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第一部『悪魔と人』
二本松秀明の場合ーその①
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俺という人間は素晴らしい。二本松秀明はそう疑って信じていなかった。
というのも、彼は他の人間にはできない事を易々とやってのけたからである。今や上場企業最有力候補ともされる俺の会社『ギンガ』は日本のみならず世界屈指のIT企業と称されており、今後の日本の未来を牽引していく会社として有力視されている。
この企業に注目の視線を向けるのは日本の投資家のみならず海外の投資家も同じである。中でも世界三大投資家のうちの二人は初期の頃から『ギンガ』に注目していたとされ、今では『ギンガ』の大手株主として知られている。
その三大投資家たちを始めとした世界の投資家たちがこぞって会社の株をせめぎ合っているのだ。
それに危機感を感じた政財界の有力者はなんとか彼とお近づきになろうと、上っ面だけはいい自分達の娘を紹介してくる。
だが、秀明はそれらの誘いをことごとく断って街で一夜限りの女を誘うのだ。
理由は一つ。彼女たちは打算的ではあるものの、有力者の娘たちよりもずっと正直だからである。上品な顔をして、裏では金しか見ていないような女よりも、余程可愛らしい。彼が感じていたのはその思いだった。
彼はその日も、例に漏れず仕事帰りにそんな女を引っ掛けようと、バーに足を運んでいたのだった。
秀明の馴染みのバーではお洒落なジャズが流れ、バーカウンターでは初老のマスターがカクテルシェーカーでカクテルを作っている姿が見えた。
彼はカウンターの上に腰を掛けると、マスターに目配せをし、いつものメニューを作らせる。
彼にとって酒が出てくるまでの間が品定めの準備である。内装も雰囲気も良好な店を一通り眺めながら、その日の遊び相手を探していると、不意に扉が開き、扉からはこの世のものとは思えないような美しい顔をした女性が現れた。
黒色のタイトドレスからは彼女の曲線美が現れており、背中の尻まで伸びている黒くて綺麗な髪が俺の慟哭を刺激した。
彼女はそんな彼の意図を知ってか知らずか、彼の隣に座り、マスターに男のならば誰でも絆されてしまいそうになる素敵な笑顔を向けて、酒を注文する。
飲み方といい風貌や体全体から放たれる雰囲気といい、この女性は只者ではない。
たまらなくなった彼は半ば無意識のうちに隣に座る女性に声を掛けていた。
「あんた、その酒を頼んだんなら、このつまみがおすすめだよ」
その言葉に彼女は一瞬、言葉に詰まってしまったらしく、ハッと息を呑んでいたが、すぐに俺に向かって先程のような美しい笑みを向けた。
彼はそれに対し、いつもの甘いマスクで返し、自分の手元にあったカクテルを一気に飲み干す。
しばらくして、女の元につまみが渡された。
彼女はカクテルとつまみとを交互に味わい、頬を綻ばせている。男ならば誰でも守護したくなるような笑顔に変わるのが辛い。
しばらく、秀明が酒を飲んでいると、急に彼女が胸元を押し当てる程の距離にまで迫ってきた。
「先程はありがとうございます。私、このバーに来るのは初めてで……」
「いいって事よ。にしても、あんた、その格好は少し派手だとは思わないかい?よくないぜ。男っていうのは狼だからな。そんな格好をしていたらどんな奴があんたを襲うとも限らねぇからな」
彼はここで「ワァー」と両手を上げ、狼の真似をしてみせる。すると彼女はそれがおかしかったのかクスクスと笑い始めていく。
「そんなに面白かった?」
「ええ、今までの人生の中で、あなたほどに面白いと思った人に出会った事がないんですもの」
「そりゃあ、退屈な人生だったろうな?けど、今日はあんたの人生の中で一番、楽しい日になると思うぜ」
彼は自分の真っ白な歯を見せながら笑い掛ける。我ながら少しキザであるのだが、女というのはこういうキザな男が好きなのだ。
案の定彼女も満更でもなさそうな表情を浮かべている。
たちまちのうちにその女とは大人の関係になった。
