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五大ファミリーの陰謀編
カルデネーロ・ファミリーの野望
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ジャック・カルデネーロには幼い頃から、一つの夢があった。それはアメリカという国を。いや、世界中を自分の手中に収めるという夢であった。中国も。ロシアも。ヨーロッパの全土を。だが、そんな漫画じみた考え方は本当に馬鹿らしいと諦めていたのだが……。
「キミには才能がある。チンケな犯罪者のボスで収まる器ではないね」
と、彼の元にやって来たのは中世ヨーロッパの貴族を思わせるような風格を感じ男で、人間のようであり、人間のようではない男だった。その証拠は彼の耳にあった。
「これかい?我々エルフ族の特徴だよ、私はこの世界と我々の世界を行き来できる魔法を神から与えられた……」
「神ですか?」
ジャックは信心深い人間ではなかったために、神という存在に懐疑的であった。
その通りだよ、我々の世界を作った神……だが、人間によって作られた神により、封印された古代からの神……それが、今、我々の世界に蘇ろうとしているんだよ! 興味深いとは思わないかね」
エルフの王とやらは、その想像が可笑しかったのだろうか、クックっと笑い出す。
「あんたの話は分かったよ、だけれど、オレに手を貸して、あんたにメリットはあるのかい?」
「この世界をキミが、我々の世界を私が支配するのだよ、悪い話ではあるまい」
「話が上手すぎるな、マフィアは上手すぎる話にはあまり乗らない性質でね、世界を手に入れた後の事も話してもらおうか」
ジャックは眉をひそめながら尋ねた。
「そこも気に入ったよ、キミのような男を我々は待っていたと言っても、過言ではないだろう。あの無能王は自分の持っている最高のカードをキミの世界に送り込もうとしているようだよ」
ジャックは例え、その世界の最強のカードが来たとしても、倒せる自信があった。
「心配は不要だよ、あんたらはその神々を蘇らせた後の、オレの地位を保証さえ、してくれたらいい」
「心配はするなと言ったろう?お前にはこの地上を征服した暁にはこの世界の皇帝の座をくれてやる、アメリカ大統領でさえ、キミの前には膝まずく」
「悪くはない話だ。だけれど、オレも跪かなければ、いけないのはいるんだろ?あんたらの言う封印された神々の事さ」
「彼らの事を知れば、お前も忠誠を誓いたくなるさ」
そう言うと、エルフの王は扉を開けて、ジャックの書斎を跡にする。恐らく、もうこの世界にはいないだろう。どうでもいいが、大きな穴を開けて、行き来するのだけは、正直ご遠慮願いたいものだ。
ジャックが、部屋に立て掛けてあるCMSを見つめていると、部屋の扉をノックする音が聞こえた。
「入れ」というジャックの声を聞き、相談役のロバート・フェローチが入室する。
「ドン・カルデーネロ。あなたはあれで良いんですか?あんな男と同盟を結びなんて……」
「オレはアイツにペコペコしてるわけではないだろ?それに、小さな頃から、オレはコミッションや中国のマフィアに従う事なく、暗黒街を好き勝手に統治したいと思っていたんだよ、だからこそ、チンケな犯罪者どもにあれを与えて、我々の配下になるように、仕向けているんだ」
「暴走しなければ、いいんですがね」
幼い頃からの付き合いである金髪の美男子を見つめながら、ジャックは考えた。
未だに俺が、独身なのは彼のためだ。マフィアのボスの中で、家庭を持っていないのは、俺だけ。いや、正確に言うと、過去には家庭があったと言うべきかな。だが、俺はロバートを諦めきれずに……。
そう考えると、ジャックは席を立ち、ロバートの右手を握る。
「おれがお前を呼んだのは二件の用だよ、一つはエルフの王との話……そして、久し振りにな……」
ジャックはロバートを優しく抱き締めた。
チャールズ・"チャーリー"・クレイは大荷物を抱えてしまったと、自分の選択肢を悔やむ。
