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70話 帝国からの招待状
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収穫祭後の騒動も終わり、新しい婚約者も増え、季節は現在、冬である
3か月半経過した今、15か月目になり、来年に向けての準備を始めている
この3か月半はのんびりしながら、色々と残していたものを片付けていた
まずは執事の雇用だ
王家に仕え、昨年引退した元執事を雇い入れた
優秀な執事で王家の推薦もあったからな
俺は貴族の子供だが、領地が継げない以上は平民落ち確定だった
それが、爵位を与えられ、実家から独立し、1代で今の立場を築いた
当然、家臣団は無く、雇って貰おうと色々と人が来るわけで、何かあっては大変なので、今回は王家に頼ったわけだ
侯爵になったこともあり、屋敷を建て直すために土地を買い、今は建築中である
新年から新しい屋敷で暮らせるようにと急ピッチで作業が進められている
土地は現屋敷の6倍ほど広くし、屋敷も3倍増しである
自重しなくなった俺は、屋敷も公爵家よりは少し小さいが、侯爵家内では1,2位を誇る広さの屋敷にしたのだ
メイドも増員し、メイド長はナリアに任せてあるので問題は無いだろう
工事の合間に、公爵家にも訪問した
「良く来てくれた。クロノアス卿」
そう声を掛けたのは、ティアの父親で現当主ヴァジス・フィン・ランシェス
実は、公爵家訪問は初めてだったりする
ティアの事にしてもきちんと挨拶してなかったのもあり改めて伺ったのだ
公爵家の方々には歓迎され色々と話をすることになった
話せない部分はぼかしてはあるが・・・
後は「子供が出来たら」の話だが、そこは善処するに留めた
次に冬到来に向けて6竜達の事も考えねばならなかった
6竜達は問題無いと言うが、俺にも主としての責任がある
しかし巨体なので、屋敷の敷地内に全員は難しいので頭を悩ませる・・・が、ルリの何気ない提案で簡単に解決した
神獣は成長と共に自分の身体の大きさを任意で調整できる
4神獣が6竜達に
「「「「私(ボク)が教える(ます)!」」」」
と伝えてきた・・・勿論、念話で
ルリとハクは、そろそろ人語を喋っても良い気がするんだがなぁ
そこで6竜達がハモって
「「「「「「でしたら、我(私)(わい)が教えましょう!」」」」」」
そして、4神獣は身体調整を教え、6竜達は人語を教え、3か月の間はこのような形で時間を潰していた
3か月目突入時には、身体調整を6竜達は修得し終え、現在は4神獣への勉強がメインになりつつある
人語の習得にはハクが一番苦労しており、どうも勉強があまり好きではない様で、最近では逃亡も目立つようになっている
無理にはさせたくないので暫くは様子を見る事にしよう
次に〝家臣団の設立〟というものがあったのだが、これには苦労した
家臣団とは従士長や家宰などになる
王族で例えるなら近衛騎士と大臣が一番近いだろう(あくまで例えと言っておく)
基本は王国の兵か貴族の子弟からスカウトする
例外としては、毎年行われる武術大会で武功を示し、家臣にスカウトされる者もいる
武術大会は毎年6月に行われ、戦績などの情報は1年保管される
翌年には開催されるので1年毎に更新される
因みに俺は不参加
理由は、参加したら優勝確定だから
ただ、大会自体も見に行ったことが無いので、判断材料が無いのは失敗だったな
と言う訳で、冒険者の知り合いに声を掛けて、現在、返事待ちである
家臣になるにしてもメリットとデメリットがある
メリットは安定収入と陪臣になれる可能性があり
デメリットは一攫千金が無いのと柵が増える可能性大
