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船橋事変編
赤傘刀舟悪人狩り!
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斑目綺蝶は刀を構えながら、文代の元にまで移動していく。
先程までの余裕に満ちた笑顔は何処へやら、自分が闇の破魔式を使うとなった途端に、彼女から笑顔が失われた。
いや、その表現には語弊がある。正確に言えば、笑顔の中に怯えを含ませる様になったというべきだろうか。
彼女がそのまま躊躇いもなく闇の破魔式を纏わせた刀を彼女に向かって振るおうとした時だ。
突如、彼女の足元に短刀が突き刺さる。飛ばした相手は誰だ?いや、おおよその予想はつく。彼女は自分の邪魔をする相手を眺めていく。
「邪魔をしないでください。氷堂さん。今は闇の破魔式を使用しなければ勝てません」
「なぁ、斑目……お前はその破魔式は数年前に封印したんじゃあないのか?」
「そのつもりだったんですがね、ほんの少し前、正妖大学の戦いの時に母の仇と対峙した時がありましてね。その時に、第五の破魔式まで使用したんですが、私が闇の力に飲まれる事はありませんでしたよ」
彼女はそう言うと闇の力を纏わせた刀を部屋の中で大きく振っていく。
冴子は綺蝶の様子が恐ろしかった。このまま闇の力に飲まれて消えてしまいかねない。
そうなれば、斑目綺蝶という人間は残らずに、自分たちの目の前に現れるのは闇の力を扱う最恐の妖鬼という事にもなりかねない。
だからこそ、冴子は懐に隠していた短刀を彼女の元に投げたのだ。
そもそもの問題として彼女にはそれくらいの対応が望ましい。
いや、いっその事、この場でこの二体の妖鬼と共にあいつも始末してしまうか。
冴子が闇の力を纏わせた刀を振りながら、子供の妖鬼と向き合っているのを眺めていた時だ。
不意に真横から殺気を感じて、彼女は身を引く。
だが、身を引いただけではその場は収まらない。
青色の軍服を着た男はサーベルを振り回して、彼女を襲っていく。
「おい、テメェ、こっちを無視するとはいい度胸じゃあねぇか!いい加減、こっちを向きやがれ!」
「……花山村皆殺し事件。表向きは異常者の犯行として知られた事件だが、裏に関わっていたのはお前だろう?」
それを聞いた時に、彼は両眉が動く。
眉の動きや表情から犯人は目の前の時代遅れの軍服を着た男で間違いないだろう。
彼女は更なる動揺を与えるために、わざと大きな声で部屋の中に響く様に話していく。
「事件が発生したのは昭和八年の二月の早朝。当時、村人は朝の用意に向かっていたそうだが、その時に皆殺しにされた。二年前の別の村の襲撃事件とはやり方が大きく異なる点が警察では注目され、敗戦後には米軍も注目を集めたらしいな」
「……でやんでぇ、そんな事が何の関係があるんでぇい!」
「その犯人があなただったら?妖鬼の24魔将、傘杖さん」
傘杖。それは江戸の末期に多くの大名屋敷や奉行所、商人の邸宅などで発生した有名な殺傷事件の下手人が、殺しの前に赤い傘を杖の様に差しながら訪れて、殺しの際にはその傘から刀を抜いた事から、今ではその正体不明の犯人を指し示す別称となっている。
当時の事件は幕府が総力を挙げて犯人を探していたのにも関わらず、犯人の目撃情報は一切出なかったらしい。
と、言うのも被害者がみな悪どく儲け、弱い者を虐げていたために、町人の多くが加害者に同情し、その名を閉ざしたからだという。
これらの事件は後に明治政府の手により、当時の幕府の凋落を象徴する事件として扱われ、明治六年に同事件の犯人の手による政府牢獄斬り込み事件が発生するまでは大々的に公表されていたという。
「……当時の明治政府は富国強兵を成し遂げるために、風俗を乱す人を監獄に繋いでいた。それに憤った傘杖は監獄に乗り込み、そこで明治政府の警察官五十五名を殺傷したという事件……傘杖のその技は人間技とは呼べないもので、五十五名を殺傷した際にも傷は一つも浴びていなかったそうだ。その事件の影響は後世にまで伸び、西南戦争の時まで明治政府は官憲の数に苦しめられたそうだが、その事件を起こしたのはお前だろ?」
傘杖は暫くの間は黙りこくっていたが、次に首を縦に動かして答える。
「……オレの敵は弱い者を苦しめる腐れ外道さ。徳川だろうが、明治政府だろうが関係ねぇ。皆殺しにしてやるまでよ」
「ふん、だが、運命とは皮肉なものだな。誰よりもその外道を嫌ったお前が外道に成り下がるとは」
それを聞いた傘杖は無言で冴子に向かって斬りかかっていく。
冴子は彼のサーベルを受け止めると、刀とサーベルの先で自分を睨む傘杖に向かって笑い掛ける。
「誰が外道だとテメェ、もう一回言ってみやがれ!」
「あんたの事を言ったんだ。傘杖殿……」
冴子は瞳の中に残念という表情を隠しもせずに言った。
それから、彼の元から剣を戻すと、彼に向かって大きな声で問い掛ける。
「なぁ、あんた!その制服とサーベルはその当時の官憲の手から奪ったものだろう!?」
だが、傘杖は答えない。彼は大きくマグマを纏わせたサーベルを振り回しながら、冴子に向かって斬りかかっていく。
冴子はそのサーベルを刀で交わしながら、突きと振りを繰り返していく。
だが、彼に刀が当たる光景は見えない。やはり、この男は昔ながらの剣豪という事もあり中々に強い。
気が付けば、冴子は自分の刀が大きく飛んで畳の上に突き刺さっている事に気が付く。
彼は絶望の色で顔色を染めていく冴子に向かって告げる。
「これで、テメェも終わりだ。年貢の納め時って奴だな」
「……年貢の納め時か……」
冴子が絶望の表情で真横を眺めていると、そこでは闇の破魔式を用いて少女の妖鬼と戦う綺蝶の姿。
闇の破魔式を解放したためか、先程よりも有利に進んでいた。
彼女がもしかすれば助けてくれるかもしれない。そんな希望的観測を持っていたが、彼女が助けに来る様子は見えない。
冴子が覚悟を決めて、幕末の英雄に斬り殺されようかと観念した時だ。
突如、自分の目の前に自分が先程、投げた短刀が戻ってきた。
いや、戻ってきたのではない。綺蝶だ。余裕を取り戻した彼女が投げてくれたのだ。
冴子は短刀を拾うと、不意を突かれた傘杖に向かって短刀を振るい、鼻の先に微かな傷を負わせると、地面に突き刺さった刀を抜いて、刀と小刀の二本で傘杖と向き合う。
傘杖は今度も真剣な表情を浮かべて冴子と向き合う。
今度こそ、戦いは両者のうちのどちらが死ぬかまでは決着が付かないだろう。
冴子は何となくそんな予感を感じていた。
先程までの余裕に満ちた笑顔は何処へやら、自分が闇の破魔式を使うとなった途端に、彼女から笑顔が失われた。
いや、その表現には語弊がある。正確に言えば、笑顔の中に怯えを含ませる様になったというべきだろうか。
彼女がそのまま躊躇いもなく闇の破魔式を纏わせた刀を彼女に向かって振るおうとした時だ。
突如、彼女の足元に短刀が突き刺さる。飛ばした相手は誰だ?いや、おおよその予想はつく。彼女は自分の邪魔をする相手を眺めていく。
「邪魔をしないでください。氷堂さん。今は闇の破魔式を使用しなければ勝てません」
「なぁ、斑目……お前はその破魔式は数年前に封印したんじゃあないのか?」
「そのつもりだったんですがね、ほんの少し前、正妖大学の戦いの時に母の仇と対峙した時がありましてね。その時に、第五の破魔式まで使用したんですが、私が闇の力に飲まれる事はありませんでしたよ」
彼女はそう言うと闇の力を纏わせた刀を部屋の中で大きく振っていく。
冴子は綺蝶の様子が恐ろしかった。このまま闇の力に飲まれて消えてしまいかねない。
そうなれば、斑目綺蝶という人間は残らずに、自分たちの目の前に現れるのは闇の力を扱う最恐の妖鬼という事にもなりかねない。
だからこそ、冴子は懐に隠していた短刀を彼女の元に投げたのだ。
そもそもの問題として彼女にはそれくらいの対応が望ましい。
いや、いっその事、この場でこの二体の妖鬼と共にあいつも始末してしまうか。
冴子が闇の力を纏わせた刀を振りながら、子供の妖鬼と向き合っているのを眺めていた時だ。
不意に真横から殺気を感じて、彼女は身を引く。
だが、身を引いただけではその場は収まらない。
青色の軍服を着た男はサーベルを振り回して、彼女を襲っていく。
「おい、テメェ、こっちを無視するとはいい度胸じゃあねぇか!いい加減、こっちを向きやがれ!」
「……花山村皆殺し事件。表向きは異常者の犯行として知られた事件だが、裏に関わっていたのはお前だろう?」
それを聞いた時に、彼は両眉が動く。
眉の動きや表情から犯人は目の前の時代遅れの軍服を着た男で間違いないだろう。
彼女は更なる動揺を与えるために、わざと大きな声で部屋の中に響く様に話していく。
「事件が発生したのは昭和八年の二月の早朝。当時、村人は朝の用意に向かっていたそうだが、その時に皆殺しにされた。二年前の別の村の襲撃事件とはやり方が大きく異なる点が警察では注目され、敗戦後には米軍も注目を集めたらしいな」
「……でやんでぇ、そんな事が何の関係があるんでぇい!」
「その犯人があなただったら?妖鬼の24魔将、傘杖さん」
傘杖。それは江戸の末期に多くの大名屋敷や奉行所、商人の邸宅などで発生した有名な殺傷事件の下手人が、殺しの前に赤い傘を杖の様に差しながら訪れて、殺しの際にはその傘から刀を抜いた事から、今ではその正体不明の犯人を指し示す別称となっている。
当時の事件は幕府が総力を挙げて犯人を探していたのにも関わらず、犯人の目撃情報は一切出なかったらしい。
と、言うのも被害者がみな悪どく儲け、弱い者を虐げていたために、町人の多くが加害者に同情し、その名を閉ざしたからだという。
これらの事件は後に明治政府の手により、当時の幕府の凋落を象徴する事件として扱われ、明治六年に同事件の犯人の手による政府牢獄斬り込み事件が発生するまでは大々的に公表されていたという。
「……当時の明治政府は富国強兵を成し遂げるために、風俗を乱す人を監獄に繋いでいた。それに憤った傘杖は監獄に乗り込み、そこで明治政府の警察官五十五名を殺傷したという事件……傘杖のその技は人間技とは呼べないもので、五十五名を殺傷した際にも傷は一つも浴びていなかったそうだ。その事件の影響は後世にまで伸び、西南戦争の時まで明治政府は官憲の数に苦しめられたそうだが、その事件を起こしたのはお前だろ?」
傘杖は暫くの間は黙りこくっていたが、次に首を縦に動かして答える。
「……オレの敵は弱い者を苦しめる腐れ外道さ。徳川だろうが、明治政府だろうが関係ねぇ。皆殺しにしてやるまでよ」
「ふん、だが、運命とは皮肉なものだな。誰よりもその外道を嫌ったお前が外道に成り下がるとは」
それを聞いた傘杖は無言で冴子に向かって斬りかかっていく。
冴子は彼のサーベルを受け止めると、刀とサーベルの先で自分を睨む傘杖に向かって笑い掛ける。
「誰が外道だとテメェ、もう一回言ってみやがれ!」
「あんたの事を言ったんだ。傘杖殿……」
冴子は瞳の中に残念という表情を隠しもせずに言った。
それから、彼の元から剣を戻すと、彼に向かって大きな声で問い掛ける。
「なぁ、あんた!その制服とサーベルはその当時の官憲の手から奪ったものだろう!?」
だが、傘杖は答えない。彼は大きくマグマを纏わせたサーベルを振り回しながら、冴子に向かって斬りかかっていく。
冴子はそのサーベルを刀で交わしながら、突きと振りを繰り返していく。
だが、彼に刀が当たる光景は見えない。やはり、この男は昔ながらの剣豪という事もあり中々に強い。
気が付けば、冴子は自分の刀が大きく飛んで畳の上に突き刺さっている事に気が付く。
彼は絶望の色で顔色を染めていく冴子に向かって告げる。
「これで、テメェも終わりだ。年貢の納め時って奴だな」
「……年貢の納め時か……」
冴子が絶望の表情で真横を眺めていると、そこでは闇の破魔式を用いて少女の妖鬼と戦う綺蝶の姿。
闇の破魔式を解放したためか、先程よりも有利に進んでいた。
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冴子が覚悟を決めて、幕末の英雄に斬り殺されようかと観念した時だ。
突如、自分の目の前に自分が先程、投げた短刀が戻ってきた。
いや、戻ってきたのではない。綺蝶だ。余裕を取り戻した彼女が投げてくれたのだ。
冴子は短刀を拾うと、不意を突かれた傘杖に向かって短刀を振るい、鼻の先に微かな傷を負わせると、地面に突き刺さった刀を抜いて、刀と小刀の二本で傘杖と向き合う。
傘杖は今度も真剣な表情を浮かべて冴子と向き合う。
今度こそ、戦いは両者のうちのどちらが死ぬかまでは決着が付かないだろう。
冴子は何となくそんな予感を感じていた。
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