ひとりで生きたいわけじゃない

【2】事件、告白、旅立ち

2-3:城崎side

　駅に着いたところで先ほどの番号に連絡して合流した。

「キミかな？何があったか訊いても？」
「説明は後でします」

　急ぎ足でホテルに向かう。移動しながら話を聞くことになった。
　直居君の大学の友人であるワタナベ君は、あまり表情が変わるタイプではないらしい。それでも明らかに焦りの色を滲ませている。

「直居のやつ、今日の19時にOB訪問するって言ってて。夜はやめろって言ったんですが、もう約束しちゃったからって、まあアイツも男だし大丈夫かと思って送り出したんスけど」

　ああ、OB訪問に託かこつけて就活生を食い物にする輩がいるからな。でも、まさか……。

「それがホテルなのか？」
「念のため場所聞いてあって調べたら、ホテルの地下のバーなんです。しかもコレ」

　スマホの画面を見せてくるが、この速度で移動しながらはさすがに読めない。ネットニュースか？

「会ってるの、コイツなんです。7年前の大学サークル集団レイプ事件、加害者の一人」
「えっ！？」

　なんだって？

「直居君には連絡した？」
「何度かけても出ないんです。留守電になっちゃって」
「とにかく急ごう」

　バーに着いたが、もう二人の姿はなかった。