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【4】旅行の余韻

4-6:城崎side

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「城崎さん、電気だけ消してきます」

 シーリングライトのリモコンを持ってベッドに戻ってくる。直居君、なぜ笑っているんだ?

「消しますね」
「うん。ねえ、なんで笑ってたの?」
「いや、ふふっ、城崎さん強引だなあと思って」
「え、ごめん。強引だった?」

 直居君を再び抱きしめようとしていた腕を宙に彷徨わせる。

「でも、強引な人の方が僕と合ってるって言われたんで」
「何、それ。占い?」
「ふふっ、……みたいなものです」

 強引な人、か。その最たるものが鉾田のような輩だろうが、本当にその占い合ってるのか?

「俺は、直居君の気持ちをちゃんと尊重してくれる人がいいと思うけどな」
「そしたら僕、いま床で寝てます」
「……ごめん、その方がよかった?」
「あははっ」

 仰向けだった直居君がこちらを向いて、悪戯っぽい顔で笑う。

「こっちの方がいいです」

 至近距離でこの笑顔、やばい。

「直居君、今更なんだけどさ」
「はい?」
「やっぱ近いね」
「!……っあはは!だから言いましたよね、狭いって!」

 ごもっとも。

「俺、床で寝ようかな……」
「ダメです!」

 直居君が腕にぎゅっと抱きついてくる。いやいやいやいや。

「さっきスーパー行ったときに理性も買ってくればよかった」
「リセ?」
「理性!」
「ふふっ、理性って売ってるんですか?」
「売ってたら在庫まで全部買い占めるよ」
「大人買い!」
「そ、大人買い」

 くだらない話をして気を紛らわす。
 色気のスイッチは入っていないが、アルコールが入った直居君は大胆になるようだ。これから大学の仲間やバイト先の連中とも飲む機会が増えるだろうし、心配になる。

「直居君、俺にはいいけどさ、他の人にこんなにくっついちゃダメだよ」
「誰にするんですか。しませんよ」
「うん。ならいいんだけど」
「ふふっ」

 右腕をいっそうギュッとされる。そういうところだぞ。
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