冒険者をしながら家臣という者も極稀にいる
ただ、そういう人達は高確率で解雇される率が高い
いざと言う時に家臣として動けないのでは話にならないからだ
更に家臣にスカウトされる者は力自慢が多い
なので、回復担当や斥候系はあまり就職できていない
冒険者でも、ソロや人数が少ないパーティーを丸ごと家臣に!と言うのも多い
収入は月に金貨3枚程度
そこまで良い訳ではないし、酒も好きには飲めない
ただ食と住は保証され、衣も儀礼用等は支給されるのでそこまで出費はない
装備に関しても、当主が用意するので意外と金は使わないのだ
規律や決まりは多いが、貯蓄すれば老後は安心なのもメリットか
15月半ば迄には返事をするように伝えてあるので待つとしよう
家臣団用の屋敷は旧住まいをそのまま提供する
家庭を持っている者は別途土地を買い、そこに住居を建設予定である
家臣団筆頭は新屋敷に1室を設け、家庭を持った場合には屋敷の土地内に別途建築をする
その為の土地は既に抑え、建築にも入っているので問題無しだ
15月上旬、新しい屋敷が完成した
総費用黒金貨2枚
迅速に、丁寧に、人件費や資材費等は度外視で完成した
屋敷は、3階建て地下1階の超広い屋敷に
子沢山でも大丈夫なようにと部屋数も100以上あり、間取りもそこそこ広い
使用人も全部で30人にまで増えているが、それでも70部屋残っており、婚約者を含めても60部屋余る
・・・・ちょっと大きくしすぎたかな?まぁ、問題ないだろ
今ここに住む婚約者はナユとミリアだけでかなり余っている
(いずれ足りなくなるかもな)と考えつつ、屋敷に入る
玄関は広く、食堂から庭が見え、テラスにも出られるようにしてある
庭も前屋敷の3分の2弱の広さがあり、大型立食パーティーも可能な広さだ
反対には応接室が2部屋あり、用途によって使い分ける
執務室は2階に作り、使用人達が動きやすいようにした
2階には60室程作ってあり、使用人を2階と3階に半数に分けて住み込みして貰う
2階には客室もあるので、対応出来る様にしたわけだ
3階には寝室があり、家族の部屋が大半である
それと、婚約者の家族などは3階で泊まれるようにした
後、各部屋に呼び鈴の魔道具を作って置いておく
1階に当番制の使用人が番をするようにしておいた
警護ではなく、深夜に何かあれば対応できる待機所みたいなものだ
こちらは、1階にある食堂の傍に造った
更に1階には、大浴場と露天風呂も造ってある
勿論、男女別だが、家族用は混浴になっている
どれに入っても良い様に作ったのだが、家族用にはメイドの背中流しは無しにした
地下は食糧保存庫にして、時空間魔法をかけてある
部屋全体に時空間魔法をかけてあるので、ちょっとしたミスが大惨事になる
気を付ける様に徹底しておこう
明日からは引っ越しで、家具や調度品は2日かけて搬入する
住むのは2日目夜か3日目の昼からだな
後、屋敷が完成したので付き合いのある貴族を呼んでパーティーしないといけない
総費用黒金貨2枚と言ったが、諸々足すと黒金貨3枚位だな
まぁまだ王札3枚以上あるし、あれを商品化すればそれなりに稼げるだろうし、大丈夫だろう・・多分・・・
その後、1週間後にパーティーを開き、現在に至る
パーティー後日、声を掛けていた冒険者達から家臣団への返事を貰った
声を掛けたのは、夏に護衛を依頼した者達だが、返答は全員が「条件付きなら」という形で、家臣団に加わった
条件は冒険者しつつであったが、数年の間だけと言う事なので、俺が領地か式を挙げるまでは構わないとした
冒険者達もそれで構わないとの事なので、とりあえず家臣は出来た形だ
衣食住に関しては俺の卒業までは干渉しないことにし、以降は冒険者より家臣の方を優先させ、その後は本格的に仕事に移る事になった
