に置くと、私に向かって微笑む。
かと思うと私の体を強く抱きしめたのである。
その瞬間、私の脳裏に浮かんだのは母の記憶である。あれは幼稚園にすら通う前の本当に幼い頃の記憶が思い浮かぶ。
幼い頃の私は高熱を出してしまった。医師の父ですら手に負えないような原因不明の発熱で、私は助からないとすら言われていたのだ。
熱病にうなされながら私自身ここで死ぬとさえ思っていた。けれども私の命は助かった。
どうしてかはわからない。奇跡的に死の淵から生還したのだ。
その瞬間に私は母によって強く抱き締められた。母は私の体を強く抱き締めながら声を震わせて言った。
「生きていてくれてありがとう」と。
どうして、その事を思い出してしまったのだろう。私が困惑していると女性は耳元で囁いていく。
「私の遊びに付き合ってくれてありがとう」
その言葉に私は全身を凍らせてしまう。というのも、彼女が発した言葉は一言一句が思い出の中の母と同じイントネーションであったからだ。
「お、お母さん?」
彼女は私の問い掛けに笑顔で語り掛けた。
「そうだよ。波瑠」
発音が異世界の人間のものではない。しかし、私の知る母とは顔が違う。
もしかすればエンジェリオンが私の母を装っているのかもしれない。
私が警戒の目を向けた時だ。それまで体を強く抱き締めていた母が私の体を離して、私に向かって視線を合わせながら告げた。
「ううん。違うよ。私こそがあなたの母親……倉持響子よ」
名前は確かに母の名前である。もしかすれば本当に目の前の女性は私の母親であるのかもしれない。いや、目の前の女性は母に違いない。私の好物を知っていたのも母であるのならば辻褄が合う。
唯一、私の知る前の世界での母と目の前の母の姿形が違うのも何か理由があるのだろう。目の前の女性は間違いなく母だ。
私は涙を流しながらこの世界で起きたことを母に向かって語っていく。
母は私の言葉を黙って聞いていたが、全ての言葉を聞き終えると、ふーんとだけ呟いた後に、耳を疑うような言葉を口に出す。
「そう、なんであんたは生き残っちゃったの?」
「えっ?」
「だってそうでしょ?あんたが死んだらこの世界を我々が収められたのに」
「えっ?えっ?」
「この際だからはっきり言うけど、私昔からあんたが嫌いだったの」
「えっ?えっ?」
私の耳がおかしくなったのだろうか。母の言葉が信じられなかった。唖然とする私を他所に母は話を続けていく。
「お母さんね、昔からあんたのことが嫌いだったの。お父さんの……あの人の寵愛を奪った憎い女……それがあんたよ。お母さんね、昔からあんたのことが嫌いだったよ。ちょうどいいや……無念の思いで死んだ彼の仇でもあるし、死んでもらうかしら?」
「……言わない。お母さんはそんなことお母さんはそんなこと絶対に私に言わないッ!あんたなんかお母さんじゃあないッ!」
私は確信した。目の前にいる女性は断じて私の母などではない。恐らく天使たちが母のふりをして私を殺そうとしているのだ。間違いない。
両肩を震わせる私を見て、討伐隊の人々やタンプルが慰めの言葉を掛けようとしていた。
私はやさしく接しようとする彼らを振り切り、泣き叫ぶ代わりに大きな声で笑ってみせた。
その場に集まっていた人々に心配などしていらないということを見せたかったのだ。
それから言葉を出す代わりに目の前の婦人に対し、剣を構えてみせた。
「お母さんに化けたエンジェリオンめッ!化けの皮を剥がしてやるぞッ!そこに居直りやがれッ!」
「乱暴ね。けど、私があなたの母なのは事実なのよ。波瑠」
激昂する私に対して目の前の婦人は冷静な態度のままだ。顔に変化は見えない。
あくまでもクスクスと揶揄うように笑っている。
「認めたくいないんでしょ?でもこれが事実だから仕方ないよね。認めなさい」
「ふざけるなッ!」
