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ロックウェル一族の闘争篇
シャリム・ギデオンからの招待状
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チャールズ・"チャーリー"・クレイ警部にギデオン・ホールディングス社社長兼会長シャリム・ギデオンから招待状が届いたのは、カルデネーロ・ファミリー摘発から一週間という時間が経過した時だった。
「おれに手紙だと?」
チャーリーは疑問に思わずにはいられない。ギデオン・ホールディングスなどと面識はなかったし、どうして招待状が届くのかも理解できない。
だが、招待された以上は行かなくてはならないだろう。
しかも、その招待状で招待されたのは、チャーリーだけではなく、彼の相棒にして、同居相手のアンドリュー・カンブリアも含まれていたのだから。
チャーリーがアンドリューに何を話そうかと考えていた時だ。
「どうしたんだ、チャーリー?その手紙がどうかしてのか?」
その肝心の相手から声を掛けられたのだ。チャーリーは事情を話してやる事にする。
「ふーん、つまりその人が私たちに用があるって言ってるのかい?」
アンドリューは平坦な口調だった。まるで、意も返していない。
「そうだよ、今日の夜に招待されるらしいんだが……」
「それ相応の格好をしろとは書いていたのかい?」
チャーリーはアンドリューが最初に着てきた、あの貴族の服を着て行くのかと思うと、思わず身震いする。
ここは21世紀のアメリカ合衆国。アンドリューの世界がどうなのかは知らないが、この世界であんな格好をされては困るというものだ。
「スーツくらいなら買ってやるよ。一週間前にジャック・カルデネーロ摘発の褒美として貰った金があるしな」
「なら、それでいい……おれもジーンズだっけ?あんなだらしない格好は嫌だからな」
ジーンズをだらしない格好というとは……。どうも、このエリート様は一般人を敵に回さずにはいられない性分らしい。
「とにかく、今夜の9時だぞ、忘れるなよ! 」
「忘れやすいのはキミだと思うけどな……」
アンドリューはそう言うと、再びテレビをつける。
どうも、彼は野球が好きで堪らないらしい。
チャーリーは肩を落としながら、深い溜息を吐く。
それなりの格好に着替えた、二人は自宅の前に停まっていたリムジンカーに乗り込み、数時間揺られたかと思うと、一つの大きなビルの前に辿り着く。
「ご主人はこのビルの最上階にて、お待ちしております。何やら、重要な事をお話したいらしいのですが」
制帽を深々と被った初老の男は丁寧に頭を下げてから、旧来の王侯貴族を案内する執事のように二人を自らの主人の元へと案内する。
最上階のシャリム・ギデオンのオフィスだと思われる大きな黒色の扉をノックする。
主人からの許可が下りるのと同時に、男はエレベーターの方向へと向かって行く。
チャーリーはあまりにも豪華絢爛なオフィスに圧倒されるばかり。その為、自分が何故ここに呼び出されたのかなどという疑問は完璧に頭から吹き飛ばされていた。
だが、国立魔法大学を首席で卒業した嫌味っぽい男は違うようだ。
大きなガラス窓を背に向け、こちらを向いている野猿のような顎髭を蓄えた中年の男をハッキリと見ていた。
やがて、彼も深々とお辞儀をし、
「初めまして、アンドリュー・カンブリアと申します。この屋敷へのご案内誠に感謝致します。ですが、何故私達二人を呼び出したのかという理由をお聞かせて願いたいものですな」
臣下のような態度を取りながらも、アンドリューの言葉の隅に怒りが含まれているのは、この場にいた人間ならば、誰でも分かる事だろう。
チャーリーは半ば何かに圧倒されているように、押し黙っていた。
ミスター・シャリム・ギデオンはしばらくはしばらく黙って見つめていたが、やがて大きな声を上げて笑い出す。
「アハハハハハ、面白いね、アンドリューくん。流石はかの凶悪犯ジャック・カルデネーロを検挙した男だよ」
「お褒めの言葉をいただき光栄ですが、そろそろ我々を呼んだ理由を教えていただけませんかな?」
「おっと、失礼……」
そうは言いつつも、シャリム・ギデオンはすぐに喋るつもりはないらしい。
