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47話 祝福と癒しの光
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翌日、被害が拡大しないために幾ばくかの風竜と兵達は汚染区域境に向かう
傭兵国軍も再侵攻は無いと思うが警戒は必要なので人員を振る
で、龍島から共に来た竜の長たちは風牙を見て目を丸くする
「え~と、どちらはんでっか?」
水龍が聞くと
「貴様の目は耄碌したのか?主様に名を頂いた風牙だ」
返す風牙の言葉に3竜の長は
「「「はあ~!?」」」
と声を揃えて叫び
「いやいや、何処にも面影が無いがな」
「俺より体格が小さかっただろうが!」
「一体何があったというのだ?」
と、口々に叫ぶが風牙はたった一言
「主様への忠誠心の差だ!」
と会話をぶった切った
若干性格も変わっているので3竜はちょっと引いてる
そこへ俺が現れると、誰よりも先に風牙が前に出て片膝をつき、人間っぽく臣下の礼を行うのを見て「「「え?マジ!?」」」と3竜は更に驚く
風竜の長と言えばプライドが高く、主と認めても臣下の礼を取る様な竜ではない
これが3竜の共通認識である
そもそも竜自体プライドが高いので主と認めても臣下の礼は取らない
一度してしまえば種族全てが取らなくてはならない
竜の誇りとはそれほど重いのだ
だが、風牙は既に風竜族ではなく、また風竜族であった頃に一体の竜として忠誠を宣誓している
風牙にとっては今の姿だろうが前の姿だろうが己がしている臣下の礼に変わりのない忠誠心を見せているだけなのだ
今の風牙に以前の矜持も誇りも無い
ただあるのは主に恥をかかせぬ竜の誇りと矜持である
他のものなど最早いらなかった
依存と言えばそれまでだが、風牙は依存ではなく忠誠
そして、共に笑えあえる友であり眷属なのだ
主が道を間違えた時は命を賭けて連れ戻すと俺に告げる程の忠誠心である
3竜が驚愕している中、ついに出陣の時間となる
作戦は至ってシンプルだ
元凶へ1点突破の殲滅戦
戦力は風牙と俺のみだが最大戦力だ
残りは被害がこれ以上拡大しない様に立ち回る
失敗すれば世界が遠くない未来に終焉を迎える
だが、何も不安はない
敗北など考えない!
あるのはただ、勝利の二文字のみ!!
時間が来て出陣のファンファーレが流れ、風牙は翼を広げ大空へと羽ばたく
上空5000mまで上がり、一気に中心地へと向かう
今の風牙は高さも速さも全ての竜を凌駕する
成長した神竜よりは若干劣るが、今のルリよりは強い
また、神龍と違う点がある
それは、属性が単一という点
では単一が劣るのか?と言われれば否である
長年共にあった属性は単一でも強力だ
使い慣れない力より使い慣れた力である
故に成長した神竜よりは若干劣るになるのだ
使い慣れた力により、浸食の影響下が低い高々度上空から中心地に向けてひたすら進む
1時間程で中心地に着くがその間にも俺は神器開放の準備をしている
神器開放に必要なのは膨大な神力と神器に名を与える事だ
昨晩の内にとある神器に名を与えた
与えた名は”ルシフェル・ルシファー〟
意味は〝救済と絶望〟である
何が起こるかわからなかったので空間収納にしまいつつ名を与えたがそれは正解だった
名を与えた直後、激しい力の奔流が空間収納全体に吹き荒れ、収縮していったのだ
外に出して名付けしたら結構ヤバかった
そして現在、とある問題に直面していた
神力を高めているのだが高めた傍から喰われる
少しずつ高まってはいるのだが、地味に喰われるので予定より遅れている状況だ
これでは埒が明かない
実は汚染区域以外に被害が行かないようとある魔法も使っている
神滅魔法の亜種結界魔法【神域】である
神器開放が何をもたらすのかわからない以上最強結界を展開しといて損はない
そのせいもあって神力の高まりが悪いのだ
一気に分の悪い賭けに出るか?もう少し様子を見るか?
