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クリスマス番外

25:貴矢side

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 朝から潤が来て、気づけばお昼も食べずに午後になっていた。着衣のまま1回戦、そのあと肌を合わせて力尽きるまで愛し合った。
 疲れたのだろう、潤は隣ですやすやと寝息を立てている。体が冷えないように、首元まで布団を引っ張り上げた。

 そういえば、潤からもらった手紙。今なら読んでもいいだろう。
 起こさないようにそっとベッドを抜け出し、リビングに取りにいく。せっかくだから、潤の隣で読みたい。封を開けてから寝室に静かに戻った。

 しかし、このとき潤の隣に戻ったことをすぐに後悔することになる。

 白い便箋を開く。角がやや丸く、柔らかい印象の字だ。丁寧に記されたそれは、便箋5枚にも及んでいる。

『貴矢さん、僕と出会ってくれてありがとうございます。』

 そう始まった手紙には、潤のこれまでの思いと、出会ってからのこと、俺への感謝の言葉が綴られていた。

 自分は誰からも必要とされないと思っていたこと。
 この世に生まれてきたことを呪いながら生きてきたこと。 
 俺と出会って、世界がまるで変わって見えたこと。
 今でも、なぜ自分を選んでくれたのか不思議でしょうがないこと。
 それでも、これからも俺と一緒にいたいということ。
 俺を愛しているということ。

『セブ旅行では、誕生日をお祝いしてくれましたね。こんなに特別な誕生日は、後にも先にもないと思います。』

 ーーそんなことないよ。来年も再来年も、うんと素敵な誕生日にしようね。

『静岡に連れて行ってもらったとき。これは、貴矢さんと出会ったことの次に、僕の人生を大きく変えてくれた出来事でした。氷魚さんリンさんとの出会いも、貴矢さんがいなかったら叶いませんでした。』
『それに、車の中で言ってくれたことを、僕は一生忘れません。』

 ーー俺の不恰好なプロポーズのことだね。いつかもっとちゃんとしたプロポーズをするから、あれは忘れてくれてもいいのに。

『僕は貴矢さんに出会う前、毎日、明日が来なければいいと思っていました。』
『でも、貴矢さんがたくさん思い出をくれて、貴矢さんとの次の約束があって、そういう一つひとつが、明日も生きてみたいと思わせてくれました。僕はーー……』

 視界が滲んで続きが読めなくなり、枕元のティッシュを2~3枚引き抜く。

「たかやさん……?」

 潤が目を覚ましてしまった。

「ごめんね、起こしちゃったね」
「泣いてるの……?」

 こんな涙なしでは読めない手紙だと分かっていたら、寝ている潤の隣で読むことなどしなかったのだが。
 いないところで読んでほしいと言っていた潤の忠告を無視した俺が悪い。
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