48 / 135
第二部『箱舟』
貝塚友紀の場合ーその⑦
しおりを挟む
志恩は懸命に槍を振り回して、友紀の剣を弾き飛ばしていた。それでも幾度もふるわれていく剣に勝機を見出せずに絶望の表情を浮かべていた。
その時志恩には疲れが生じていた事もあり、槍の穂先と相手の剣とが大きくぶつかり合い、志恩の体に大きな隙が生じてしまったのである。志恩の体は大きく弾かれてしまい、目の前に剣先が突き付けられていく。志恩は慌てて槍の柄の部分を用いて防ぎ、友紀の剣を弾いていくものの、友紀はその隙を待っていたのだ。剣を滑らせてその先端を志恩の元へと滑らせていく。
志恩は慌てて体を逸らす事により攻撃を回避したが、友紀はそこで素早く足を払って志恩を滑らせた。
友紀はその上に馬乗りになり、剣を逆手に握り、そのまま志恩を滅多刺しにしようと試みたのであった。
志恩は悲鳴を上げて地面の上に突っ伏していく。友紀は勝利を確信した。
だが、背後からの気配を感じて慌てて志恩の体から離れたのである。
慌てて背後を振り返ると、そこには怒りに燃える秀明の姿。秀明は右左に激しくサーベルを振るって友紀を斬り殺そうと試みる。
「ほぅ、いい太刀筋だな。だが、どうしてキミは弟に味方する?これはゲームなんだぞ」
「うるせぇ!あいつもそうだが、ゲームの外では……」
「当たり前だろ?ゲームと外とは切り離して考えたまえッ!」
友紀はそのまま掴み掛かってきた秀明を蹴り飛ばし、彼を背後の資材の元へと追いやったのである。秀明は資材の前に蹴られて酷い打撃を負ってしまったらしい。起きあがろうとする秀明の元に彼は剣先を突き付けて言った。
「これで私の勝ちだな。思えば今日の占いは運が良かった。私の元に正位置の星が来たのだ。審判の大アルカナが示すのは今までの頑張りが報いられるという意味だ。これはゲームにおいて再度脱落者が現れるという事を意味しているのではないのかな?」
「……それがおれって事かよ?クソッタレ、いいぜ。さっさと殺しな……覚悟はできてらぁ」
「安心しろ、痛いのは一瞬だ」
友紀が志恩の時と同様に剣を逆手に持って秀明の元へと突き刺そうとした時だ。
不意に背後の気配に気が付いて、友紀が振り返ると、そこには周囲を包囲さんとばかりにこちらへと近付いてくる人々。
一般人ではない。その証拠はその手に持っている武器であった。一般人が突撃銃や散弾銃、それに拳銃などを持っているだろうか。明らかに何か別の目的がゲームの会場を訪れたのだろう。
友紀の頭の中に思い浮かんだのは『招かれざる客』という古い諺であった。
「あいつら何者だ?」
「野次馬じゃねぇっていうのは見てわかるぜ」
資材に背中を預けている秀明が荒い息を吐きながら悪態を吐いたが、友紀は気にする事なく話を続けていく。
「わからん。何者だ?」
友紀が首を傾げていると、その返答の代わりにその人々に向かって大量の銃弾が浴びせられていく。二人が銃弾をした方向を見てみると、そこには無言で機関銃を撃ち続ける真紀子の姿。
真紀子は一通り銃を撃ち終わると、恐らく満足そうな表情を浮かべて周りの人々に向かって言った。
「何者か知らねーけどよ。危ない奴には近付かない方が得策ってもんよ。ここから攻撃するのがまぁ無難だわなぁ」
「何が無難だ。人を大量に殺しておいてよくそんな事が言えるもんだな。この異常者が」
廃工場の壁を杖の代わりに起き上がった美憂は足をふらつかせながらも皮肉を言う事だけはわからなかった。
「ハッ、モタモタしてたらこっちがあいつらにぶっ殺されちまうだろうかよぉ、人殺しもクソもあるもんか」
真紀子は美憂に悪態を吐き返すと、そのまま無言で自身の両手に持つ機関銃を持って相手に向かって撃ち続けていく。
次々と人が倒れていく姿は地獄絵図であった。美憂はまだ幼い頃に夏休みの日に児童館で戦争の悲惨さを伝えるビデオを見た事があったが、今の光景はまさしくそれであった。無意味な突撃を行う兵隊が次々と相手の機関銃によって掃射されてしまう地獄が今この場で再現されていたのだ。
