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ロックウェル一族の闘争篇
祭りの前
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その報告から、各地の軍基地にこの重大人物の情報が伝わり、あっという間に警察にまで連絡が届く。
「アンドリュー・カンブリアとチャールズ・クレイを逮捕しろッ!」
その言葉は2017年のアメリカ合衆国における流行語となり、子供が小学校でも使うようになった程だという。
かくして、2人はボニーとクライドのようにあてのない逃亡を続けていると思われたが、それは大衆がロックウェル家と2人の確執を知らなかったからに他ならない。
そう、2人はローランド・ロックウェルとエリック・ロックウェルを倒す旅に出ていたのだ。
そして、ギルゴア大佐との戦いから、三日ほどが経った頃、あるオフィスビルの一室にて。
「つまり、我々が上空から侵入して、エリックとローランドの2名を殺す……そういう事ですな?」
アンドリューの問いにこの計画の発案者は首を縦に動かす。
「勿論だ、ロックウェル家のビルの位置は把握済みだからな、突然計画を変更して申し訳ないが……」
「いいえ、ミスター・ギデオン。この計画で私は満足していますよ! 逃げてばかりというのも嫌だったんでね」
チャールズ・"チャーリー"・クレイは『不思議の国のアリス』に出てくるチャシャネコのようにニンマリとした笑顔を浮かべて言った。
「そうか、ヘリは私のポケットマネーで購入したよ。最も買えたのは一台だけ……あいつから資産凍結を受けてね……どこの国の銀行もカードは使えませんと告げやがった……」
シャリム・ギデオンは拳を握りしめ、唇を震わせながら呟く。
当然だろう。自分がこれまで必死に築き上げてきた財産が、どこぞの金持ち一家のせいで全てお釈迦になってしまったのだから。
彼が怒りに震えるのも無理はない。と、チャーリーが考えていた時だ。
「今回のエリック・ロックウェルならびにローランド・ロックウェル両名の暗殺の実行犯はチャーリーとアンドリューの2人だ、あの2人を殺しさえすれば、ロックウェル家もこれ以上一族の傷を広げるよりも前に、我々から手を引くだろう……」
「つまり、これが最大のチャンスというわけですね?」
「勿論さ、チャーリー。それに最後のチャンスでもある。もし、2人の暗殺に失敗したら、我々の明日は無いだろう……ロックウェル家の刺客に殺されるか、捕まって言いようもない罪で、薬物注射を注入されるかの二択だ」
その後にシャリムは口を籠らせながら、
「最も、アンドリューがCMSの情報をロックウェル家に渡せば、片がつくのだが……」と、弱々しく呟いたのだが、
「それは出来かねます。私の武器CMSはサセックス王国の誇る武器……あんな奴らに渡すわけには参りません! 」
アンドリューの揺るぎない決意を秘めた瞳を見つめ、シャリムは大きな溜息を吐きながら、
「分かったよ。きみを説得できるとは思っていなかったしね」
肩の力を抜きながら呟く。
「よろしいならば、早くビルに忍び込みましょう! 屋上とやらから侵入して……」
「それから、社長室にまで行って、エリック・ロックウェルとローランド・ロックウェルの両名を殺害する……これが、我々の唯一生き残る道だ」
アンドリューとチャーリーはお互いの瞳を見つめ合ってから、粗末な木製の席から立ち上がり、固い握手を結ぶ。
「お互いに頑張ろうッ!」
「ええ、この戦いは我が人生始まって開闢以来の最大の戦いになるでしょうからね! チャーリー。あなたにも期待しておりますよ」
いつもとは違い、敬語口調のアンドリューにチャーリーは顔を歪ませながら、
「勿論さ、おれは天使だからな」
と、笑顔で言った。
「ギルゴアもアドバンズもやられたとなると、次は誰に追わせるのだ!?」
「エリック……その事なんですが、実は最強の男を呼んでおります」
ローランドが指をパチリと鳴らすと、小汚い風貌のいかにもホームレスと言わんばかりの男が入室する。
流石のエリックも嫌悪感を隠しきれなかったのだろう。
冷ややかな視線をローランドが連れてきた男に向けながら、
「どうして、このような人間を私のオフィスに上げたのだ、ローランド?」
「何を言っているんです! エリック! 彼こそが、このアメリカナンバーワンの実力を持つ、殺し屋ジョン・スミスですよ!