冒険者は身体が動かなくなる迄は生涯現役なので、いざとなれば戻れる様にした
そうそう、養鶏場の改善にも着手した
父に頼み、養鶏場の一つを改装させてもらったのだ
今の養鶏場は半分押し詰め状態で、鶏のストレスも半端なく、産む卵も殻が弱く割れやすい欠点があった
そこで俺が指導して、餌と飼育の仕方を改善させ、従来の5倍近い生産量を実現させた
魔道具も作り、養鶏場内を鶏の快適温度に保つ仕組みも作った
魔力の補給方法も空気中の魔素を自動で取り込み補給させるようにした
ただこれには、大型の魔力石が必要で量産は難しい
その辺りについては、国と相談をしようと思っている
養鶏場を国が一括管理するのだが、代わりに現養鶏場の者を雇うという方法だ
これにより薄利多売に変え、卵を安価にするのが狙いだ
しかし、国の一括管理への同意は自由であり、3分の1程が拒否した
現在の卵は1個銅貨3枚と高いのだが10個銅貨3枚にするのが目標だ
一度国が集約して管理し、後に個人事業に戻すのが狙いだ
これには双方にメリットがあり、個人事業主は一度、国の下で新しい養鶏に無償で取り組め、国は養鶏の利益を薄利ながらも得られ、尚且つ、国民の食生活を豊かにし、国への信頼感も得られる
問題点は設備投資の金額だが1~2年で回収可能な金額だ
餌も今までより安く、栄養価が高い物に変更するので、むしろ安くなる可能性がある
その方法は、魚の骨とクズ野菜の買い付けだ
魚は良く食べられるが、骨は大部分が捨てられる
処分に費用を割いているのなら餌に回し、クズ野菜も捨てるしかない物を安くではあるが買取り、餌にする
これで農家も収益が多少増えるはずだ
唯一の懸念は人件費だが、それも魔道具でいくつかはどうにかなるから問題ない
魔道具の開発に俺も加われば、より早く完成するだろう
既に実験は成功しており、来年以降からは国が数年管理をし、実績を出して、ある程度利益を出してから、個人事業主に無償で下げ渡す
これで、俺のマヨネーズとタルタル計画を軌道に乗せるのが狙いだ
神聖国と竜王国もランシェス王国が上手く行けば、同じように着手するそうで、結婚後の資金も楽に稼げそうだから一安心だ
但し、養鶏に関しては国の認可が必要になるのが必須であり、いくつかの養鶏場は新しい方法を拒否し、今まで通りにするそうなので、いずれ潰れるだろうとの事
競争率もそこまで激化しないと国は予測しているらしい
そんな感じで色々決まって行き、今年も残り1週間ほどになった
年始はそれぞれの家族と過ごすが、年末の大晦日は婚約者全員がお泊りして、年を一緒に越す予定である
ナユは「実家に帰るのは、時間的にも季節的にも難しいですね」と言い、俺と一緒に屋敷で新年を過ごす
前世では正月は3ヶ日だったが、この世界では正月は7ヶ日なので、それなりに買い込まないといけない
地下室の保管庫は、広く優秀なので、それなりに買っても腐らない
新年7日間は、貴族もパーティーはお休みである
新年10日目には王城でパーティーがあるが、貴族個人ではしないので楽である
そんな残り1週間であったが、2通の手紙が俺の元に届く
差出人は・・帝国冒険者ギルドと帝国皇帝からであった
どちらも面識はないので、不思議に思いつつ内容を読むと・・うん、めんどい内容だ
帝国ギルドからは〖EXの格上げについて審議が出ているので一度来い〛って内容
皇帝からの手紙も似たような内容であるが、もっと簡潔に要約すると『顔見せに来い』である
訪問期日は春の間にと書かれてあったが、正直面倒くさい
EXの話とか全く聞いてないので、王城と冒険者ギルドに聞きに行くことにする
先にギルドに来て話を聞くと、やはり陛下の差し金であった
しかし、今回は意見が3つに分かれているそうで、賛成、反対、保留である