そこへ風牙が話しかけてくる
「主様、この高度では我でも完全には見えませぬ。もう少し下に行きたいのですが良いでしょうか?」
「どの程度下げる?」
「現在の高度から5分の1程。この位置ならば間違いなく見えるかと」
「じゃあそうしよう。万が一の場合は撤収するぞ」
「承知しました」
高度を落とすと喰われる速さが一気に上がる
俺達は顔をしかめるが何とか高度を下げ、神力を保つことに成功するが高めていた神力が一気に喰われ、高め直しても無駄になってしまう速さで喰われる
これは一気に爆発させるしかないなと覚悟を決めた
そこへ風牙が驚くような声で呼ぶ
「あ、主様!見つけました。しかしこれは・・・」
「どうした?何があった?」
「腐竜が際限なく生まれております。喰ったものを変換して際限無く吐き出しているようです」
「チッ!なんて面倒な・・・その魔物は灰色か?」
「灰色ですが、何とも気持ち悪い色です」
「どういう意味だ?」
「竜には先祖返りで灰色が稀に生まれます。ですが灰色であっても魔力の色はあります。しかし、あれにはありません。言うなれば虚無です」
「ちょっと待て!?どんな形であれ虚無は飲み込み続けるだけだ!」
「だから気持ち悪いのです。あれは終わりも始まりも無く〝世界全てを喰らう何か〟なのに相反する行動をしているのです」
「矛盾か・・・。神器開放して倒せるレベルじゃない気がするんだが?」
「我もそう思います。一度、体勢を立て直しても良いのでは?」
「・・・・・一つ質問だ。核はあるか?」
「核ですか?そのようなのは見当たりませんが」
「力の起点となってる場所を見てみろ。但し見すぎるなよ。直ぐに持っていかれるぞ」
「承知しました・・・・・・・ガっ!?グ、グウ・・・・・み、見つけました。確かに起点の中心に何かあります。主様の言う通り、かなり持っていかれました」
「まだ飛べるか?」
「主様から頂いた物が発動して何とか。しかし高度を下げると恐らく飛べなくなるかと」
「場所はどの辺りだ?」
「もう少し北寄りです。どうなさるおつもりで?」
「この高度から一気に吹き飛ばす!核があるなら消滅させればこちらの勝ちだ。目標の真上に陣取れ!一気に殺る」
「はっ!」
風牙は飛翔し目標の真上に到達する
俺は空間収納を開くだけにし神言を紡ぐ
『我は神器が主。我が神器よ。我が声に応えよ。汝、今こそ真なる姿を晒し、我が力を用い、我が意に沿い、我が敵を滅ぼせ。我は汝を求める。神器開放!顕現せよ!神銃!ルシフェル・ルシファー!』
神言の終わりと共に俺の周りを巨大化した色んな銃が白金と黒金に輝き顕現する
聖と魔の銃が入り混じり敵に狙いをつける
狙いは一点、神喰いの置き土産だ
既に神力をかなり持っていかれてるがここからさらに持っていかれる
気をしっかりと持ち神力を一気に開放して爆発させる
眼前の敵を塵一つ残さず葬るために叫ぶ
「全てを滅せ!ルシフェルバスター!ルシファーカノン!聖魔混合砲カカオティック・ブラスター!全弾発射フルファイヤ!!」
その言葉を皮切りに一斉掃射する
大地は地響き、削れ、後に残るは何もない荒野・・・・・のはずだった
見える影は神喰いの置き土産
奴は2分間の全力射撃に耐えきったのだ
普通の生物はおろか下手をすれば神すら屠る連続一斉射なのに信じられない
だが、無傷ではなく、既に魔物としての肉体は塵一つ無いし、力の起点である核も丸見えである
だが、その起点にある核はただの核では無かった
堕ちし神格の一つ、邪神核であった
更にその核は神器開放に耐えきるほどに力を蓄え育っている
普通では破壊できない
そう遠くない未来に邪神が産まれるのは確実だった
だが今なら間に合う
まともに動きさえできればだが
