154 / 185
人と異形とが争いを繰り広げる惑星『ボーガー』
13
しおりを挟む
修也たちは探索を命じられた日から3日に渡って熱心な聞き込みを行なったものの、なかなか手掛かりというのは見えてこない。
大昔の刑事ドラマでは足を棒にして動かすのが大事だと言われていたのだが、現在の刑事ドラマでは足よりも資料を調べろというのが定説となっている。
そうした刑事ドラマの設定が活かされるのは21世紀の地球であるからであり、機械など欠片も見えない星ではあまり意味がないことであった。
それ故に今回は古き良き刑事ドラマに倣った方がいいだろう。
だが、当然であるが限界というものは訪れる。足が痛み始めてきたのだ。靴を脱いで痛む足を自らの右手で摩りたいという欲望が修也を襲ってきた。
いくら他の星の中であるとはいえ、道の真ん中で靴を脱いで摩るなどということは常識的に許されることではないのは修也が一番身に染みて分かっていた。
その代わりに彼は提案を投げ掛けるように言った。
「少し疲れましたね」
ジョウジはそれを聞いて納得した。修也は既に40を過ぎた中年の男性である。足腰が疲れたと訴えるのも仕方がないことである。
「わかったわ。じゃあ、適当なところで休みましょう。あっ、あそこにある茶館なんてどうかな?」
と、見かねた紅晶が提案の言葉を述べながら茶館の場所を指指した。
紅晶が口にした茶館という地球でいうところの喫茶店に相当する場所だった。
茶館は地球の中国でも知られた茶屋の名称である。茶館は文化革命を生き延び、現代にも残った古き良き伝統文化といってもいい。
茶館では多くの中国茶の他に欧米や日本でも発展した喫茶店のように菓子類や軽食が提供されている。これは地球の中国でも発展した飲茶が大きく影響していると思われる。飲茶は英国でいうところのティータイムに相当する時間であり、中国茶を飲みながら小さな料理や点心を食べて楽しむという文化だ。
日本では中国茶を飲むことよりも点心を食べることに重点が置かれているが、本場中国ではお茶を飲むことの方に重点が置かれている。日本における茶道の要素も含まれており、礼儀作法の一環としても扱われているのかもしれない。
このような作法と娯楽の一面を併せ持つ飲茶の歴史は唐代に遡るとされ、21世紀に至るまで受け継がれているのだ。
現在の地球における茶館では飲茶を開く人々のために点心や菓子類が提供されており、中国人のみならず世界中の人々の舌を満足させているといってもいい。
ジョウジは紅晶が示した『獄龍門』という看板を眺めながら、自身の中に入っていた『飲茶』に関する基礎知識のことを思い返していた。
基礎知識が間違っている可能性があるかもしれないが、飲茶に関する説明としてはこんなものであっていたような気がする。間違っているのかもしれない。そんな不安がジョウジの頭を過ったが、よく考えれば唐代以前の文化しかないこの星に飲茶もしくはそれに類する制度があるのも不自然な話だ。
もしかすればこの星においては自分の中にある古代中国の文化や歴史の知識はあまり役に立たないのかもしれない。
カルチャーショックともいえる文化を目の当たりにしたことでジョウジが不安に苛まれて茶館の前で唸り声を上げていた時のことだ。紅晶がジョウジの腕を引っ張りながら先へと進んでいく。
修也たちが紅晶が指差した茶館の中へ足を踏み入れると、中は盛況といっても差し支えないほど賑わって見えた。多くの人々が仕事や勉学の合間に詰めているらしく、お茶を飲んだり、菓子や軽食を食べながら談笑に励んでいた。
どの人も楽しげな顔をしていた。修也は喫茶店でも疲れたような顔を見せる現代日本の人々とは対照的のように思われた。
その一方でジョウジは作法に捉われず、楽しげにお茶をする人々を見て中国本土の飲茶というよりかは英国のアフターヌーンティーに類似点を見つけ出していた。
一行は椅子の上に腰を掛けると、机の上に置かれていた用意されたメニュー表と思われる紙に目を通したが、意味が分からずに腕を組んで悩むことになった。
そんな時に助け舟を出したのが紅晶だった。彼女はこの星の言葉で店員に向かって何かを話したかと思うと、修也たちにこの星の言葉で何を頼んだのかを説明していった。