彼はホテルの一室で一通り用事を済ませ、人差し指と中指とに煙草を挟みながら窓の外に光る夜景を眺めていく。
高層ホテルの最上階の部屋から眺める夜の大阪の街の光景は格別である。例えるのならば、地面の上にひっくり返されて散らばった宝石を見つめているような気分になる。
秀明が夜の大阪の摩天楼を眺めて、満足そうな表情を浮かべてタバコを吹かしていると、背後で選択したばかりかと見間違うほどの綺麗で真っ白なシーツに体を隠した女が秀明をじっと見つめていた。
どうやら放っておいて感慨に浸っていた事が許せなかったらしい。獲物を狙う黒猫のような瞳で見つめられてはこちらも兜を脱がざるを得ない。
出会った女は猫撫で声を出しながら、ベッドの中へと戻り、その体を俺自身の体へと引き寄せた後にその唇に優しく自身の唇を重ね合わせていく。
どうせ、一夜限りの相手だ。好きにしても罪悪感は生じない。
甘い夢を二人で見終えた後に彼はなぜかこの女を相手に俺の昔の事を語っていく。
この時どうして、彼がそんな個人的な事を語ったのかはわからない。もしかしたらこの時に運命の神様とやらが彼のその後の運命を決定づけていたのかもしれない。
秀明はベッドの上に座り、タバコを人差し指と中指の間に挟みながら、秀明の横で横になっている女神の様な女性を相手に自身のそれまでの人生を語っていく。
自身が母親とある男の間違いにより産まれた子だということ。
その男は鳥取のある地域の名家の息子で、とても当時の母と釣り合う人物ではなかったこと。
莫大な慰謝料を渡し、その男と縁が切れてそれが現在まで繋がっている事などを語っていく。
彼が語り終え、タバコを片手に感傷に浸っていると、背後から予想もしなかった声が聞こえた。
「ふーん。あんたの話を推測するに……あんたはあたしの兄貴にあたるって事か」
この女、今なんと言った?自分の事をなんと呼称した?
唖然とする彼を他所にその女は得意げな顔をしながら話を進めていく。
「行きずりの女を装って若手学生社長のスキャンダルを握りパーティーの顧客にしようかと考えていたら、こりゃあ大スキャンダルだなぁ。生き別れたとはいえ、あんたは実の妹をその手に抱いたんだぜ!こりゃあお笑い草だぜ!」
彼の妹を自称する女はベッドから上半身を起こし、得意げに人差し指を突き付けている。もう片方の手に握られているのは少し前から普及し始めたスマートフォンと称される最新式の携帯端末。
女は下衆な笑いを浮かべながら、携帯端末の真ん中部分をタップして、ホテルの部屋いっぱいに先程の秀明と妹を自称する女の会話を再生した。
「ははっ、あんたこれでもう逃げられないねぇ。あんたはあたしの奴隷だよ!死ぬまでなッ!」
女は起き上がって服を身に纏う。そして勝手に秀明の携帯電話からメールアドレスを移し取っていく。
歓喜に溢れた顔を浮かべてその場を去る女とは対照的にベッドの上で唖然とさせられる秀明。
だが、彼は正気に戻るのと同時に自分が取り返しのつかない状況に追い込まれた事を察したのだった。
青ざめた表情をする秀明に向かってその女は携帯電話を突き付けながら言った。
「これであんたはあたしの奴隷だぜ……一生な。手始めにあたしの主催する楽しいパーティの参加者になってもらおうかなぁ~」
「ふ、ふざけるな!この事は警察にーー」
「チクるっていうのかい?あたしがあんたの妹にして凶悪犯の最上真紀子でそいつに騙されたと……いいぜ、けどその事をチクればあんたの評判も落ちると思うけどなぁ」
「おれの会社がそんな事でーー」
「考えてもみなって、誰が凶悪犯の妹を誘って一晩共にした社長に従うというんだい?社員は耐えきれずに一人また一人と辞めていくわな。それで会社の運営はどうなるかな?」
「……辞めろ」
「あんたに目をかけてる投資家や政財界の有力者たちもどんな顔をするんだろうなぁ」
「……辞めろ」
「それだけじゃあなくて、日本のホープとも知られる社長のこんなスキャンダルが知られたら、日本のIT業界全体にも逆風がーー」
「辞めろって言ってるんだッ!」
秀明は怒鳴って実の妹に掴みかかろうとしたが、真紀子は動じる気配は見せない。