神器開放を神力も高めず一気に爆発させ、無理矢理発動した負荷は想像を絶する
動きたくても動けないのが現状だ
しかも俺は核が見えているわけではないが気配で感じっとっていた
だから動かない体を無理矢理動かそうとする
頭の中で警鐘が鳴り響き危険だと訴えてきているから
だが身体は動かない
意識が一瞬飛びかけて直ぐに戻る
神力結晶が発動したようだ
あの状態でもまだ喰らってやがるのか
マジで分の悪い博打しないとダメか
俺は動かない体で覚悟を決めた
そして風牙に問う
「風牙、これからは分の悪い博打だ。生きて帰りたいなら、ここから真下に俺を落とせ。確実に奴を仕留めてやる。ま、俺は死ぬけどな」
「あ、主様・・・」
絶句する風牙に次の案を言う
「でだ、もう一つはお互い生き残るかもしれないし、片方死ぬかもしれないし、二人とも死ぬかもしれない大博打だ。やる事は一緒だがギリギリまで接近して俺を落とすだ。身体が動かないんでな。但し、意地でも神刀ゼロを奴に突き刺す!突き刺さる様にギリギリまで接近して落とせ。上手く行けば二人とも生き残れるがどうする?」
「主様も人が悪い。答えなど決まっております!しかし!落とすなど我が矜持に誇りに反します!故に地に足付け主諸共、奴に一撃を加える所存!」
「何気に酷い事言ったよな?俺を咥えて振りかぶるって聞こえたんだが?」
「そのように申し上げたのですが?」
「「・・・・・・・・」」
ちょっと沈黙が流れ、二人で大爆笑する
覚悟は決まった!
風牙は動けない俺を口に咥え一気に加速して降下する
もの凄い風が本来なら襲うが、残った魔力で空力制御を行う
近づくにつれてどんどん神力を喰われるがそれでも速さを緩めない
地上まで、僅か30秒
速さを緩めることなく地面すれすれで風牙は一回転し、地響きをたて降り立つ
一切減速をせずに降り立った代償は高くついた
ギリギリ立ってはいるが両足には幾重にも骨にヒビが入り、あちこちから出血もし、更には一気に侵食されるが風牙は構わず俺を加えたまま首を核に向け振り下ろす
咥えられた俺は動かない体を右腕一本だけ何とか動かし、神刀ゼロを構え邪神核を斬り裂く
邪神核は砕け貯め込まれた力が一気に溢れ出す
風牙も俺も当然耐えれる訳も無く吹き飛ばされる
汚染はまだ止まっていない
現在進行系で未だ喰われている
風牙の命は風前の灯火だ
かく言う俺も長くは持たない
魔力を通して無理矢理身体を動かし最後の力を振り絞って一気に近づく
「さっさとくたばれ!クソ野郎が!!」
叫び、神刀ゼロを突き刺す
邪神核は最後の抵抗空しく完全に砕け散った
神刀ゼロを地面に突き刺し何とか身体を支えると予期せぬことが起こる
ただ、嬉しい誤算ではあった
神刀ゼロを突き刺した場所は汚染区域の中心点の真中心であった
そこには神器開放でぶっ放した神力が地下深くに浸透していたのか一気に地上へ噴出し【神域】内に拡散していく
溢れた神力は光の粒子となって汚染区域を除去し始め、癒していく
そこで、ハッ!となって風牙を見ると、気絶はしているがこの粒子により一命は取り留めたようだ
安堵した俺は意識を保つのが限界に達し倒れ込む
神刀ゼロはその姿を意思無き主に変わり自らの意思で空間収納へと帰って行った
この戦いは竜王国民の間で、後にこのように語られ伝承に残る事となる
〖神の祝福を受けし神竜騎士が竜王国を守り災厄から救った。神竜騎士は心通わせし竜の真なる姿を開放し邪悪からこの地を救った。姫は神竜騎士に見初められ共に旅立った。神竜騎士は王に民に告げる。侵略者と為らずこの地を治めよ。汝らの心が変わらぬのなら再び災厄が襲おうとも我が救おうと。守護竜風竜はこの地の守護を改めて任され心通わせし竜は姫を乗せこの地を後にした。神竜騎士は最後に汚れた大地を癒しこの地を後にした。その癒しは神がもたらす光の祝福と癒しであった。彼の地は再び繁栄を約束された〛