ジョウジによればまだ早い時間だということもあって、軽食の類は頼まずに菓子のみを頼んだそうだ。お茶に関しては自分が美味いと感じ、お勧めしたいものを頼んだということだ。
紅晶の言葉通りに美味しそうなお茶と五種類の菓子が運ばれてきた。
薄い黄色のお茶の他に揚げ団子や獅子の形をした水と粉でくっ付けた菓子、柔らかめの皮を焼き上げた焼き菓子などが並んでいた。杏仁豆腐と思われる菓子が小さなガラスの器の中へと収まっていた。
杏仁豆腐の横にはどう見てもエッグタルトと思わしき菓子が並んでいるのも見えた。サクサクとした食感が舌の上で思い浮かびそうな生地に囲まれた中にはフワリととろけた食感を思わせられそうな柔らかいアパレイユの姿が確認できた。
本来であれば古代中国の時代にエッグタルトが存在しているのは不自然な話である。だが、それを言えば古代中国の文明しか持ち得ていないこの星に飲茶の習慣があるのも不自然だといえるだろう。
もしかすれば食文化は古代の中国よりも発展しているかもしれない。
そう考えることでしか辻褄が合わない。ジョウジは不本意ながらもエッグタルトに手を伸ばした。すると、口に入れた瞬間に柔らかな食感が迸り、卵を使ったアパレイユの甘味が口の中いっぱいに広がっていく。
エッグタルトのような菓子は絶品だった。地球上でもこの星のようなエッグタルトにはそうそう巡り合うことはできないだろう。
ジョウジは感動に咽び、全身をブルブルと震わせていた。
許されるのならばこのエッグタルトを地球に持って帰りたいという衝動に駆られた。
だが、そんな無駄なものに宇宙船のスペースを使ってはいられないことは自身の中にあるデータが示している。感情の面ではデータなど無視しろとしつこいのだが、どちらを優先しなければならないのかはハッキリと分かっていた。
それ故にジョウジはエッグタルトを持つ手を止め、大きく溜息を吐かずにはいられなかった。
「どうかしたの? ジョウジさん?」
鉛のように重い溜息を吐いたこともあって、麗俐が心配そうな顔でジョウジを見つめた。
「い、いえ、なんでもないんですよ。ほ、本当に美味しいですね。このエッグタルト」
ジョウジは苦笑いを浮かべながら答えた。自身の悩みを感じ取られないようにジョウジは他の菓子にも手を伸ばしたが、結局頭の中に残っていたのはエッグタルトのことだった。
このまま1日はエッグタルトのことを引き摺るのかとばかり思っていたのだが、予想だにしない言葉が耳に入ったためジョウジの意識からエッグタルトのことは消える羽目になった。
「しかし本当かよ? 猿どもが本格的に攻め入ってくるなんて」
「あぁ、噂だけど、生意気にも近くを陣取ってる猿どもの間で反乱が起きたみたいでさ。新しく長になった猿がそう息巻いてるみたいだぜ」
ジョウジがこの星の言葉を理解できたのは幸いであった。何かおかしい。
ジョウジは引き続き聞き耳を立てることにした。
「更にこの裏には逃げた丞相様が関わってるみたいなんだと」
「本当かよ。物騒な話だな」
この噂を話していた2人にとっては何気ない日常の中で流れる他愛のない会話であったのかもしれない。
だが、犯人を探すように命令されたジョウジからすれば喉から手が出るほどほしい情報であった。
ジョウジはすぐにその話を修也たちに向かって日本語で話し、紅晶に関してはこの星の言葉で喋っていった。
ジョウジの話を聞いた紅晶は信じられないと言わんばかりに両眉を上げていたのだが、やがて難しい顔を浮かべた後に納得のいったと言う顔を浮かべながら自分の考えを話していった。
「にわかには考え難い話です。ですが、あり得ないことではありません。理由はどうであれ2人は皇族に害を加えようとした謀反人。捕まれば公開処刑は免れない身です。ならば昨日までは『敵』として認定していた、或いは『猿』として見下していた種族に身を寄せるのも当然の話です」
「その上で融和的な政策をとる現在の長を追放して過激派の人物を後釜に据えた……というわけですか」
「そういうこと、あなた通訳にしておくには惜しいわね」
紅晶は口元に得意げな顔を浮かべながら言った。
「恐れ入ります」
ジョウジは丁寧に頭を下げながら言った。
「そうと決まれば、あとは彼らの居場所に向かうだけだわ」
紅晶はそう言うと、一分一秒でも惜しいとばかりに席の上を勢いよく立ち上がった。
