ひとりで生きたいわけじゃない

【9】花開く

9-15:潤side

　貴矢さんに最後までしてもらえた。これで本当に恋人になれたんだって実感する。
　一緒にシャワーを浴びて、満ち足りた気分で眠りについた。


「え、今日午前からなのか。腰痛くない？」

　僕のバイトの時間に合わせて貴矢さんを起こすと、心配されてしまった。

「体は大丈夫そうです。それより、バイト中思い出してまたミスしないようにしないと……」

　前科がある分、そちらの方が心配だ。っていうか……。

「ん？何？」
「なんでもないです……」

　世の恋人たちは、情事の後どうやって平静を保っているんだろうか。貴矢さん、もともと大人の色気がすごいのに、今日はいつも以上にフェロモンを撒き散らしているみたいに見える。直視できないよ……。

「なんで目合わせてくれないの？」

　そっぽを向いている僕を、後ろから抱き寄せて貴矢さんが囁く。寝起きのちょっと低い声に、朝から変な気分になってしまいそうだ。

「潤？嫌いになった？」
「なっ、なるわけないです！」
「よかった……。じゃあ、チューして？」

　どうしよう。恥ずかしい。
　バッと体を離して、頬に勢いよくキスをする。

「はいっ！」

　すぐに離れたが、僕が真っ赤になっているのは貴矢さんにもバレバレだろう。僕なりに頑張った。だからこれで見逃してほしかったんだけど……。

「え～、ダメ、もう一回」
「なんでですかっ」
「ちゃんとして？ね？」

　うぅ……ちゃんとって何だよう……。

「ほら、こっち向いて？」
「ぅ……はい………っんん……！」

　うわ、うわ、貴矢さんのえっちなキス、今されたら困るよ……！

「はぁ……んっ………やぁ…っ……！」

　いつの間にか勃ちあがった下半身まで撫でられてしまい、本気で抵抗する。

「ちょっ！貴矢さんっ！」
「え？ダメ？」
「ダメです！！」

　僕、これからバイト行かなきゃなんですから！

「ふふ、怒ってる潤も可愛い」
「もう！」
「ごめんごめん。……夜、また会える？」

　え、今夜も？
　会ったらまた、その、してしまうんだろうか。2日連続で、大丈夫かな……。

「今日さ、潤を呼べるようにハウスクリーニング頼んでるんだよ。部屋が綺麗なうちに遊びにおいで」
「行きます！！」
「ははっ、よかった。待ってるね」
「今日、行きます！バイト終わったら！」

　貴矢さんのお家に行けるなら話は別だ。絶対行きたい！