賛成はランシェス、セフィッド、オーディール、フェリック
反対はイジェネスト、ダグレスト、リュンヌ
保留はガズディア
なのだが【可決は半数以上で、尚且つ、本部の容認が必要】らしい
そして一つ、面白い話を聞くことになった
冒険者の実力としてはイジェネストとガズディアが群を抜いているそうだ
ただ、イジェネストの冒険者は立ち居振る舞いが良い者が多く、ガズディアは実力主義で粗暴が悪く、中には犯罪に手を染めている者もいる
ただ、犯罪に手を染めた者は冒険者資格はく奪の上、軽くて犯罪奴隷落ち、悪ければ死刑だ
冒険者同士のいざこざは絶えない噂もあり、帝国ギルドのギルマスは、そんな奴らを黙らせられる実力が必須だそうで、現役に直ぐ戻れるほどの実力者だそうだ
それ故の保留回答であるとギルマスは答えた
行かない選択肢は無いかと聞くが、ギルド関連の正式通達と帝国印で蝋封をされた手紙である以上、行かないとランシェス側に不利益が生じる可能性もあると言われた
念の為、王城に出向き、陛下と王妃にも聞くが
「帝国皇帝の蝋封は、断れば非礼に当たるの」
「冒険者ギルドも同じです。行かないと言う選択肢はありませんよ」
との言葉を頂き、出向くしか無くなった
帝国は先にも述べた通り、実力主義である部分が大きく、治安はランシェスに比べて若干悪く、スラム街もそれなりの広さがあるそうだ
流石に婚約者達を連れて行くわけにもいかず、恐らくだが「一人はダメだ!」と、陛下と王妃に言われるに違いないと思い、婚約者全員に集合してもらい、陛下と王妃を巻き込んで話し合った結果、リアとナユの二人にウォルドを連れて行く事に決まった
グラフィエルパーティーとして、帝国で活動出来る様にしたのだが、婚約者達は不満タラタラであった
しかし!ここで救いの神が!
「今回は、冒険者登録してない者は却下です!」
リアフェル王妃の一言により、居残り組は渋々引き下がった
学院側も陛下が口添えをしてくれるそうで、リアの昇級には問題無いとしてくれた
3月上旬に訪問予定を組み、念の為、4竜にはランシェスを守ってもらう
着いてくるのは、帝国に詳しそうなリュミナと因縁が無い者にしないとな
年の最後に最大の面倒事が舞い込み、気分は憂鬱なまま新年を迎えた
3か月半経過した今、15か月目になり、来年に向けての準備を始めている
この3か月半はのんびりしながら、色々と残していたものを片付けていた
まずは執事の雇用だ
王家に仕え、昨年引退した元執事を雇い入れた
優秀な執事で王家の推薦もあったからな
俺は貴族の子供だが、領地が継げない以上は平民落ち確定だった
それが、爵位を与えられ、実家から独立し、1代で今の立場を築いた
当然、家臣団は無く、雇って貰おうと色々と人が来るわけで、何かあっては大変なので、今回は王家に頼ったわけだ
侯爵になったこともあり、屋敷を建て直すために土地を買い、今は建築中である
新年から新しい屋敷で暮らせるようにと急ピッチで作業が進められている
土地は現屋敷の6倍ほど広くし、屋敷も3倍増しである
自重しなくなった俺は、屋敷も公爵家よりは少し小さいが、侯爵家内では1,2位を誇る広さの屋敷にしたのだ
メイドも増員し、メイド長はナリアに任せてあるので問題は無いだろう
工事の合間に、公爵家にも訪問した
「良く来てくれた。クロノアス卿」
そう声を掛けたのは、ティアの父親で現当主ヴァジス・フィン・ランシェス
実は、公爵家訪問は初めてだったりする
ティアの事にしてもきちんと挨拶してなかったのもあり改めて伺ったのだ
公爵家の方々には歓迎され色々と話をすることになった
話せない部分はぼかしてはあるが・・・
後は「子供が出来たら」の話だが、そこは善処するに留めた