傭兵国軍も再侵攻は無いと思うが警戒は必要なので人員を振る
で、龍島から共に来た竜の長たちは風牙を見て目を丸くする
「え~と、どちらはんでっか?」
水龍が聞くと
「貴様の目は耄碌したのか?主様に名を頂いた風牙だ」
返す風牙の言葉に3竜の長は
「「「はあ~!?」」」
と声を揃えて叫び
「いやいや、何処にも面影が無いがな」
「俺より体格が小さかっただろうが!」
「一体何があったというのだ?」
と、口々に叫ぶが風牙はたった一言
「主様への忠誠心の差だ!」
と会話をぶった切った
若干性格も変わっているので3竜はちょっと引いてる
そこへ俺が現れると、誰よりも先に風牙が前に出て片膝をつき、人間っぽく臣下の礼を行うのを見て「「「え?マジ!?」」」と3竜は更に驚く
風竜の長と言えばプライドが高く、主と認めても臣下の礼を取る様な竜ではない
これが3竜の共通認識である
そもそも竜自体プライドが高いので主と認めても臣下の礼は取らない
一度してしまえば種族全てが取らなくてはならない
竜の誇りとはそれほど重いのだ
だが、風牙は既に風竜族ではなく、また風竜族であった頃に一体の竜として忠誠を宣誓している
風牙にとっては今の姿だろうが前の姿だろうが己がしている臣下の礼に変わりのない忠誠心を見せているだけなのだ
今の風牙に以前の矜持も誇りも無い
ただあるのは主に恥をかかせぬ竜の誇りと矜持である
他のものなど最早いらなかった
依存と言えばそれまでだが、風牙は依存ではなく忠誠
そして、共に笑えあえる友であり眷属なのだ
主が道を間違えた時は命を賭けて連れ戻すと俺に告げる程の忠誠心である
3竜が驚愕している中、ついに出陣の時間となる
作戦は至ってシンプルだ
元凶へ1点突破の殲滅戦
戦力は風牙と俺のみだが最大戦力だ
残りは被害がこれ以上拡大しない様に立ち回る
失敗すれば世界が遠くない未来に終焉を迎える
だが、何も不安はない
敗北など考えない!
あるのはただ、勝利の二文字のみ!!
時間が来て出陣のファンファーレが流れ、風牙は翼を広げ大空へと羽ばたく
上空5000mまで上がり、一気に中心地へと向かう
今の風牙は高さも速さも全ての竜を凌駕する
成長した神竜よりは若干劣るが、今のルリよりは強い
また、神龍と違う点がある
それは、属性が単一という点
では単一が劣るのか?と言われれば否である
長年共にあった属性は単一でも強力だ
使い慣れない力より使い慣れた力である
故に成長した神竜よりは若干劣るになるのだ
使い慣れた力により、浸食の影響下が低い高々度上空から中心地に向けてひたすら進む
1時間程で中心地に着くがその間にも俺は神器開放の準備をしている
神器開放に必要なのは膨大な神力と神器に名を与える事だ
昨晩の内にとある神器に名を与えた
与えた名は”ルシフェル・ルシファー〟
意味は〝救済と絶望〟である
何が起こるかわからなかったので空間収納にしまいつつ名を与えたがそれは正解だった
名を与えた直後、激しい力の奔流が空間収納全体に吹き荒れ、収縮していったのだ
外に出して名付けしたら結構ヤバかった
そして現在、とある問題に直面していた
神力を高めているのだが高めた傍から喰われる
少しずつ高まってはいるのだが、地味に喰われるので予定より遅れている状況だ
これでは埒が明かない
実は汚染区域以外に被害が行かないようとある魔法も使っている
神滅魔法の亜種結界魔法【神域】である
神器開放が何をもたらすのかわからない以上最強結界を展開しといて損はない
そのせいもあって神力の高まりが悪いのだ
一気に分の悪い賭けに出るか?もう少し様子を見るか?
