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天楼牛車決戦編
何ともまあ、笑えない人生だ
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氷堂冴子は戦災孤児であった。幼少の頃に両親を戦争で亡くし、自らも浮浪児として死に掛けていたのだが、そこを収容され、彼女は孤児院に送られた。
彼女の送られた孤児院は最悪そのものであり、名前こそ『愛の孤児院』とあったが、実態は愛とは程遠い場所であった。
職員による苛立ちを募らせての体罰は当たり前、時にはその体罰のために死者さえ出ていた。
そして、何よりも施設の中を不穏がらせたのは、
「あいつ、脱獄しようとしています」
などの同じ孤児による職員への密告であった。勿論、密告をしたところで得られるものなど何もないのだが、子供たちは少しでも孤児院の教師の関心を得るために、積極的に仲間を売った。
そのため、毎日、孤児院は疑心暗鬼の状態に陥っていく。
互いに互いを見張り合い、少しでも隙や怠慢を見つけたのならば、密告する。
それが、その孤児院のやり方だった。加えて、子供たちを怯えさせたのは施設の職員による共犯というやり方。
彼らは児童たちに死体の放棄を手伝わせてこう言った。
「逃げるなよ?逃げて警察にでもこの事を言ってみろ。死体遺棄でお前ら逮捕だ」
その言葉を聞いて児童たちは恐怖に駆られ、脱走や警察署に逃げ込むという方法を塞がれてしまう。
そして、次は自分の番になるのを待つ。冴子はそんな日々に嫌気が差していた。なので、ある日、彼女は誰にも知らずに脱獄を試みていた。
警察に捕まったとしても、永遠に出られなくなるわけじゃあない。
そう自分に言い聞かせて彼女は孤児院を抜け出そうとしたその日。
なぜか、職員が追って来なかったのだ。
と、言うのも肝心の孤児院が妖鬼の気紛れによって襲撃されていたのだから、彼女の脱走を気に掛けている余裕などなかったからというのがとどの理由であった。
気まぐれの襲撃を行った妖鬼がある程度、満足した後に殺戮を終えると、孤児院を出て、一番端の方を走っていた少女。とどのつまり、孤児院の外に出て、隠れていた自分を殺そうとした際に彼女の破魔式は作動した。
彼女の放った光弾の前に妖鬼は破れ去り、彼女は命を取り留めた。
そして、それを後からやってきた対魔師の男に発見され、連れて行かれたのだ。
そこで、彼女は数多くの対魔師たちから指導を受け、大きくなるにつれ、その才覚を表し、ついには上位の対魔師となったのだ。
その際に、船橋ヘルスケアセンターでの任務を承った際に、任務を共にした獅子王院風太郎という青年が気になっていた。
彼女は風太郎の気を引くたいと考えて、彼を夜の海へと誘う。
そして、何を考えたのか、自分の凄惨な過去を語ったのだ。
話したい事ではなかったのだが、何故か彼にはすんなりと話せたのだ。
彼はそれを黙って聞いてくれ、自分を慰めてくれた風太郎に彼女は恋焦がれた。
同時に、斑目綺蝶という強力なライバルがいる事も知っていた。
彼女と彼との関係は師と弟子という範疇を大いに逸脱し、既に伴侶の域にさえ達しているのではというもっぱらの噂があった。
実際、二人が仲良くしている場面は玄竜を追う東京での任務の際に嫌という程に実感した。
敵わないとさえ思ったが、彼女はそれでも綺蝶から風太郎を奪いたかった。
あの任務の後に、彼女が東京の中を歩いていると、彼女は突然、逮捕された。表向きは銃刀法違反。その実は身に覚えのない殺人の容疑での逮捕。
当然、彼女は抵抗しようとしたが、それは警察の前では覆され、彼女は容易に引っ張られてしまう。
無実の彼女を取り締まったのは眼鏡をかけた関西出身の男で、男は関西弁を使いながら、黙秘を続ける冴子をネチネチと責め立てていく。
冴子が黙っていると、机を叩き付けて、彼女を黙らせた。
「分かってるんやぞ、お前が……を殺した事は!白状せぇや!」
その言葉を聞いても、彼女には白状も何も、殺していないし、どう供述したら良いかさえ分からなかったのだ。
多くの警察官に見守られ、全ての事が制限される生活に彼女は限界が来ていた。
挙句に、警察は嫌がらせとして拘置所に轟音を響かせる。