会計を済ませて店を出ると、その勢いのまま猿たちが天幕を張っている場所へと向かっていく。このまま2人の謀反人を引き摺り出して朝廷へと連れて行かなければならない。
そんなことを考えていた時のことだ。突然茶館から浅黒い肌をした鋭い目付きの男が現れて紅晶に向かって勢いよくぶつかってきたのである。
ぶつかった衝撃で紅晶は思わず倒れそうになったものの、修也が慌てて取り押さえたことによって地面の上に倒れることはなかった。
「キミ、なんてことをするんだ! 危ないじゃあないか!」
見かねたジョウジがこの星の言葉で注意の言葉を吐いたが、浅黒い肌の男はニヤリと笑うばかりで謝罪の言葉を口にしようともしなかった。
なんて無礼な男だろう。言いようのない怒りに身を包まれたジョウジが男の肩を自分の拳を掴むかのように強く握り締めた時のことだ。
ジョウジの体が地面から勢いよく離されていった。
「紅晶公主殿下、申し訳ないがあなたにはここで死んでいただこうッ!」
男はそう叫ぶと、紅晶に向かって隠し持っていた短剣を突き立てようとした。
紅晶が無事であったのはこの時咄嗟に修也がカプセルを握り締め、メトロイドスーツを身に付けたまま男を勢いよく蹴り飛ばしたからであった。
大昔の刑事ドラマでは足を棒にして動かすのが大事だと言われていたのだが、現在の刑事ドラマでは足よりも資料を調べろというのが定説となっている。
そうした刑事ドラマの設定が活かされるのは21世紀の地球であるからであり、機械など欠片も見えない星ではあまり意味がないことであった。
それ故に今回は古き良き刑事ドラマに倣った方がいいだろう。
だが、当然であるが限界というものは訪れる。足が痛み始めてきたのだ。靴を脱いで痛む足を自らの右手で摩りたいという欲望が修也を襲ってきた。
いくら他の星の中であるとはいえ、道の真ん中で靴を脱いで摩るなどということは常識的に許されることではないのは修也が一番身に染みて分かっていた。
その代わりに彼は提案を投げ掛けるように言った。
「少し疲れましたね」
ジョウジはそれを聞いて納得した。修也は既に40を過ぎた中年の男性である。足腰が疲れたと訴えるのも仕方がないことである。
「わかったわ。じゃあ、適当なところで休みましょう。あっ、あそこにある茶館なんてどうかな?」
と、見かねた紅晶が提案の言葉を述べながら茶館の場所を指指した。
紅晶が口にした茶館という地球でいうところの喫茶店に相当する場所だった。
茶館は地球の中国でも知られた茶屋の名称である。茶館は文化革命を生き延び、現代にも残った古き良き伝統文化といってもいい。
茶館では多くの中国茶の他に欧米や日本でも発展した喫茶店のように菓子類や軽食が提供されている。これは地球の中国でも発展した飲茶が大きく影響していると思われる。飲茶は英国でいうところのティータイムに相当する時間であり、中国茶を飲みながら小さな料理や点心を食べて楽しむという文化だ。
日本では中国茶を飲むことよりも点心を食べることに重点が置かれているが、本場中国ではお茶を飲むことの方に重点が置かれている。日本における茶道の要素も含まれており、礼儀作法の一環としても扱われているのかもしれない。
このような作法と娯楽の一面を併せ持つ飲茶の歴史は唐代に遡るとされ、21世紀に至るまで受け継がれているのだ。
現在の地球における茶館では飲茶を開く人々のために点心や菓子類が提供されており、中国人のみならず世界中の人々の舌を満足させているといってもいい。
ジョウジは紅晶が示した『獄龍門』という看板を眺めながら、自身の中に入っていた『飲茶』に関する基礎知識のことを思い返していた。
基礎知識が間違っている可能性があるかもしれないが、飲茶に関する説明としてはこんなものであっていたような気がする。間違っているのかもしれない。そんな不安がジョウジの頭を過ったが、よく考えれば唐代以前の文化しかないこの星に飲茶もしくはそれに類する制度があるのも不自然な話だ。
もしかすればこの星においては自分の中にある古代中国の文化や歴史の知識はあまり役に立たないのかもしれない。
カルチャーショックともいえる文化を目の当たりにしたことでジョウジが不安に苛まれて茶館の前で唸り声を上げていた時のことだ。紅晶がジョウジの腕を引っ張りながら先へと進んでいく。