そこへ風牙が話しかけてくる
「主様、この高度では我でも完全には見えませぬ。もう少し下に行きたいのですが良いでしょうか?」
「どの程度下げる?」
「現在の高度から5分の1程。この位置ならば間違いなく見えるかと」
「じゃあそうしよう。万が一の場合は撤収するぞ」
「承知しました」
高度を落とすと喰われる速さが一気に上がる
俺達は顔をしかめるが何とか高度を下げ、神力を保つことに成功するが高めていた神力が一気に喰われ、高め直しても無駄になってしまう速さで喰われる
これは一気に爆発させるしかないなと覚悟を決めた
そこへ風牙が驚くような声で呼ぶ
「あ、主様!見つけました。しかしこれは・・・」
「どうした?何があった?」
「腐竜が際限なく生まれております。喰ったものを変換して際限無く吐き出しているようです」
「チッ!なんて面倒な・・・その魔物は灰色か?」
「灰色ですが、何とも気持ち悪い色です」
「どういう意味だ?」
「竜には先祖返りで灰色が稀に生まれます。ですが灰色であっても魔力の色はあります。しかし、あれにはありません。言うなれば虚無です」
「ちょっと待て!?どんな形であれ虚無は飲み込み続けるだけだ!」
「だから気持ち悪いのです。あれは終わりも始まりも無く〝世界全てを喰らう何か〟なのに相反する行動をしているのです」
「矛盾か・・・。神器開放して倒せるレベルじゃない気がするんだが?」
「我もそう思います。一度、体勢を立て直しても良いのでは?」
「・・・・・一つ質問だ。核はあるか?」
「核ですか?そのようなのは見当たりませんが」
「力の起点となってる場所を見てみろ。但し見すぎるなよ。直ぐに持っていかれるぞ」
「承知しました・・・・・・・ガっ!?グ、グウ・・・・・み、見つけました。確かに起点の中心に何かあります。主様の言う通り、かなり持っていかれました」
「まだ飛べるか?」
「主様から頂いた物が発動して何とか。しかし高度を下げると恐らく飛べなくなるかと」
「場所はどの辺りだ?」
「もう少し北寄りです。どうなさるおつもりで?」
「この高度から一気に吹き飛ばす!核があるなら消滅させればこちらの勝ちだ。目標の真上に陣取れ!一気に殺る」
「はっ!」
風牙は飛翔し目標の真上に到達する
俺は空間収納を開くだけにし神言を紡ぐ
『我は神器が主。我が神器よ。我が声に応えよ。汝、今こそ真なる姿を晒し、我が力を用い、我が意に沿い、我が敵を滅ぼせ。我は汝を求める。神器開放!顕現せよ!神銃!ルシフェル・ルシファー!』
神言の終わりと共に俺の周りを巨大化した色んな銃が白金と黒金に輝き顕現する
聖と魔の銃が入り混じり敵に狙いをつける
狙いは一点、神喰いの置き土産だ
既に神力をかなり持っていかれてるがここからさらに持っていかれる
気をしっかりと持ち神力を一気に開放して爆発させる
眼前の敵を塵一つ残さず葬るために叫ぶ
「全てを滅せ!ルシフェルバスター!ルシファーカノン!聖魔混合砲カカオティック・ブラスター!全弾発射フルファイヤ!!」
その言葉を皮切りに一斉掃射する
大地は地響き、削れ、後に残るは何もない荒野・・・・・のはずだった
見える影は神喰いの置き土産
奴は2分間の全力射撃に耐えきったのだ
普通の生物はおろか下手をすれば神すら屠る連続一斉射なのに信じられない
だが、無傷ではなく、既に魔物としての肉体は塵一つ無いし、力の起点である核も丸見えである
だが、その起点にある核はただの核では無かった
堕ちし神格の一つ、邪神核であった
更にその核は神器開放に耐えきるほどに力を蓄え育っている
普通では破壊できない
そう遠くない未来に邪神が産まれるのは確実だった
だが今なら間に合う
まともに動きさえできればだが
神器開放を神力も高めず一気に爆発させ、無理矢理発動した負荷は想像を絶する
動きたくても動けないのが現状だ
しかも俺は核が見えているわけではないが気配で感じっとっていた
だから動かない体を無理矢理動かそうとする
頭の中で警鐘が鳴り響き危険だと訴えてきているから
だが身体は動かない
意識が一瞬飛びかけて直ぐに戻る
神力結晶が発動したようだ
あの状態でもまだ喰らってやがるのか
マジで分の悪い博打しないとダメか
俺は動かない体で覚悟を決めた
そして風牙に問う
「風牙、これからは分の悪い博打だ。生きて帰りたいなら、ここから真下に俺を落とせ。確実に奴を仕留めてやる。ま、俺は死ぬけどな」
「あ、主様・・・」
絶句する風牙に次の案を言う
「でだ、もう一つはお互い生き残るかもしれないし、片方死ぬかもしれないし、二人とも死ぬかもしれない大博打だ。やる事は一緒だがギリギリまで接近して俺を落とすだ。身体が動かないんでな。但し、意地でも神刀ゼロを奴に突き刺す!突き刺さる様にギリギリまで接近して落とせ。上手く行けば二人とも生き残れるがどうする?」
「主様も人が悪い。答えなど決まっております!しかし!落とすなど我が矜持に誇りに反します!故に地に足付け主諸共、奴に一撃を加える所存!」
「何気に酷い事言ったよな?俺を咥えて振りかぶるって聞こえたんだが?」
「そのように申し上げたのですが?」
「「・・・・・・・・」」
ちょっと沈黙が流れ、二人で大爆笑する
覚悟は決まった!