次に冬到来に向けて6竜達の事も考えねばならなかった
6竜達は問題無いと言うが、俺にも主としての責任がある
しかし巨体なので、屋敷の敷地内に全員は難しいので頭を悩ませる・・・が、ルリの何気ない提案で簡単に解決した
神獣は成長と共に自分の身体の大きさを任意で調整できる
4神獣が6竜達に
「「「「私(ボク)が教える(ます)!」」」」
と伝えてきた・・・勿論、念話で
ルリとハクは、そろそろ人語を喋っても良い気がするんだがなぁ
そこで6竜達がハモって
「「「「「「でしたら、我(私)(わい)が教えましょう!」」」」」」
そして、4神獣は身体調整を教え、6竜達は人語を教え、3か月の間はこのような形で時間を潰していた
3か月目突入時には、身体調整を6竜達は修得し終え、現在は4神獣への勉強がメインになりつつある
人語の習得にはハクが一番苦労しており、どうも勉強があまり好きではない様で、最近では逃亡も目立つようになっている
無理にはさせたくないので暫くは様子を見る事にしよう
次に〝家臣団の設立〟というものがあったのだが、これには苦労した
家臣団とは従士長や家宰などになる
王族で例えるなら近衛騎士と大臣が一番近いだろう(あくまで例えと言っておく)
基本は王国の兵か貴族の子弟からスカウトする
例外としては、毎年行われる武術大会で武功を示し、家臣にスカウトされる者もいる
武術大会は毎年6月に行われ、戦績などの情報は1年保管される
翌年には開催されるので1年毎に更新される
因みに俺は不参加
理由は、参加したら優勝確定だから
ただ、大会自体も見に行ったことが無いので、判断材料が無いのは失敗だったな
と言う訳で、冒険者の知り合いに声を掛けて、現在、返事待ちである
家臣になるにしてもメリットとデメリットがある
メリットは安定収入と陪臣になれる可能性があり
デメリットは一攫千金が無いのと柵が増える可能性大
冒険者をしながら家臣という者も極稀にいる
ただ、そういう人達は高確率で解雇される率が高い
いざと言う時に家臣として動けないのでは話にならないからだ
更に家臣にスカウトされる者は力自慢が多い
なので、回復担当や斥候系はあまり就職できていない
冒険者でも、ソロや人数が少ないパーティーを丸ごと家臣に!と言うのも多い
収入は月に金貨3枚程度
そこまで良い訳ではないし、酒も好きには飲めない
ただ食と住は保証され、衣も儀礼用等は支給されるのでそこまで出費はない
装備に関しても、当主が用意するので意外と金は使わないのだ
規律や決まりは多いが、貯蓄すれば老後は安心なのもメリットか
15月半ば迄には返事をするように伝えてあるので待つとしよう
家臣団用の屋敷は旧住まいをそのまま提供する
家庭を持っている者は別途土地を買い、そこに住居を建設予定である
家臣団筆頭は新屋敷に1室を設け、家庭を持った場合には屋敷の土地内に別途建築をする
その為の土地は既に抑え、建築にも入っているので問題無しだ
15月上旬、新しい屋敷が完成した
総費用黒金貨2枚
迅速に、丁寧に、人件費や資材費等は度外視で完成した
屋敷は、3階建て地下1階の超広い屋敷に
子沢山でも大丈夫なようにと部屋数も100以上あり、間取りもそこそこ広い
使用人も全部で30人にまで増えているが、それでも70部屋残っており、婚約者を含めても60部屋余る
・・・・ちょっと大きくしすぎたかな?まぁ、問題ないだろ
今ここに住む婚約者はナユとミリアだけでかなり余っている
(いずれ足りなくなるかもな)と考えつつ、屋敷に入る
玄関は広く、食堂から庭が見え、テラスにも出られるようにしてある
庭も前屋敷の3分の2弱の広さがあり、大型立食パーティーも可能な広さだ
反対には応接室が2部屋あり、用途によって使い分ける