美憂は咄嗟に真紀子に飛び付いた。そしてそのまま彼女の兜を剥ぎ取って、その顔を思いっきり殴り付けたのである。
「て、テメェ!何をしやがる!?」
「うるさい!貴様ッ!自分が何をしたのかわかってるのか!?」
「あたしに人殺しを後悔しろと言いたいのか!?ざけんなッ!向こうだってあたし達の命を狙ってんだぞ!ンな状態で躊躇ってなんかいられるかッ!」
「うるさい。うるさい。他の人たちがどんな思いでーー」
「今は道徳の授業中ではなかった筈だが?」
美憂の背後にはいつの間にか友紀が立っていた。美憂はそれを聞くと我に返って真紀子を殴るのをやめた。真紀子は兜を拾い、再度装着するとそのまま美憂の腹に向かって強烈な一撃を喰らわせた。
「これでおあいこだッ!ボケナスッ!」
真紀子は悶絶する美憂に拳を突き上げながら叫ぶ。と、同時に三人ばかりの武装した男たちが廃工場に入ってきたのを確認した。先程は工場の周囲を包囲するほど迫ってきていたが、残っていたのは三人だけであったらしい。
真紀子はそれを見るのと同時に武器を機関銃から拳銃に変えて二人を射殺してから、もう一人の首筋を叩いて昏睡させた。
「……今日のところはお開きだ。そういう気分じゃなくなったからな」
「最上、そいつらどうするつもりだ?」
「決まってんだろ?持って帰って尋問するんだよ、心配すんな。今度姫川にでも伝えて、こいつらが誰なのか教えてやっから」
真紀子は友紀の問い掛けにぶっきらぼうな調子で返すと、気絶した男を抱えて廃工場を去っていく。
「……私たちもお開きにするか、こんなに死体があったらゲーム続行どころじゃあないだろうからな」
友紀のその一言でその日のゲームはお開きとなった。
友紀はその足で自宅へと戻ると、簀巻きにされて床の上に転がっている女王を蹴って生存を確認する。
蹴られた際に体をバタつかせている様子から女王はまだ生きているらしい。
友紀は女王の簀巻き状態を外し、代わりに口元にガムテープと手を背後に回し、その手首に手錠を嵌めるという状況へと追い込んだのである。
「安心したぞ、キミにまだ死なれは困るからな……私の復讐の宴は始まったばかりなんだからな」
友紀はそう言ってテレビを点けた。友紀が冷蔵庫の中に冷やしていた缶ビールを飲みながら何気なく深夜放送の西部劇を見ていると、ニュース速報が流れた。
ニュースの速報は廃工場付近に発生した大量の死体であった。
「もうニュースになっているのか」
友紀はビールを片手に思わず一人呟く。本当に何気ない一言であったが、この一言は友紀の側でガムテープで口を塞がれている女王からすればショッキングな出来事であった。彼女はあの惨殺事件の首謀者かそうでなくても、事件が起きた時に現場に居たのだ。にも関わらず彼女は通報もせずに平然と帰宅してきたという事になる。女王からすればそんな相手からは一刻も早く逃げたかった。
這いながら逃げ出そうとしても、その際に床を這う音が床中に響いて友紀に気が付かれてしまうだろう。
どうすればいい。女王が悩んでいると、彼女が酔っ払う隙を利用する事にした。
もし、あのままビールを何杯も飲み続ければ彼女は酔い潰れてしまうに違いない。そのまま這ってでも逃げるのだ。
女王がそう決意した時だ。自分の顔にビールの缶が直撃したのを感じた。体を回転させて背後を振り返ると、そこには眉間に皺を寄せた友紀の姿が見えた。
「私が酔うのを待って逃げようだなんて思うなよ。キミは一流かもしれんが、私は一週間のうち何回もキミなんかより頭のいい女と高度な駆け引きをしているんだ。今更キミの作戦が見破れないはずもないだろう?」
友紀は勝ち誇った表情で告げた。
