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第一植民惑星『火星』
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「これでようやく火星ともお別れですね」
「えぇ、ここ最近は特にトラブルもなく取り引きを進めることができましたからね」
ジョウジは手元のタブレットの中に記された取り引き内容を満足げな目で見つめながら言った。
タブレットに記載されているのは多くの企業との交易記録である。
記録上には一週間と三日ほどの記録が全て載っている。どこの企業との交易も順調である。打ち上げ前に社長に報告の連絡を入れた時も満足した表情を浮かべていたのが見えた。
修也はジョウジからその報告を聞き、上機嫌な顔で手前に置いていたサーモンを摘んでいった。
サーモンの旨みが口の中いっぱいに広がっていく。寿司のネタというのはどれもハズレがないものだが、特に美味いのはサーモンだと思われる。
その隣では悠介がサバを、麗俐がイクラを平らげていた。どちらも寿司のネタとしては定番ともいえるものだ。
三人が打ち上げの場所として訪れていたのは火星に唯一存在している全自動のスシバーいわゆる回転寿司であった。
今や日本のみならず世界でも食べられている店の名前だ。回る寿司というのは昔から庶民のための場所とされており、それは22世紀になっても、星を変えても変わらないものであった。
修也は満足した態度のまま新たに目の前から流れてきた漬けマグロへと手を伸ばしていった。漬けマグロは醤油に浸したマグロ寿司のことで江戸時代に遠距離から運んできた魚のネタを醤油で保存していたことが由来だとされている。
修也はそれを右手で掴むと大きく口の中へと放り込んでいった。
ネタとシャリとが合わさって本当に美味しいものだ。『ご馳走』という単語は今の状況のことを指していうのかもしれない。
修也は鼻歌を歌いながら満足そうに腹を摩っていた。そして最後に配られたお手拭きで自身の顔を洗っていた。
「ちょっと、お父さん汚いよ!」
「やめてくれよ、もう」
二人の子どもから非難するような声が飛んでくる。
中年親父特有の妙な習慣といえばそれまでであるが、それでも二人の子どもは父親の下品な行動に軽蔑の心を隠さずにはいられなかった。
子どもたちからの軽蔑の視線に耐え切れず、修也は慌ててお手拭きを戻し、恥ずかしそうに顔を背けた。
その様子を二人のアンドロイドは呆れた目で見つめていた。
二人のアンドロイドからしても今の修也の態度はおかしなものであったに違いなかった。
こうしたトラブルがあったものの、修也たちはそのままタクシーに乗って宇宙船へと帰っていった。
満足そうな顔を浮かべながら宇宙船の前に辿り着いた。このまま梯子を上がって宇宙船に戻ろうとした時だ。
宇宙船の前に見慣れないバギーが置かれていたことに気が付いた。
ピンク色に塗られ、可愛らしい丸みを帯びたデザインのバギーだった。
その場にいた全員は小首を傾げるばかりだったが、唯一麗俐だけが青ざめたような顔を浮かべていた。
「どうしたんだ? 変な顔をして」
修也が父親として娘を気遣った。そのために質問を投げ掛けていたのだが、麗俐は答えることなく、その場でガタガタと震えるだけだった。
全員で様子のおかしい麗俐を妙に思っていた時だ。背後から大昔に上映され、人気を博したミュージカル映画の挿入歌を歌う声が聞こえてきた。
全員で背後を振り返ると、そこには映画俳優を思わせるような美しい顔にステッキを手に持った若い男の姿が見えた。
麗俐はその男が現れのたのを見て思わず腰を抜かしてしまった。彼女の脳裏にはあの恐ろしい顔がしっかりと焼き付いていた。
誘拐の際に同席してその顔を知っていた悠介も同様に忌々しいものを見つめるかのような目で男を睨んでいた。