ゆっくりと葉巻の端を小型のナイフで切って、それにゆっくりとライターの火を灯す。白い煙が上がってくる様子を二人は目撃した。
「では、話そうかな。キミたち二人を呼んだ理由を……」
シャリム・ギデオンは机の上に置いてあったと思われる、小型のリモコンのボタンを押す。すると、窓ガラスの上に白いスクリーンが降り、丁度ガラスの向かい側にあった入口の上に掛けてあった絵画が割れ、中から最新式の映写機が降りてくる。
そして、映写機は一人の男を映し出す。
「この男だよ。キミらはこの男の遺言に残されたんだッ!ロックウェル家を繁栄に導く道具を持つ人間だとしてなッ!」
「ろ、ロックウェル家だと!?」
チャーリーは驚きを隠し得ない。ロックウェル家が現在の世界を牛耳っている存在だというのはインターネットの普及により、その手の陰謀論を好む人。いや、陰謀論者ではなくとも、多少はインターネットを操作した事がある人間ならば、周知の事実である。
「どうして、ロックウェル家が我々を?」
「うむ、前当主のデヴィッド・ロックウェルは例のエルフの王とコンタクトを取ったと思われる……そして、何やら吹き込まれたのだろう。反逆者を出さないために、お前たちの力が必要なのだろう」
確かに、CMSやら、魔法剣士の能力はロックウェル家からすれば、喉から手を出すほど欲しい力だろう。
「面倒なことに巻き込まれましたな。ロックウェル家とやらは、どうやれば退くのでしょう」
「簡単だよ、ロックウェル家を諦めさせればいい……」
「しかし、どうやってあのロックウェル家を!?」
シャリム・ギデオンはもう一度葉巻を味わってから、二人の目をもう一度見つめる。まるで、本当に抗う覚悟はあるのかと問うような目だ。
チャーリーが目を泳がせていると、
「やりますよ。相手がどんな奴らだろうと、売られたケンカは買う性格なんです! 私はサセックス王国国立魔法大学を首席で卒業した男です! そんな奴らに負けるとでも?」
「頼もしい男だよ。ミスター・カンブリア。キミの勇気には感服するばかりだ」
ミスター・ギデオンは感情に溢れた声で言った。
「では、キミらにロックウェル家についての情報を差し出して上げよう。敵を倒すためには、敵をよく知らなければならんとも言うからね」
ミスター・ギデオンは再びリモコンを捜査し、スクリーンに映る画面を変える。
「おれに手紙だと?」
チャーリーは疑問に思わずにはいられない。ギデオン・ホールディングスなどと面識はなかったし、どうして招待状が届くのかも理解できない。
だが、招待された以上は行かなくてはならないだろう。
しかも、その招待状で招待されたのは、チャーリーだけではなく、彼の相棒にして、同居相手のアンドリュー・カンブリアも含まれていたのだから。
チャーリーがアンドリューに何を話そうかと考えていた時だ。
「どうしたんだ、チャーリー?その手紙がどうかしてのか?」
その肝心の相手から声を掛けられたのだ。チャーリーは事情を話してやる事にする。
「ふーん、つまりその人が私たちに用があるって言ってるのかい?」
アンドリューは平坦な口調だった。まるで、意も返していない。
「そうだよ、今日の夜に招待されるらしいんだが……」
「それ相応の格好をしろとは書いていたのかい?」
チャーリーはアンドリューが最初に着てきた、あの貴族の服を着て行くのかと思うと、思わず身震いする。
ここは21世紀のアメリカ合衆国。アンドリューの世界がどうなのかは知らないが、この世界であんな格好をされては困るというものだ。
「スーツくらいなら買ってやるよ。一週間前にジャック・カルデネーロ摘発の褒美として貰った金があるしな」
「なら、それでいい……おれもジーンズだっけ?あんなだらしない格好は嫌だからな」
ジーンズをだらしない格好というとは……。どうも、このエリート様は一般人を敵に回さずにはいられない性分らしい。
「とにかく、今夜の9時だぞ、忘れるなよ! 」
「忘れやすいのはキミだと思うけどな……」
アンドリューはそう言うと、再びテレビをつける。
どうも、彼は野球が好きで堪らないらしい。
チャーリーは肩を落としながら、深い溜息を吐く。
それなりの格好に着替えた、二人は自宅の前に停まっていたリムジンカーに乗り込み、数時間揺られたかと思うと、一つの大きなビルの前に辿り着く。
