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第一章 魔法学校入学前

13.覚悟ある傭兵

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 次のターゲットに辿り着くと.........

「お願いだ! 殺さないでくれ! 何でもする! どんな命令でも聞くから!」

 傭兵は無様に足掻く。
 醜態を晒す。
 
『最後まで歯向かってやる!』とか、傭兵魂ある人は居ないんですか。
 張り合いが無いですね。

 私は冷めた目で傭兵を見下ろし..........

 スパン。

 ...........ゴトン。

 何の躊躇いもなく剣を振り下ろす。
 まるで仕事のように。

 次ですね、次。

 次の傭兵は、身長が低く無精髭で小太りの男。
 他の傭兵とは悪い意味で目立つ男だ。

「最後に言いたい事はありますか?」
「他の仲間のように痛みもなく死ねるなら、他に言う事はありやせん」
「ほぅ.......」

 私は素直に驚く。
 傭兵の中にもこんな事を言える奴が居たのか、と。
 私は傭兵の評価を改める。
 傭兵も一括りにしてはならない、と。
 彼のように死を覚悟して傭兵になった者もいる。

「仮に『生かしてやる』と言ったら、どうしますか?」
「そんな気はさらさら無いでしょう?」
「そうなんですが..........少しは希望に縋るものでしょう?」

 すると傭兵は軽く笑う。
 全てを悟った様な表情で。

「これは因果応報なんですよ。あっしらは無実の人をいたぶり、罪を重ねてきた。今日がその報いを受ける日だってんなら、仕方ない」

「そうですか..........」

 彼の決意は固い。
 盗賊になったのも致し方ない理由があったのではないだろうか。
 ならざるを得なかった理由が。
 私は光の剣を振り上げる。

「出来れば頭領の事は多めに見てやってはくれやせんか? 頭領はあっしらを養うために、悪役の仮面を被っていただけの優しいお人ですから」

 彼は死に際にそう言った。
 私は光の剣を振り下ろす。
 光の線が彼の首を通る。
 彼の首が落ち、血飛沫が空に舞う。
 核を失った身体が、遅れて倒れ込む。
 転がった顔は、やけに満足気であった。
 自身の人生を後悔していない様な.........
 自身の最後を誇っている様な............
 私は頭を切り替え、最後のターゲットの元に足を運ぶ。
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