だが、他のメンバーは不用意に近付きそうだった。特にジョウジはアンドロイドであり、不用意に近付いてきた男に対する容赦もなかった。
これは不味い。悠介は慌ててジョウジを制して男の元へと向かっていった。
悠介は若い上にバスケットボールで体を慣らしていたということもあり、挑発するかのような口調だった。
「貴様、なんの用でここにきた? 悪いが、ここには貴様が想像しているような良いものは何もないぞ。全部交易で使ってしまったんだ。分かったんなら、さっさと帰ってくれ」
悠介はそのまま男を突き飛ばして追い払おうとしたのだが、男はその言葉を返すことなく無言で手に持っていたステッキを悠介のくるぶしに向かって打っていった。
くるぶしに強烈な一撃を受けた悠介は悲鳴を上げながら地面の上に蹲っていったが、男は容赦することなく、ステッキの先端を悠介の腹部に向かって打ち込んでいった。
続け様の攻撃を喰らった悠介は苦痛に顔を歪めたものの、男は容赦することなく悠介の頭に向かって蹴りを喰らわせていった。
悠介は完全に地面の上へと叩きのめされることになってしまった。
「悠介!」
息子の危機を知った修也が慌てて駆け寄っていこうとしたが、その前に戦闘用スーツを身に付けた麗俐が父親を押し除けて、弟を守るため勇気を出し男の前に立ち塞がった。
それからニヤニヤと気色の悪い顔を浮かべて笑う男の左頬をパワードスーツを纏った手で思いっきり殴り付けていった。男は悲鳴を上げながら地面の上を転がっていく姿が見えた。
「れ、麗俐!」
明らかにやり過ぎだ。相手も同じようなパワードスーツを纏っているのならばともかく、無防備な相手に装甲を纏ったまま殴り付けるなど許されないことだ。
例えるのならばそれは剣道部の部員が真剣の状態で初心者を斬りつける愚業そのものなのだ。
うめき声をあげる悠介を助け起こしながら修也はそんな愚かしい真似を行った娘を窘めていった。
麗俐はまだ事態が飲み込めていない父親に対して声を張り上げて事態を叫んでいった。
「分からないの!? こいつは明日なき明日を撃つ者の片割れ、アレックスなんだよッ! やらなきゃこっちやがやられちゃうよ!」
麗俐の言葉を聞いて修也は両目を大きく広げていった。
目が覚めたと言わんばかりに両目を大きく見開かせていた。
先ほど、悠介がジョウジを制して男の元へと迫っていったことが分かった。
修也が慌ててカプセルを懐から抜き、自らの体に戦闘用スーツを纏っていこうとした時のことだ。
アレックスが戦闘用スーツを身に纏おうとした修也の腹部に向かってステッキを突き刺して、その体の自由を奪っていった。
その動きにいち早く対抗したのは当事者の修也ではなく、麗俐であった。麗俐はいち早くカプセルから戦闘用スーツを取り出し、自らの体を戦闘用のスーツで覆っていった。
それから自らのカプセルを使って黒い宇宙服のようなパワードスーツを身に付けようとしたアレックスの体を両足を使って大きく蹴ることで地面の上へと転倒させたのだった。
こうすることでアレックスにパワードスーツを身に付けまいとさせたのだ。
麗俐の予想通りアレックスは地面の上で尻餅を突きつつも、無事に起き上がっていき、麗俐の顔に向かってカウンターともいえるパンチを繰り出していった。
大きくカウンターを真正面から受け止めることになった麗俐はその場でよろめいたものの、体を持ち堪えさせてその場に踏み止まった。
それからもう一度麗俐はアレックスの頬に向かって強烈な一撃を喰らわせていった。
麗俐のキレのあるパンチを受けたアレックスは地面の上に一度押し倒されてしまったものの、自らが手にしていたステッキを使って起き上がっていった。
それから報復だとばかりにステッキからビームソードの刃を剥き出しにしていった。
そして麗俐に向かって無言で斬りかかっていった。
フェンシングの『突き』の一撃である。麗俐は自身のビームソードを斜めに構えることで防いでみせた。