「ご主人はこのビルの最上階にて、お待ちしております。何やら、重要な事をお話したいらしいのですが」
制帽を深々と被った初老の男は丁寧に頭を下げてから、旧来の王侯貴族を案内する執事のように二人を自らの主人の元へと案内する。
最上階のシャリム・ギデオンのオフィスだと思われる大きな黒色の扉をノックする。
主人からの許可が下りるのと同時に、男はエレベーターの方向へと向かって行く。
チャーリーはあまりにも豪華絢爛なオフィスに圧倒されるばかり。その為、自分が何故ここに呼び出されたのかなどという疑問は完璧に頭から吹き飛ばされていた。
だが、国立魔法大学を首席で卒業した嫌味っぽい男は違うようだ。
大きなガラス窓を背に向け、こちらを向いている野猿のような顎髭を蓄えた中年の男をハッキリと見ていた。
やがて、彼も深々とお辞儀をし、
「初めまして、アンドリュー・カンブリアと申します。この屋敷へのご案内誠に感謝致します。ですが、何故私達二人を呼び出したのかという理由をお聞かせて願いたいものですな」
臣下のような態度を取りながらも、アンドリューの言葉の隅に怒りが含まれているのは、この場にいた人間ならば、誰でも分かる事だろう。
チャーリーは半ば何かに圧倒されているように、押し黙っていた。
ミスター・シャリム・ギデオンはしばらくはしばらく黙って見つめていたが、やがて大きな声を上げて笑い出す。
「アハハハハハ、面白いね、アンドリューくん。流石はかの凶悪犯ジャック・カルデネーロを検挙した男だよ」
「お褒めの言葉をいただき光栄ですが、そろそろ我々を呼んだ理由を教えていただけませんかな?」
「おっと、失礼……」
そうは言いつつも、シャリム・ギデオンはすぐに喋るつもりはないらしい。
ゆっくりと葉巻の端を小型のナイフで切って、それにゆっくりとライターの火を灯す。白い煙が上がってくる様子を二人は目撃した。
「では、話そうかな。キミたち二人を呼んだ理由を……」
シャリム・ギデオンは机の上に置いてあったと思われる、小型のリモコンのボタンを押す。すると、窓ガラスの上に白いスクリーンが降り、丁度ガラスの向かい側にあった入口の上に掛けてあった絵画が割れ、中から最新式の映写機が降りてくる。
そして、映写機は一人の男を映し出す。
「この男だよ。キミらはこの男の遺言に残されたんだッ!ロックウェル家を繁栄に導く道具を持つ人間だとしてなッ!」
「ろ、ロックウェル家だと!?」
チャーリーは驚きを隠し得ない。ロックウェル家が現在の世界を牛耳っている存在だというのはインターネットの普及により、その手の陰謀論を好む人。いや、陰謀論者ではなくとも、多少はインターネットを操作した事がある人間ならば、周知の事実である。
「どうして、ロックウェル家が我々を?」
「うむ、前当主のデヴィッド・ロックウェルは例のエルフの王とコンタクトを取ったと思われる……そして、何やら吹き込まれたのだろう。反逆者を出さないために、お前たちの力が必要なのだろう」
確かに、CMSやら、魔法剣士の能力はロックウェル家からすれば、喉から手を出すほど欲しい力だろう。
「面倒なことに巻き込まれましたな。ロックウェル家とやらは、どうやれば退くのでしょう」
「簡単だよ、ロックウェル家を諦めさせればいい……」
「しかし、どうやってあのロックウェル家を!?」
シャリム・ギデオンはもう一度葉巻を味わってから、二人の目をもう一度見つめる。まるで、本当に抗う覚悟はあるのかと問うような目だ。
チャーリーが目を泳がせていると、
「やりますよ。相手がどんな奴らだろうと、売られたケンカは買う性格なんです! 私はサセックス王国国立魔法大学を首席で卒業した男です! そんな奴らに負けるとでも?」
「頼もしい男だよ。ミスター・カンブリア。キミの勇気には感服するばかりだ」
ミスター・ギデオンは感情に溢れた声で言った。
「では、キミらにロックウェル家についての情報を差し出して上げよう。敵を倒すためには、敵をよく知らなければならんとも言うからね」
ミスター・ギデオンは再びリモコンを捜査し、スクリーンに映る画面を変える。
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