その時志恩には疲れが生じていた事もあり、槍の穂先と相手の剣とが大きくぶつかり合い、志恩の体に大きな隙が生じてしまったのである。志恩の体は大きく弾かれてしまい、目の前に剣先が突き付けられていく。志恩は慌てて槍の柄の部分を用いて防ぎ、友紀の剣を弾いていくものの、友紀はその隙を待っていたのだ。剣を滑らせてその先端を志恩の元へと滑らせていく。
志恩は慌てて体を逸らす事により攻撃を回避したが、友紀はそこで素早く足を払って志恩を滑らせた。
友紀はその上に馬乗りになり、剣を逆手に握り、そのまま志恩を滅多刺しにしようと試みたのであった。
志恩は悲鳴を上げて地面の上に突っ伏していく。友紀は勝利を確信した。
だが、背後からの気配を感じて慌てて志恩の体から離れたのである。
慌てて背後を振り返ると、そこには怒りに燃える秀明の姿。秀明は右左に激しくサーベルを振るって友紀を斬り殺そうと試みる。
「ほぅ、いい太刀筋だな。だが、どうしてキミは弟に味方する?これはゲームなんだぞ」
「うるせぇ!あいつもそうだが、ゲームの外では……」
「当たり前だろ?ゲームと外とは切り離して考えたまえッ!」
友紀はそのまま掴み掛かってきた秀明を蹴り飛ばし、彼を背後の資材の元へと追いやったのである。秀明は資材の前に蹴られて酷い打撃を負ってしまったらしい。起きあがろうとする秀明の元に彼は剣先を突き付けて言った。
「これで私の勝ちだな。思えば今日の占いは運が良かった。私の元に正位置の星が来たのだ。審判の大アルカナが示すのは今までの頑張りが報いられるという意味だ。これはゲームにおいて再度脱落者が現れるという事を意味しているのではないのかな?」
「……それがおれって事かよ?クソッタレ、いいぜ。さっさと殺しな……覚悟はできてらぁ」
「安心しろ、痛いのは一瞬だ」
友紀が志恩の時と同様に剣を逆手に持って秀明の元へと突き刺そうとした時だ。
不意に背後の気配に気が付いて、友紀が振り返ると、そこには周囲を包囲さんとばかりにこちらへと近付いてくる人々。
一般人ではない。その証拠はその手に持っている武器であった。一般人が突撃銃や散弾銃、それに拳銃などを持っているだろうか。明らかに何か別の目的がゲームの会場を訪れたのだろう。
友紀の頭の中に思い浮かんだのは『招かれざる客』という古い諺であった。
「あいつら何者だ?」
「野次馬じゃねぇっていうのは見てわかるぜ」
資材に背中を預けている秀明が荒い息を吐きながら悪態を吐いたが、友紀は気にする事なく話を続けていく。
「わからん。何者だ?」
友紀が首を傾げていると、その返答の代わりにその人々に向かって大量の銃弾が浴びせられていく。二人が銃弾をした方向を見てみると、そこには無言で機関銃を撃ち続ける真紀子の姿。
真紀子は一通り銃を撃ち終わると、恐らく満足そうな表情を浮かべて周りの人々に向かって言った。
「何者か知らねーけどよ。危ない奴には近付かない方が得策ってもんよ。ここから攻撃するのがまぁ無難だわなぁ」
「何が無難だ。人を大量に殺しておいてよくそんな事が言えるもんだな。この異常者が」
廃工場の壁を杖の代わりに起き上がった美憂は足をふらつかせながらも皮肉を言う事だけはわからなかった。
「ハッ、モタモタしてたらこっちがあいつらにぶっ殺されちまうだろうかよぉ、人殺しもクソもあるもんか」
真紀子は美憂に悪態を吐き返すと、そのまま無言で自身の両手に持つ機関銃を持って相手に向かって撃ち続けていく。
次々と人が倒れていく姿は地獄絵図であった。美憂はまだ幼い頃に夏休みの日に児童館で戦争の悲惨さを伝えるビデオを見た事があったが、今の光景はまさしくそれであった。無意味な突撃を行う兵隊が次々と相手の機関銃によって掃射されてしまう地獄が今この場で再現されていたのだ。
美憂は咄嗟に真紀子に飛び付いた。そしてそのまま彼女の兜を剥ぎ取って、その顔を思いっきり殴り付けたのである。
「て、テメェ!何をしやがる!?」