勾留されて二日だというのに、精神は随分と弱ってきていた。まるで、買っていたのを忘れられ、水を与えられずに痩せ細っていく観葉植物の様に。
ある時に彼女は面会を申し込まれ、そこへと連れて行かれる。
仲間かと思ってホッとした彼女の前に現れたのはあろう事か、敵。しかも、ただの妖鬼ではない。玉藻紅葉の懐刀にして実の妹の玉藻姑獲鳥。
彼女に戦いを挑もうかと彼女は立ち上がろうしたのだが、彼女はそれを両手で制して、
「まぁ、落ち着いてよぉ。それからぁ、あたしの話を聞いて頂戴ぃ」
姑獲鳥の話によれば、彼女は見捨てられたという事だ。
仲間からも上司からも見捨てられ、今の自分に訪れたのは本来ならば、敵である筈の妖鬼。
彼女は精神が弱った冴子の理性を崩す最後の一押しを行う。
「あたしに従えば、ここから出してあげるわよぉ」
冴子の目には躊躇いはない。面会のために仕切られた網を破り、中に入るのと同時に、冴子の首元に妖鬼を投入し、彼女を化け物へと変えていく。
妖鬼となった彼女は復讐のために、取り調べや嫌がらせに携わった警官を全て皆殺しにした後に、取り調べを行なった関西弁を喋る警部を殺す。
「ま、待てや、今やったら、お前を儂の権限で逃したるぞ。分かったんやったら、早く儂を助けろや!」
「遺言はそれだけか?」
彼女は没収された刀で警部の首を撥ね飛ばす。
死ぬ前に警部と同じ訓練を受けたという熟練の警部たちを玉藻姉妹の力を借りて、この手で皆殺しにしていく。
冴子はこの時に考えたのだ。あの時、孤児院を襲った妖鬼もこの様な気持ちであったのかと。
思えば、あの妖鬼は職員の男たちに手を掛ける際に、深く泣いていた様な気がする。
そして、今、自分は首を刎ねられて消滅しようとしている。
自分の人生の転換期となったあの事件の妖鬼と同じ様に体を光に包まれて、けれども安からな死に顔で。
彼女は最後に薄れゆく意識の中で考えた。
(あたしは死んだら、地獄に行くよね?ごめんなさい。お父さん、お母さん。地獄に行く親不孝な娘を許して)
彼女がそう懇願した時だ。二人の前に、彼女の両親と思われる若い男女二人が現れて彼女を抱き締める。
恐らく、幼少期の頃に亡くした両親だろう。
冴子は再会を喜びながら、二人の胸の中で泣き続けていた。
そんな冴子を両親は地獄の業火の中に包まれながらも、優しく頭を撫でていく。
彼女の送られた孤児院は最悪そのものであり、名前こそ『愛の孤児院』とあったが、実態は愛とは程遠い場所であった。
職員による苛立ちを募らせての体罰は当たり前、時にはその体罰のために死者さえ出ていた。
そして、何よりも施設の中を不穏がらせたのは、
「あいつ、脱獄しようとしています」
などの同じ孤児による職員への密告であった。勿論、密告をしたところで得られるものなど何もないのだが、子供たちは少しでも孤児院の教師の関心を得るために、積極的に仲間を売った。
そのため、毎日、孤児院は疑心暗鬼の状態に陥っていく。
互いに互いを見張り合い、少しでも隙や怠慢を見つけたのならば、密告する。
それが、その孤児院のやり方だった。加えて、子供たちを怯えさせたのは施設の職員による共犯というやり方。
彼らは児童たちに死体の放棄を手伝わせてこう言った。
「逃げるなよ?逃げて警察にでもこの事を言ってみろ。死体遺棄でお前ら逮捕だ」
その言葉を聞いて児童たちは恐怖に駆られ、脱走や警察署に逃げ込むという方法を塞がれてしまう。
そして、次は自分の番になるのを待つ。冴子はそんな日々に嫌気が差していた。なので、ある日、彼女は誰にも知らずに脱獄を試みていた。
警察に捕まったとしても、永遠に出られなくなるわけじゃあない。
そう自分に言い聞かせて彼女は孤児院を抜け出そうとしたその日。
なぜか、職員が追って来なかったのだ。
と、言うのも肝心の孤児院が妖鬼の気紛れによって襲撃されていたのだから、彼女の脱走を気に掛けている余裕などなかったからというのがとどの理由であった。
気まぐれの襲撃を行った妖鬼がある程度、満足した後に殺戮を終えると、孤児院を出て、一番端の方を走っていた少女。とどのつまり、孤児院の外に出て、隠れていた自分を殺そうとした際に彼女の破魔式は作動した。
彼女の放った光弾の前に妖鬼は破れ去り、彼女は命を取り留めた。
そして、それを後からやってきた対魔師の男に発見され、連れて行かれたのだ。
そこで、彼女は数多くの対魔師たちから指導を受け、大きくなるにつれ、その才覚を表し、ついには上位の対魔師となったのだ。
その際に、船橋ヘルスケアセンターでの任務を承った際に、任務を共にした獅子王院風太郎という青年が気になっていた。
彼女は風太郎の気を引くたいと考えて、彼を夜の海へと誘う。
そして、何を考えたのか、自分の凄惨な過去を語ったのだ。
話したい事ではなかったのだが、何故か彼にはすんなりと話せたのだ。
彼はそれを黙って聞いてくれ、自分を慰めてくれた風太郎に彼女は恋焦がれた。
同時に、斑目綺蝶という強力なライバルがいる事も知っていた。
彼女と彼との関係は師と弟子という範疇を大いに逸脱し、既に伴侶の域にさえ達しているのではというもっぱらの噂があった。
実際、二人が仲良くしている場面は玄竜を追う東京での任務の際に嫌という程に実感した。
敵わないとさえ思ったが、彼女はそれでも綺蝶から風太郎を奪いたかった。
あの任務の後に、彼女が東京の中を歩いていると、彼女は突然、逮捕された。表向きは銃刀法違反。その実は身に覚えのない殺人の容疑での逮捕。
当然、彼女は抵抗しようとしたが、それは警察の前では覆され、彼女は容易に引っ張られてしまう。
無実の彼女を取り締まったのは眼鏡をかけた関西出身の男で、男は関西弁を使いながら、黙秘を続ける冴子をネチネチと責め立てていく。
冴子が黙っていると、机を叩き付けて、彼女を黙らせた。
「分かってるんやぞ、お前が……を殺した事は!白状せぇや!」
その言葉を聞いても、彼女には白状も何も、殺していないし、どう供述したら良いかさえ分からなかったのだ。
多くの警察官に見守られ、全ての事が制限される生活に彼女は限界が来ていた。
挙句に、警察は嫌がらせとして拘置所に轟音を響かせる。
勾留されて二日だというのに、精神は随分と弱ってきていた。まるで、買っていたのを忘れられ、水を与えられずに痩せ細っていく観葉植物の様に。
ある時に彼女は面会を申し込まれ、そこへと連れて行かれる。
仲間かと思ってホッとした彼女の前に現れたのはあろう事か、敵。しかも、ただの妖鬼ではない。玉藻紅葉の懐刀にして実の妹の玉藻姑獲鳥。
彼女に戦いを挑もうかと彼女は立ち上がろうしたのだが、彼女はそれを両手で制して、
「まぁ、落ち着いてよぉ。それからぁ、あたしの話を聞いて頂戴ぃ」
姑獲鳥の話によれば、彼女は見捨てられたという事だ。
仲間からも上司からも見捨てられ、今の自分に訪れたのは本来ならば、敵である筈の妖鬼。
彼女は精神が弱った冴子の理性を崩す最後の一押しを行う。
「あたしに従えば、ここから出してあげるわよぉ」
冴子の目には躊躇いはない。面会のために仕切られた網を破り、中に入るのと同時に、冴子の首元に妖鬼を投入し、彼女を化け物へと変えていく。
妖鬼となった彼女は復讐のために、取り調べや嫌がらせに携わった警官を全て皆殺しにした後に、取り調べを行なった関西弁を喋る警部を殺す。
「ま、待てや、今やったら、お前を儂の権限で逃したるぞ。分かったんやったら、早く儂を助けろや!」
「遺言はそれだけか?」
彼女は没収された刀で警部の首を撥ね飛ばす。
死ぬ前に警部と同じ訓練を受けたという熟練の警部たちを玉藻姉妹の力を借りて、この手で皆殺しにしていく。
冴子はこの時に考えたのだ。あの時、孤児院を襲った妖鬼もこの様な気持ちであったのかと。
思えば、あの妖鬼は職員の男たちに手を掛ける際に、深く泣いていた様な気がする。
そして、今、自分は首を刎ねられて消滅しようとしている。
自分の人生の転換期となったあの事件の妖鬼と同じ様に体を光に包まれて、けれども安からな死に顔で。
彼女は最後に薄れゆく意識の中で考えた。
(あたしは死んだら、地獄に行くよね?ごめんなさい。お父さん、お母さん。地獄に行く親不孝な娘を許して)
彼女がそう懇願した時だ。二人の前に、彼女の両親と思われる若い男女二人が現れて彼女を抱き締める。
恐らく、幼少期の頃に亡くした両親だろう。
冴子は再会を喜びながら、二人の胸の中で泣き続けていた。
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