ニヤニヤという陰湿な笑みを浮かべて秀明の攻撃を回避し、逆に彼を翻弄していた。
「じゃあ明日な、パーティーの会場の場所送るから、参加費用持ってくるの忘れるなよ」
真紀子は手を振って秀明を放って去って行ったのであった。
というのも、彼は他の人間にはできない事を易々とやってのけたからである。今や上場企業最有力候補ともされる俺の会社『ギンガ』は日本のみならず世界屈指のIT企業と称されており、今後の日本の未来を牽引していく会社として有力視されている。
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その三大投資家たちを始めとした世界の投資家たちがこぞって会社の株をせめぎ合っているのだ。
それに危機感を感じた政財界の有力者はなんとか彼とお近づきになろうと、上っ面だけはいい自分達の娘を紹介してくる。
だが、秀明はそれらの誘いをことごとく断って街で一夜限りの女を誘うのだ。
理由は一つ。彼女たちは打算的ではあるものの、有力者の娘たちよりもずっと正直だからである。上品な顔をして、裏では金しか見ていないような女よりも、余程可愛らしい。彼が感じていたのはその思いだった。
彼はその日も、例に漏れず仕事帰りにそんな女を引っ掛けようと、バーに足を運んでいたのだった。
秀明の馴染みのバーではお洒落なジャズが流れ、バーカウンターでは初老のマスターがカクテルシェーカーでカクテルを作っている姿が見えた。
彼はカウンターの上に腰を掛けると、マスターに目配せをし、いつものメニューを作らせる。
彼にとって酒が出てくるまでの間が品定めの準備である。内装も雰囲気も良好な店を一通り眺めながら、その日の遊び相手を探していると、不意に扉が開き、扉からはこの世のものとは思えないような美しい顔をした女性が現れた。
黒色のタイトドレスからは彼女の曲線美が現れており、背中の尻まで伸びている黒くて綺麗な髪が俺の慟哭を刺激した。
彼女はそんな彼の意図を知ってか知らずか、彼の隣に座り、マスターに男のならば誰でも絆されてしまいそうになる素敵な笑顔を向けて、酒を注文する。
飲み方といい風貌や体全体から放たれる雰囲気といい、この女性は只者ではない。
たまらなくなった彼は半ば無意識のうちに隣に座る女性に声を掛けていた。
「あんた、その酒を頼んだんなら、このつまみがおすすめだよ」
その言葉に彼女は一瞬、言葉に詰まってしまったらしく、ハッと息を呑んでいたが、すぐに俺に向かって先程のような美しい笑みを向けた。
彼はそれに対し、いつもの甘いマスクで返し、自分の手元にあったカクテルを一気に飲み干す。
しばらくして、女の元につまみが渡された。
彼女はカクテルとつまみとを交互に味わい、頬を綻ばせている。男ならば誰でも守護したくなるような笑顔に変わるのが辛い。
しばらく、秀明が酒を飲んでいると、急に彼女が胸元を押し当てる程の距離にまで迫ってきた。
「先程はありがとうございます。私、このバーに来るのは初めてで……」
「いいって事よ。にしても、あんた、その格好は少し派手だとは思わないかい?よくないぜ。男っていうのは狼だからな。そんな格好をしていたらどんな奴があんたを襲うとも限らねぇからな」
彼はここで「ワァー」と両手を上げ、狼の真似をしてみせる。すると彼女はそれがおかしかったのかクスクスと笑い始めていく。
「そんなに面白かった?」
「ええ、今までの人生の中で、あなたほどに面白いと思った人に出会った事がないんですもの」
「そりゃあ、退屈な人生だったろうな?けど、今日はあんたの人生の中で一番、楽しい日になると思うぜ」
彼は自分の真っ白な歯を見せながら笑い掛ける。我ながら少しキザであるのだが、女というのはこういうキザな男が好きなのだ。
案の定彼女も満更でもなさそうな表情を浮かべている。
たちまちのうちにその女とは大人の関係になった。
彼はホテルの一室で一通り用事を済ませ、人差し指と中指とに煙草を挟みながら窓の外に光る夜景を眺めていく。
高層ホテルの最上階の部屋から眺める夜の大阪の街の光景は格別である。例えるのならば、地面の上にひっくり返されて散らばった宝石を見つめているような気分になる。