ここまでくればフェンシングの要領で立ち向かえばいいだけのことだ。
麗俐はフェンシング部のエースだと言われていた時のことを思い返していった。
その思いを胸に秘めながらアレックスの猛攻を耐えていった。
アレックスとてそれなりの鍛錬は積んでいる。なかなかの強敵であった。
麗俐は兜の下で歯を食いしばりながらアレックスの剣を受け止めていた。
麗俐は自らを奮い立たせためと相手の士気を削ぐという二つの目的を上げ、咆哮のような大きな声を上げていった。
それはまさしく荒野の岩の上で気高い雄叫びを上げていく狼や虎を思わせるような声だった。
アレックスは一瞬ではあるものの、麗俐の大声を聞いて両肩を竦ませる姿を見せた。異人種といえども女性である麗俐から今のような声を聞くのは予想外であったからに違いなかった。
麗俐はその油断した隙を目指してアレックスの左肩へとビームソードの先端を突き破ろうとしていた。
だが、その前にカリグラの時と同様にアレックスの左肩から粘液上の生物が現れて麗俐のビームソードを防いでいったのだ。ビームソードの熱によってスライムは多少は焦げることになったものの、アレックスの体そのものは無事だった。
麗俐が思わず「あっ」と声を上げた時のことだ。兜の下でアレックスが勝ち誇ったような笑みを浮かべて、麗俐を自らの仕込み杖を使って吹き飛ばしていった。
「麗俐!」
修也はビームソードを構えながらアレックスの元へと向かっていったが、それを見た麗俐が無言で首を横に振った。
麗俐はアレックスをカリグラと同様に自らの手で始末する気でいた。
その証明と言わんばかりにビームソードを握り締め、アレックスの足元へ向かって剣先を突き出していった。
それからもう一度互いの武器を使いながら壮絶な斬り合いを始めていった。
数を数えるのも諦めるほどの打ち合いが続いた時だ。ようやくその気は訪れた。
麗俐はアレックスの手から仕込み杖を落とさせることに成功したのである。
偶然ではあったものの、それは明らかに戦局を有利に進める一手となった。
「えぇ、ここ最近は特にトラブルもなく取り引きを進めることができましたからね」
ジョウジは手元のタブレットの中に記された取り引き内容を満足げな目で見つめながら言った。
タブレットに記載されているのは多くの企業との交易記録である。
記録上には一週間と三日ほどの記録が全て載っている。どこの企業との交易も順調である。打ち上げ前に社長に報告の連絡を入れた時も満足した表情を浮かべていたのが見えた。
修也はジョウジからその報告を聞き、上機嫌な顔で手前に置いていたサーモンを摘んでいった。
サーモンの旨みが口の中いっぱいに広がっていく。寿司のネタというのはどれもハズレがないものだが、特に美味いのはサーモンだと思われる。
その隣では悠介がサバを、麗俐がイクラを平らげていた。どちらも寿司のネタとしては定番ともいえるものだ。
三人が打ち上げの場所として訪れていたのは火星に唯一存在している全自動のスシバーいわゆる回転寿司であった。
今や日本のみならず世界でも食べられている店の名前だ。回る寿司というのは昔から庶民のための場所とされており、それは22世紀になっても、星を変えても変わらないものであった。
修也は満足した態度のまま新たに目の前から流れてきた漬けマグロへと手を伸ばしていった。漬けマグロは醤油に浸したマグロ寿司のことで江戸時代に遠距離から運んできた魚のネタを醤油で保存していたことが由来だとされている。
修也はそれを右手で掴むと大きく口の中へと放り込んでいった。
ネタとシャリとが合わさって本当に美味しいものだ。『ご馳走』という単語は今の状況のことを指していうのかもしれない。
修也は鼻歌を歌いながら満足そうに腹を摩っていた。そして最後に配られたお手拭きで自身の顔を洗っていた。
「ちょっと、お父さん汚いよ!」
