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マルスの決意
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もうすぐ弟が檻に入れられてから半刻の時が過ぎようとしている。
その間にも父ガレスは自身を王太子として正式な後継ぎだと公表した。
今度の各国の元首を招いての王位継承の式典を行うらしい。
喜びを見せる彼の派閥の部下たちとは異なり、ケルスの顔は暗いままであった。
エレクトラが妖艶な笑みを浮かべ、あの大きな乳房を寄せても普段以上の不愉快さを掻き立てるばかりであった。
ケルスは通常、寝る前は小説を読んで頭を気分転換させるのが常であるが、この日はいくら読んでいても気が晴れない。
試しに怪奇小説に触れたが読んでいてもすぐに弟の顔が思い浮かんでしまい読む気がなくなってしまう。
おまけに触れた内容が弟を殺した兄が弟の霊に祟られるという話であったのだ。
自身を殺した兄を骨となって祟る弟の姿が独房へと送られていく弟の顔と被った。
違う。俺は!ケルスは声高に叫びたかった。けれどもその声はいくら出そうとしてもすぐに掠れて消えてしまう。
何者かが妨害しているかの様に……。
ケルスは思わず部屋の壁を強く叩いてしまう。普段の自分ならば絶対にしない様な行動に驚いてしまう。
「……すまない。マルス……オレは……オレは」
「マルス様、お時間よろしいございますか?」
その声を聞いてケルスは慌てて声がした窓の方を振り向く。
部屋の窓には月の光に照らされて幻想的ともいえる光を身に纏った魔女エレクトラの姿が見えた。
相変わらずの美しさである。彼女はその長い銀髪の髪をたなびかせ、顔を火照らせながらケルスの元へと向かっていく。
普通の男であるのならば鼻の下でも伸ばしているところであるが、エレクトラを嫌っているケルスからすればただ不快なだけである。
ケルスは彼を強く睨みながら淡々と告げた。
「何用だ?おれは貴様の面を見るだけでも不愉快だというのに」
「フフ、釣れない事を仰りますのね。あなた様が幼少の身よりお仕えしてきましたのに」
「……幼少の頃よりいたずらにオレと弟とを引き裂こうとした悪女が何を言う」
「悪女とは酷い仰り様ですわ。私は幼少よりあなた様をお支えした聖女の様な女だというのに」
エレクトラは声こそ残念そうであるものの、表情はむしろ嬉しそうである。
それどころか彼女はケルスに対して露骨な誘惑を続けていく。
自分の最愛の弟が囚われているというのにこの女はどうしてこんなにも事ができるというのだ。
途端にケルスは果てしのない怒りに囚われた。自身の元へと迫る悪女を迸る衝動のままに突き飛ばしたのだ。
初めこそ彼は途方もない爽快感に包まれたが、やがてエレクトラの啜り泣く声を聞いて最初に感じた怒りや爽快感という感情は吹き飛ばされ、次に罪悪感という感情が彼の脳裏を覆っていく。
一度刺せばどこまでも痛みが続く針の様に罪悪感はケルスを襲い続けた。
そんな彼の心境を知ってか知らずかエレクトラは涙混じりの声で訴え掛けたのだ。
「……私は……私はただあなた様のお役に立ちたいだけなのに……どうして暴力を振るわれますの!?私はただ国のため、お慕いするあなた様のために尽くしておりましただけなのに……」
例えるならエレクトラの涙はケルスの閉じ切っていた心を開ける鍵の様なものであった。
ケルスは謝罪の言葉を述べながらエレクトラに向かって手を伸ばす。
エレクトラは自身の元へと手が差し伸ばされるとその手を受け取り、自身の手で涙を拭い可愛らしい笑顔を浮かべて言った。
「……殿下。あなた様もようやくわかってくださいましたのね!あぁ、嬉しいわ!」
「……それで今日、オレの部屋をわざわざ訪れた目的はなんだ?」