私の堪忍袋の尾が切れた。近くに立っていた穏やかな青年の腰に下がっていた剣を振り上げて、目の前の婦人が立っている場所に向かって剣を振り下ろしたのだが、剣の刃先が当たる前に婦人はその姿を消していた。
私に切られもせずに目の前から消えてなくなるなど信じられない。
私は息を荒げながらあの婦人を探したが、ついぞその姿が見えることはなかった。
私はその事を確認してから青年に剣を返し、タンプルと向き直った。
「……ごめんね。タンプル……その、変なところ見せちゃって」
「……いいや。お前も大変だったんだな」
タンプルが詫びを入れる。
「ううん。私の方こそ。それより、タンプル……あなたこれからどうするつもりなの?」
「オレか?オレは今度はどこにも定住せずに旅をしようかと思う。そんで色々な国でエンジェリオンから人々を救いたいと思うんだ」
「それは素晴らしいね。カッコいいや」
「ありがとうな。じゃあな、ハル……じゃあな、お前ら」
「待ってくださいよ!タンプル!」
穏やかな顔をした青年が引き止める。
「タンプル……少しだけ待ってください。あの、これ」
青年は懐から革袋を取り出し、タンプルに手渡す。
「これは?」
「ぼくの今ある小遣いです……よかったら旅の資金にしてください」
私も慌てて彼に倣って、懐から革袋を取り出し、タンプルの手に渡す。
タンプルはそれを受け取って、しばらく革袋を見つめていたが、やがてそれを黙って受け入れて自身の懐の中に仕舞う。
「……ありがとうな」
ぶっきらぼうな彼らしい慇懃な態度でそれを受け取り、そのままその場を立ち去っていくのである。
タンプルはセイウチの姿をした怪物の首元を強く噛み締め、その体を爪で大きく切り裂く。
これは致命傷であろう。怪物は自身の喰らった傷から自身がもう助からないと実感したのか、怪物は首元から血を流しながらその場を去っていく。
黄色の液体が溢れて落ちていく。恐らく目の前の怪物の血液であろう。
私たちが血液をたどって怪物の後を追いかけていくと、怪物は路地裏で横たわっていた。私にこの計画を伝えた婦人の腕に抱かれて。
私たちの姿が見えると、婦人は起き上がり、いつもの口調で答えた。
「彼はたった今息を引き取って、天に帰ったわ。今後はしばらく地上に降りられないでしょうね」
「……あなたの正体はなんなの?どうして私にこの計画を伝えたの?」
「……私の正体?あなたに答える必要なんてあるの?」
彼女は怪物の体を優しく地面の上に置くと、私に向かって微笑む。
かと思うと私の体を強く抱きしめたのである。
その瞬間、私の脳裏に浮かんだのは母の記憶である。あれは幼稚園にすら通う前の本当に幼い頃の記憶が思い浮かぶ。
幼い頃の私は高熱を出してしまった。医師の父ですら手に負えないような原因不明の発熱で、私は助からないとすら言われていたのだ。
熱病にうなされながら私自身ここで死ぬとさえ思っていた。けれども私の命は助かった。
どうしてかはわからない。奇跡的に死の淵から生還したのだ。
その瞬間に私は母によって強く抱き締められた。母は私の体を強く抱き締めながら声を震わせて言った。
「生きていてくれてありがとう」と。
どうして、その事を思い出してしまったのだろう。私が困惑していると女性は耳元で囁いていく。
「私の遊びに付き合ってくれてありがとう」
その言葉に私は全身を凍らせてしまう。というのも、彼女が発した言葉は一言一句が思い出の中の母と同じイントネーションであったからだ。
「お、お母さん?」
彼女は私の問い掛けに笑顔で語り掛けた。
「そうだよ。波瑠」
発音が異世界の人間のものではない。しかし、私の知る母とは顔が違う。
もしかすればエンジェリオンが私の母を装っているのかもしれない。
私が警戒の目を向けた時だ。それまで体を強く抱き締めていた母が私の体を離して、私に向かって視線を合わせながら告げた。
「ううん。違うよ。私こそがあなたの母親……倉持響子よ」
名前は確かに母の名前である。もしかすれば本当に目の前の女性は私の母親であるのかもしれない。いや、目の前の女性は母に違いない。私の好物を知っていたのも母であるのならば辻褄が合う。
唯一、私の知る前の世界での母と目の前の母の姿形が違うのも何か理由があるのだろう。目の前の女性は間違いなく母だ。
私は涙を流しながらこの世界で起きたことを母に向かって語っていく。
母は私の言葉を黙って聞いていたが、全ての言葉を聞き終えると、ふーんとだけ呟いた後に、耳を疑うような言葉を口に出す。
「そう、なんであんたは生き残っちゃったの?」
「えっ?」
「だってそうでしょ?あんたが死んだらこの世界を我々が収められたのに」
「えっ?えっ?」
「この際だからはっきり言うけど、私昔からあんたが嫌いだったの」
「えっ?えっ?」
私の耳がおかしくなったのだろうか。母の言葉が信じられなかった。唖然とする私を他所に母は話を続けていく。
「お母さんね、昔からあんたのことが嫌いだったの。お父さんの……あの人の寵愛を奪った憎い女……それがあんたよ。お母さんね、昔からあんたのことが嫌いだったよ。ちょうどいいや……無念の思いで死んだ彼の仇でもあるし、死んでもらうかしら?」
「……言わない。お母さんはそんなことお母さんはそんなこと絶対に私に言わないッ!あんたなんかお母さんじゃあないッ!」
私は確信した。目の前にいる女性は断じて私の母などではない。恐らく天使たちが母のふりをして私を殺そうとしているのだ。間違いない。
両肩を震わせる私を見て、討伐隊の人々やタンプルが慰めの言葉を掛けようとしていた。
私はやさしく接しようとする彼らを振り切り、泣き叫ぶ代わりに大きな声で笑ってみせた。
その場に集まっていた人々に心配などしていらないということを見せたかったのだ。
それから言葉を出す代わりに目の前の婦人に対し、剣を構えてみせた。
「お母さんに化けたエンジェリオンめッ!化けの皮を剥がしてやるぞッ!そこに居直りやがれッ!」
「乱暴ね。けど、私があなたの母なのは事実なのよ。波瑠」
激昂する私に対して目の前の婦人は冷静な態度のままだ。顔に変化は見えない。
あくまでもクスクスと揶揄うように笑っている。
「認めたくいないんでしょ?でもこれが事実だから仕方ないよね。認めなさい」
「ふざけるなッ!」
私の堪忍袋の尾が切れた。近くに立っていた穏やかな青年の腰に下がっていた剣を振り上げて、目の前の婦人が立っている場所に向かって剣を振り下ろしたのだが、剣の刃先が当たる前に婦人はその姿を消していた。
私に切られもせずに目の前から消えてなくなるなど信じられない。
私は息を荒げながらあの婦人を探したが、ついぞその姿が見えることはなかった。
私はその事を確認してから青年に剣を返し、タンプルと向き直った。
「……ごめんね。タンプル……その、変なところ見せちゃって」
「……いいや。お前も大変だったんだな」
タンプルが詫びを入れる。
「ううん。私の方こそ。それより、タンプル……あなたこれからどうするつもりなの?」
「オレか?オレは今度はどこにも定住せずに旅をしようかと思う。そんで色々な国でエンジェリオンから人々を救いたいと思うんだ」
「それは素晴らしいね。カッコいいや」
「ありがとうな。じゃあな、ハル……じゃあな、お前ら」
「待ってくださいよ!タンプル!」
穏やかな顔をした青年が引き止める。
「タンプル……少しだけ待ってください。あの、これ」
青年は懐から革袋を取り出し、タンプルに手渡す。
「これは?」
「ぼくの今ある小遣いです……よかったら旅の資金にしてください」
私も慌てて彼に倣って、懐から革袋を取り出し、タンプルの手に渡す。
タンプルはそれを受け取って、しばらく革袋を見つめていたが、やがてそれを黙って受け入れて自身の懐の中に仕舞う。
「……ありがとうな」
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