いかにも、その場で作ったような名前にエリックは苦笑しながら、
「お前はどうして、そんな奴を知ったんだ?」
「裏サイトですよ。まあ、デビィットが生きていたのなら、確実に雇わなかった男である事は確実だと思われますが……」
「当たり前だッ!本来ならば、こいつも私が追い返したいくらい……」
だが、エリックはその言葉を最後まで喋る事はできなかった。
ジョン・スミスなる男が、自分の目の前にポンプ式ショットガンの銃口を向けていたのだから、
「おい、テメェ! 調子に乗ってるんじゃあねぇぞ! この野郎! ぶっ殺してやるッ!」
安っぽい映画に出てくるギャングのような言葉で、エリックを恫喝するジョンをローランドは必死に止める。
「や、やめないか! もし、この男を撃ち殺してみろ! 報酬を払わんどころか、お前を死刑にしてやるぞ! それも、2時間は苦しむくらいの奴にしてやるッ!刑の執行もめちゃくちゃ早くしてやるぞ! それでも良かったら、殺してみろッ!」
その言葉を聞き、ジョンはようやくエリックに向けていた銃口を下げる。
ローランドが一息を吐いた時だ。
「さっきの話の続きだが……お前も殺した場合はどうするんだ?誰もおれの顔なんか知らないから、手配の仕様がねーよな?」
「わ、私を脅すつもりか?」
震える声で尋ねた、ローランドをジョンは嘲笑う。
「『わ、私を殺すつもりか?』だって!?するに決まってんだろ?世界一のエリートさんよぉ~おれが、お前らを恐れると思ってんのか!?」
おちょけた風にローランドの言葉を真似してから、最後は激昂する。
ローランドはあまりの恐ろしさに立ち上がる事ができない。
気が付けば、足がプルプルと震えているのを感じる。
「ハッ、笑わせるぜ、こんな奴が異世界の危ない物を欲しがってんだからな、こんな臆病な奴に危険な物が扱えるんでちゅかねー」
どこまでも馬鹿にしたような口ぶりのジョンの言葉に言い返せないローランド。
その姿はエリックからすれば、情けない事極まりなかった。
「アンドリュー・カンブリアとチャールズ・クレイを逮捕しろッ!」
その言葉は2017年のアメリカ合衆国における流行語となり、子供が小学校でも使うようになった程だという。
かくして、2人はボニーとクライドのようにあてのない逃亡を続けていると思われたが、それは大衆がロックウェル家と2人の確執を知らなかったからに他ならない。
そう、2人はローランド・ロックウェルとエリック・ロックウェルを倒す旅に出ていたのだ。
そして、ギルゴア大佐との戦いから、三日ほどが経った頃、あるオフィスビルの一室にて。
「つまり、我々が上空から侵入して、エリックとローランドの2名を殺す……そういう事ですな?」
アンドリューの問いにこの計画の発案者は首を縦に動かす。
「勿論だ、ロックウェル家のビルの位置は把握済みだからな、突然計画を変更して申し訳ないが……」
「いいえ、ミスター・ギデオン。この計画で私は満足していますよ! 逃げてばかりというのも嫌だったんでね」
チャールズ・"チャーリー"・クレイは『不思議の国のアリス』に出てくるチャシャネコのようにニンマリとした笑顔を浮かべて言った。
「そうか、ヘリは私のポケットマネーで購入したよ。最も買えたのは一台だけ……あいつから資産凍結を受けてね……どこの国の銀行もカードは使えませんと告げやがった……」
シャリム・ギデオンは拳を握りしめ、唇を震わせながら呟く。
当然だろう。自分がこれまで必死に築き上げてきた財産が、どこぞの金持ち一家のせいで全てお釈迦になってしまったのだから。
彼が怒りに震えるのも無理はない。と、チャーリーが考えていた時だ。
「今回のエリック・ロックウェルならびにローランド・ロックウェル両名の暗殺の実行犯はチャーリーとアンドリューの2人だ、あの2人を殺しさえすれば、ロックウェル家もこれ以上一族の傷を広げるよりも前に、我々から手を引くだろう……」
「つまり、これが最大のチャンスというわけですね?」
