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船橋事変編

謎の騎士団の出現

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斑目綺蝶と騎士団の団長と思われる男との睨み合いが暫くの間続いていたが、直ぐにその睨み合いは戦いへと繋がっていく。
男が剣を振り上げるのと同時に、多くの鎧に身を固めた男たちが対魔師に向かっていく。
最も、彼女はそんなもので殺される様なやわな人間ではない。彼女は本当ならば訓練を積んだ筈の騎士団の男性の鎧の隙間に向かって攻撃を繰り出していく。
鎧の隙間から峰打ちで攻撃を繰り出していく綺蝶。
それを見て舌を打つ団長と思われる洋服姿の男性。
次々と倒されていく団員の姿を見て馬を降りて自らの手で彼女に向かって斬りかかっていく。
大きく振りかざしたサーベルであったが、綺蝶はなんとか刀を盾にしてそれを防ぎ、反対にガラ空きの団長に向かって斬りかかっていく。
風太郎も冴子もその様子を黙って見守っていた。
そもそもあの男も鎧で身を固めた男たちも全て人間。自分たちが立ち向かう妖鬼ではないのだ。
言うなれば人と人の争い。対魔師がこんな争いに巻き込まれるなんて事はあってはならない。
それが古来よりの定めではなかったのか。征魔大将軍はあくまでも討滅寮の長の地位。対魔師は世俗の争いには関わらず、妖鬼のみを狩る人々の総称。
そうではなかったのか。なのに、何故、あの男は破魔式を扱い味方であり、人間である筈の綺蝶と刀を結び合っているのだ。
理解できない。冴子がその場から斬り合いの場に向かおうとした時だ。
彼女の前に先程はあの騎士団に邪魔をされた胴丸鎧の男が立ち塞がる。
「分からぬな。貴様どもと彼奴らは仲間ではないのか?」
「仲間?笑わせるな。冗談ではない。あんな奴らが仲間なのものかッ!」
冴子はそう言って腰に下げていた鞘から刀を出して胴丸鎧の男に向かって斬りかかっていく。
冴子は刀の刀身から光弾を打ち出して相手を狙うものの、相手に攻撃は当たらない。
それを見て笑う胴丸鎧の男。男は刀で自分の目の前を覆うと、自分の目の前に丸い光の壁を作り出していく。
「魔獣覚醒、光の壁……オレはこの防御術と本来の剣の腕前と変身の力で24魔将となった男……貴様らには負ける通りなどない!」
「光の弾を操る私と光の壁を自由自在に組み立てられるお前……神はどちらに勝利の笑みを向けるのだろうな?」
「さぁな、だが、神々は今日の戦いを大いに祝福するだろうなッ!」
彼はそう言って太刀を大きく振りかざす。冴子はそれを刀を横に構えて防いで、胴丸鎧の男を睨む。
だが、男は次に体を変貌させて自らの身を頭は猿、胴は狸、足は虎、尾は蛇という怪物とへと変化させていく。
「……成る程、鵺の怪物……それが、お前の正体か?」
「その通り、このままお前を食べさせてもらおう!」
彼はそう言って冴子に向かって飛び掛かっていく。
冴子は刀を斜めに構えて攻撃を防いで、男に向かって斬り掛かっていく。
だが、鵺の怪物は刀で斬られたくらいでは動じない。
唸り声を上げながら、冴子に向かって斬り掛かっていく。
あまりの素早さに冴子は両目を瞑ったが、その前に風太郎が鵺の牙に向かって太刀を挟んだ事により、彼女は危機を脱却していく。
「冴子ッ!大丈夫か!?」
「……風太郎?」
そう、斑目綺蝶の弟子にして彼女の相棒、獅子王院風太郎だった。
彼は怪物の猛攻を刀で凌いで鵺の怪物の攻撃を弾いていく。
そして、怪物に向かって大きく剣を振っていく。
風太郎の太刀を額に受けた鵺は大きな悲鳴を上げて地面の上でのたうち回っていくが、直ぐに立ち上がって今度は尾の蛇と共に風太郎に向かって噛み付いていく。
風太郎はそのまま太刀で蛇を斬ろうと試みたが、その前に尾は彼女の元へと戻っていく。
怪物は明らかな舌を討ちをした後に、真っ白な煙を上げて別の姿になっていく。
その姿もあまりにも悍ましい。と、言うのもその怪物は先程の四本足の巨大な怪物がそのまま人間の姿となり、かろうじて手だけが人間の姿となっていたからだ。
「……失礼したな。今度はこの姿でお主らを地獄へと葬り去ってくれよう」
「……成る程な。人間の姿になってまで、オレを……いや、そんな姿になってまで人間を殺したいと思っていたのか?腐ってやがるな」
「そちらこそ、随分と舐めた口を聞くではないか。その腐りきった汚らわしい口を永遠に縫ってやろうか?」
怪物の体をした義経と顔の似ている男は太刀を振り上げて、風太郎に向かって斬り掛かっていく。
風太郎は太刀を右斜め下から大きく斬り上げて、真上から向かってくる太刀と自身の太刀とを斬り結んでいく。
太刀と太刀との刃が重なり合って火花が飛ぶ。
太刀と太刀とが打ち合う音が冴子の耳にも聞こえてくる。
自分も風太郎の加勢に加わろうと刀を握り締めた時だ。
警視庁の別働隊を名乗る鎧姿の男が冴子に向かって斬り掛かっていく。
冴子は鎧の隙間へと回り込むと、彼を峰で打っていく。
鎧の男は大の字になって地面の上に倒れ込む。
冴子は鎧の兜の隙間から見えるギラギラとした視線を睨む。
どうやら、自分たちはあの騎士団に相当に睨まれているらしい。
「いいだろう。人の戦いに横入りする邪な野犬どもめ。私が全て始末してやるぞ」
冴子はそう言って刀を構えると、光弾を出していく。
勿論、威力は弱い。鎧の正面に弾が当たって弾ける……程度のものであるのだが、相手を眠らせるのにはそれが十分であったらしい。
冴子はそれを見るとフンと鼻で笑って、刀を抜いて卑劣な野犬達に立ち向かっていく。
その野犬の頭領は綺蝶と激しく互いに破魔式と刃とを結んでいく。
「最後に聞いておきましょうか?あなた方はどうして、この遊戯施設を訪れたんですか?」
「そりゃあ、決まっているだろう。小娘……ある男を捕まえるためだ」
「ある男?」
「知らないようなら、冥土の土産とやらに教えてやるよ。そいつは危険な男でな。既に奴の指示による事件が起きている」
「例えば?」
「数日前の警察署襲撃事件、少し前は大企業社長襲撃事件が奴が指示を出した事件とも言われている。奴らはある組織をーー」
「それ以上は喋らない方が身のためですよ」
そう言うと、綺蝶と男の前に一人の若い男が割って入る。
「やはり、戦雲玄竜だな?貴様らをこのまま始末させてもらおうか」
「物騒ですね。やはり、警察は嫌いだ」
彼はそう言うと、騎士団の団長と思われる男に向かって斬り掛かっていく。
斑目綺蝶を差し置いての官憲と凶悪なテロ組織の男との斬り合いが始まっていく。
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