執務室は2階に作り、使用人達が動きやすいようにした
2階には60室程作ってあり、使用人を2階と3階に半数に分けて住み込みして貰う
2階には客室もあるので、対応出来る様にしたわけだ
3階には寝室があり、家族の部屋が大半である
それと、婚約者の家族などは3階で泊まれるようにした
後、各部屋に呼び鈴の魔道具を作って置いておく
1階に当番制の使用人が番をするようにしておいた
警護ではなく、深夜に何かあれば対応できる待機所みたいなものだ
こちらは、1階にある食堂の傍に造った
更に1階には、大浴場と露天風呂も造ってある
勿論、男女別だが、家族用は混浴になっている
どれに入っても良い様に作ったのだが、家族用にはメイドの背中流しは無しにした
地下は食糧保存庫にして、時空間魔法をかけてある
部屋全体に時空間魔法をかけてあるので、ちょっとしたミスが大惨事になる
気を付ける様に徹底しておこう
明日からは引っ越しで、家具や調度品は2日かけて搬入する
住むのは2日目夜か3日目の昼からだな
後、屋敷が完成したので付き合いのある貴族を呼んでパーティーしないといけない
総費用黒金貨2枚と言ったが、諸々足すと黒金貨3枚位だな
まぁまだ王札3枚以上あるし、あれを商品化すればそれなりに稼げるだろうし、大丈夫だろう・・多分・・・
その後、1週間後にパーティーを開き、現在に至る
パーティー後日、声を掛けていた冒険者達から家臣団への返事を貰った
声を掛けたのは、夏に護衛を依頼した者達だが、返答は全員が「条件付きなら」という形で、家臣団に加わった
条件は冒険者しつつであったが、数年の間だけと言う事なので、俺が領地か式を挙げるまでは構わないとした
冒険者達もそれで構わないとの事なので、とりあえず家臣は出来た形だ
衣食住に関しては俺の卒業までは干渉しないことにし、以降は冒険者より家臣の方を優先させ、その後は本格的に仕事に移る事になった
冒険者は身体が動かなくなる迄は生涯現役なので、いざとなれば戻れる様にした
そうそう、養鶏場の改善にも着手した
父に頼み、養鶏場の一つを改装させてもらったのだ
今の養鶏場は半分押し詰め状態で、鶏のストレスも半端なく、産む卵も殻が弱く割れやすい欠点があった
そこで俺が指導して、餌と飼育の仕方を改善させ、従来の5倍近い生産量を実現させた
魔道具も作り、養鶏場内を鶏の快適温度に保つ仕組みも作った
魔力の補給方法も空気中の魔素を自動で取り込み補給させるようにした
ただこれには、大型の魔力石が必要で量産は難しい
その辺りについては、国と相談をしようと思っている
養鶏場を国が一括管理するのだが、代わりに現養鶏場の者を雇うという方法だ
これにより薄利多売に変え、卵を安価にするのが狙いだ
しかし、国の一括管理への同意は自由であり、3分の1程が拒否した
現在の卵は1個銅貨3枚と高いのだが10個銅貨3枚にするのが目標だ
一度国が集約して管理し、後に個人事業に戻すのが狙いだ
これには双方にメリットがあり、個人事業主は一度、国の下で新しい養鶏に無償で取り組め、国は養鶏の利益を薄利ながらも得られ、尚且つ、国民の食生活を豊かにし、国への信頼感も得られる
問題点は設備投資の金額だが1~2年で回収可能な金額だ
餌も今までより安く、栄養価が高い物に変更するので、むしろ安くなる可能性がある
その方法は、魚の骨とクズ野菜の買い付けだ
魚は良く食べられるが、骨は大部分が捨てられる
処分に費用を割いているのなら餌に回し、クズ野菜も捨てるしかない物を安くではあるが買取り、餌にする
これで農家も収益が多少増えるはずだ
唯一の懸念は人件費だが、それも魔道具でいくつかはどうにかなるから問題ない
魔道具の開発に俺も加われば、より早く完成するだろう