修也たちが紅晶が指差した茶館の中へ足を踏み入れると、中は盛況といっても差し支えないほど賑わって見えた。多くの人々が仕事や勉学の合間に詰めているらしく、お茶を飲んだり、菓子や軽食を食べながら談笑に励んでいた。
どの人も楽しげな顔をしていた。修也は喫茶店でも疲れたような顔を見せる現代日本の人々とは対照的のように思われた。
その一方でジョウジは作法に捉われず、楽しげにお茶をする人々を見て中国本土の飲茶というよりかは英国のアフターヌーンティーに類似点を見つけ出していた。
一行は椅子の上に腰を掛けると、机の上に置かれていた用意されたメニュー表と思われる紙に目を通したが、意味が分からずに腕を組んで悩むことになった。
そんな時に助け舟を出したのが紅晶だった。彼女はこの星の言葉で店員に向かって何かを話したかと思うと、修也たちにこの星の言葉で何を頼んだのかを説明していった。
ジョウジによればまだ早い時間だということもあって、軽食の類は頼まずに菓子のみを頼んだそうだ。お茶に関しては自分が美味いと感じ、お勧めしたいものを頼んだということだ。
紅晶の言葉通りに美味しそうなお茶と五種類の菓子が運ばれてきた。
薄い黄色のお茶の他に揚げ団子や獅子の形をした水と粉でくっ付けた菓子、柔らかめの皮を焼き上げた焼き菓子などが並んでいた。杏仁豆腐と思われる菓子が小さなガラスの器の中へと収まっていた。
杏仁豆腐の横にはどう見てもエッグタルトと思わしき菓子が並んでいるのも見えた。サクサクとした食感が舌の上で思い浮かびそうな生地に囲まれた中にはフワリととろけた食感を思わせられそうな柔らかいアパレイユの姿が確認できた。
本来であれば古代中国の時代にエッグタルトが存在しているのは不自然な話である。だが、それを言えば古代中国の文明しか持ち得ていないこの星に飲茶の習慣があるのも不自然だといえるだろう。
もしかすれば食文化は古代の中国よりも発展しているかもしれない。
そう考えることでしか辻褄が合わない。ジョウジは不本意ながらもエッグタルトに手を伸ばした。すると、口に入れた瞬間に柔らかな食感が迸り、卵を使ったアパレイユの甘味が口の中いっぱいに広がっていく。
エッグタルトのような菓子は絶品だった。地球上でもこの星のようなエッグタルトにはそうそう巡り合うことはできないだろう。
ジョウジは感動に咽び、全身をブルブルと震わせていた。
許されるのならばこのエッグタルトを地球に持って帰りたいという衝動に駆られた。
だが、そんな無駄なものに宇宙船のスペースを使ってはいられないことは自身の中にあるデータが示している。感情の面ではデータなど無視しろとしつこいのだが、どちらを優先しなければならないのかはハッキリと分かっていた。
それ故にジョウジはエッグタルトを持つ手を止め、大きく溜息を吐かずにはいられなかった。
「どうかしたの? ジョウジさん?」
鉛のように重い溜息を吐いたこともあって、麗俐が心配そうな顔でジョウジを見つめた。
「い、いえ、なんでもないんですよ。ほ、本当に美味しいですね。このエッグタルト」
ジョウジは苦笑いを浮かべながら答えた。自身の悩みを感じ取られないようにジョウジは他の菓子にも手を伸ばしたが、結局頭の中に残っていたのはエッグタルトのことだった。
このまま1日はエッグタルトのことを引き摺るのかとばかり思っていたのだが、予想だにしない言葉が耳に入ったためジョウジの意識からエッグタルトのことは消える羽目になった。
「しかし本当かよ? 猿どもが本格的に攻め入ってくるなんて」
「あぁ、噂だけど、生意気にも近くを陣取ってる猿どもの間で反乱が起きたみたいでさ。新しく長になった猿がそう息巻いてるみたいだぜ」
ジョウジがこの星の言葉を理解できたのは幸いであった。何かおかしい。
ジョウジは引き続き聞き耳を立てることにした。
「更にこの裏には逃げた丞相様が関わってるみたいなんだと」
「本当かよ。物騒な話だな」
この噂を話していた2人にとっては何気ない日常の中で流れる他愛のない会話であったのかもしれない。
だが、犯人を探すように命令されたジョウジからすれば喉から手が出るほどほしい情報であった。
ジョウジはすぐにその話を修也たちに向かって日本語で話し、紅晶に関してはこの星の言葉で喋っていった。
ジョウジの話を聞いた紅晶は信じられないと言わんばかりに両眉を上げていたのだが、やがて難しい顔を浮かべた後に納得のいったと言う顔を浮かべながら自分の考えを話していった。
「にわかには考え難い話です。ですが、あり得ないことではありません。理由はどうであれ2人は皇族に害を加えようとした謀反人。捕まれば公開処刑は免れない身です。ならば昨日までは『敵』として認定していた、或いは『猿』として見下していた種族に身を寄せるのも当然の話です」
「その上で融和的な政策をとる現在の長を追放して過激派の人物を後釜に据えた……というわけですか」
「そういうこと、あなた通訳にしておくには惜しいわね」
紅晶は口元に得意げな顔を浮かべながら言った。
「恐れ入ります」
ジョウジは丁寧に頭を下げながら言った。
「そうと決まれば、あとは彼らの居場所に向かうだけだわ」
紅晶はそう言うと、一分一秒でも惜しいとばかりに席の上を勢いよく立ち上がった。
会計を済ませて店を出ると、その勢いのまま猿たちが天幕を張っている場所へと向かっていく。このまま2人の謀反人を引き摺り出して朝廷へと連れて行かなければならない。
そんなことを考えていた時のことだ。突然茶館から浅黒い肌をした鋭い目付きの男が現れて紅晶に向かって勢いよくぶつかってきたのである。
ぶつかった衝撃で紅晶は思わず倒れそうになったものの、修也が慌てて取り押さえたことによって地面の上に倒れることはなかった。
「キミ、なんてことをするんだ! 危ないじゃあないか!」
見かねたジョウジがこの星の言葉で注意の言葉を吐いたが、浅黒い肌の男はニヤリと笑うばかりで謝罪の言葉を口にしようともしなかった。
なんて無礼な男だろう。言いようのない怒りに身を包まれたジョウジが男の肩を自分の拳を掴むかのように強く握り締めた時のことだ。
ジョウジの体が地面から勢いよく離されていった。
「紅晶公主殿下、申し訳ないがあなたにはここで死んでいただこうッ!」
男はそう叫ぶと、紅晶に向かって隠し持っていた短剣を突き立てようとした。
紅晶が無事であったのはこの時咄嗟に修也がカプセルを握り締め、メトロイドスーツを身に付けたまま男を勢いよく蹴り飛ばしたからであった。
0
お気に入りに追加
29
あなたにおすすめの小説
幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話
妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』
『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』
『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』
大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。
拝啓、私を追い出した皆様 いかがお過ごしですか?私はとても幸せです。
香木あかり
恋愛
拝啓、懐かしのお父様、お母様、妹のアニー
私を追い出してから、一年が経ちましたね。いかがお過ごしでしょうか。私は元気です。
治癒の能力を持つローザは、家業に全く役に立たないという理由で家族に疎まれていた。妹アニーの占いで、ローザを追い出せば家業が上手くいくという結果が出たため、家族に家から追い出されてしまう。
隣国で暮らし始めたローザは、実家の商売敵であるフランツの病気を治癒し、それがきっかけで結婚する。フランツに溺愛されながら幸せに暮らすローザは、実家にある手紙を送るのだった。
※複数サイトにて掲載中です
タイムワープ艦隊2024
山本 双六
SF
太平洋を横断する日本機動部隊。この日本があるのは、大東亜(太平洋)戦争に勝利したことである。そんな日本が勝った理由は、ある機動部隊が来たことであるらしい。人呼んで「神の機動部隊」である。
この世界では、太平洋戦争で日本が勝った世界戦で書いています。(毎回、太平洋戦争系が日本ばかり勝っ世界線ですいません)逆ファイナルカウントダウンと考えてもらえればいいかと思います。只今、続編も同時並行で書いています!お楽しみに!
