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第一〇九話 国を継ぐもの②
しおりを挟む仰々しく物事を進めるのは本意でないが、カズマはアンリエット王女の即位に関しては、それなりの体裁を持つことにしている。
なにより、いま、国教会に大僧正はいない。
青竜メルミリアスに壊されてしまった大聖堂の藻屑と消えた。
その後、教国から派遣されていないのだ。
怠慢なやつらだ。
まあ、気持ちはわかる。
イシュタール王国に派遣されて、ドラゴンに踏み潰されるのは、誰だってごめんだ。
いま、教国では、コンクラーヴェの根競べだ。
誰を派遣するかで喧々諤々している。
たぶん、一番若手の枢機卿が派遣されるだろうと、もっぱらのうわさだ。
そいつがきたら、ひとつ派手に夜会を開いてやろうと、密かにほくそ笑むカズマ。
なにかきっかけがほしいのだ。
小規模な夜会もちらほら始まっているこのごろ、王室でもなにかやらないと格好がつかない。
「魔物一万匹かあ、もうちょっと売れるとうれしいんだがな。」
カズマは、愚痴ともいえないような声を発した。
「なにか?」
偶然居合わせたイーエルモンが、聞き返した。
「いや、冒険者ギルドはどんなぐあいだ?」
「はあ、まだまだ冒険者自体が戻っていないようですね。地方も、魔物は減っていないようですから。」
「そうか、もう少し奨励してもいいかもしれんな。あと、陸軍の兵士も募集しよう。」
「兵士ですか、助かります。王都の治安もイマイチですから。」
「なんだよ、やくざものでもいるのか?」
「大親分がいないんです。だから、チンピラやスリ、かっぱらいなどが横行しています。」
「それはいかんな、暫定措置で恐喝スリ置き引きは死刑にしよう。」
極端だな!カズマ。
「そ、それは!」
「なにアホなこと言うてまんにゃ、この人は!」
スパーンと、カズマの後頭部にハリセンが炸裂した。
「オーサカ名物ハリセンチョップでっせ!」
「なんだよ、恵理子かよ。タクマは?」
「トラが見てます。」
「そうか、よくきたな。」
「はい、アマルトリウスが乗せてくれましたから。」
「おやまあ。」
「それより旦那はん、極端すぎまっせ。」
「そうか?抑止力にならんかな?」
「恐怖政治してどないすんねんな。恐喝はあかんけど、スリやかっぱらいは仕事があれば、なくなります。」
「なるほど。」
「イーエルモン、忙しいところ悪いんやけど、マルメ将軍にすぐ来るように言って。」
「かしこまりました、恵理子さま。」
「すまんなあ、ホンマかんにんやで。」
「いえ、なにほどのこともありません。通り道ですから。」
「よろしゅうに。」
恵理子は、机の上に書類を広げた。
「なんだよ。」
「警察機構ですねん。」
「警察?ここでやるのか?」
「へえ、王都の辻辻に交番を立てて、巡査を置きます。」
「日本みたいにか?」
「そうどす。まずは、王都の治安の安定が重要なんどす。」
「わかった、それでマルメ将軍は?」
「はい、陸軍から分離して、一部隊をここに派遣していただきます。」
「まあ、腕ききがそろってるからな。」
「はい、そこに新規募集の若い者を追加。」
「なるほどね。」
陸軍の駐屯所には、土埃が舞うほど乾燥していた。
「ささげー剣!」
ざざ!
古兵<ふるつわもの>は、乱れも見せず剣を抜いて構えた。
「おさめー」
ざ!
また、剣を鞘に納める。
みな、よく砥がれていて、切れ味もよさそうだ。
「右府様、こちらへどうぞ。」
「うむ。」
カズマは、マルメ将軍にうながされて、兵士の前に立った。
「諸君、こたび警察機構の設置にあたり、陸軍の精鋭の中から、さらに精鋭たる諸君が選ばれた。」
兵士たちは身じろぎもしない。
「諸君の治安維持活動には、絶大な権限と責任がこめられていることを忘れずに、職務に精励してもらいたい。」
「かしらーなか!」
小隊長が敬礼し、部隊の隊員が顔を正面に向けた。
カズマも答礼をかえす。
すぐに腕を下ろして、正面から移動した。
「なおれー!」
「オルクス=マルメ、なかなか訓練が行きとどいてるじゃないか。」
「は、右府様の指導が厳しいですからな。」
「ばかいえ、この気まじめ大魔神が、ヨメにチクるぞ。」
「なにをだよ。」
「あ、なにもないわ、忙しいのも考えものだ。」
「まったくだ、だれかさんのせいで、家にも帰れん。」
「そりゃーアカンな。嫁さんにこれ持って行け。」
カズマは、懐からバスケットを取り出した。
まあ、魔法の革袋から出したんだが。
「これは?」
「フルーツケーキ。」
マルメ将軍は、黙って受け取って詰所に向かった。
カズマの訓練の基本は、消防団である。
ほかに、やり方を知らないので、陸軍の各個訓練に取り入れてみた。
歩兵は、全体で一つの動きができないといけない。
意外にも、消防訓練は彼らに合っているようだ。
それまで、動きの悪かった兵士たちが、がぜん動きが良くなった。
「すべてにおいて、ざっぱくていいかげんだったからな。」
よくここまで訓練ができたと言うものだ。
最初はやるきがなくて、だらだらしていたが、二~三人ぶった切ったら言うことを聞くようになった。
もちろん、サクラだが。
行政機構もいいかげんで、国家予算なのか官僚の財布なのか、疑うような状態だった。
これを一から構築して、そろばんを入れたのだから、その仕事量と言うものは、ブラック通り越している。
しかし、短期間でここまで改革できたのも、平民官僚たちのまじめで、真摯な仕事に寄る。
このまま、貴族を排除したいくらいだ。
なかなかできんがな。
貴族には貴族の仕事もあるし、領地の経営もあるからな。
まだまだ、領地の兵士は農民が主体のところばかりだ。
王都で、陸軍と警察の募集を行ったところ、理解できなくてみな戸惑っていた。
「え~、戦争に行くのか?」
「警察ってなんだ?」
「農作物の取り入れは?」
街角で、高札を出して、その下で説明をさせた。
その官吏だけでも、数百人を擁した。
いかに、イシュタール王国というものが、遅れた国であったかを痛感したものだ。
まあ、いままではそれで済まされてきたのも事実だし、住民たちも不自由に思っていなかったのが不思議だが。
そう言うものと、割り切っていたのだろう。
戦になれば、駆り出されるのは農民や、市民の次男三男である。
また、万人規模の戦闘など、ありえなかった。
住民の数が少なすぎるのだ。
王都ですら五十万人いるかいないかだからな。
マゼラン伯爵んとこで二万人くらい。
シェルブールんとこでも五万人に満たない。
いったいこの国はどうなっているんだろう?
そう言えば、キュアやヒールを使える聖職者などは、けっこういる。
魔力が続かないから、一日に三十人も診たら切れてしまうが。
それでも何もないよりはありがたい。
が、そのせいで医療と言う概念がない。
擦り傷や、切り傷も教会にやって来る。
そりゃまあ、擦り傷なんか軽いキュアで治るけど…
浄化の魔法もけっこう使える。
反面、都市の衛生管理は最悪である。
窓から、ぽいと落としてくる。
壺にはいったアレである。
おかげで、路地はむっちゃくっさい。
レジオで、あったまにきて禁止したほどだ。
もちろん、下水道の施設を敷設して、衛生意識を徹底した。
保健婦的な役職を設けて、保健所を開設し、衛生指導を徹底させた。
夏になると、疫病がはやる訳だよ。
それと、火葬の習慣をつけた。
鳥辺野じゃあるまいし、そのへんにほかしておいたら魔物が喰ってたとかじゃあ、あんまりだ。
それでなくても、亜熱帯のこの辺はものが腐りやすいんだよ。
火魔法の得意な奴を三十人ほど雇って、周辺の死体処理をさせた。
嫌な仕事だが、報酬がいいのでみんな頑張ってた。
いま、王都では攻撃魔法の使い手よりも、土魔法や水魔法の有効な使い道でにぎわっている。
道路整備、下水道整備に、人力で対処してから魔法で仕上げている。
土砂の持ち上げや、運搬にレビテーションなどの魔法がおおウケである。
なにしろ、内大臣マゼランなどの重臣の理解が進まない。
なぜ衛生管理が必要なのかを、こんこんと説明した。
でも、いちばん効いたのは、「きたねえ男はモテない!」であったことは、ナイショにしとこう。
その点、ガイエスブルクで暮らしたアンリエット姫には、理解が早かった。
と言うか、王都の悪臭に辟易していたようだ。
「おとど、この王宮はこんなに臭かったのですね。」
「は、さようでございますね、さっそく清掃にかかります。」
「そうしてください、わたくし気分が…」
「こ、格子力バリア!」
カズマは、思わずアンリエット姫のまわりに格子力バリアを張って、悪臭の侵入を防いだ。
また、その日は魔力の限界まで使って、王宮を中心にクリーンの魔法をかけた。
はっきり言って、魔力切れの頭痛に悩まされたなんて、カズマにとっても初めての経験である。
それほど、長年染み付いた匂いは、頑固だったと言うことだ。
一説によると、パリの悪臭に辟易したルイ十四世は、さっさとパリを捨てて、ヴェルサイユ宮殿に移ったとも言われている。
カズマが、王都に来て最初に行ったのが、悪臭対策だったのは言うまでもない。
王都の魔改造が進む中、ぞくぞくと街角の交番は増えて行った…
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