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モスト・オブ・デンジャラス・ゲーム編
リトル・モスクワ・ウォーズーその⑥
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「何がおかしいんだ?」
孝太郎の指摘に葵は相変わらずの微笑を浮かべながら、
「いやね、あなたの焦りようがあまりにも面白いなと思っただけよ。四国の時のあなたもそうなんだけれど、やっぱりお姉ちゃんの事になると態度が変わるのね。シスコンというやつかしら?」
葵の言葉に孝太郎は眉間にしわを寄せて、
「そうだな、それの何が悪いんだ?弟が姉のことを好きで何が悪いんだ?」
「大きな問題よ。シスコンつまり、シスターコンプレックス。これで何でもかんでも姉と自分の相手を比べてしまう癖ができちゃうわ、それが1つ目の難点という所かしら、2つ目の難点……それはあなたの大好きなお姉ちゃんに恋人ができたりしたら、どうするのか、という点ね」
「おれが恋人を殺すとでも言いたいのか?」
孝太郎は何とか笑いを浮かべて、いや、この場合は『無理して笑っている風を装っている』と書くべきだろうか。
いずれにしろ、この時の孝太郎の顔が本気で笑っていなかったのは確かな事であった。
石川葵はそんな孝太郎の様子を見越したかのように相手を煽るような微笑を浮かべ続けながら、
「あたしの予想通りの答えじゃあない、あなたならその右手で相手を消し去る事くらい可能なんじゃあなくて?」
「あいにくだが、一般人を傷付ける事はウチの祖父から禁じられているからな……」
この時の孝太郎の脳裏に浮かんだのは幼き日に自分を慰めてくれた祖父の顔。
その時の祖父は自分に優しく笑いかけながら、
「孝太郎。いいか、何があってもその力を自分を守るための力や他の人たちの生命や財産を守る目的以外では使用してはいかんぞ。もし、お前がその力を私欲に使ったなら、お爺ちゃんはお前に失望するからな」
そう言って祖父は再び自分の頭を撫で回す。孝太郎にとって決して忘れようのない記憶。
あれから、孝太郎は劣等生でありながらも必死に勉強して警察官採用試験に合格して、市民の命を守る警察官になった。
それから、孝太郎は白籠市の治安を守るために様々な事件に立ち向かっていった。
そして、少しばかり前に姉と再会して……。
そんな、孝太郎による自身の回顧録は突然打ち切りになってしまう。
クラーク・チャンドラーのために。
「つまり、お前という人間は昔からずっとお姉ちゃんの父を欲しがった変態野郎だと言うことなんだよな!?えっ!?」
孝太郎は少し前の休憩時間に1957年の世界で、孝太郎が一度忠誠を誓ったマフィアの女ボスがどのような侮辱を受けたのかを伝聞していた。
その時の孝太郎はその女ボスに共感の念を抱いたが、今ならば確実に「共感」ではなく「感情移入」に変わりそうだ。
自分の大切な人を侮辱される気分というのはこれ程までに腹の底から怒りを呼び起こすのだろうか。
孝太郎は肌の色をまだら色に紅潮させて、クラーク・チャンドラーが狙撃場所を陣取るビルへと登っていく。
勿論、クラークもその孝太郎の尋常ならざる様子に危機感を抱いたのだろう。
孝太郎に向かって何発も銃弾を打ち込んでくるが、孝太郎はその度に銃弾を見切り、自分の右手を使い銃弾を消失させていた。
孝太郎は南京錠がかかっていたはずのビルの入り口を破って、階段を登っていく。
クラーク・チャンドラーは身の危険を感じていた。
まさか、あの程度の侮辱で中村孝太郎があれ程までに怒りを押さえつけるリミッターを解除するとは思わなかったのだ。
クラークは慌てて、屋上一帯に自身の魔法を敷き詰めておく。
こうすれば、中村孝太郎は屋上の扉を開いた瞬間に眉間に銃弾を撃ち込まれて死んでしまうという寸法だ。
クラークはスナイパーライフルの銃口を屋上の扉へと向ける。
扉が蹴やぶられる音が聞こえる。
その瞬間に修羅のような顔をした中村孝太郎が現れた。
クラークは下唇を噛み締めながら、スナイパーライフルの引き金を引こうとする。
だが、次の瞬間には、
「無駄だよ。お前の魔法はおれにはもう通用しないんだ」
孝太郎は大きく右手を振るう。
次の瞬間にはもう、クラークは孝太郎の目と鼻の先にまで寄せられてしまう。
更に引き寄せられる際にスナイパーライフルを落としてしまうというアクシデントまで付いて。
目の前の外国人の男が大量の冷や汗を流しているのを孝太郎は目撃するが、そんな事は構いはしない。
孝太郎はクラークの右頬を思いっきり殴り付ける。
は孝太郎に殴られた衝撃によって、屋上の落下防止柵の辺りにまで吹き飛ばされてしまう。
クラークは落下防止柵に全身を打ち付けられた衝撃のためか、男は全身の力が完全に抜けてしまう。
自身の魔法陣の壊れた部分の再構築を試みようか。
いや、今の自分にはする気力がない。
そんな事を考えていると、孝太郎が破壊の魔法を使って、屋上の魔法陣を破壊して向かって来る。
クラークは右手に破壊の魔法を。左手にリボルバーを構えている孝太郎の様子に思わず、
「ま、待て! 何でもするッ!おれが悪かったよ……」
「お前だけは絶対に許さない……」
「わ、私は自由共和党の専属殺し屋だッ!殺せば、確実にあのお方の怒りを買うぞ! 」
「あのお方とは?」
孝太郎はリボルバーの撃鉄を立てながら尋ねる。
その音に怯えたのだろう。クラークは全身を震わせて、
「に、二階堂俊博……」
「自由共和党幹事長のか?」
クラークは孝太郎の問いに何度も何度も首を縦に振る。
そして、孝太郎が手錠を掛けようとすると、
「ま、待てよ! 私を逮捕しても無駄だぞッ!二階堂幹事長が私を釈放してくれるッ!」
「誰が逮捕するなんて言ったんだ?」
クラークはその言葉に思わず孝太郎の携帯端末を覗き込む。
そして、孝太郎が電話を打とうしている相手の文字は、
「お、大空組事務所……」
「ボリスの行方を聞いた時にこいつらの電話番号を聞いてな、お前を引き渡す条件で、ボリス・レオニードに関する情報を喋ってくれる事をおれに約束してくれた」
クラークはその言葉を聞くなり、顔全体を青くして、
「ま、待ってくれ! 何でも言う事を聞く、だから、おれを日本の刑務所で裁かせてくれ! 」
「お前は二階堂の手引きで釈放されるんだろ?」
「た、頼むよ! 私は二階堂俊博にあの女を手伝えと言われただけなんだ?」
孝太郎は『あの女』と言う言葉を聞くなり、一旦電話を切り、録音機能を作動させる。
「あの女とは誰なんだ?」
「三原青子だよ! 東京都知事の……二階堂からあの女の献金疑惑を嗅ぎまわる白籠市のアンタッチャブルを消して来いと言われたんだッ!」
その証言を得るのと同時に、孝太郎は録音機能を消す。
クラークはこれで命は助かったと安堵するが、孝太郎は再び電話を掛けて、
「もしもし、大空組の奴か?場所は……ああ……間違いない、心配はいらないさ、おれがちゃんと見張ってる」
孝太郎のその言葉を聞き終えるなり、クラークは渾身の怒りを込めて叫ぶ。
「私は全部喋ったじゃあないかッ!どうして、私を組事務所に……」
「安心しろ、さっき死なない程度にいたぶってくれと頼んだばかりだ。もっとも、五体満足の状態になるかは分からんがな」
クラークは恐ろしさに駆られて、その場から逃亡しようと目論んだが、孝太郎がそれを許さない。
孝太郎はリボルバーを突きつけながら、
「どこへ行く気だ?」
修羅のような表情を浮かべて尋ねるため、クラークはその場から動けなかった。
見張られてから、5分程経った頃だろうか、ビルの周りに黒塗りの高級車が集まり、屋上の扉を蹴破り、
「おい、こいつがおれの弟分たちを殺した外国人の男か?」
「ああ、間違いない。こいつだ」
孝太郎の言葉に暴力団の男は全身を震わせながら、
「こいつが……こいつがおれのッ!」
その瞬間にはもう、男の懐に入れていたと思われるオート拳銃から銃弾が放たれる。
男の銃弾がクラークの右腕に直撃する。
クラークは痛さのあまりに絶叫する。
「グギャァァァァァァァァァ~!! 」
男はそんなクラークの様子などに構いもせずに乱暴に左腕を持ち上げながら、
「こいては裁判までおれらが預かる……それでいいな?」
「ああ、証言ができる程度にしてくれりゃあ、好きにすれば良い……」
クラークは全力で否定の言葉を叫びながら、男に連れられて行く。
孝太郎は立ち去ろうとするヤクザの男に石川葵のことを尋ねるが、
「いや、見なかったな」
男は考えるそぶりも見せずに言い放つ。
孝太郎は落胆していると、
「うう」
右腕の痛みが戻ったらしい。思わず叫んでしまう。
「大丈夫か?兄さん?」
「ああ、おれはこのまま病院に行くよ」
「そうか……気を付けてな」
立場の異なる職業の人間同士がビルの階段を下っていく。
孝太郎はこの瞬間に妙な感覚を覚えていた。
孝太郎の指摘に葵は相変わらずの微笑を浮かべながら、
「いやね、あなたの焦りようがあまりにも面白いなと思っただけよ。四国の時のあなたもそうなんだけれど、やっぱりお姉ちゃんの事になると態度が変わるのね。シスコンというやつかしら?」
葵の言葉に孝太郎は眉間にしわを寄せて、
「そうだな、それの何が悪いんだ?弟が姉のことを好きで何が悪いんだ?」
「大きな問題よ。シスコンつまり、シスターコンプレックス。これで何でもかんでも姉と自分の相手を比べてしまう癖ができちゃうわ、それが1つ目の難点という所かしら、2つ目の難点……それはあなたの大好きなお姉ちゃんに恋人ができたりしたら、どうするのか、という点ね」
「おれが恋人を殺すとでも言いたいのか?」
孝太郎は何とか笑いを浮かべて、いや、この場合は『無理して笑っている風を装っている』と書くべきだろうか。
いずれにしろ、この時の孝太郎の顔が本気で笑っていなかったのは確かな事であった。
石川葵はそんな孝太郎の様子を見越したかのように相手を煽るような微笑を浮かべ続けながら、
「あたしの予想通りの答えじゃあない、あなたならその右手で相手を消し去る事くらい可能なんじゃあなくて?」
「あいにくだが、一般人を傷付ける事はウチの祖父から禁じられているからな……」
この時の孝太郎の脳裏に浮かんだのは幼き日に自分を慰めてくれた祖父の顔。
その時の祖父は自分に優しく笑いかけながら、
「孝太郎。いいか、何があってもその力を自分を守るための力や他の人たちの生命や財産を守る目的以外では使用してはいかんぞ。もし、お前がその力を私欲に使ったなら、お爺ちゃんはお前に失望するからな」
そう言って祖父は再び自分の頭を撫で回す。孝太郎にとって決して忘れようのない記憶。
あれから、孝太郎は劣等生でありながらも必死に勉強して警察官採用試験に合格して、市民の命を守る警察官になった。
それから、孝太郎は白籠市の治安を守るために様々な事件に立ち向かっていった。
そして、少しばかり前に姉と再会して……。
そんな、孝太郎による自身の回顧録は突然打ち切りになってしまう。
クラーク・チャンドラーのために。
「つまり、お前という人間は昔からずっとお姉ちゃんの父を欲しがった変態野郎だと言うことなんだよな!?えっ!?」
孝太郎は少し前の休憩時間に1957年の世界で、孝太郎が一度忠誠を誓ったマフィアの女ボスがどのような侮辱を受けたのかを伝聞していた。
その時の孝太郎はその女ボスに共感の念を抱いたが、今ならば確実に「共感」ではなく「感情移入」に変わりそうだ。
自分の大切な人を侮辱される気分というのはこれ程までに腹の底から怒りを呼び起こすのだろうか。
孝太郎は肌の色をまだら色に紅潮させて、クラーク・チャンドラーが狙撃場所を陣取るビルへと登っていく。
勿論、クラークもその孝太郎の尋常ならざる様子に危機感を抱いたのだろう。
孝太郎に向かって何発も銃弾を打ち込んでくるが、孝太郎はその度に銃弾を見切り、自分の右手を使い銃弾を消失させていた。
孝太郎は南京錠がかかっていたはずのビルの入り口を破って、階段を登っていく。
クラーク・チャンドラーは身の危険を感じていた。
まさか、あの程度の侮辱で中村孝太郎があれ程までに怒りを押さえつけるリミッターを解除するとは思わなかったのだ。
クラークは慌てて、屋上一帯に自身の魔法を敷き詰めておく。
こうすれば、中村孝太郎は屋上の扉を開いた瞬間に眉間に銃弾を撃ち込まれて死んでしまうという寸法だ。
クラークはスナイパーライフルの銃口を屋上の扉へと向ける。
扉が蹴やぶられる音が聞こえる。
その瞬間に修羅のような顔をした中村孝太郎が現れた。
クラークは下唇を噛み締めながら、スナイパーライフルの引き金を引こうとする。
だが、次の瞬間には、
「無駄だよ。お前の魔法はおれにはもう通用しないんだ」
孝太郎は大きく右手を振るう。
次の瞬間にはもう、クラークは孝太郎の目と鼻の先にまで寄せられてしまう。
更に引き寄せられる際にスナイパーライフルを落としてしまうというアクシデントまで付いて。
目の前の外国人の男が大量の冷や汗を流しているのを孝太郎は目撃するが、そんな事は構いはしない。
孝太郎はクラークの右頬を思いっきり殴り付ける。
は孝太郎に殴られた衝撃によって、屋上の落下防止柵の辺りにまで吹き飛ばされてしまう。
クラークは落下防止柵に全身を打ち付けられた衝撃のためか、男は全身の力が完全に抜けてしまう。
自身の魔法陣の壊れた部分の再構築を試みようか。
いや、今の自分にはする気力がない。
そんな事を考えていると、孝太郎が破壊の魔法を使って、屋上の魔法陣を破壊して向かって来る。
クラークは右手に破壊の魔法を。左手にリボルバーを構えている孝太郎の様子に思わず、
「ま、待て! 何でもするッ!おれが悪かったよ……」
「お前だけは絶対に許さない……」
「わ、私は自由共和党の専属殺し屋だッ!殺せば、確実にあのお方の怒りを買うぞ! 」
「あのお方とは?」
孝太郎はリボルバーの撃鉄を立てながら尋ねる。
その音に怯えたのだろう。クラークは全身を震わせて、
「に、二階堂俊博……」
「自由共和党幹事長のか?」
クラークは孝太郎の問いに何度も何度も首を縦に振る。
そして、孝太郎が手錠を掛けようとすると、
「ま、待てよ! 私を逮捕しても無駄だぞッ!二階堂幹事長が私を釈放してくれるッ!」
「誰が逮捕するなんて言ったんだ?」
クラークはその言葉に思わず孝太郎の携帯端末を覗き込む。
そして、孝太郎が電話を打とうしている相手の文字は、
「お、大空組事務所……」
「ボリスの行方を聞いた時にこいつらの電話番号を聞いてな、お前を引き渡す条件で、ボリス・レオニードに関する情報を喋ってくれる事をおれに約束してくれた」
クラークはその言葉を聞くなり、顔全体を青くして、
「ま、待ってくれ! 何でも言う事を聞く、だから、おれを日本の刑務所で裁かせてくれ! 」
「お前は二階堂の手引きで釈放されるんだろ?」
「た、頼むよ! 私は二階堂俊博にあの女を手伝えと言われただけなんだ?」
孝太郎は『あの女』と言う言葉を聞くなり、一旦電話を切り、録音機能を作動させる。
「あの女とは誰なんだ?」
「三原青子だよ! 東京都知事の……二階堂からあの女の献金疑惑を嗅ぎまわる白籠市のアンタッチャブルを消して来いと言われたんだッ!」
その証言を得るのと同時に、孝太郎は録音機能を消す。
クラークはこれで命は助かったと安堵するが、孝太郎は再び電話を掛けて、
「もしもし、大空組の奴か?場所は……ああ……間違いない、心配はいらないさ、おれがちゃんと見張ってる」
孝太郎のその言葉を聞き終えるなり、クラークは渾身の怒りを込めて叫ぶ。
「私は全部喋ったじゃあないかッ!どうして、私を組事務所に……」
「安心しろ、さっき死なない程度にいたぶってくれと頼んだばかりだ。もっとも、五体満足の状態になるかは分からんがな」
クラークは恐ろしさに駆られて、その場から逃亡しようと目論んだが、孝太郎がそれを許さない。
孝太郎はリボルバーを突きつけながら、
「どこへ行く気だ?」
修羅のような表情を浮かべて尋ねるため、クラークはその場から動けなかった。
見張られてから、5分程経った頃だろうか、ビルの周りに黒塗りの高級車が集まり、屋上の扉を蹴破り、
「おい、こいつがおれの弟分たちを殺した外国人の男か?」
「ああ、間違いない。こいつだ」
孝太郎の言葉に暴力団の男は全身を震わせながら、
「こいつが……こいつがおれのッ!」
その瞬間にはもう、男の懐に入れていたと思われるオート拳銃から銃弾が放たれる。
男の銃弾がクラークの右腕に直撃する。
クラークは痛さのあまりに絶叫する。
「グギャァァァァァァァァァ~!! 」
男はそんなクラークの様子などに構いもせずに乱暴に左腕を持ち上げながら、
「こいては裁判までおれらが預かる……それでいいな?」
「ああ、証言ができる程度にしてくれりゃあ、好きにすれば良い……」
クラークは全力で否定の言葉を叫びながら、男に連れられて行く。
孝太郎は立ち去ろうとするヤクザの男に石川葵のことを尋ねるが、
「いや、見なかったな」
男は考えるそぶりも見せずに言い放つ。
孝太郎は落胆していると、
「うう」
右腕の痛みが戻ったらしい。思わず叫んでしまう。
「大丈夫か?兄さん?」
「ああ、おれはこのまま病院に行くよ」
「そうか……気を付けてな」
立場の異なる職業の人間同士がビルの階段を下っていく。
孝太郎はこの瞬間に妙な感覚を覚えていた。
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