「殿下に進言したい儀がございまして、ここまでやってきましたの」
エレクトラの言葉によるとあの剣とそれに触り、未来の記憶を覗いた者が救世主もしくは魔王になるという話は古に伝わる神話の伝承に基づいたものであるらしい。
だが、それを聞いてもケルスの表情は暗い。それどころか先程までの憐憫の感情さえ捨て去り、エレクトラを睨んでいた。
「それはオレに弟を殺せ……そう言いたいのか?」
「捉えようによってはそうなりますね。ただ聡明な殿下ならばお分かりになられましょう。我儘でマルス様を生かして世界の危機を招くか、ここでマルス様を殺して世界をお救いになられるかの二択である、と」
「バカな……オレの手で弟を……マルスを殺すなんて……」
未だに躊躇うケルスに対してエレクトラは内心で舌を打ったものの、ある一言で最後の一歩を踏み出させたのだった。
「殿下!ご決断なさいませ!あなた様しか世界を救うものはいないのですぞ!」
エレクトラのその一言でケルスはハッと大きく口を開けた。
同時に真剣な顔で向き直って言った。
「正直に言えばオレはまだ弟を殺す事には反対だ。けど……オレのあずかり知れないところで死んだとしてもそれはオレの責任ではない」
エレクトラはその一言を聞いて口元を三日月の型に歪めた。
それからケルスの前に跪いて厳かな声で告げた。
「殿下……やはりあなた様は世界の救世主となられるべきお方……今囚われのマルス様の元には私が精製した使い魔がその命を奪うべく向かっております」
エレクトラは死んだ様な顔をしたケルスとは対照的に心底からの笑みを浮かべていた。
彼女の脳裏にあるのは勝利の念であった。
時間は少しばかり遡り、地下牢。
出された食事にも手を付けず、マルスは牢の中の寝台の上で意気消沈していた。膝の下に顔を埋めて涙を流していた。
何故に実の父は自分をこんなところへと閉じ込めたのだろう。
彼は何も手が付かなかった。いっそこのまま死んでしまおうとしたところだ。
「マルス様!何をなされようとしておりました!?」
と、大きな声で止められた。慌てて振り向くと、そこには数少ない自身の派閥の筆頭格とされる騎士、フロリアであった。
フロリアはエレクトラとは異なり引き締まった体格と男でさえ羨む立派な筋肉を持った女傑である。
そればかりではない。顔も十分に美人である。
実際銀の鎧に身を包んだフロリアは美しくて長い金色の髪を垂らし先陣を切る様は国中の騎士たちの憧れであったといえる。
肌も白磁気の様に透き通っていて芸術品の様に美しかった。
卵型の顔の上にはアイスブルーの瞳に長くて高い鼻、小さくて愛らしいピンク色の唇が備わっていた。
知らない人が見れば舞台役者や踊り子或いは歌手であると言っても通じるかもしれない。
そんな彼女は魔法もさる事ながら自身の性別を躊躇う事なく武器に使うエレクトラとは対照的に存在であるので王宮の中では有名人であったといえるだろう。
その証拠が王宮におけるケルス派とマルス派の対立にあるだろう。マルス派のフロリアはエレクトラを嫌悪していたし、ケルス派のエレクトラもそんなフロリアを軽蔑しており、両者の仲の悪さは王宮の中でも有名であった。
それが派閥争いの一員になっていた事も否めない。
だからだろう。マルスもフロリアに関してはその存在を知り得ていたのだが、そこまでありがたい存在であるとも思ってはいなかった。
フロリアが兄との対立を煽っている。マルスはそう信じてやまなかったからだ。
それでもケルスに対するエレクトラの様な悪感情を抱いていないのは彼女が高潔であらんとする誇り高き騎士としての精神があるからだろう。
マルスはそんな気高いフロリアを傷付けないためか少しばかり申し訳なさそうに言った。
「……悪いが、おれの事は放っておいてくれないか?」