既に実験は成功しており、来年以降からは国が数年管理をし、実績を出して、ある程度利益を出してから、個人事業主に無償で下げ渡す
これで、俺のマヨネーズとタルタル計画を軌道に乗せるのが狙いだ
神聖国と竜王国もランシェス王国が上手く行けば、同じように着手するそうで、結婚後の資金も楽に稼げそうだから一安心だ
但し、養鶏に関しては国の認可が必要になるのが必須であり、いくつかの養鶏場は新しい方法を拒否し、今まで通りにするそうなので、いずれ潰れるだろうとの事
競争率もそこまで激化しないと国は予測しているらしい
そんな感じで色々決まって行き、今年も残り1週間ほどになった
年始はそれぞれの家族と過ごすが、年末の大晦日は婚約者全員がお泊りして、年を一緒に越す予定である
ナユは「実家に帰るのは、時間的にも季節的にも難しいですね」と言い、俺と一緒に屋敷で新年を過ごす
前世では正月は3ヶ日だったが、この世界では正月は7ヶ日なので、それなりに買い込まないといけない
地下室の保管庫は、広く優秀なので、それなりに買っても腐らない
新年7日間は、貴族もパーティーはお休みである
新年10日目には王城でパーティーがあるが、貴族個人ではしないので楽である
そんな残り1週間であったが、2通の手紙が俺の元に届く
差出人は・・帝国冒険者ギルドと帝国皇帝からであった
どちらも面識はないので、不思議に思いつつ内容を読むと・・うん、めんどい内容だ
帝国ギルドからは〖EXの格上げについて審議が出ているので一度来い〛って内容
皇帝からの手紙も似たような内容であるが、もっと簡潔に要約すると『顔見せに来い』である
訪問期日は春の間にと書かれてあったが、正直面倒くさい
EXの話とか全く聞いてないので、王城と冒険者ギルドに聞きに行くことにする
先にギルドに来て話を聞くと、やはり陛下の差し金であった
しかし、今回は意見が3つに分かれているそうで、賛成、反対、保留である
賛成はランシェス、セフィッド、オーディール、フェリック
反対はイジェネスト、ダグレスト、リュンヌ
保留はガズディア
なのだが【可決は半数以上で、尚且つ、本部の容認が必要】らしい
そして一つ、面白い話を聞くことになった
冒険者の実力としてはイジェネストとガズディアが群を抜いているそうだ
ただ、イジェネストの冒険者は立ち居振る舞いが良い者が多く、ガズディアは実力主義で粗暴が悪く、中には犯罪に手を染めている者もいる
ただ、犯罪に手を染めた者は冒険者資格はく奪の上、軽くて犯罪奴隷落ち、悪ければ死刑だ
冒険者同士のいざこざは絶えない噂もあり、帝国ギルドのギルマスは、そんな奴らを黙らせられる実力が必須だそうで、現役に直ぐ戻れるほどの実力者だそうだ
それ故の保留回答であるとギルマスは答えた
行かない選択肢は無いかと聞くが、ギルド関連の正式通達と帝国印で蝋封をされた手紙である以上、行かないとランシェス側に不利益が生じる可能性もあると言われた
念の為、王城に出向き、陛下と王妃にも聞くが
「帝国皇帝の蝋封は、断れば非礼に当たるの」
「冒険者ギルドも同じです。行かないと言う選択肢はありませんよ」
との言葉を頂き、出向くしか無くなった
帝国は先にも述べた通り、実力主義である部分が大きく、治安はランシェスに比べて若干悪く、スラム街もそれなりの広さがあるそうだ
流石に婚約者達を連れて行くわけにもいかず、恐らくだが「一人はダメだ!」と、陛下と王妃に言われるに違いないと思い、婚約者全員に集合してもらい、陛下と王妃を巻き込んで話し合った結果、リアとナユの二人にウォルドを連れて行く事に決まった
グラフィエルパーティーとして、帝国で活動出来る様にしたのだが、婚約者達は不満タラタラであった
しかし!ここで救いの神が!