いくら、あの連続殺人犯の逮捕に協力したとはいえ、アンドリュー・カンブリアを名乗る男は、底が知れないのだ。急に魔法を使ったと思えば、一瞬で相手の魔法を吸収し、相手を逆に追い詰めてしまったのだ。
チャーリーは長い間、ヒーロー映画を観ていないが、映画に出てくるヒーローたちはあんな風に相手を圧倒していたような……。いや、チャーリーの記憶違いかもしれない、だって、五年前からヒーロー映画はトラウマになって、見ていないのだから。
そんな事を考えていると、手が止まったと思われたのか、メアリーから、注意された。チャーリーが今度こそ集中しようとした時だ。電話が鳴り響く。
「はい、こちら……署ですが……」
「私だよ、アンドリュー・カンブリアだよ」
チャーリーはそれだけを聞くと、その場で切ってしまいたくなる。一体、どんな用事で掛けてきたというのだろうか。仕事中だと言うのに。
「すまないがね、私は仕事中なんだ、家に帰ったら、相手をしてやるから」
「まぁ、私の中で一つだけ気になることがあってね、大したことじゃあないんだが、ハッキリさせておきたくてね」
聞く耳なしか。チャーリーは深いため息を吐いてから、アンドリューの問答に答えてやる事にした。
「非常にデリケートな問題になるんだが……キミは離婚しているね?」
何故、彼がそれを。それは一部の同僚にしか話していない筈なのに。チャーリーは生唾を飲み込みながらも、好奇心が勝ったのだろう、アンドリューに続きを話すように懇願する。
「まずね、キミの部屋に女性の手紙が置いてあった……それに女の子が描いたと思われる似顔絵……だが、昨日も今日も、キミの家に女の子はいない、それに手紙の内容は君との仲の悪さを象徴するような事が書かれていたよ、これらの事実を照らし合わせて、キミは離婚していると、判断していると、私が踏んでもおかしくないだろ?」
「正解だよ、当たっているけれども……キミはもう少し、相手を思いやるような言葉を掛けられないのかッ!」
チャーリーは怒りに任せて、受話器を切ってから、その場に叩きつけた。
「どうしたのよ?」
いつもよりも機嫌が悪そうなチャーリーをメアリーは不安そうな瞳で覗き込んでいたが、チャーリーは何ともないとだけ、答えて、勤務に戻る事にした。
「キミには才能がある。チンケな犯罪者のボスで収まる器ではないね」
と、彼の元にやって来たのは中世ヨーロッパの貴族を思わせるような風格を感じ男で、人間のようであり、人間のようではない男だった。その証拠は彼の耳にあった。
「これかい?我々エルフ族の特徴だよ、私はこの世界と我々の世界を行き来できる魔法を神から与えられた……」
「神ですか?」
ジャックは信心深い人間ではなかったために、神という存在に懐疑的であった。
その通りだよ、我々の世界を作った神……だが、人間によって作られた神により、封印された古代からの神……それが、今、我々の世界に蘇ろうとしているんだよ! 興味深いとは思わないかね」
エルフの王とやらは、その想像が可笑しかったのだろうか、クックっと笑い出す。
「あんたの話は分かったよ、だけれど、オレに手を貸して、あんたにメリットはあるのかい?」
「この世界をキミが、我々の世界を私が支配するのだよ、悪い話ではあるまい」
「話が上手すぎるな、マフィアは上手すぎる話にはあまり乗らない性質でね、世界を手に入れた後の事も話してもらおうか」
ジャックは眉をひそめながら尋ねた。
「そこも気に入ったよ、キミのような男を我々は待っていたと言っても、過言ではないだろう。あの無能王は自分の持っている最高のカードをキミの世界に送り込もうとしているようだよ」
ジャックは例え、その世界の最強のカードが来たとしても、倒せる自信があった。
「心配は不要だよ、あんたらはその神々を蘇らせた後の、オレの地位を保証さえ、してくれたらいい」
「心配はするなと言ったろう?お前にはこの地上を征服した暁にはこの世界の皇帝の座をくれてやる、アメリカ大統領でさえ、キミの前には膝まずく」