「うるさい!貴様ッ!自分が何をしたのかわかってるのか!?」
「あたしに人殺しを後悔しろと言いたいのか!?ざけんなッ!向こうだってあたし達の命を狙ってんだぞ!ンな状態で躊躇ってなんかいられるかッ!」
「うるさい。うるさい。他の人たちがどんな思いでーー」
「今は道徳の授業中ではなかった筈だが?」
美憂の背後にはいつの間にか友紀が立っていた。美憂はそれを聞くと我に返って真紀子を殴るのをやめた。真紀子は兜を拾い、再度装着するとそのまま美憂の腹に向かって強烈な一撃を喰らわせた。
「これでおあいこだッ!ボケナスッ!」
真紀子は悶絶する美憂に拳を突き上げながら叫ぶ。と、同時に三人ばかりの武装した男たちが廃工場に入ってきたのを確認した。先程は工場の周囲を包囲するほど迫ってきていたが、残っていたのは三人だけであったらしい。
真紀子はそれを見るのと同時に武器を機関銃から拳銃に変えて二人を射殺してから、もう一人の首筋を叩いて昏睡させた。
「……今日のところはお開きだ。そういう気分じゃなくなったからな」
「最上、そいつらどうするつもりだ?」
「決まってんだろ?持って帰って尋問するんだよ、心配すんな。今度姫川にでも伝えて、こいつらが誰なのか教えてやっから」
真紀子は友紀の問い掛けにぶっきらぼうな調子で返すと、気絶した男を抱えて廃工場を去っていく。
「……私たちもお開きにするか、こんなに死体があったらゲーム続行どころじゃあないだろうからな」
友紀のその一言でその日のゲームはお開きとなった。
友紀はその足で自宅へと戻ると、簀巻きにされて床の上に転がっている女王を蹴って生存を確認する。
蹴られた際に体をバタつかせている様子から女王はまだ生きているらしい。
友紀は女王の簀巻き状態を外し、代わりに口元にガムテープと手を背後に回し、その手首に手錠を嵌めるという状況へと追い込んだのである。
「安心したぞ、キミにまだ死なれは困るからな……私の復讐の宴は始まったばかりなんだからな」
友紀はそう言ってテレビを点けた。友紀が冷蔵庫の中に冷やしていた缶ビールを飲みながら何気なく深夜放送の西部劇を見ていると、ニュース速報が流れた。
ニュースの速報は廃工場付近に発生した大量の死体であった。
「もうニュースになっているのか」
友紀はビールを片手に思わず一人呟く。本当に何気ない一言であったが、この一言は友紀の側でガムテープで口を塞がれている女王からすればショッキングな出来事であった。彼女はあの惨殺事件の首謀者かそうでなくても、事件が起きた時に現場に居たのだ。にも関わらず彼女は通報もせずに平然と帰宅してきたという事になる。女王からすればそんな相手からは一刻も早く逃げたかった。
這いながら逃げ出そうとしても、その際に床を這う音が床中に響いて友紀に気が付かれてしまうだろう。
どうすればいい。女王が悩んでいると、彼女が酔っ払う隙を利用する事にした。
もし、あのままビールを何杯も飲み続ければ彼女は酔い潰れてしまうに違いない。そのまま這ってでも逃げるのだ。
女王がそう決意した時だ。自分の顔にビールの缶が直撃したのを感じた。体を回転させて背後を振り返ると、そこには眉間に皺を寄せた友紀の姿が見えた。
「私が酔うのを待って逃げようだなんて思うなよ。キミは一流かもしれんが、私は一週間のうち何回もキミなんかより頭のいい女と高度な駆け引きをしているんだ。今更キミの作戦が見破れないはずもないだろう?」
友紀は勝ち誇った表情で告げた。
0
お気に入りに追加
26
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
絶対婚約いたしません。させられました。案の定、婚約破棄されました
toyjoy11
ファンタジー
婚約破棄ものではあるのだけど、どちらかと言うと反乱もの。
残酷シーンが多く含まれます。