「何を仰られますか!私はあなた様を救うためにここへと参ったのでございます!そのあなた様に遠慮なされたのならば私の立つ瀬がありませぬ!」
「それでもだ。おれは魔王なんだぞ……世界を滅ぼしかねない存在であると父上に言われたのだ」
「そんなのガレスの奴めが勝手にそう述べただけでございます!」
フロリアはそう叫んだ。あろう事か国王を呼び捨てにして。
「やめろ、地下牢であるからいいものを……誰かに聞かれたらどうするつもりだ?」
「私の主人はマルス様!あなた様だけでございまする!」
フロリアは感情のままに懐に隠していたと思われる鍵の束を取り出し、マルスの囚われている牢の檻を開けていく。
「や、やめろ!本当に牢を破る気か?」
「もちろんでございます!あなた様をみすみす死なせはさせませぬ……」
フロリアは顔全体を汗に溢れさせながらも必死に鍵を開けていく。
ようやくマルスの入った檻に合う鍵が見つかった時だ。
フロリアは背後から気配を感じて、慌てて地面を蹴って距離を取っていく。
すると、地下牢の暗い廊下の上には顔は虎、それ以外の体は人間という奇妙な怪物が現れたのであった。
怪物はその体は人間らしく、胸部に金色の鎧を身に纏い、他の部分を黒色の鎖帷子で覆っていた。
そして短いが鋭さを併せ持つ剣と丸い盾を持っていたのだから慌てる他にあるまい。
フロリアは腰に下げていた剣を抜いてその怪物に向かって問い掛けた。
「……貴様、何者だ?」
「我の名はパウロ……王太子殿下よりマルスを抹殺するために派遣されし光の戦士なり!」
頭が虎という奇妙な怪物もといパウロはそのままフロレスへと剣を振り上げて襲い掛かっていく。
フロリアは突然襲い掛かってきた怪物の剣を慌てて受け止めるものの、勢いを付けて襲い掛かってきたために有利なのは怪物パウロの方であった。
一方でその戦いを檻の中で見守るマルスはただ唖然としていた。
パウロが発した『王太子殿下よりマルスを抹殺するために派遣された』という言葉に。
その間にも父ガレスは自身を王太子として正式な後継ぎだと公表した。
今度の各国の元首を招いての王位継承の式典を行うらしい。
喜びを見せる彼の派閥の部下たちとは異なり、ケルスの顔は暗いままであった。
エレクトラが妖艶な笑みを浮かべ、あの大きな乳房を寄せても普段以上の不愉快さを掻き立てるばかりであった。
ケルスは通常、寝る前は小説を読んで頭を気分転換させるのが常であるが、この日はいくら読んでいても気が晴れない。
試しに怪奇小説に触れたが読んでいてもすぐに弟の顔が思い浮かんでしまい読む気がなくなってしまう。
おまけに触れた内容が弟を殺した兄が弟の霊に祟られるという話であったのだ。
自身を殺した兄を骨となって祟る弟の姿が独房へと送られていく弟の顔と被った。
違う。俺は!ケルスは声高に叫びたかった。けれどもその声はいくら出そうとしてもすぐに掠れて消えてしまう。
何者かが妨害しているかの様に……。
ケルスは思わず部屋の壁を強く叩いてしまう。普段の自分ならば絶対にしない様な行動に驚いてしまう。
「……すまない。マルス……オレは……オレは」
「マルス様、お時間よろしいございますか?」
その声を聞いてケルスは慌てて声がした窓の方を振り向く。
部屋の窓には月の光に照らされて幻想的ともいえる光を身に纏った魔女エレクトラの姿が見えた。
相変わらずの美しさである。彼女はその長い銀髪の髪をたなびかせ、顔を火照らせながらケルスの元へと向かっていく。
普通の男であるのならば鼻の下でも伸ばしているところであるが、エレクトラを嫌っているケルスからすればただ不快なだけである。
ケルスは彼を強く睨みながら淡々と告げた。
「何用だ?おれは貴様の面を見るだけでも不愉快だというのに」
