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第4部 皇帝の帰還
4人の不審者
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ヴィト・プロテッツオーネは自分の恋人の名前を聞き、思わず2年も前の事を思い出してしまう。
彼の恋人にして、カヴァリエーレ・ファミリーの最大の後ろ盾であるマリア・ド・フランソワと出会ったのは、2年前の夏であった。
あれは、この街を二分するもう一つのマフィア組織ミラノリア・ファミリーとの抗争の最中。
自分たちが支配する地域にまで、ルカに追い詰められ、ついにファミリーの相談役たるヴィトが前線にまで出迎えなくてはいけない状況にまで追い詰められた時だ。
彼女は突然自分の下に落ちてきたのだ。女王を自称する少女のことをドンは当初は信じていなかったが、ダウンタウンの戦いをキッカケに彼女の持つ剣と魔法の力を発揮した瞬間に信じる事となり、以降はマリア・ド・フランソワの王国を復興を助けるために、カヴァリエーレ・ファミリーは尽力を尽くした。
結果は大成功。ミラノリア・ファミリーを壊滅に追い込んだばかりではなく、サウス・スターアイランドシティーという南の街を手に入れ、更にはマリアの従兄弟にして、対立するギシュタルリア帝国に友好的な態度を見せていた、エリザベスを排斥し、追放した後に(実際は追放先の避暑地に向かう馬車の中で殺すように命令したが……)マリアが王位に就くのを見届け、最後にギシュタルリアの皇帝エドワード・デューダレア二世を倒し、ギシュタルリア帝国の傀儡化を成功させた後には、三大ファミリーのボスを粛清し、アメリカ南部の暗黒街を牛耳る事に成功した。
現在に至るまで、ニューヨークのボスとは折り合いがつかないままではあるが、それは大した問題ではない。
いずれにせよ、現在のファミリーはゴッドファーザーの代を凌ぎ、遥かに強大なマフィアとして君臨しているのだから。
ヴィトはソファーの横に置いてあった剣を見つめ直す。
あの剣は皇帝エドワードを討ち取った時に全力を尽くしてしまったようで、あれ以来一向に光る様子を見せようとはしない。
だが、ヴィトにとってそれは大きな問題ではない。もう、そんな剣を使うような相手はいないのだから。
「ねぇ! ねぇ! 」
と、ここでヴィトは自分の裾が引っ張られている事に気がつく。
引っ張っていた少女の存在に気がつき、思わず溜息を吐き、苦笑した笑顔を彼女に向ける。
彼女こそが、カヴァリエーレ・ファミリーの最大のスポンサーにして、ファミリーを繁栄に導いた救世主。
無下に扱う訳もない。いや、そうではない。ヴィトは彼女とは7つくらいは離れているにも関わらずに、彼女を愛していた。
あのエドワード・デューダレアに捕らえられた飛行船から彼女を救い出した時から、この想いは変わらない。
ヴィトは可愛らしい少女の頭をくしゃりと撫ででやり、用事を尋ねる。
「うーん、あたしが聞きたいのは、まだ、マイケルやパットやハリーはこのパーティーに参加できないのかなって」
「まだなんだ。マイケルもパットもハリーもまだイタリアから帰ってこれなくてね……」
「こういう時こそ、マイケルが笑わせてくれれば、いいのに」
そう言って、頰を膨らませるマリアの様子もヴィトには愛おしい。
「そのうち帰ってくるさ、それよりもだ……今日はパーティーなんだぜ、このまま飲んで食べて……楽しもうじゃあないか! 」
「うん! コーラもあるしね! 」
彼女の世界にコーラはないのだ。こちらの世界でも最近生まれた飲み物なので、マリアの世界に無いのはしょうがないのだが、
「そう言えば、あの変な頭の人と何話してたの?」
ここでマリアが好奇心を全身から押し出すような瞳でヴィトに尋ねる。
「ああ、仕事の話さ、それよりもだ、今晩は確か、ローンレンジャーがあった筈だが……」