「勿論さ、チャーリー。それに最後のチャンスでもある。もし、2人の暗殺に失敗したら、我々の明日は無いだろう……ロックウェル家の刺客に殺されるか、捕まって言いようもない罪で、薬物注射を注入されるかの二択だ」
その後にシャリムは口を籠らせながら、
「最も、アンドリューがCMSの情報をロックウェル家に渡せば、片がつくのだが……」と、弱々しく呟いたのだが、
「それは出来かねます。私の武器CMSはサセックス王国の誇る武器……あんな奴らに渡すわけには参りません! 」
アンドリューの揺るぎない決意を秘めた瞳を見つめ、シャリムは大きな溜息を吐きながら、
「分かったよ。きみを説得できるとは思っていなかったしね」
肩の力を抜きながら呟く。
「よろしいならば、早くビルに忍び込みましょう! 屋上とやらから侵入して……」
「それから、社長室にまで行って、エリック・ロックウェルとローランド・ロックウェルの両名を殺害する……これが、我々の唯一生き残る道だ」
アンドリューとチャーリーはお互いの瞳を見つめ合ってから、粗末な木製の席から立ち上がり、固い握手を結ぶ。
「お互いに頑張ろうッ!」
「ええ、この戦いは我が人生始まって開闢以来の最大の戦いになるでしょうからね! チャーリー。あなたにも期待しておりますよ」
いつもとは違い、敬語口調のアンドリューにチャーリーは顔を歪ませながら、
「勿論さ、おれは天使だからな」
と、笑顔で言った。
「ギルゴアもアドバンズもやられたとなると、次は誰に追わせるのだ!?」
「エリック……その事なんですが、実は最強の男を呼んでおります」
ローランドが指をパチリと鳴らすと、小汚い風貌のいかにもホームレスと言わんばかりの男が入室する。
流石のエリックも嫌悪感を隠しきれなかったのだろう。
冷ややかな視線をローランドが連れてきた男に向けながら、
「どうして、このような人間を私のオフィスに上げたのだ、ローランド?」
「何を言っているんです! エリック! 彼こそが、このアメリカナンバーワンの実力を持つ、殺し屋ジョン・スミスですよ!
いかにも、その場で作ったような名前にエリックは苦笑しながら、
「お前はどうして、そんな奴を知ったんだ?」
「裏サイトですよ。まあ、デビィットが生きていたのなら、確実に雇わなかった男である事は確実だと思われますが……」
「当たり前だッ!本来ならば、こいつも私が追い返したいくらい……」
だが、エリックはその言葉を最後まで喋る事はできなかった。
ジョン・スミスなる男が、自分の目の前にポンプ式ショットガンの銃口を向けていたのだから、
「おい、テメェ! 調子に乗ってるんじゃあねぇぞ! この野郎! ぶっ殺してやるッ!」
安っぽい映画に出てくるギャングのような言葉で、エリックを恫喝するジョンをローランドは必死に止める。
「や、やめないか! もし、この男を撃ち殺してみろ! 報酬を払わんどころか、お前を死刑にしてやるぞ! それも、2時間は苦しむくらいの奴にしてやるッ!刑の執行もめちゃくちゃ早くしてやるぞ! それでも良かったら、殺してみろッ!」
その言葉を聞き、ジョンはようやくエリックに向けていた銃口を下げる。
ローランドが一息を吐いた時だ。
「さっきの話の続きだが……お前も殺した場合はどうするんだ?誰もおれの顔なんか知らないから、手配の仕様がねーよな?」
「わ、私を脅すつもりか?」
震える声で尋ねた、ローランドをジョンは嘲笑う。
「『わ、私を殺すつもりか?』だって!?するに決まってんだろ?世界一のエリートさんよぉ~おれが、お前らを恐れると思ってんのか!?」
おちょけた風にローランドの言葉を真似してから、最後は激昂する。
ローランドはあまりの恐ろしさに立ち上がる事ができない。
気が付けば、足がプルプルと震えているのを感じる。
「ハッ、笑わせるぜ、こんな奴が異世界の危ない物を欲しがってんだからな、こんな臆病な奴に危険な物が扱えるんでちゅかねー」
どこまでも馬鹿にしたような口ぶりのジョンの言葉に言い返せないローランド。
その姿はエリックからすれば、情けない事極まりなかった。
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