「フフ、釣れない事を仰りますのね。あなた様が幼少の身よりお仕えしてきましたのに」
「……幼少の頃よりいたずらにオレと弟とを引き裂こうとした悪女が何を言う」
「悪女とは酷い仰り様ですわ。私は幼少よりあなた様をお支えした聖女の様な女だというのに」
エレクトラは声こそ残念そうであるものの、表情はむしろ嬉しそうである。
それどころか彼女はケルスに対して露骨な誘惑を続けていく。
自分の最愛の弟が囚われているというのにこの女はどうしてこんなにも事ができるというのだ。
途端にケルスは果てしのない怒りに囚われた。自身の元へと迫る悪女を迸る衝動のままに突き飛ばしたのだ。
初めこそ彼は途方もない爽快感に包まれたが、やがてエレクトラの啜り泣く声を聞いて最初に感じた怒りや爽快感という感情は吹き飛ばされ、次に罪悪感という感情が彼の脳裏を覆っていく。
一度刺せばどこまでも痛みが続く針の様に罪悪感はケルスを襲い続けた。
そんな彼の心境を知ってか知らずかエレクトラは涙混じりの声で訴え掛けたのだ。
「……私は……私はただあなた様のお役に立ちたいだけなのに……どうして暴力を振るわれますの!?私はただ国のため、お慕いするあなた様のために尽くしておりましただけなのに……」
例えるならエレクトラの涙はケルスの閉じ切っていた心を開ける鍵の様なものであった。
ケルスは謝罪の言葉を述べながらエレクトラに向かって手を伸ばす。
エレクトラは自身の元へと手が差し伸ばされるとその手を受け取り、自身の手で涙を拭い可愛らしい笑顔を浮かべて言った。
「……殿下。あなた様もようやくわかってくださいましたのね!あぁ、嬉しいわ!」
「……それで今日、オレの部屋をわざわざ訪れた目的はなんだ?」
「殿下に進言したい儀がございまして、ここまでやってきましたの」
エレクトラの言葉によるとあの剣とそれに触り、未来の記憶を覗いた者が救世主もしくは魔王になるという話は古に伝わる神話の伝承に基づいたものであるらしい。
だが、それを聞いてもケルスの表情は暗い。それどころか先程までの憐憫の感情さえ捨て去り、エレクトラを睨んでいた。
「それはオレに弟を殺せ……そう言いたいのか?」
「捉えようによってはそうなりますね。ただ聡明な殿下ならばお分かりになられましょう。我儘でマルス様を生かして世界の危機を招くか、ここでマルス様を殺して世界をお救いになられるかの二択である、と」
「バカな……オレの手で弟を……マルスを殺すなんて……」
未だに躊躇うケルスに対してエレクトラは内心で舌を打ったものの、ある一言で最後の一歩を踏み出させたのだった。
「殿下!ご決断なさいませ!あなた様しか世界を救うものはいないのですぞ!」
エレクトラのその一言でケルスはハッと大きく口を開けた。
同時に真剣な顔で向き直って言った。
「正直に言えばオレはまだ弟を殺す事には反対だ。けど……オレのあずかり知れないところで死んだとしてもそれはオレの責任ではない」
エレクトラはその一言を聞いて口元を三日月の型に歪めた。
それからケルスの前に跪いて厳かな声で告げた。
「殿下……やはりあなた様は世界の救世主となられるべきお方……今囚われのマルス様の元には私が精製した使い魔がその命を奪うべく向かっております」
エレクトラは死んだ様な顔をしたケルスとは対照的に心底からの笑みを浮かべていた。
彼女の脳裏にあるのは勝利の念であった。
時間は少しばかり遡り、地下牢。
出された食事にも手を付けず、マルスは牢の中の寝台の上で意気消沈していた。膝の下に顔を埋めて涙を流していた。
何故に実の父は自分をこんなところへと閉じ込めたのだろう。
彼は何も手が付かなかった。いっそこのまま死んでしまおうとしたところだ。
「マルス様!何をなされようとしておりました!?」