誰も高位貴族が婚約者になりたがらない第一王子と婚約者になったミルフィーユ・レモナンド侯爵令嬢。
両親に
「絶対アレと婚約しません。もしも、させるんでしたら、私は、クーデターを起こしてやります。」
と宣言した彼女は有言実行をするのだった。
一応、転生者ではあるものの元10歳児。チートはありません。
4/5 21時完結予定。
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
私も処刑されたことですし、どうか皆さま地獄へ落ちてくださいね。
火野村志紀
恋愛
あなた方が訪れるその時をお待ちしております。
王宮医官長のエステルは、流行り病の特効薬を第四王子に服用させた。すると王子は高熱で苦しみ出し、エステルを含めた王宮医官たちは罪人として投獄されてしまう。
そしてエステルの婚約者であり大臣の息子のブノワは、エステルを口汚く罵り婚約破棄をすると、王女ナデージュとの婚約を果たす。ブノワにとって、優秀すぎるエステルは以前から邪魔な存在だったのだ。
エステルは貴族や平民からも悪女、魔女と罵られながら処刑された。
それがこの国の終わりの始まりだった。
ミネルヴァ大陸戦記
一条 千種
ファンタジー
遠き異世界、ミネルヴァ大陸の歴史に忽然と現れた偉大なる術者の一族。
その力は自然の摂理をも凌駕するほどに強力で、世界の安定と均衡を保つため、決して邪心を持つ人間に授けてはならないものとされていた。
しかし、術者の心の素直さにつけこんだ一人の野心家の手で、その能力は拡散してしまう。
世界は術者の力を恐れ、次第に彼らは自らの異能を隠し、術者の存在はおとぎ話として語られるのみとなった。
時代は移り、大陸西南に位置するロンバルディア教国。
美しき王女・エスメラルダが戴冠を迎えようとする日に、術者の末裔は再び世界に現れる。
ほぼ同時期、別の国では邪悪な術者が大国の支配権を手に入れようとしていた。
術者の再臨とともに大きく波乱へと動き出す世界の歴史を、主要な人物にスポットを当て群像劇として描いていく。
※作中に一部差別用語を用いていますが、あくまで文学的意図での使用であり、当事者を差別する意図は一切ありません
※作中の舞台は、科学的には史実世界と同等の進行速度ですが、文化的あるいは政治思想的には架空の設定を用いています。そのため近代民主主義国家と封建制国家が同じ科学レベルで共存している等の設定があります
※表現は控えめを意識していますが、一部残酷描写や性的描写があります
悪役令嬢にざまぁされた王子のその後
柚木崎 史乃
ファンタジー
王子アルフレッドは、婚約者である侯爵令嬢レティシアに窃盗の濡れ衣を着せ陥れようとした罪で父王から廃嫡を言い渡され、国外に追放された。
その後、炭鉱の町で鉱夫として働くアルフレッドは反省するどころかレティシアや彼女の味方をした弟への恨みを募らせていく。
そんなある日、アルフレッドは行く当てのない訳ありの少女マリエルを拾う。
マリエルを養子として迎え、共に生活するうちにアルフレッドはやがて自身の過去の過ちを猛省するようになり改心していった。
人生がいい方向に変わったように見えたが……平穏な生活は長く続かず、事態は思わぬ方向へ動き出したのだった。
ペーパードライバーが車ごと異世界転移する話
ぐだな
ファンタジー
車を買ったその日に事故にあった島屋健斗(シマヤ)は、どういう訳か車ごと異世界へ転移してしまう。
異世界には剣と魔法があるけれど、信号機もガソリンも無い!危険な魔境のど真ん中に放り出された島屋は、とりあえずカーナビに頼るしかないのだった。
「目的地を設定しました。ルート案内に従って走行してください」
異世界仕様となった車(中古車)とペーパードライバーの運命はいかに…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる