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クリスマス番外

12:潤side

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 マンションのエントランスで貴矢さんの部屋番号を押して呼び出すと、すぐに開けてもらえた。電車の中で少し暖まってはいたが、外で待たされなくてよかった。

「潤、おはよう~。よく来たね」

 玄関に入るや否や、寝起きのふにゃふにゃ貴矢さんにぎゅうっと抱きすくめられる。

「寒かったねえ、冷えひえだ」
「外、まだ真っ暗でしたよ」
「早く中であったまろう」

 貴矢さんの腕から解放され、靴を脱いで上がらせてもらう。靴箱の上、僕が昨日あげたばかりのアクセサリートレイが目に入る。

「これ……」
「ありがとー、いい感じでしょう?」

 ふにゃふにゃととろけるような笑顔の貴矢さん。気に入ってもらえたようだ。
 リビングに通され、ソファに座るように促された。コートを脱いで一息つく。窮屈なくらいに重ね着してしまったせいで、ようやく動きやすくなった。

「コーヒー飲む?」

 キッチンから貴矢さんの声。

「あ、僕も手伝います」
「いいよいいよ、座ってて」

 さっきよりは歯切れのよい話し方になってきたが、寝起きのぽやぽやした貴矢さんに任せるのは心配だ。

「じっとしてるより動いている方があったかいですから」
「そう?」

 キッチンに入ると、ケトルを火にかけていた貴矢さんがこちらを向いて笑った。

「ミル出しますね」

 貴矢さんは本当にコーヒーが好きなようで、豆から挽いて淹れている。豆もそのときによって1種類で淹れたり、2種類をブレンドして使ったりと気分によって変えているようだ。豆のチョイスは貴矢さんに任せて、僕はそれを挽く係。

 ーーあれ?

 いつもの棚にミルを見つけたが、位置が違う。

 ーー何だろう、違和感……。

 さりげなく、隣の棚や他の物の位置を確認する。今まで洗いかごに入れっぱなしになっていた菜箸やフライ返しなどの調理器具がない。
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