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第4部 皇帝の帰還
刑事からマフィアへ
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孝太郎は迷いに迷った末に断りの言葉を口にしようとした時だ。
何を言おうか見透かしたのだろう。姉が咄嗟に孝太郎の口を防ぐ。
そして、ヴィトに対して申し訳なさそうに頭を下げながら、孝太郎を路地裏にまで連れ去る。
孝太郎は路地裏で絵里子に抗議の声を上げようとした時だ。
絵里子は口元に人差し指を当てて、孝太郎の抗議の言葉を制止させる。こんなに可愛らしく注意されては怒るものも怒れなくなってしまう。
孝太郎は観念したようにフゥと溜息を吐いてから、本題に入る。
「で、どうしておれの口を防いだんだ?」
「孝ちゃん……この世界は過去よ、あたし達がいた世界とは違うの、元に戻れる方法はハッキリ言って分からないわ、なら、彼らに従って、元の時間に戻れる方法を探した方が良くないかしら?彼らに従えば、戸籍を用意してもらえるし、何よりこの時代のアメリカでのアメリカの差別が酷かったのは、孝ちゃんも知ってるでしょ?言っちゃあなんだけれど、こんな都会とも言えない保守的な街で、あたし達が迫害に遭わなかったのは、彼らのお陰かもしれないわ」
「確かに、この時代の差別は酷いが……」
「でしょ?それに戸籍が無いから、車が買えないわ、ホテルは名前だけで宿泊できても、車は身分を証明するものが必要なのよ、広大なアメリカの土地を電車で進むのにも限界があるし……」
姉の言葉は理に適っていた。戸籍も何も無い自分達にはどうしようもできない事だろう。パスポートも作れない。恐らく、日本に帰る事は不可能に近いだろう。
とすれば……。
孝太郎は腹を括った。
ヴィトの元に戻った孝太郎は忠誠を誓う旨を伝える。
「良かった。ならば、これから屋敷に来てくれ、そこでファミリーの一員になるための儀式を行うから」
ヴィトは満面の笑みを浮かべて、四人を車に乗らせる。
車の中で孝太郎が見たものは映画『ゴッドファーザー』のドン・コルレオーネの屋敷そのものであった。
周囲を高い白色の壁に囲まれ、正面には大きな鉄の門。
門の前にはトンプソン機関銃を持っている門番と思われるファミリーの構成員。
そして、その構成員によって、開けられた門をくぐると、そこには一軒の大きな屋敷がそびえ立っている。
一見すれば、何軒もの家に見えるのだろうが、ちゃんと壁同士がくっ付いているのを孝太郎は見逃さない。そして、庭でパーティーをやっていたのだろう。皿やら何やらを運ぶウェイターの姿がチラホラと見える。
ヴィトは駐車スペースと思われる庭の端に車を停めて、二人に屋敷に入るように命令する。
孝太郎は屋敷ておいても、驚きを隠し得ない。
良く映画で見るような、赤い絨毯が敷き詰められていた上に、右からも左からも上がれる階段はこの時代の金持ちの象徴。
いや、23世紀においても金持ちの象徴と言えるだろう。それを間近で使っているとは……。
孝太郎は思わずヴィト・プロテッツオーネという男を凝視してしまう。当時のマフィア組織で、これくらいの大きさの屋敷を構えられたのは、ニューヨークの五大ファミリーか、それと同等の力を持つ南部の有名マフィアくらいだろう。
つまり、彼がその後者に値するのだ。だが、ヴィトは部下と思われる男から相談役と呼ばれていた。
つまり、彼以上の手並みを持つボスがこの屋敷に存在しているという事になる。
どれ程の人物なのだろう。孝太郎は全盛期の刈谷阿里耶以上の力を誇っているボスに会いたくて仕方がない。
これは、刑事としての本能と言えたかもしれない。
そんな事を考えると、聡子が何やら物見見物でもするかのように身を乗り出して、階段を眺めている。
「どうしたの、聡子ちゃん」
疑問に思った、明美が聡子に尋ねる。
「あっ、親父の家と似ているなと思って」
そうだ。孝太郎はここで石井聡子の出自を思い出す。彼女はかの有名なヤクザ組織竜堂寺組の組長の大事な一人娘なのだ。
つまり、カヴァリエーレの屋敷くらいの家で彼女が生まれ育っていても不思議ではなかったのだ。
白籠駅騒乱以降は、竜堂寺組は関西において、刈谷阿里耶に味方するグループの排除に乗り出したらしいが、孝太郎自身自分の守る街の外のヤクザの抗争など、露ほども興味がなかったのだが……。
(もう少し、暴力団についての知識を増やしておくべきだったな)
後悔の念に囚われてしまう。
孝太郎が考え事をしていると、ヴィトに急かされて、一階のとある一室へと案内される。
ヴィトは軽くノックをしてから、黒色の扉を開く。
孝太郎が部屋に入室する。
「あなた達が部下の言っていた例の乱闘騒ぎの本人なの?」
孝太郎に話しかけてきたのは、社長椅子に座っていた一人の美しい女性であった。
天下のハリウッド女優も裸足で逃げてしまうであろう程の美貌の女性は白色のブラウスの上にダークブラウンの上着を羽織り、下にはシャネル製と思われる上着と同様のダークブラウンのスカートを履いていた。
「ええ、あいつが店員の人を困らせていたんでね、見過ごせなくて……体が勝手に動いてしまったんですよ。あんたの顔に泥を塗ったのなら謝ります」
確か、マフィア映画の構成員はこんな風に言っていた筈だ。孝太郎は自分の記憶が間違っていない事を祈りながら、頭を下げた。
「泥を塗っただなんて……心配しなくていいわよ、むしろお礼を言いたいわ、そんな人を正してくれて」
やり手の女ボスはニコリと微笑みかける。
「だから、ここに連れて来たんだぜ、ファミリーに貢献してもらえる可能性が高いからな、それに……」
ヴィトは女ボスの所にまで近付いて行き、何やら耳打ちする。ドン・コルレオーネに娘の復讐を頼む葬儀屋のアメリゴ・ボナセーラのように。
女ボスはヴィトの言葉を聞き終えると、左頬に手を付けながら、4人を見つめていた。
「それで、どうなんです?」
「いいえ、何でもないわ、勿論歓迎するわ、あなた達はカヴァリエーレ・ファミリーの一員よ。試験はいらないわ、レストランの一件であなた達の強さは身に染みて分かったから、早速だけれど、明日から仕事に就いてもらうわ、明日にね、ロシア人マフィアのボスとの会談があるんだけれど、その護衛をあなた達に任せるわ」
「待ってください! 」
ここで、声を上げたのは絵里子。
「いきなり、あたし達にそんな大役を?」
「ええ、それに護衛はあなた達だけじゃなくってよ?他にも連れて行くわ、ロシア人マフィアのボスとの会談で、わたしを守るのはあなた達。扉の前で銃を構えて、護衛をするのは他の用心棒という所かしら」
絵里子は目の前の女が中々の策士だという事を直感した。
要するに自分を裏切って、命を狙おうとしたり、警察に知らせようとした場合には、扉の側に付いているファミリーの兵隊が、撃ち殺すと言っているのだ。
明日の女ボスの護衛は初任務であると同時に、自分たちが心理的な面で信頼できる人物であるのかを見極めるテストでもあるのだ。
刈谷阿里耶や、昌原道明のような姑息な悪党にこんな手が思い付くだろうか。
いや、思い付きはしないだろう。少なくとも、自分の安全のみを図る人間ならば、こんな手は使わないだろう。
目の前のお嬢さん面の女ボスは自分の身すらファミリーのためならば、どうなってもいいと思っているに違いない。
大した人間だ。いや、それだけではない。先ほどの弟のやり取りから、腹芸も相当上手いのだろうと推測する。
カヴァリエーレ・ファミリーが、どうしてこのような力を誇っているのかを絵里子は何となく理解したような気がする。
何を言おうか見透かしたのだろう。姉が咄嗟に孝太郎の口を防ぐ。
そして、ヴィトに対して申し訳なさそうに頭を下げながら、孝太郎を路地裏にまで連れ去る。
孝太郎は路地裏で絵里子に抗議の声を上げようとした時だ。
絵里子は口元に人差し指を当てて、孝太郎の抗議の言葉を制止させる。こんなに可愛らしく注意されては怒るものも怒れなくなってしまう。
孝太郎は観念したようにフゥと溜息を吐いてから、本題に入る。
「で、どうしておれの口を防いだんだ?」
「孝ちゃん……この世界は過去よ、あたし達がいた世界とは違うの、元に戻れる方法はハッキリ言って分からないわ、なら、彼らに従って、元の時間に戻れる方法を探した方が良くないかしら?彼らに従えば、戸籍を用意してもらえるし、何よりこの時代のアメリカでのアメリカの差別が酷かったのは、孝ちゃんも知ってるでしょ?言っちゃあなんだけれど、こんな都会とも言えない保守的な街で、あたし達が迫害に遭わなかったのは、彼らのお陰かもしれないわ」
「確かに、この時代の差別は酷いが……」
「でしょ?それに戸籍が無いから、車が買えないわ、ホテルは名前だけで宿泊できても、車は身分を証明するものが必要なのよ、広大なアメリカの土地を電車で進むのにも限界があるし……」
姉の言葉は理に適っていた。戸籍も何も無い自分達にはどうしようもできない事だろう。パスポートも作れない。恐らく、日本に帰る事は不可能に近いだろう。
とすれば……。
孝太郎は腹を括った。
ヴィトの元に戻った孝太郎は忠誠を誓う旨を伝える。
「良かった。ならば、これから屋敷に来てくれ、そこでファミリーの一員になるための儀式を行うから」
ヴィトは満面の笑みを浮かべて、四人を車に乗らせる。
車の中で孝太郎が見たものは映画『ゴッドファーザー』のドン・コルレオーネの屋敷そのものであった。
周囲を高い白色の壁に囲まれ、正面には大きな鉄の門。
門の前にはトンプソン機関銃を持っている門番と思われるファミリーの構成員。
そして、その構成員によって、開けられた門をくぐると、そこには一軒の大きな屋敷がそびえ立っている。
一見すれば、何軒もの家に見えるのだろうが、ちゃんと壁同士がくっ付いているのを孝太郎は見逃さない。そして、庭でパーティーをやっていたのだろう。皿やら何やらを運ぶウェイターの姿がチラホラと見える。
ヴィトは駐車スペースと思われる庭の端に車を停めて、二人に屋敷に入るように命令する。
孝太郎は屋敷ておいても、驚きを隠し得ない。
良く映画で見るような、赤い絨毯が敷き詰められていた上に、右からも左からも上がれる階段はこの時代の金持ちの象徴。
いや、23世紀においても金持ちの象徴と言えるだろう。それを間近で使っているとは……。
孝太郎は思わずヴィト・プロテッツオーネという男を凝視してしまう。当時のマフィア組織で、これくらいの大きさの屋敷を構えられたのは、ニューヨークの五大ファミリーか、それと同等の力を持つ南部の有名マフィアくらいだろう。
つまり、彼がその後者に値するのだ。だが、ヴィトは部下と思われる男から相談役と呼ばれていた。
つまり、彼以上の手並みを持つボスがこの屋敷に存在しているという事になる。
どれ程の人物なのだろう。孝太郎は全盛期の刈谷阿里耶以上の力を誇っているボスに会いたくて仕方がない。
これは、刑事としての本能と言えたかもしれない。
そんな事を考えると、聡子が何やら物見見物でもするかのように身を乗り出して、階段を眺めている。
「どうしたの、聡子ちゃん」
疑問に思った、明美が聡子に尋ねる。
「あっ、親父の家と似ているなと思って」
そうだ。孝太郎はここで石井聡子の出自を思い出す。彼女はかの有名なヤクザ組織竜堂寺組の組長の大事な一人娘なのだ。
つまり、カヴァリエーレの屋敷くらいの家で彼女が生まれ育っていても不思議ではなかったのだ。
白籠駅騒乱以降は、竜堂寺組は関西において、刈谷阿里耶に味方するグループの排除に乗り出したらしいが、孝太郎自身自分の守る街の外のヤクザの抗争など、露ほども興味がなかったのだが……。
(もう少し、暴力団についての知識を増やしておくべきだったな)
後悔の念に囚われてしまう。
孝太郎が考え事をしていると、ヴィトに急かされて、一階のとある一室へと案内される。
ヴィトは軽くノックをしてから、黒色の扉を開く。
孝太郎が部屋に入室する。
「あなた達が部下の言っていた例の乱闘騒ぎの本人なの?」
孝太郎に話しかけてきたのは、社長椅子に座っていた一人の美しい女性であった。
天下のハリウッド女優も裸足で逃げてしまうであろう程の美貌の女性は白色のブラウスの上にダークブラウンの上着を羽織り、下にはシャネル製と思われる上着と同様のダークブラウンのスカートを履いていた。
「ええ、あいつが店員の人を困らせていたんでね、見過ごせなくて……体が勝手に動いてしまったんですよ。あんたの顔に泥を塗ったのなら謝ります」
確か、マフィア映画の構成員はこんな風に言っていた筈だ。孝太郎は自分の記憶が間違っていない事を祈りながら、頭を下げた。
「泥を塗っただなんて……心配しなくていいわよ、むしろお礼を言いたいわ、そんな人を正してくれて」
やり手の女ボスはニコリと微笑みかける。
「だから、ここに連れて来たんだぜ、ファミリーに貢献してもらえる可能性が高いからな、それに……」
ヴィトは女ボスの所にまで近付いて行き、何やら耳打ちする。ドン・コルレオーネに娘の復讐を頼む葬儀屋のアメリゴ・ボナセーラのように。
女ボスはヴィトの言葉を聞き終えると、左頬に手を付けながら、4人を見つめていた。
「それで、どうなんです?」
「いいえ、何でもないわ、勿論歓迎するわ、あなた達はカヴァリエーレ・ファミリーの一員よ。試験はいらないわ、レストランの一件であなた達の強さは身に染みて分かったから、早速だけれど、明日から仕事に就いてもらうわ、明日にね、ロシア人マフィアのボスとの会談があるんだけれど、その護衛をあなた達に任せるわ」
「待ってください! 」
ここで、声を上げたのは絵里子。
「いきなり、あたし達にそんな大役を?」
「ええ、それに護衛はあなた達だけじゃなくってよ?他にも連れて行くわ、ロシア人マフィアのボスとの会談で、わたしを守るのはあなた達。扉の前で銃を構えて、護衛をするのは他の用心棒という所かしら」
絵里子は目の前の女が中々の策士だという事を直感した。
要するに自分を裏切って、命を狙おうとしたり、警察に知らせようとした場合には、扉の側に付いているファミリーの兵隊が、撃ち殺すと言っているのだ。
明日の女ボスの護衛は初任務であると同時に、自分たちが心理的な面で信頼できる人物であるのかを見極めるテストでもあるのだ。
刈谷阿里耶や、昌原道明のような姑息な悪党にこんな手が思い付くだろうか。
いや、思い付きはしないだろう。少なくとも、自分の安全のみを図る人間ならば、こんな手は使わないだろう。
目の前のお嬢さん面の女ボスは自分の身すらファミリーのためならば、どうなってもいいと思っているに違いない。
大した人間だ。いや、それだけではない。先ほどの弟のやり取りから、腹芸も相当上手いのだろうと推測する。
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