秀明が夜の大阪の摩天楼を眺めて、満足そうな表情を浮かべてタバコを吹かしていると、背後で選択したばかりかと見間違うほどの綺麗で真っ白なシーツに体を隠した女が秀明をじっと見つめていた。
どうやら放っておいて感慨に浸っていた事が許せなかったらしい。獲物を狙う黒猫のような瞳で見つめられてはこちらも兜を脱がざるを得ない。
出会った女は猫撫で声を出しながら、ベッドの中へと戻り、その体を俺自身の体へと引き寄せた後にその唇に優しく自身の唇を重ね合わせていく。
どうせ、一夜限りの相手だ。好きにしても罪悪感は生じない。
甘い夢を二人で見終えた後に彼はなぜかこの女を相手に俺の昔の事を語っていく。
この時どうして、彼がそんな個人的な事を語ったのかはわからない。もしかしたらこの時に運命の神様とやらが彼のその後の運命を決定づけていたのかもしれない。
秀明はベッドの上に座り、タバコを人差し指と中指の間に挟みながら、秀明の横で横になっている女神の様な女性を相手に自身のそれまでの人生を語っていく。
自身が母親とある男の間違いにより産まれた子だということ。
その男は鳥取のある地域の名家の息子で、とても当時の母と釣り合う人物ではなかったこと。
莫大な慰謝料を渡し、その男と縁が切れてそれが現在まで繋がっている事などを語っていく。
彼が語り終え、タバコを片手に感傷に浸っていると、背後から予想もしなかった声が聞こえた。
「ふーん。あんたの話を推測するに……あんたはあたしの兄貴にあたるって事か」
この女、今なんと言った?自分の事をなんと呼称した?
唖然とする彼を他所にその女は得意げな顔をしながら話を進めていく。
「行きずりの女を装って若手学生社長のスキャンダルを握りパーティーの顧客にしようかと考えていたら、こりゃあ大スキャンダルだなぁ。生き別れたとはいえ、あんたは実の妹をその手に抱いたんだぜ!こりゃあお笑い草だぜ!」
彼の妹を自称する女はベッドから上半身を起こし、得意げに人差し指を突き付けている。もう片方の手に握られているのは少し前から普及し始めたスマートフォンと称される最新式の携帯端末。
女は下衆な笑いを浮かべながら、携帯端末の真ん中部分をタップして、ホテルの部屋いっぱいに先程の秀明と妹を自称する女の会話を再生した。
「ははっ、あんたこれでもう逃げられないねぇ。あんたはあたしの奴隷だよ!死ぬまでなッ!」
女は起き上がって服を身に纏う。そして勝手に秀明の携帯電話からメールアドレスを移し取っていく。
歓喜に溢れた顔を浮かべてその場を去る女とは対照的にベッドの上で唖然とさせられる秀明。
だが、彼は正気に戻るのと同時に自分が取り返しのつかない状況に追い込まれた事を察したのだった。
青ざめた表情をする秀明に向かってその女は携帯電話を突き付けながら言った。
「これであんたはあたしの奴隷だぜ……一生な。手始めにあたしの主催する楽しいパーティの参加者になってもらおうかなぁ~」
「ふ、ふざけるな!この事は警察にーー」
「チクるっていうのかい?あたしがあんたの妹にして凶悪犯の最上真紀子でそいつに騙されたと……いいぜ、けどその事をチクればあんたの評判も落ちると思うけどなぁ」
「おれの会社がそんな事でーー」
「考えてもみなって、誰が凶悪犯の妹を誘って一晩共にした社長に従うというんだい?社員は耐えきれずに一人また一人と辞めていくわな。それで会社の運営はどうなるかな?」
「……辞めろ」
「あんたに目をかけてる投資家や政財界の有力者たちもどんな顔をするんだろうなぁ」
「……辞めろ」
「それだけじゃあなくて、日本のホープとも知られる社長のこんなスキャンダルが知られたら、日本のIT業界全体にも逆風がーー」
「辞めろって言ってるんだッ!」
秀明は怒鳴って実の妹に掴みかかろうとしたが、真紀子は動じる気配は見せない。
ニヤニヤという陰湿な笑みを浮かべて秀明の攻撃を回避し、逆に彼を翻弄していた。
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