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 笑ったら力が抜けたのか、痛みが和らぐ。ほっとしたのも束の間、泰歩が動き始めた。
 内壁を擦られるたび、快感が波になって襲ってくる。

「あっ……はぁっ……ん……んぅ……」

 声を抑えたいのに、堪えきれず漏れてしまう。
 だって、ずっと欲しかったんだ。想像で抜いていたときより、本物の方がすごい。

 ーー泰歩、好き。好き……!お願いだから、男だって意識しないで。このまま最後まで……。

 俺の祈りを遮るように、泰歩が言う。

「ね、体勢変えてもいいですか?」

 返事をする前に、泰歩はずるりと出ていってしまった。
 体勢変えるって……。

「こっち向いて。京さん」

 正常位、だよな……。
 あえて俺のものが見えないようにと思っていたのに、わざわざ見える方に体位を変えるなんて。
 嫌だ、けど。
 ……泰歩が、その方がいいなら………。

 躊躇いながらも、仰向けになる。

「ぁ………」

 両脚を掴まれ、大きく広げられる。今、絶対見えてる、よな……。
 泰歩の顔を見られずに、逃げるように顔を背けた。

「挿れますね」

 この状態で、大丈夫か?
 萎えてないか?

「………っ!」

 心配をよそに、硬くそそり立った泰歩がいとも容易く俺を貫いた。
 そのまま息つく隙もなくピストンが開始される。

「はぁ……ゃッ……んんっ……!」

 ーーさっきより激しい……!泰歩……!

 胸の中で泰歩を呼んだら、目の前に来てくれた。

「京さん、気持ちいい……?」
「んんっ……」

 気持ちいい。よすぎて、どこかに飛んでいってしまいそうだ。
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