風牙は動けない俺を口に咥え一気に加速して降下する
もの凄い風が本来なら襲うが、残った魔力で空力制御を行う
近づくにつれてどんどん神力を喰われるがそれでも速さを緩めない
地上まで、僅か30秒
速さを緩めることなく地面すれすれで風牙は一回転し、地響きをたて降り立つ
一切減速をせずに降り立った代償は高くついた
ギリギリ立ってはいるが両足には幾重にも骨にヒビが入り、あちこちから出血もし、更には一気に侵食されるが風牙は構わず俺を加えたまま首を核に向け振り下ろす
咥えられた俺は動かない体を右腕一本だけ何とか動かし、神刀ゼロを構え邪神核を斬り裂く
邪神核は砕け貯め込まれた力が一気に溢れ出す
風牙も俺も当然耐えれる訳も無く吹き飛ばされる
汚染はまだ止まっていない
現在進行系で未だ喰われている
風牙の命は風前の灯火だ
かく言う俺も長くは持たない
魔力を通して無理矢理身体を動かし最後の力を振り絞って一気に近づく
「さっさとくたばれ!クソ野郎が!!」
叫び、神刀ゼロを突き刺す
邪神核は最後の抵抗空しく完全に砕け散った
神刀ゼロを地面に突き刺し何とか身体を支えると予期せぬことが起こる
ただ、嬉しい誤算ではあった
神刀ゼロを突き刺した場所は汚染区域の中心点の真中心であった
そこには神器開放でぶっ放した神力が地下深くに浸透していたのか一気に地上へ噴出し【神域】内に拡散していく
溢れた神力は光の粒子となって汚染区域を除去し始め、癒していく
そこで、ハッ!となって風牙を見ると、気絶はしているがこの粒子により一命は取り留めたようだ
安堵した俺は意識を保つのが限界に達し倒れ込む
神刀ゼロはその姿を意思無き主に変わり自らの意思で空間収納へと帰って行った
この戦いは竜王国民の間で、後にこのように語られ伝承に残る事となる
〖神の祝福を受けし神竜騎士が竜王国を守り災厄から救った。神竜騎士は心通わせし竜の真なる姿を開放し邪悪からこの地を救った。姫は神竜騎士に見初められ共に旅立った。神竜騎士は王に民に告げる。侵略者と為らずこの地を治めよ。汝らの心が変わらぬのなら再び災厄が襲おうとも我が救おうと。守護竜風竜はこの地の守護を改めて任され心通わせし竜は姫を乗せこの地を後にした。神竜騎士は最後に汚れた大地を癒しこの地を後にした。その癒しは神がもたらす光の祝福と癒しであった。彼の地は再び繁栄を約束された〛
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普通の高校2年生の竹中春人は突如、異世界転移を果たした。
そして、異世界転移をした先は、入ることが禁断とされている場所、神の園というところだった。
そんな慣習も知りもしない、春人は神の園を生活圏として、必死に生きていく。
そこでしか成らない『ふしぎな果実』を空腹のあまり口にしてしまう。
そして、それは世界では幻と言われている祝福の果実であった。
食料がない春人はそんなことは知らず、ふしぎな果実を米のように常食として喰らう。
不思議な果実の恩恵によって、規格外に強くなっていくハルトの、異世界冒険大ファンタジー。
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