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五大ファミリーの陰謀編

ジャック・カルデネーロの暴走

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アンドリューは銃声が鳴り終わるのを待っていたのだが、あの屋敷の周りを取り囲むゴロツキが倒れない事には止まない事を知り、アンドリューはCMSを腕にはめ、屋敷を守るギャング達の前に現れる。
アンドリューの思わぬ行動に双方が一旦銃を引っ込める。
「誰だ、テメェは死にてぇのか!?天下のカルデネーロ・ファミリーの防衛活動を邪魔するとはいい度胸じゃあねぇか! 」
手下の一人がアンドリューに突っかかろうとした、その時だ。アンドリューはCMSの付いた腕を左右に振り回す。
次の瞬間に屋敷の周りを囲っていたギャング達が氷漬けにされてしまう。
「て、テメェ……何をしやがった!?」
ギャングの男は急いで、アンドリューに銃口を突きつけた時だ。
「あんたにも少し黙っててもらおうか」
アンドリューはCMSをはめた腕で肘打ちを食らわせる。男は悶絶し、その場に倒れ込む。
「さてと、急ぎましょうか」
アンドリューが平然とした声で言ったので、チャーリーは思わず閉口したが、いずれにしろ、この場では頼もしい相手だ。
警察の包囲はカルデネーロの屋敷を取り囲んでおり、ジャック・カルデネーロがこの場を逃れるのは至難の業になるだろう。後は逮捕するだけだ。チャーリーは自分こそが、ジャック・カルデネーロに手錠を付けるのだと意気込んでいた。
そんなチャーリーの言葉に水を差したのが、アンドリュー・カンブリアであった。
「キミは自分こそが、この戦いで手柄を立てられるのだと、思っているらしいけれど……私としてはそうは思わないな」
「どうしてだ?」
チャーリーはアンドリューの一言に思わず眉をしかめる。
「キミは離婚した奥さんと娘さんを取り戻すために、手柄を立てたいと思っているんだろうけど……キミはCMSを持っていなじゃあないか! 」
「CMSを持っていないと、ダメなのか!?」
チャーリーは怒っていた。アンドリューはチャーリーが不機嫌そうなのは、彼が走りながらも荒い息を吐いている事から、容易に推測できたのだが。
「そう言うわけじゃあないけれど、あった方が有利なんだよ、キミらの言うジャック・カルデネーロは魔法剣士の可能性が高い、恐らくが力を貸しているだろうからな……」
アンドリューの強調した『アイツら』と言う言葉がチャーリーには引っかかった。思わず、怒りを引っ込めて、アンドリューにアイツらの意味を尋ねてみた。
「アイツらとは?」
「ああ、サセックス王国より一つの山脈を越えたエルフの帝国の皇帝さ、アイツはかつて国に封印された邪神を蘇らせようとしているのさ」
『邪神』ね……。こちらで言うところの偶像崇拝者の崇拝する偶像のようなものだろうか。チャーリーがそう考えていた時だ。
チャーリーの前を先行していた警察官が玄関から入ったところにある階段を登り終え、階段の近くにある赤い扉を蹴破る。
「動くなッ!警察だッ!お前らを逮捕する! 」
チャーリーはジャック・カルデネーロの手錠は自分はかけられなかったなとアンドリューの言葉を思い出していると。
「ギャァァァァァァ~!!! 」
と言う警察官の断末魔が響く。
「一体何があった!?」
チャーリーの言葉に答えたのは、警察官ではなかった。となりにいたアンドリュー・カンブリアだ。
「恐らく、彼は魔法剣士の魔法攻撃にあったんだろうな、私が先に扉を破れば良かったよ」
「魔法剣士!?やはり、スティーブンは嘘は言っていなかったんだなッ!」
「ああ、あの事件の黒幕はこの家の持ち主……つまり、ジャック・カルデネーロに間違い無いだろうな」
アンドリューがそう解説していた時だ。今度は二人の近くの天井に炎の攻撃が飛んでくる。
「やれやれ、この家で土足で入るとはな、警察というのは、本当に失礼な人種らしい」
「お前がジャック・カルデネーロか?」
チャーリーの連れた警察官の一人が、銃口を向けながら尋ねるのだが、男の返しは予想とは全く異なる物であった。
「いいや、オレはロバート・フェローチさ、カルデネーロ・ファミリー相談役コンシリエーレのな……」
チャーリーはチャンスだと確信した。ジャック・カルデネーロこそ捕らえそこなえったが、カルデネーロ・ファミリーのNo.2たるロバート・フェローチ逮捕の機会に巡り会えたのだ。
チャーリーは勇気を振り絞り、ロバートに手を上げるように言った。
「どうやら、お前にはオレのCMSが見えていないらしいな」
ロバートはアンドリューが腕に付けているような、剣付きの腕輪を見せながら言った。その顔はどこか余裕ぶっている。
チャーリーは昼間の強盗事件の犯人のような魔法を使うロバート相手に尻込みしたが、拳銃を下ろしてはいない。
「退けと言っているのが分からないらしい」
ロバートが再度、腕輪を振り上げようとした時だ。
「待ってください、彼が不満ならば、私と戦いませんか?」
ロバートの手から、チャーリーを守ったのは、他ならないあのアンドリュー・カンブリアであった。
「悪いが、お前のような貧相な奴に負ける気はないね」
「なめない方がいいですよ、わたくし国立魔法大学を首席で卒業致しましたから」
ロバートはその言葉を聞くなり、フフと鼻で笑う。
「なら、勉強しがちのエリートさんにマフィアの恐ろしさを教えてやるよ」
ロバートはそう言って、アンドリューに向かって、腕を振り上げた。
すると、アンドリューの前に龍の形をした炎が襲い掛かる。
だが、アンドリューは怯える事もなく、ロバートの攻撃に備え、自分のCMSにロバートの魔法を吸い込ませた。
「どいう事だ!?蛸壺に入っていく、タコみてーにスルスルと入っていきやがったぜ! 」
「これが、私の魔法ですよ、さてと、お返ししましょうか、あっ、そうだ、関係のない人は階段を降りることをお勧めしますよ、炎が当たっても、私は何の保証もできませんから」
アンドリューの言葉にチャーリーは納得したらしく、警察官たちに階段を降りるように指示を出す。
全員が降りたのを確認してから、アンドリューはロバートの炎を返してやる。
ロバートはボブ・マリーとは違い、度胸のある人間だ。こちらからも炎を出して、アンドリューの出す炎を押し返す。
炎と炎の対決はまさに全身が燃えるドラゴン同士の対決と言っても過言ではないだろう。少なくとも、ロバートはそう思っていた。
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