「やめてくれよ、もう」
二人の子どもから非難するような声が飛んでくる。
中年親父特有の妙な習慣といえばそれまでであるが、それでも二人の子どもは父親の下品な行動に軽蔑の心を隠さずにはいられなかった。
子どもたちからの軽蔑の視線に耐え切れず、修也は慌ててお手拭きを戻し、恥ずかしそうに顔を背けた。
その様子を二人のアンドロイドは呆れた目で見つめていた。
二人のアンドロイドからしても今の修也の態度はおかしなものであったに違いなかった。
こうしたトラブルがあったものの、修也たちはそのままタクシーに乗って宇宙船へと帰っていった。
満足そうな顔を浮かべながら宇宙船の前に辿り着いた。このまま梯子を上がって宇宙船に戻ろうとした時だ。
宇宙船の前に見慣れないバギーが置かれていたことに気が付いた。
ピンク色に塗られ、可愛らしい丸みを帯びたデザインのバギーだった。
その場にいた全員は小首を傾げるばかりだったが、唯一麗俐だけが青ざめたような顔を浮かべていた。
「どうしたんだ? 変な顔をして」
修也が父親として娘を気遣った。そのために質問を投げ掛けていたのだが、麗俐は答えることなく、その場でガタガタと震えるだけだった。
全員で様子のおかしい麗俐を妙に思っていた時だ。背後から大昔に上映され、人気を博したミュージカル映画の挿入歌を歌う声が聞こえてきた。
全員で背後を振り返ると、そこには映画俳優を思わせるような美しい顔にステッキを手に持った若い男の姿が見えた。
麗俐はその男が現れのたのを見て思わず腰を抜かしてしまった。彼女の脳裏にはあの恐ろしい顔がしっかりと焼き付いていた。
誘拐の際に同席してその顔を知っていた悠介も同様に忌々しいものを見つめるかのような目で男を睨んでいた。
だが、他のメンバーは不用意に近付きそうだった。特にジョウジはアンドロイドであり、不用意に近付いてきた男に対する容赦もなかった。
これは不味い。悠介は慌ててジョウジを制して男の元へと向かっていった。
悠介は若い上にバスケットボールで体を慣らしていたということもあり、挑発するかのような口調だった。
「貴様、なんの用でここにきた? 悪いが、ここには貴様が想像しているような良いものは何もないぞ。全部交易で使ってしまったんだ。分かったんなら、さっさと帰ってくれ」
悠介はそのまま男を突き飛ばして追い払おうとしたのだが、男はその言葉を返すことなく無言で手に持っていたステッキを悠介のくるぶしに向かって打っていった。
くるぶしに強烈な一撃を受けた悠介は悲鳴を上げながら地面の上に蹲っていったが、男は容赦することなく、ステッキの先端を悠介の腹部に向かって打ち込んでいった。
続け様の攻撃を喰らった悠介は苦痛に顔を歪めたものの、男は容赦することなく悠介の頭に向かって蹴りを喰らわせていった。
悠介は完全に地面の上へと叩きのめされることになってしまった。
「悠介!」
息子の危機を知った修也が慌てて駆け寄っていこうとしたが、その前に戦闘用スーツを身に付けた麗俐が父親を押し除けて、弟を守るため勇気を出し男の前に立ち塞がった。
それからニヤニヤと気色の悪い顔を浮かべて笑う男の左頬をパワードスーツを纏った手で思いっきり殴り付けていった。男は悲鳴を上げながら地面の上を転がっていく姿が見えた。
「れ、麗俐!」
明らかにやり過ぎだ。相手も同じようなパワードスーツを纏っているのならばともかく、無防備な相手に装甲を纏ったまま殴り付けるなど許されないことだ。
例えるのならばそれは剣道部の部員が真剣の状態で初心者を斬りつける愚業そのものなのだ。
うめき声をあげる悠介を助け起こしながら修也はそんな愚かしい真似を行った娘を窘めていった。
麗俐はまだ事態が飲み込めていない父親に対して声を張り上げて事態を叫んでいった。
「分からないの!? こいつは明日なき明日を撃つ者の片割れ、アレックスなんだよッ! やらなきゃこっちやがやられちゃうよ!」
麗俐の言葉を聞いて修也は両目を大きく広げていった。
目が覚めたと言わんばかりに両目を大きく見開かせていた。
先ほど、悠介がジョウジを制して男の元へと迫っていったことが分かった。
修也が慌ててカプセルを懐から抜き、自らの体に戦闘用スーツを纏っていこうとした時のことだ。
アレックスが戦闘用スーツを身に纏おうとした修也の腹部に向かってステッキを突き刺して、その体の自由を奪っていった。
その動きにいち早く対抗したのは当事者の修也ではなく、麗俐であった。麗俐はいち早くカプセルから戦闘用スーツを取り出し、自らの体を戦闘用のスーツで覆っていった。
それから自らのカプセルを使って黒い宇宙服のようなパワードスーツを身に付けようとしたアレックスの体を両足を使って大きく蹴ることで地面の上へと転倒させたのだった。
こうすることでアレックスにパワードスーツを身に付けまいとさせたのだ。
麗俐の予想通りアレックスは地面の上で尻餅を突きつつも、無事に起き上がっていき、麗俐の顔に向かってカウンターともいえるパンチを繰り出していった。
大きくカウンターを真正面から受け止めることになった麗俐はその場でよろめいたものの、体を持ち堪えさせてその場に踏み止まった。
それからもう一度麗俐はアレックスの頬に向かって強烈な一撃を喰らわせていった。
麗俐のキレのあるパンチを受けたアレックスは地面の上に一度押し倒されてしまったものの、自らが手にしていたステッキを使って起き上がっていった。
それから報復だとばかりにステッキからビームソードの刃を剥き出しにしていった。
そして麗俐に向かって無言で斬りかかっていった。
フェンシングの『突き』の一撃である。麗俐は自身のビームソードを斜めに構えることで防いでみせた。
ここまでくればフェンシングの要領で立ち向かえばいいだけのことだ。
麗俐はフェンシング部のエースだと言われていた時のことを思い返していった。
その思いを胸に秘めながらアレックスの猛攻を耐えていった。
アレックスとてそれなりの鍛錬は積んでいる。なかなかの強敵であった。
麗俐は兜の下で歯を食いしばりながらアレックスの剣を受け止めていた。
麗俐は自らを奮い立たせためと相手の士気を削ぐという二つの目的を上げ、咆哮のような大きな声を上げていった。
それはまさしく荒野の岩の上で気高い雄叫びを上げていく狼や虎を思わせるような声だった。
アレックスは一瞬ではあるものの、麗俐の大声を聞いて両肩を竦ませる姿を見せた。異人種といえども女性である麗俐から今のような声を聞くのは予想外であったからに違いなかった。
麗俐はその油断した隙を目指してアレックスの左肩へとビームソードの先端を突き破ろうとしていた。
だが、その前にカリグラの時と同様にアレックスの左肩から粘液上の生物が現れて麗俐のビームソードを防いでいったのだ。ビームソードの熱によってスライムは多少は焦げることになったものの、アレックスの体そのものは無事だった。
麗俐が思わず「あっ」と声を上げた時のことだ。兜の下でアレックスが勝ち誇ったような笑みを浮かべて、麗俐を自らの仕込み杖を使って吹き飛ばしていった。
「麗俐!」
修也はビームソードを構えながらアレックスの元へと向かっていったが、それを見た麗俐が無言で首を横に振った。
麗俐はアレックスをカリグラと同様に自らの手で始末する気でいた。
その証明と言わんばかりにビームソードを握り締め、アレックスの足元へ向かって剣先を突き出していった。
それからもう一度互いの武器を使いながら壮絶な斬り合いを始めていった。
数を数えるのも諦めるほどの打ち合いが続いた時だ。ようやくその気は訪れた。
麗俐はアレックスの手から仕込み杖を落とさせることに成功したのである。
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