「悪くはない話だ。だけれど、オレも跪かなければ、いけないのはいるんだろ?あんたらの言う封印された神々の事さ」
「彼らの事を知れば、お前も忠誠を誓いたくなるさ」
そう言うと、エルフの王は扉を開けて、ジャックの書斎を跡にする。恐らく、もうこの世界にはいないだろう。どうでもいいが、大きな穴を開けて、行き来するのだけは、正直ご遠慮願いたいものだ。
ジャックが、部屋に立て掛けてあるCMSを見つめていると、部屋の扉をノックする音が聞こえた。
「入れ」というジャックの声を聞き、相談役のロバート・フェローチが入室する。
「ドン・カルデーネロ。あなたはあれで良いんですか?あんな男と同盟を結びなんて……」
「オレはアイツにペコペコしてるわけではないだろ?それに、小さな頃から、オレはコミッションや中国のマフィアに従う事なく、暗黒街を好き勝手に統治したいと思っていたんだよ、だからこそ、チンケな犯罪者どもにあれを与えて、我々の配下になるように、仕向けているんだ」
「暴走しなければ、いいんですがね」
幼い頃からの付き合いである金髪の美男子を見つめながら、ジャックは考えた。
未だに俺が、独身なのは彼のためだ。マフィアのボスの中で、家庭を持っていないのは、俺だけ。いや、正確に言うと、過去には家庭があったと言うべきかな。だが、俺はロバートを諦めきれずに……。
そう考えると、ジャックは席を立ち、ロバートの右手を握る。
「おれがお前を呼んだのは二件の用だよ、一つはエルフの王との話……そして、久し振りにな……」
ジャックはロバートを優しく抱き締めた。
チャールズ・"チャーリー"・クレイは大荷物を抱えてしまったと、自分の選択肢を悔やむ。
いくら、あの連続殺人犯の逮捕に協力したとはいえ、アンドリュー・カンブリアを名乗る男は、底が知れないのだ。急に魔法を使ったと思えば、一瞬で相手の魔法を吸収し、相手を逆に追い詰めてしまったのだ。
チャーリーは長い間、ヒーロー映画を観ていないが、映画に出てくるヒーローたちはあんな風に相手を圧倒していたような……。いや、チャーリーの記憶違いかもしれない、だって、五年前からヒーロー映画はトラウマになって、見ていないのだから。
そんな事を考えていると、手が止まったと思われたのか、メアリーから、注意された。チャーリーが今度こそ集中しようとした時だ。電話が鳴り響く。
「はい、こちら……署ですが……」
「私だよ、アンドリュー・カンブリアだよ」
チャーリーはそれだけを聞くと、その場で切ってしまいたくなる。一体、どんな用事で掛けてきたというのだろうか。仕事中だと言うのに。
「すまないがね、私は仕事中なんだ、家に帰ったら、相手をしてやるから」
「まぁ、私の中で一つだけ気になることがあってね、大したことじゃあないんだが、ハッキリさせておきたくてね」
聞く耳なしか。チャーリーは深いため息を吐いてから、アンドリューの問答に答えてやる事にした。
「非常にデリケートな問題になるんだが……キミは離婚しているね?」
何故、彼がそれを。それは一部の同僚にしか話していない筈なのに。チャーリーは生唾を飲み込みながらも、好奇心が勝ったのだろう、アンドリューに続きを話すように懇願する。
「まずね、キミの部屋に女性の手紙が置いてあった……それに女の子が描いたと思われる似顔絵……だが、昨日も今日も、キミの家に女の子はいない、それに手紙の内容は君との仲の悪さを象徴するような事が書かれていたよ、これらの事実を照らし合わせて、キミは離婚していると、判断していると、私が踏んでもおかしくないだろ?」
「正解だよ、当たっているけれども……キミはもう少し、相手を思いやるような言葉を掛けられないのかッ!」
チャーリーは怒りに任せて、受話器を切ってから、その場に叩きつけた。
「どうしたのよ?」
いつもよりも機嫌が悪そうなチャーリーをメアリーは不安そうな瞳で覗き込んでいたが、チャーリーは何ともないとだけ、答えて、勤務に戻る事にした。
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