と、大きな声で止められた。慌てて振り向くと、そこには数少ない自身の派閥の筆頭格とされる騎士、フロリアであった。
フロリアはエレクトラとは異なり引き締まった体格と男でさえ羨む立派な筋肉を持った女傑である。
そればかりではない。顔も十分に美人である。
実際銀の鎧に身を包んだフロリアは美しくて長い金色の髪を垂らし先陣を切る様は国中の騎士たちの憧れであったといえる。
肌も白磁気の様に透き通っていて芸術品の様に美しかった。
卵型の顔の上にはアイスブルーの瞳に長くて高い鼻、小さくて愛らしいピンク色の唇が備わっていた。
知らない人が見れば舞台役者や踊り子或いは歌手であると言っても通じるかもしれない。
そんな彼女は魔法もさる事ながら自身の性別を躊躇う事なく武器に使うエレクトラとは対照的に存在であるので王宮の中では有名人であったといえるだろう。
その証拠が王宮におけるケルス派とマルス派の対立にあるだろう。マルス派のフロリアはエレクトラを嫌悪していたし、ケルス派のエレクトラもそんなフロリアを軽蔑しており、両者の仲の悪さは王宮の中でも有名であった。
それが派閥争いの一員になっていた事も否めない。
だからだろう。マルスもフロリアに関してはその存在を知り得ていたのだが、そこまでありがたい存在であるとも思ってはいなかった。
フロリアが兄との対立を煽っている。マルスはそう信じてやまなかったからだ。
それでもケルスに対するエレクトラの様な悪感情を抱いていないのは彼女が高潔であらんとする誇り高き騎士としての精神があるからだろう。
マルスはそんな気高いフロリアを傷付けないためか少しばかり申し訳なさそうに言った。
「……悪いが、おれの事は放っておいてくれないか?」
「何を仰られますか!私はあなた様を救うためにここへと参ったのでございます!そのあなた様に遠慮なされたのならば私の立つ瀬がありませぬ!」
「それでもだ。おれは魔王なんだぞ……世界を滅ぼしかねない存在であると父上に言われたのだ」
「そんなのガレスの奴めが勝手にそう述べただけでございます!」
フロリアはそう叫んだ。あろう事か国王を呼び捨てにして。
「やめろ、地下牢であるからいいものを……誰かに聞かれたらどうするつもりだ?」
「私の主人はマルス様!あなた様だけでございまする!」
フロリアは感情のままに懐に隠していたと思われる鍵の束を取り出し、マルスの囚われている牢の檻を開けていく。
「や、やめろ!本当に牢を破る気か?」
「もちろんでございます!あなた様をみすみす死なせはさせませぬ……」
フロリアは顔全体を汗に溢れさせながらも必死に鍵を開けていく。
ようやくマルスの入った檻に合う鍵が見つかった時だ。
フロリアは背後から気配を感じて、慌てて地面を蹴って距離を取っていく。
すると、地下牢の暗い廊下の上には顔は虎、それ以外の体は人間という奇妙な怪物が現れたのであった。
怪物はその体は人間らしく、胸部に金色の鎧を身に纏い、他の部分を黒色の鎖帷子で覆っていた。
そして短いが鋭さを併せ持つ剣と丸い盾を持っていたのだから慌てる他にあるまい。
フロリアは腰に下げていた剣を抜いてその怪物に向かって問い掛けた。
「……貴様、何者だ?」
「我の名はパウロ……王太子殿下よりマルスを抹殺するために派遣されし光の戦士なり!」
頭が虎という奇妙な怪物もといパウロはそのままフロレスへと剣を振り上げて襲い掛かっていく。
フロリアは突然襲い掛かってきた怪物の剣を慌てて受け止めるものの、勢いを付けて襲い掛かってきたために有利なのは怪物パウロの方であった。
一方でその戦いを檻の中で見守るマルスはただ唖然としていた。
パウロが発した『王太子殿下よりマルスを抹殺するために派遣された』という言葉に。
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