この言葉でマリアは思わず両目を輝かせる。
「本当なの!?今回はどんな話なのかなぁ~」
テレビの番組にあそこまで、熱くなる少女に微笑ましげな笑みを向けつつ、ヴィトは持っていた赤ワインを飲み干す。
(オレ達のファミリーは、王国は順調だ……かつてないほどな……だけれど、妙な事と言えば、ギシュタルリア帝国における大司祭の事くらいだろうか?あの男は何を画策しているのか、分からないからな、昨日も帝国における世界審判教撲滅に貢献したと表彰を渡す目的で、オレを呼び付けたが、ひっそりとオレがどんな人物だと探ろうしたのは、あの野郎の目を見れば、明白なんだ……)
ヴィトは大司祭の動向に十分に気をつける事を心掛けた。
「さてと、次は料理に取り掛かるとするか……」
ヴィトが白いテーブルクロスのかかった机に置いてあるボロネーゼに手を付けようとした時だ。
メガネをかけた初老の男性が、ヴィトの元にやって来て、何やら神にでも祈るようにヴィトに向かって手を合わせている。
「どうしたんだ?」
「あの……ミスタープロテッツオーネ。ドン・カヴァリエーレを呼んでいただけませんか?」
「ルーシーを?」
「ええ、少しばかり相談したい事がございまして……」
初老の男性はヴィトに連れられ、ルーシーの女性へと向かって行く。
「ドン・カヴァリエーレ! 本日は喜ばしい日です! 」
「あなたも元気そうね」
カヴァリエーレ・ファミリーの女ボスは不快な様子を見せる事もなく、見た人物の心臓を殆ど射抜くような笑顔で答えてみせる。
「で、相談というのは?」
ルーシーは椅子に座りながら、頰を人差し指で撫でながら尋ねる。
「ええ、私が宝石店を経営しているのはご存知ですよね?」
「街のね……それで、どうかしたの?」
「実は3日ほど前の深夜です……深夜に妙な格好をした一人の男と、三人の女が入ってきて、巨大なダイヤモンドを見せたんです。信じられますか!?ダイヤモンドですよ! 私でさえ、0.5カラットのダイヤでさえ、見た事がないというのに、アイツらは大きさで測れば、0.7カラットはあり得るダイヤを私に差し出したんです! 」
ルーシーは慌てている男を宥めさせるためか、ヴィトに水を差し出すように命令する。
ヴィトに差し出された水を飲み干し、フゥと大きな安堵の溜息を吐き、話を続ける。
「それでね、私はこの店にはそんな規定外の大きさのダイヤを貰うだけの金はないと跳ね除けたんです! ですが、アイツらは切羽詰まった様子で、慌てながら、あるだけの値段で売ってくれと迫ったんです! 私はしょうがないから、お金を差し出したんです」
「ダイヤの大きさ以外は何も不審な点はないと思いますが……」
ルーシーは宝石店の店主に苦言を述べたが、宝石店の店主は大きく頭を横に振り、何かに追い詰められるように慌てた様子で話を続ける。
「いいえ、違うんです! ドン・カヴァリエーレ!!! 問題なのは3日前は大雨だったにも関わらずに、誰も傘を差さずにずぶ濡れだったんです! そんな物は最初から持っていないとでも言うかのように……分かりますか!?あの日は朝から大雨だったのを覚えているでしょう!?いくらなんでも、変ですよ……あんな日に傘もささずに街をうろつき回るなんて……他にもここら辺では見ない人種でした」
「何人だったの?」
「日本人が二人とアパッチが二人……いや、アパッチの血が混じった日本人かもしれませんが……」
「ハッキリしないわけなのね?」
「ええ、髪を伸ばした女がえらい美人だったのは覚えています! それに男の方もブサイクではない、男前に値する顔だったのは覚えているんです……」
ルーシーはしばらくの間は黙っていたが、小さな溜息を吐いた後に、自分の出した結論を男に伝える。
「分かりました。不審な点はありますので、一応警察に通報してみる事にしてみます、何かあったら、わたしの屋敷に連絡を……」
「待ってください! 何かしらの攻撃は?」
「彼らは法を犯したわけではないから、とにかく……今は吟味する必要があります」
女ボスの決定には逆らえない。男は肩を落として、部屋を退出した。
彼の恋人にして、カヴァリエーレ・ファミリーの最大の後ろ盾であるマリア・ド・フランソワと出会ったのは、2年前の夏であった。
あれは、この街を二分するもう一つのマフィア組織ミラノリア・ファミリーとの抗争の最中。
自分たちが支配する地域にまで、ルカに追い詰められ、ついにファミリーの相談役たるヴィトが前線にまで出迎えなくてはいけない状況にまで追い詰められた時だ。
彼女は突然自分の下に落ちてきたのだ。女王を自称する少女のことをドンは当初は信じていなかったが、ダウンタウンの戦いをキッカケに彼女の持つ剣と魔法の力を発揮した瞬間に信じる事となり、以降はマリア・ド・フランソワの王国を復興を助けるために、カヴァリエーレ・ファミリーは尽力を尽くした。
結果は大成功。ミラノリア・ファミリーを壊滅に追い込んだばかりではなく、サウス・スターアイランドシティーという南の街を手に入れ、更にはマリアの従兄弟にして、対立するギシュタルリア帝国に友好的な態度を見せていた、エリザベスを排斥し、追放した後に(実際は追放先の避暑地に向かう馬車の中で殺すように命令したが……)マリアが王位に就くのを見届け、最後にギシュタルリアの皇帝エドワード・デューダレア二世を倒し、ギシュタルリア帝国の傀儡化を成功させた後には、三大ファミリーのボスを粛清し、アメリカ南部の暗黒街を牛耳る事に成功した。
現在に至るまで、ニューヨークのボスとは折り合いがつかないままではあるが、それは大した問題ではない。
いずれにせよ、現在のファミリーはゴッドファーザーの代を凌ぎ、遥かに強大なマフィアとして君臨しているのだから。
ヴィトはソファーの横に置いてあった剣を見つめ直す。
あの剣は皇帝エドワードを討ち取った時に全力を尽くしてしまったようで、あれ以来一向に光る様子を見せようとはしない。
だが、ヴィトにとってそれは大きな問題ではない。もう、そんな剣を使うような相手はいないのだから。
「ねぇ! ねぇ! 」
と、ここでヴィトは自分の裾が引っ張られている事に気がつく。
引っ張っていた少女の存在に気がつき、思わず溜息を吐き、苦笑した笑顔を彼女に向ける。
彼女こそが、カヴァリエーレ・ファミリーの最大のスポンサーにして、ファミリーを繁栄に導いた救世主。
無下に扱う訳もない。いや、そうではない。ヴィトは彼女とは7つくらいは離れているにも関わらずに、彼女を愛していた。
あのエドワード・デューダレアに捕らえられた飛行船から彼女を救い出した時から、この想いは変わらない。
ヴィトは可愛らしい少女の頭をくしゃりと撫ででやり、用事を尋ねる。
「うーん、あたしが聞きたいのは、まだ、マイケルやパットやハリーはこのパーティーに参加できないのかなって」
「まだなんだ。マイケルもパットもハリーもまだイタリアから帰ってこれなくてね……」
「こういう時こそ、マイケルが笑わせてくれれば、いいのに」
そう言って、頰を膨らませるマリアの様子もヴィトには愛おしい。
「そのうち帰ってくるさ、それよりもだ……今日はパーティーなんだぜ、このまま飲んで食べて……楽しもうじゃあないか! 」
「うん! コーラもあるしね! 」
彼女の世界にコーラはないのだ。こちらの世界でも最近生まれた飲み物なので、マリアの世界に無いのはしょうがないのだが、
「そう言えば、あの変な頭の人と何話してたの?」
ここでマリアが好奇心を全身から押し出すような瞳でヴィトに尋ねる。
「ああ、仕事の話さ、それよりもだ、今晩は確か、ローンレンジャーがあった筈だが……」
この言葉でマリアは思わず両目を輝かせる。
「本当なの!?今回はどんな話なのかなぁ~」
テレビの番組にあそこまで、熱くなる少女に微笑ましげな笑みを向けつつ、ヴィトは持っていた赤ワインを飲み干す。
(オレ達のファミリーは、王国は順調だ……かつてないほどな……だけれど、妙な事と言えば、ギシュタルリア帝国における大司祭の事くらいだろうか?あの男は何を画策しているのか、分からないからな、昨日も帝国における世界審判教撲滅に貢献したと表彰を渡す目的で、オレを呼び付けたが、ひっそりとオレがどんな人物だと探ろうしたのは、あの野郎の目を見れば、明白なんだ……)
ヴィトは大司祭の動向に十分に気をつける事を心掛けた。
「さてと、次は料理に取り掛かるとするか……」
ヴィトが白いテーブルクロスのかかった机に置いてあるボロネーゼに手を付けようとした時だ。
メガネをかけた初老の男性が、ヴィトの元にやって来て、何やら神にでも祈るようにヴィトに向かって手を合わせている。
「どうしたんだ?」
「あの……ミスタープロテッツオーネ。ドン・カヴァリエーレを呼んでいただけませんか?」
「ルーシーを?」
「ええ、少しばかり相談したい事がございまして……」
初老の男性はヴィトに連れられ、ルーシーの女性へと向かって行く。
「ドン・カヴァリエーレ! 本日は喜ばしい日です! 」
「あなたも元気そうね」
カヴァリエーレ・ファミリーの女ボスは不快な様子を見せる事もなく、見た人物の心臓を殆ど射抜くような笑顔で答えてみせる。
「で、相談というのは?」
ルーシーは椅子に座りながら、頰を人差し指で撫でながら尋ねる。
「ええ、私が宝石店を経営しているのはご存知ですよね?」
「街のね……それで、どうかしたの?」
「実は3日ほど前の深夜です……深夜に妙な格好をした一人の男と、三人の女が入ってきて、巨大なダイヤモンドを見せたんです。信じられますか!?ダイヤモンドですよ! 私でさえ、0.5カラットのダイヤでさえ、見た事がないというのに、アイツらは大きさで測れば、0.7カラットはあり得るダイヤを私に差し出したんです! 」
ルーシーは慌てている男を宥めさせるためか、ヴィトに水を差し出すように命令する。
ヴィトに差し出された水を飲み干し、フゥと大きな安堵の溜息を吐き、話を続ける。
「それでね、私はこの店にはそんな規定外の大きさのダイヤを貰うだけの金はないと跳ね除けたんです! ですが、アイツらは切羽詰まった様子で、慌てながら、あるだけの値段で売ってくれと迫ったんです! 私はしょうがないから、お金を差し出したんです」
「ダイヤの大きさ以外は何も不審な点はないと思いますが……」
ルーシーは宝石店の店主に苦言を述べたが、宝石店の店主は大きく頭を横に振り、何かに追い詰められるように慌てた様子で話を続ける。
「いいえ、違うんです! ドン・カヴァリエーレ!!! 問題なのは3日前は大雨だったにも関わらずに、誰も傘を差さずにずぶ濡れだったんです! そんな物は最初から持っていないとでも言うかのように……分かりますか!?あの日は朝から大雨だったのを覚えているでしょう!?いくらなんでも、変ですよ……あんな日に傘もささずに街をうろつき回るなんて……他にもここら辺では見ない人種でした」
「何人だったの?」
「日本人が二人とアパッチが二人……いや、アパッチの血が混じった日本人かもしれませんが……」
「ハッキリしないわけなのね?」
「ええ、髪を伸ばした女がえらい美人だったのは覚えています! それに男の方もブサイクではない、男前に値する顔だったのは覚えているんです……」
ルーシーはしばらくの間は黙っていたが、小さな溜息を吐いた後に、自分の出した結論を男に伝える。
「分かりました。不審な点はありますので、一応警察に通報してみる事にしてみます、何かあったら、わたしの屋敷に連絡を……」
「待ってください! 何かしらの攻撃は?」
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