黒ギャル聖女、世界を救う！

１

　重そうな金ぴかのドアを開けると、金ぴかの椅子に偉そうな人が座っていた。

「陛下」
「ヘーカ？」
「この国の皇帝陛下です」
「あ、王様かー」

　おじいちゃんが教えてくれる。その王様は、ユイのことを上から下まで値踏みするように見た。

　ユイは高校の制服姿だった。
　ボタンを上から二つ外した白いシャツに赤いリボンを付け、白のカーディガンを羽織っている。スカートは短くて、黒のソックスを履いていた。
　おじちゃんに言われて長いローブを上から羽織ってるけど、王様……陛下ヘーカちゃんは虫を見るようにアタシを見下した。


「このような下賎な女が聖女であるはずなかろう！」
「ですが、陛下、この者は確かに聖女と……」
「ええい！　偽物だ！　この女を城から出せ！」
「ですが……」
「うるさい！　こやつも追い出せ！」

　大声でワガママを言う陛下ヘーカちゃんに、アタシは切れた。

「陛下ヘーカちゃん、自分勝手すぎ。人を見た目で判断するとかサイテー」
「何？」
「おじいちゃんの話も聞かないなんて、ヒドイじゃん。話は最後まで聞くようにって教わんなかったの？」
「なっ……無礼な！」

　無礼なこと言われるそっちが悪いんじゃん。

「別にいーよ。出てくし。でも、魔物がきても陛下ヘーカちゃんのことは助けてあげないかんね！」
「にっ、偽物がっ、ほざくな！」
「アタシもそっちがこの国イチ偉い人って認めないから！　じゃーね！」