「今回は、冒険者登録してない者は却下です!」
リアフェル王妃の一言により、居残り組は渋々引き下がった
学院側も陛下が口添えをしてくれるそうで、リアの昇級には問題無いとしてくれた
3月上旬に訪問予定を組み、念の為、4竜にはランシェスを守ってもらう
着いてくるのは、帝国に詳しそうなリュミナと因縁が無い者にしないとな
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そして15歳となった現在。アーノルドは、魔剣士を育成する教育機関に入学するのだが、親戚や上の兄達のせいで悪役扱いをされ、付いた渾名は【悪役公子】。
実家ではやりたくもない【付与魔術】をやらされ、学園に通っていても心の無い言葉を投げかけられる日々に嫌気がさした俺は、自由を求めて冒険者になる事にした。
剣術ではなく刀を打ち刀を使う彼は、憧れの自由と、美味いメシとスローライフを求めて、時に戦い。時にメシを食らい、時に剣を打つ。
アーノルドの第二の人生が幕を開ける。しかし、同級生で仲の悪いメイザース家の娘ミナに学園での態度が演技だと知られてしまい。アーノルドの理想の生活は、ハチャメチャなものになって行く。
異世界転生した俺は平和に暮らしたいと願ったのだが
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「異世界に転生か再び地球に転生、
どちらが良い?……ですか。」
「異世界転生で。」
即答。
転生の際に何か能力を上げると提案された彼。強大な力を手に入れ英雄になるのも可能、勇者や英雄、ハーレムなんだって可能だったが、彼は「平和に暮らしたい」と言った。何の力も欲しない彼に神様は『コール』と言った念話の様な能力を授け、彼の願いの通り平和に生活が出来る様に転生をしたのだが……そんな彼の願いとは裏腹に家庭の事情で知らぬ間に最強になり……そんなファンタジー大好きな少年が異世界で平和に暮らして――行けたらいいな。ブラコンの姉をもったり、神様に気に入られたりして今日も一日頑張って生きていく物語です。基本的に主人公は強いです、それよりも姉の方が強いです。難しい話は書けないので書きません。軽い気持ちで呼んでくれたら幸いです。
なろうにも数話遅れてますが投稿しております。
誤字脱字など多いと思うので指摘してくれれば即直します。
自分でも見直しますが、ご協力お願いします。
感想の返信はあまりできませんが、しっかりと目を通してます。
修行マニアの高校生 異世界で最強になったのでスローライフを志す
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毎日修行を勤しむ高校生西郷努は柔道、ボクシング、レスリング、剣道、など日本の武術以外にも海外の武術を極め、世界王者を陰ながらぶっ倒した。その後、しばらくの間目標がなくなるが、努は「次は神でも倒すか」と志すが、どうやって神に会うか考えた末に死ねば良いと考え、自殺し見事転生するこができた。その世界ではステータスや魔法などが存在するゲームのような世界で、努は次に魔法を極めた末に最高神をぶっ倒し、やることがなくなったので「だらだらしながら定住先を見つけよう」ついでに伴侶も見つかるといいなとか思いながらスローライフを目指す。
誤字脱字や話のおかしな点について何か有れば教えて下さい。また感想待ってます。返信できるかわかりませんが、極力返します。
また今まで感想を却下してしまった皆さんすいません。
僕は豆腐メンタルなのでマイナスのことの感想は控えて頂きたいです。
不定期投稿になります、週に一回は投稿したいと思います。お待たせして申し訳ございません。
他作品はストックもかなり有りますので、そちらで回したいと思います
幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話
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