蒼海の碧血録
三笠 陣
歴史・時代
一九四二年六月、ミッドウェー海戦において日本海軍は赤城、加賀、蒼龍を失うという大敗を喫した。
そして、その二ヶ月後の八月、アメリカ軍海兵隊が南太平洋ガダルカナル島へと上陸し、日米の新たな死闘の幕が切って落とされた。
熾烈なるガダルカナル攻防戦に、ついに日本海軍はある決断を下す。
戦艦大和。
日本海軍最強の戦艦が今、ガダルカナルへと向けて出撃する。
だが、対するアメリカ海軍もまたガダルカナルの日本軍飛行場を破壊すべく、最新鋭戦艦を出撃させていた。
ここに、ついに日米最強戦艦同士による砲撃戦の火蓋が切られることとなる。
(本作は「小説家になろう」様にて連載中の「蒼海決戦」シリーズを加筆修正したものです。予め、ご承知おき下さい。)
※表紙画像は、筆者が呉市海事歴史科学館(大和ミュージアム)にて撮影したものです。
天日ノ艦隊 〜こちら大和型戦艦、異世界にて出陣ス!〜
八風ゆず
ファンタジー
時は1950年。
第一次世界大戦にあった「もう一つの可能性」が実現した世界線。1950年4月7日、合同演習をする為航行中、大和型戦艦三隻が同時に左舷に転覆した。
大和型三隻は沈没した……、と思われた。
だが、目覚めた先には我々が居た世界とは違った。
大海原が広がり、見たことのない数多の国が支配者する世界だった。
祖国へ帰るため、大海原が広がる異世界を旅する大和型三隻と別世界の艦船達との異世界戦記。
※戦艦など知らない人も楽しめるため、解説などを出し努力しております。是非是非「知識がなく、楽しんで読めるかな……」っと思ってる方も読んでみてください!※
GAME CHANGER 日本帝国1945からの逆襲
俊也
歴史・時代
時は1945年3月、敗色濃厚の日本軍。
今まさに沖縄に侵攻せんとする圧倒的戦力のアメリカ陸海軍を前に、日本の指導者達は若者達による航空機の自爆攻撃…特攻 で事態を打開しようとしていた。
「バカかお前ら、本当に戦争に勝つ気があるのか!?」
その男はただの学徒兵にも関わらず、平然とそう言い放ち特攻出撃を拒否した。
当初は困惑し怒り狂う日本海軍上層部であったが…!?
姉妹作「新訳 零戦戦記」共々宜しくお願い致します。
共に
第8回歴史時代小説参加しました!
異世界に吹っ飛ばされたんで帰ろうとしたら戦車で宇宙を放浪するハメになったんですが
おっぱいもみもみ怪人
ファンタジー
敵の攻撃によって拾った戦車ごと異世界へと飛ばされた自衛隊員の二人。
そこでは、不老の肉体と特殊な能力を得て、魔獣と呼ばれる怪物退治をするハメに。
更には奴隷を買って、遠い宇宙で戦車を強化して、どうにか帰ろうと悪戦苦闘するのであった。
烈火の大東亜
シャルリアちゃんねる
SF
現代に生きる男女2人の学生が、大東亜戦争[太平洋戦争]の開戦直後の日本にタイムスリップする。
2人はその世界で出会い、そして共に、日本の未来を変えようと決意し、
各海戦に参加し、活躍していく物語。その時代の日本そして世界はどうなるのかを描いた話。
史実を背景にした物語です。
本作はチャットノベル形式で書かせて頂きましたので、凝った小説らしさというより
漫画の様な読みやすさがあると思いますので是非楽しんでください。
それと、YOUTUBE動画作製を始めたことをお知らせします。
名前は シャリアちゃんねる です。
シャリアちゃんねる でぐぐってもらうと出てくると思います。
URLは https://www.youtube.com/channel/UC95-W7FV1iEDGNZsltw-hHQ/videos?view=0&sort=dd&shelf_id=0 です。
皆さん、結構ご存じかと思っていましたが、意外と知られていなかった、第一話の真珠湾攻撃の真実等がお勧めです。
良かったらこちらもご覧ください。
主に政治系歴史系の動画を、アップしています。
小説とYOUTUBEの両方を、ごひいきにして頂いたら嬉しく思います。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる