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第三部『終焉と破滅と』
二本松秀明の場合ーその11
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「どうしちゃったんだよ!姫川さん!」
いつも通りに招集が行われ、サタンの息子たちは呼び出されて戦っていたのだが、この日の美憂はいつもとは異なり様子がおかしかった。なんと志恩に向かって剣を振るい、秀明を倒さんとレイピアを振っていくのである。
おまけに三人で挑めば、真紀子に背を預けて三人と対峙していくのだ。
「姫川ッ!テメェ、正気か!?どうしてそんな奴と?」
「決まっているだろう?あたしの大切なパートナーだからだ」
「そういう事だ。姫川とあたしは仲良しの親友なんだぜ」
真紀子は美憂の肩を押し寄せるて、わざとイチャついて見せる。
その様子を見て動揺を隠せないのは志恩である。非戦派であった筈の彼女がどうして主戦派と呼ばれる戦いを積極的になって進めるポジションの人間へと変貌してしまったのかが理解できなかったのだ。
志恩は美憂の一時の気の迷いだと思って、戦いを止める様に叫んだのだが、返ってきたのは剣撃ばかりである。
「姫川ッ!どういう事なんだよ!?どうして、お前が最上と!?」
「……天堂希空を倒すためには力がいるッ!そのための力が与えてくれるのが最上なんだッ!」
美憂はレイピアを大きく振り上げて、そのまま右斜め下から大きく恭介に向かって振りかぶっていく。
恭介は悲鳴を上げて地面の上を転がつまていくものの、地面の砂を握り締め、立ち上がったかと思うと、そのまま美憂に向かっていく。その手に武器は握られていない。恭介はあくまでも美憂に対して説得を訴えかけたかったのである。
だが、それは目の前に最上真紀子が飛び出した事により全て無に返してしまうのである。
真紀子は片手剣で恭介に向かって追い討ちを繰り出し、彼をノックアウトさせるとその頭をブーツで蹴りながら言った。
「折角、面白そうな状況になってるんだぜぇ、わざわざ余分な事をして水を差す必要はねぇだろうよぉ」
「……も、最上……」
「ハッハッハ、姫川もようやく戦いの魅力に気が付いたんだよ。2012年はあたしらの時代になるのさ」
真紀子が更に力を込めて、恭介を倒そうとしたとした時だ。不意に志恩が立ち上がって、真紀子に向かって槍を突き付けていく。
真紀子はそんな弟の涙ぐましい努力も容赦なく蹴り飛ばし、地面の上へと戻していくのである。
「志恩、よかったなぁ、お前がヒーローできる様になって、けどよぉ、あたしはヒーローなんてどうでもいい……ここで暴れたいんだッ!偉そうな奴らをぶっ殺して、ゲームで好きなだけ暴れ回る……それがあたしの望みなんだよッ!」
「……テメェ、ざけんなッ!」
秀明がサーベルを握り締めて、真紀子へと襲い掛かっていくが、その前に美憂のレイピアの先端が秀明の肩を突き刺し、秀明を後方へと追い遣ったのである。
秀明は悲鳴を上げて地面の上へと倒れ込む。美憂はそれを見下ろしながら告げた。
「……金持ちのあんたにわかるもんか、理不尽な理由で家族を奪われたあたしの気持ちが……」
「お前、まさか……」
絶句する秀明に真紀子が肩を置いて、上機嫌な笑顔を浮かべながら解説していく。
「そうだよ!美憂の父親が天堂希空に殺されたんだよッ!気の毒になぁ、あのクソッタレの天堂希空のせいでよぉ!」
真紀子は興奮気味に語ると、今度は武装を当初の軍服に機関銃というスタイルへと戻し、恭介たちに向かって引き金を引いていく。
全員の鎧に平等に弾丸が直撃し、そのまま地面の上に打ち付けられていくのであった。
「……悪いが、もうあたしは人類になんて期待していない。人類がこの地球上に残っている限り、天堂のような奴が生まれ、あたしやあたしの父をめぐるような悲劇が生み出されるんだッ!ならばいっそいっそ人類など滅んでしまった方がマシだッ!」
美憂はレイピアを振り上げて、恭介の元へと襲い掛かっていく。
それを見た秀明が慌てて起き上がり、サーベルを上方向に向かって突き上げることによってレイピアを防いでいくのであった。
「……テメェ、地球上にいる人間全体をあんなカスみたいな奴らと同じ扱いにするんじゃあねぇよ!」
秀明はそのままレイピアを弾き、返す刀で美憂に向かって攻撃を喰らわせていく。美憂は思わぬダメージを受けて、地面の上に倒れた。そこで秀明は地面の上に倒れている美憂に向かって大きな声で説得を行った。
「バカ野郎がッ!復讐なんて考えて、あんたの親父さんが本当に喜ぶとでも思うのかよ!?」
美憂は沈黙で返した。これではまだ足りない。秀明はそう感じて更に説得を続けていく。
「考えてもみろ!?どこの世界に自分の子供を人殺しにさせたい親なんているんだよッ!思い直しやがれッ!」
美憂は相変わらず何も言わない。ただ沈黙で返すばかりである。
秀明はそんな美憂に心底から苛立っていた。黙っていればそれらしく振る舞えるとでも思っているのだろうか。
黙っていればこの場を乗り切れるとでも思っているのだろうか。
そんな憤りが湧いてきた。と、同時に秀明の中にかつては理性という名の鎖で抑えていた筈の美憂への憎悪の念がまたしても浮かび上がっていくのである。
弟の志恩やその家族は死ぬよりも辛い目に遭っている。その理由はたった一つ、彼の実の姉である最上真紀子の逮捕によるものだ。
もし、年の瀬の戦いで美憂が真紀子を見逃しておかなければこんな事にはならなかったのだ。
その美憂が今や最上真紀子と手を組み、個人的な理由で人類の敵となろうとしている。そんな危険な人間を生かしておく事はできない。秀明は姫川美憂を取り除く決心を固めた。
「……お前があくまでも沈黙を貫き通すというのなら、オレお前は許さねぇ!いつかなんてケチな事は言わねぇぜ、この場で殺してやるよ、姫川美憂ッ!」
秀明がサーベルを構えて、真紀子の元へと向かおうとした時だ。その前に恭介が立ち塞がり、双剣で美憂の頭上に向かって振り下ろされる筈であったサーベルを防いでいた。
「お前なんのつもりだ!?姫川を殺そうとするなんてッ!」
「その場から退けッ!神通ッ!テメェも斬り殺されてぇのか!?」
「いいわけないだろッ!けど、今のあんたは間違っているから止める……それだけだッ!」
恭介は双剣を振りかぶって、そのまま秀明のサーベルを弾き飛ばし、そのままガラ空きになった秀明の体に向かって突進を繰り出していくのである。秀明はその場で腰を落とし、そのまま倒れ込んでしまう。
「退け、神通……オレはその女を殺さなくちゃあいけないんだ」
「……お前がなんのつもりかは知らないが、姫川に手を出すんだったら許さないぞッ!」
「許さないだと?何を生意気な事をほざいてやがる!」
「生意気で悪かったなッ!勝手なのはお前の方だろうがッ!」
両者が共に剣をぶつけて睨み合い続けるという地獄の様な状況が続いた。
そんな光景を真紀子は見下ろすような表情で、志恩は兜腰しではあるが、不安気な様子でそれを眺めていた。
志恩の心中としては訳のわからない事でいっぱいであったのだ。
どうして、仲間同士で殺し合うのだろう。どうして世界の危機に一致団結をするのだろう。
そんな事を考えていた時だ。熾烈な剣と剣とによる戦いを繰り広げているある者が二人の間に割って入った。
恭介と秀明の間に割って入ったのは工事現場にある様な工事用ポールのような兜に全身が黄金で構成された鎧を身に纏った人物であった。
その人物は片手に大きな山刀を持っていた。どうやらそれがその人物の武器であるらしい。
山刀を握り締めたそのサタンの息子は二人を止めた後で、地面の上に倒れている美憂の元へと近付いていくのであった。
いつも通りに招集が行われ、サタンの息子たちは呼び出されて戦っていたのだが、この日の美憂はいつもとは異なり様子がおかしかった。なんと志恩に向かって剣を振るい、秀明を倒さんとレイピアを振っていくのである。
おまけに三人で挑めば、真紀子に背を預けて三人と対峙していくのだ。
「姫川ッ!テメェ、正気か!?どうしてそんな奴と?」
「決まっているだろう?あたしの大切なパートナーだからだ」
「そういう事だ。姫川とあたしは仲良しの親友なんだぜ」
真紀子は美憂の肩を押し寄せるて、わざとイチャついて見せる。
その様子を見て動揺を隠せないのは志恩である。非戦派であった筈の彼女がどうして主戦派と呼ばれる戦いを積極的になって進めるポジションの人間へと変貌してしまったのかが理解できなかったのだ。
志恩は美憂の一時の気の迷いだと思って、戦いを止める様に叫んだのだが、返ってきたのは剣撃ばかりである。
「姫川ッ!どういう事なんだよ!?どうして、お前が最上と!?」
「……天堂希空を倒すためには力がいるッ!そのための力が与えてくれるのが最上なんだッ!」
美憂はレイピアを大きく振り上げて、そのまま右斜め下から大きく恭介に向かって振りかぶっていく。
恭介は悲鳴を上げて地面の上を転がつまていくものの、地面の砂を握り締め、立ち上がったかと思うと、そのまま美憂に向かっていく。その手に武器は握られていない。恭介はあくまでも美憂に対して説得を訴えかけたかったのである。
だが、それは目の前に最上真紀子が飛び出した事により全て無に返してしまうのである。
真紀子は片手剣で恭介に向かって追い討ちを繰り出し、彼をノックアウトさせるとその頭をブーツで蹴りながら言った。
「折角、面白そうな状況になってるんだぜぇ、わざわざ余分な事をして水を差す必要はねぇだろうよぉ」
「……も、最上……」
「ハッハッハ、姫川もようやく戦いの魅力に気が付いたんだよ。2012年はあたしらの時代になるのさ」
真紀子が更に力を込めて、恭介を倒そうとしたとした時だ。不意に志恩が立ち上がって、真紀子に向かって槍を突き付けていく。
真紀子はそんな弟の涙ぐましい努力も容赦なく蹴り飛ばし、地面の上へと戻していくのである。
「志恩、よかったなぁ、お前がヒーローできる様になって、けどよぉ、あたしはヒーローなんてどうでもいい……ここで暴れたいんだッ!偉そうな奴らをぶっ殺して、ゲームで好きなだけ暴れ回る……それがあたしの望みなんだよッ!」
「……テメェ、ざけんなッ!」
秀明がサーベルを握り締めて、真紀子へと襲い掛かっていくが、その前に美憂のレイピアの先端が秀明の肩を突き刺し、秀明を後方へと追い遣ったのである。
秀明は悲鳴を上げて地面の上へと倒れ込む。美憂はそれを見下ろしながら告げた。
「……金持ちのあんたにわかるもんか、理不尽な理由で家族を奪われたあたしの気持ちが……」
「お前、まさか……」
絶句する秀明に真紀子が肩を置いて、上機嫌な笑顔を浮かべながら解説していく。
「そうだよ!美憂の父親が天堂希空に殺されたんだよッ!気の毒になぁ、あのクソッタレの天堂希空のせいでよぉ!」
真紀子は興奮気味に語ると、今度は武装を当初の軍服に機関銃というスタイルへと戻し、恭介たちに向かって引き金を引いていく。
全員の鎧に平等に弾丸が直撃し、そのまま地面の上に打ち付けられていくのであった。
「……悪いが、もうあたしは人類になんて期待していない。人類がこの地球上に残っている限り、天堂のような奴が生まれ、あたしやあたしの父をめぐるような悲劇が生み出されるんだッ!ならばいっそいっそ人類など滅んでしまった方がマシだッ!」
美憂はレイピアを振り上げて、恭介の元へと襲い掛かっていく。
それを見た秀明が慌てて起き上がり、サーベルを上方向に向かって突き上げることによってレイピアを防いでいくのであった。
「……テメェ、地球上にいる人間全体をあんなカスみたいな奴らと同じ扱いにするんじゃあねぇよ!」
秀明はそのままレイピアを弾き、返す刀で美憂に向かって攻撃を喰らわせていく。美憂は思わぬダメージを受けて、地面の上に倒れた。そこで秀明は地面の上に倒れている美憂に向かって大きな声で説得を行った。
「バカ野郎がッ!復讐なんて考えて、あんたの親父さんが本当に喜ぶとでも思うのかよ!?」
美憂は沈黙で返した。これではまだ足りない。秀明はそう感じて更に説得を続けていく。
「考えてもみろ!?どこの世界に自分の子供を人殺しにさせたい親なんているんだよッ!思い直しやがれッ!」
美憂は相変わらず何も言わない。ただ沈黙で返すばかりである。
秀明はそんな美憂に心底から苛立っていた。黙っていればそれらしく振る舞えるとでも思っているのだろうか。
黙っていればこの場を乗り切れるとでも思っているのだろうか。
そんな憤りが湧いてきた。と、同時に秀明の中にかつては理性という名の鎖で抑えていた筈の美憂への憎悪の念がまたしても浮かび上がっていくのである。
弟の志恩やその家族は死ぬよりも辛い目に遭っている。その理由はたった一つ、彼の実の姉である最上真紀子の逮捕によるものだ。
もし、年の瀬の戦いで美憂が真紀子を見逃しておかなければこんな事にはならなかったのだ。
その美憂が今や最上真紀子と手を組み、個人的な理由で人類の敵となろうとしている。そんな危険な人間を生かしておく事はできない。秀明は姫川美憂を取り除く決心を固めた。
「……お前があくまでも沈黙を貫き通すというのなら、オレお前は許さねぇ!いつかなんてケチな事は言わねぇぜ、この場で殺してやるよ、姫川美憂ッ!」
秀明がサーベルを構えて、真紀子の元へと向かおうとした時だ。その前に恭介が立ち塞がり、双剣で美憂の頭上に向かって振り下ろされる筈であったサーベルを防いでいた。
「お前なんのつもりだ!?姫川を殺そうとするなんてッ!」
「その場から退けッ!神通ッ!テメェも斬り殺されてぇのか!?」
「いいわけないだろッ!けど、今のあんたは間違っているから止める……それだけだッ!」
恭介は双剣を振りかぶって、そのまま秀明のサーベルを弾き飛ばし、そのままガラ空きになった秀明の体に向かって突進を繰り出していくのである。秀明はその場で腰を落とし、そのまま倒れ込んでしまう。
「退け、神通……オレはその女を殺さなくちゃあいけないんだ」
「……お前がなんのつもりかは知らないが、姫川に手を出すんだったら許さないぞッ!」
「許さないだと?何を生意気な事をほざいてやがる!」
「生意気で悪かったなッ!勝手なのはお前の方だろうがッ!」
両者が共に剣をぶつけて睨み合い続けるという地獄の様な状況が続いた。
そんな光景を真紀子は見下ろすような表情で、志恩は兜腰しではあるが、不安気な様子でそれを眺めていた。
志恩の心中としては訳のわからない事でいっぱいであったのだ。
どうして、仲間同士で殺し合うのだろう。どうして世界の危機に一致団結をするのだろう。
そんな事を考えていた時だ。熾烈な剣と剣とによる戦いを繰り広げているある者が二人の間に割って入った。
恭介と秀明の間に割って入ったのは工事現場にある様な工事用ポールのような兜に全身が黄金で構成された鎧を身に纏った人物であった。
その人物は片手に大きな山刀を持っていた。どうやらそれがその人物の武器であるらしい。
山刀を握り締めたそのサタンの息子は二人を止めた後で、地面の上に倒れている美憂の元へと近付いていくのであった。
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